2018年7月14日 (土)

今度は水族館応援議連・・・

業界紙によると自民党水族館応援議連というものが 7月11日に立ち上がったそうだ。
目的は、「科学的根拠に基づく海洋生物資源の持続的な利用の立場から、鯨類などの飼育展示・教育研究・保全活動を推進する水族館を応援し」、「水族館基本法」制定を目指すことだ。
動物園や水族館はこれまでに文科省の管轄で、その飼育展示に関しては環境省が基準を設けている。また、昨年の種の保存法改正において、環境省は動物園、水族館の種の保存に果たす役割を明示し、保存に貢献していると認められた園・館を認定するとした。中で言及されてはいないものの、飼育施設の目玉として捕獲され、飛んだり跳ねたりのショーに使われ、使い捨てられる鯨類=イルカはその範疇ではない。しかし、この記事によると、2014年の世界動物園水族館協会に突きつけられた、非人道的なイルカ捕獲NO!に従った日本動物園水族館協会に対して、イルカ捕獲継続を支持して同協会を離脱し、新たに設立した「日本鯨類研究協議会」の動きを受けての基本法制定ということで、ここで初めて、海洋生物資源の持続的利用の意味が明らかになる。
会長と副会長のうちの一人、幹事長がみな和歌山県選出の捕鯨議員だということもなかなか示唆に富んでいる。

2017年12月13日 (水)

イルカの増枠

たまたま、ニュースレターで今年の出来事を書いていて、水産庁のHPを見たら、なんと12月1日付のイルカの捕獲枠の更新情報が見つかった。
以下
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     いるか漁業の鯨種別捕獲枠については、推定資源量を基に、捕獲を続けても資源が減少しない
     水準(許容捕獲頭 数)を科学的に算出し、それ以下の頭数を、国が捕獲枠として設定し、関係
     道県に配分しています。本年度漁期における鯨種別捕獲枠は以下のとおりです。
     なお、鯨種別捕獲枠については、関係道県の要望や関係道県間の調整の結果により、許容捕獲頭数の
     範囲内で漁期中に変更することがあります。

    平成29(2017)年度漁期のいるか漁業の鯨種別捕獲枠(12月1日時点)(PDF : 56KB)
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この新しい捕獲枠だと、今年新たに枠の設けられたシワハイルカとカズハゴンドウがずいぶん増えているように見える。20→27に 100矢印200に(もしかしたら私の目の錯覚か)
そういえば、今回の太地町の追い込みでは、バンドウイルカが’不漁’なのに比して、この2種に関しての捕獲が成功しているようだ。これまで、途中で増枠したという記憶がないのだが、水産庁の管理放棄もここまで来たか、とちょっと驚く。

念のため、8月に出された枠をつけておく。

Photo

追加情報:
水産庁の聞き取りによると、和歌山県から枠の追加要望があった。
シワハイルカとカズハゴンドウに関しては捕獲の許容範囲内であるということで、枠を変更した。
許容範囲は、
シワハイルカが46頭まで、カズハゴンドウは704頭まで捕獲できることになっているらしい。
初年度でもあり、どの程度の捕獲が可能かわからなかったため、要望する県が控えめな数字を出してきた。

このような捕獲枠の追加配分は、今のところ見当たらないということ(道府県での捕獲数の融通はあった)。

また、ユメゴンドウの誤捕獲についてはすでに指摘されていることであり、県を通じて漁業者に指導をしているとのことです。

釈然とはしない。

2017年10月30日 (月)

太地もうで(1)イルカ生息調査の必要性を説明

 <やっと実現>

 先週末の10月19日から3日間、和歌山県太地町に行ってきた。
 昨年スロベニアで、三軒町長から「また意見交換をしましょう」と声をかけられたというのに、資金的にめどがつかずに延び延びになっていた会見だ。

 話は、イルカ猟や飼育問題だけでなく、太地の風土、歴史、太地における福祉の考え方など多岐に及んだ。
最初に、対立する立場にあるにかかわらず、3時間と言う長い対話の時間を割いてくださってことに感謝したい。

 3年前の太地訪問は、イルカ猟の是非についての国際的な立場の違いが膠着した状態で、捕獲が継続されている状態をなんとかできないものか、とかなり思いつめての訪問だった。三軒町長は、自分の立場を、「国が許可した漁業をやりたいという町民がいる以上、町として支援するのは当然」と説明し、それは、残念ながら正論だと思った。一方で、そうした率直な話の運びに、意見交換が無駄にならないのではないかという希望も見た。
 その時は結局、森浦湾のクジラの海構想について、環境の観点から意見を交換し、イルカの放し飼いについては元々ある地域環境を損なう可能性を指摘し、専門家による環境調査の必要性を訴えた上で、継続してこうした場を設けようと約束して帰途についた。

 残念ながら往復にかかる旅費などでそうそう簡単に動ける話でもなかったのだが。
 産経新聞における森浦湾での繁殖場計画は、産経のフライングだという説明をスロベニアで受けていたものの、すでにかなりの計画が進んでいる段階での意見交換なので、今回は正直なところどんな話し合いになるのか、当初は想像もつかなかった。ただ、イルカの捕獲が水族館需要によって続いていることにも焦りを感じていたし、生けどりの正当化の「学術研究」という名で多頭飼育が進むことには、どうしても異議を唱えておきたかった。

 たまたま、同行したフリージャーナリストの佐久間さんが、東京であいさつした漁業協同組合長の背古輝人さんに取材を申し込んだところ、町長との意見交換に同席されることになった。忌憚のない話し合いができるのかどうか、さらに不安は増したが、これを好機と捉えて、少しでも実りある話し合いをしようと決心した。
 
 背古さんは、痩身長躯、年の頃は70歳前後、ごま塩頭の生真面目そうな方だ。当初懸念したような警戒心はなく、率直にご自身の経歴を話しの合間に聞かせてくれた。例えば、若い頃、従兄弟のつてでアメリカまで出稼ぎに行き、イタリア人の経営する捕鯨会社で捕鯨船に乗り、(たぶん人間環境会議の成り行きで)禁止されると日本に戻ってきた、というような思いがけない話も出た。その後も、小型捕鯨やイルカ追い込みなど、クジラ捕獲に関わる仕事に従事されてきたということだ。聞いてみたところ、オホーツクではツチクジラの群れの中にカラスらしき黒い個体も見たということだ。

 イルカ猟に反対すると言いに行くだけなら簡単だが、ではどのようにして問題を解決するのか、となると答えは出ない。前夜に色々と思案し、イルカ類のきちんとした調査を、ともに水産庁に求めて行ってはくれないかという要望に絞ることにした。これまで不十分であると考えるイルカの生息状況に関する科学的で透明性の高い調査の必要性を、実際に業に携わっている方が必要だと感じて欲しい。

<イルカ資源調査の必要性>

当ブログに何回か、イルカの調査や個体数推定などの評価について書いている。
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/cat22800313/index.html

 毎度の話になるが、日本におけるイルカ類を含む海洋生物は水産資源として水産庁の管轄下にあり、公にその捕獲が認められている。ただ、管理のための資源評価は公表されているものの、
http://kokushi.fra.go.jp/index-2.html
もはや資源的にそれほど有用と考えられていないことも手伝って、古いデータも混在しているし、調査捕鯨のついでに適切とは言えない海域で調査が行われたり、単発的な目視調査だったりと、これまで十分な調査や評価が行われてきたとは言えない。
 同じ海域で50年間も群れごとに一網打尽にしていけば、どうなるか捕獲実数にすでに現れていると思うが、それをはっきりさせるにはよりきちんとした生息調査が不可欠だ。
 ちなみに、この4月に公表された海洋生物レッドリストに関しても、水産庁が評価したものは1種をのぞいてランク外(種の保存法の対象外)という信じられない結果が出ており、国会審議においても与党の招聘した専門家も、水産庁が評価することに疑問を呈し、環境省が評価してから水産庁が資源管理した方が良いという意見を述べている。

(ついでながら、水産庁評価があんまりだと、評価の市民版を作った人がいる!是非見比べてほしい。
http://kkneko.sblo.jp/article/181313159.html)

 8月出版された例の「おくじらさま」の文中に、捕鯨/沿岸小型を取り仕切る国際課の諸貫交渉官のコメントが載っていることを見つけたこともヒントになった。彼は、これまでの資源量のデータが古いことと、捕獲枠の計算方法も現在の資源管理方式にそぐわないと認めつつ、水揚げが漁業のわずか0.1%なので、詳細な調査をするのは難しいと正直な意見を述べているのだ。
 イルカ類の保全というだけでなく、持続的な事業を継続していくつもりならば調査は不可欠であり、またもし事業者が国内外に向けてその’正当性’を発言し、理解をもとめたいのであれば、科学性や透明性は不可欠であることを、なんとか共有できないものか。

 もちろん、最初は「イルカについてはどこに何がいるか、漁師が一番よく知っている」と強く主張されていた背古さんも、佐久間さんが作った太地におけるイルカ捕獲枠と捕獲実績を示すエクセルグラフを見せ、捕獲枠と実績との乖離を示し、確かに海で実際に発見する機会は多いかもしれない、しかし、その群れがどこに所属するどういう群れなのかなど、みんなが納得するような調査とデータがどうしても今必要なのではないか、と言葉を重ね、調査の重要性を訴えた。

「22713598_1431662560245428_6199900073860927369_o.jpg」をダウンロード
(佐久間さんの作成したグラフ。薄い色が捕獲対象種の枠で棒グラフが実績)

 また、これまで、種の保存に関して環境省との共管での調査と管理を求めているということも報告し、最後は調査の必要性を納得していただけたと思う。(特に、佐久間さんが「環境省が調査の予算をつけたらいいのにね?」というと「I hope....」と思いがけない言葉が聞けたことが嬉しかった)

<’捕鯨’ではなく’クジラ’によるまちづくりなのだ>

 三軒町長は、かつて60年代に、当時の町長の庄司五郎氏が「そのうちクジラがいなくなる、捕鯨の時代は終わった」という予言をしたの先見の明だと断言する。
 庄司元町長は、太地の未来を観光産業に見ており、そのための礎として太地くじらの博物館と亜熱帯植物園(現在は県警の駐留場所)を作り、太地の捕鯨史を編纂した。
 三軒町長はその考えを評価しつつ、現在は町内にイルカを獲りたいという人たちがいるので、その人たちの後押しはしなければならない、しかし、将来を見据え、時代に沿って考え方を変えていくべきだとする。その先にあるのが「国際的な学術都市構想」だ。だから彼は、「捕鯨によるまちづくり」ではなく「クジラによるまちづくり」を目指しているそうだ。
 彼の目指すところは、追い込み漁で捕獲したイルカを森浦湾で飼育し、いずれは仕切りの網を解いて海に帰りたいものは放す、ここで生まれたもので残りたものは残ればいい、という「放し飼い飼育」の実践だ。専門家には素人が言うべきではないとお叱りを受けるといいつつ、世界中の鯨類学者を呼び、森浦湾のイルカの様々なデータをこの実験によって集めて貢献したいとする。
 
 イルカの自然施設での飼育と解放に関しては、ボルティモア水族館の事例を話し、イルカのリハビリと解放を方向とするイルカサンクチュアリを目指すべきでは、といったが、町長の念頭にあるのは、現段階でのイルカ捕獲の実施を否定しておらず、同町でイルカの飼育販売を手がける三好晴之氏の呼び戻しのイメージのようだと思えた。
 すでに森浦湾でのイルカ飼育やタッチングが実施されており、訪問時には、幾つもの四角い浮き囲いが見え、数人の人がイルカの世話をしているらしく、時折ジャンプするイルカも見えた。
 果たしてどこまで本気で、どれほどの期間を持ってやり遂げるか疑問ではあるが、当面はタッチングやイルカと泳ぐなど観光イベントは繰り返されるのだろう。こうした事業が、将来的にはマイナスになることを納得してもらう方法をなんとか考えなければ、と思った。

<おくじらさまの功罪>

  道の駅には、おクジラ様のポスターやチラシ、本が並べられている。最終日に、太地道の駅でお会いしたアラバスターさんが指摘されたように、「おくじらさま」の効果として、こうした割とフランクな意見交換が可能になったのかもしれない。(アラバスターさんは、自分が利用されたと認めつつも、映画が果たした役割について、前向きに捉えたい気持ちが強いようだった)
 
 好意的に見れば、確かに意見交換の中でも「映画によってやっと太地の人々の意見を伝えることができた」、「もっと積極的に意思表示していく必要がある」、などのコメントが何回か出てきたのは確かだ。
 もつれた糸を解きほぐし、解決に導くためには、ここをスタート地点と考え、次に移るほかなさそうだ。前述の諸貫さんの言葉では、捕獲枠見直しも行われるようだが、枠見直しの根拠としての調査の必要性を訴えていかなければならない。また、環境省の種の保存法の一連の動きに中で、さらにレッドリストのよりきちんとした評価を求め、そのための調査の必要性を水産庁と共有してほしいと求めていかなければならない。宿題は山ほどある。

2017年8月 4日 (金)

イルカの新しい捕獲枠

7月半ばでもまだ未定とされていた2017/2018年のイルカの捕獲枠を入手した。
なんと、223頭の増加だ!増加分は、今年から新たに加わったシワハイルカ33頭とカズハゴンドウ190頭だ。

’捕獲できなくなって経営的に問題が出てきたから’新たな種を加えたいという要望だったと覚えているが、取れなくなったはずのバンドウイルカとコビレゴンドウも枠はそのまま、500頭と101頭だ。取れなくなったために他の種を加えたわけだから、この2種については枠をなくすべきではないのか。

水産庁の管理は、人気のある魚種に関しても事業者のいうままであちこちから非難されているようなものだが、こちらは、一部漁業者以外、まず関心はないだろうと思っているのか、まったくやる気なしが見え見えだ。

そろそろ本気で調査をしなければ、取れなくなる=消滅するのではないかと懸念される。

Photo


2017年5月13日 (土)

イルカ捕獲枠2種追加

 シワハイルカとカズハゴンドウの捕獲枠が追加されたそうだ。

http://www.kinan-newspaper.jp/?p=9453

水産庁曰く、
『「われわれは他の水産物と同じように、漁業者から要望があるものに関して調査の上、認可している。イルカ自体は日本沿岸に回遊しており、量的なめども把握できたので今回の追加認定へと至った」と語る。
 追加予定の2種は沖縄県と和歌山県を中心に捕獲枠が振り分けられ、太地町では今期の追い込み漁(9月〜4月末)から捕獲される見通しとなっている。』(紀南新聞)

パブコメでは、「是非という声が大多数」だったそうだが、私たちだって(迂闊なことに)、パブコメを実施していることを発見するのが遅すぎた。どういう人たちがあの見つけにくいパブコメ募集を見つけて、意見を提出したのだろうか?このことを実際に知っていたのは、関係者だけだろうと思うのだが(関係者が賛成意見を出すことは当たり前だし、パブコメの取り方としては如何なものか)。

レッドリストで一応の格好をつけ、そっとパブコメをやり、体裁だけは整えて、前回のカマイルカのような不手際は避けたのだろうが、これだけ相反する意見が国内外で大きくなっている時に、この進め方は随分と姑息で問題があるのではないかと感じる。

ちなみに、ある事情を知る人によると、カズハゴンドウは、ユメゴンドウ(滅多に見られないのでこの名前がついたらしい)と混合の群れで泳ぐことが多いそうで、専門家でも両者を見分けることは困難だという。混獲した場合はどのような措置をとるのか?それとも見分けられないということで問題なしなのか?

2017年4月15日 (土)

パブコメやっと提出

 締め切りは今日です。

以下:
意見:
指定省令第82条第1項ただし書きに、新たに「しわはいるか」及び「かずはごんどう」を追加することに反対します。
理由:
反対する理由は、二つあります。
1。持続的な資源管理と産業に資さない
イルカの捕獲枠は1993年に設定されましたが、2000年には既に捕獲実績が捕獲枠を下回り、近年は捕獲枠の4分の1にも至りません。
主な理由として考えられるものは、1)対象としているイルカ種の減少 2)需要の減少 ですが、
1)であれば、早急にその原因調査や回復計画を進めるべきですし、2)であれば、そもそも新たな種を付け加える必要はありません。
商業捕鯨の最盛期に、乱獲によって減少した種に変わって別の種の捕獲を開始し、多くの鯨類を絶滅の危機に追いやったことは歴史に明らかなことであり、今回の案は、将来的な産業の持続的な推進に資するとも思われず、水産資源管理の怠慢とさえ言えるものではないかと思います。

2。生物多様性の保全と逆行する
国連海洋法条約の前分にあるように、国を超えて移動する可能性のある海洋哺乳類は、世界の共有財産です。今回指定しようとしている二つの種は、生息環境、生態等不明なことが多く、国を超えて移動している可能性があります。一つの国、さらには捕獲しようとする漁業者の占有物ではありません。従って、特定の漁業者の都合によって捕獲を開始するのは間違いです。
「国連海洋法条約第65条第六十五条」 に従い、よりより保全と調査・研究を国際機関など多様な主体との連携で行い、国際的にも貢献することが望ましいと思います。  「この部のいかなる規定も、沿岸国又は適当な場合にほ国際機関が海産哺乳動物の開発についてこの部に定めるよりも厳しく禁止し、制限し又は規制する権利又は権限を制限するものではない。いずれの国も、海産哺乳動物の保存のために協力するものとし、特に、鯨類については、その保存、管理及び研究のために適当な国際機関を通じて活動する。」(国連海洋法条約)

2017年4月10日 (月)

新たな捕獲対象の追加 パブコメ中

2013年に検討を始め、2014年には試験操業が認められていたシワハイルカとカズハゴンドウの捕獲枠を付けるための形ばかりの手順が始まっている。
聞いたところでは、和歌山県と沖縄県からの要望を受けてのことで、コビレゴンドウとハンドウイルカの捕獲が「低位で推移しており、安定的な経営が困難」という理由だそうである。
国連海洋法条約のもと、海生生物はすでに先に取ったものが勝ちではなくなっている。これまでのように、他の種を取りすぎたために、新しい種を取りたいというのは全く勝手な言い分であり、それをそのまま受け入れる管理当局の水産庁は、管理を放棄しているわけで、これはイルカに限ったことではないから驚くには当たらないかもしれない。

一般意見聴取に関しては、「パブコメにかけているではないか」、と居直るのでしょうが、「国民の意見を聞く」というのは、前回−2007年のカマイルカの枠導入で実証済みだ。出された意見がすべて反対であったにかかわらず、食文化を縦に押し切られたが、実際は食べることではなく、水族館用の捕獲が目的であったのは記憶に新しいところ。
今回の2つの種だって、わずかな目視調査で推定個体数を出し(シワハイルカは前回調査から半減しているようだ)、生態的なところはまだ未解明なまま。今回発表された水産庁レッドリストでは、いずれも系群に関する情報は不明で、個体数現象の要因が見当たらない(探さないの間違い?)からランク外だというのだ。

もう一つ、経営的な安定に関して言えば、和歌山県太地町では、ハンドウイルカはもう食用には捕獲しない。なぜなら、食用にするイルカ1頭6万円程度に対して、水族館用に捕獲すれば、1頭90万円になるので。2016/2017年度では、ハンドウイルカだけでも179頭捕獲されており、生態販売用の捕獲総数は232頭、前年度比で+179頭である。この事実からも、新たな種が入ればそれだけ生け捕りでより多く販売できるという目論見が見え見えなのだ。

結果的には意見はスルーされるかもしれないが、それでもやらないよりはやった方がマシだし、声が大きくなれば、きっと全く無視するわけにもいかないだろう。ぜひ、意見を出して欲しい。

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パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550002463&Mode=0
○ 指定漁業の許可及び取締り等に関する省令の一部改正(概要)
1 現行制度の概要
歯鯨(まっこう鯨、とっくり鯨及びみなみとっくり鯨を除く。以下同じ。)をと
ることを目的とする漁業については、国際捕鯨委員会(IWC)の規制の対象外
であるが、資源の適切な管理を図るため、指定漁業の許可及び取締り等に関する
省令(昭和38年農林省令第5号。以下「指定省令」という。)第82条第1項の規定
により、小型捕鯨業及び母船式捕鯨業を営む場合のほか、指定省令第82条第1項
ただし書きで定める歯鯨をとることを目的とする漁業について、都道府県規則に
基づく知事の許可を受けて営む場合(以下「いるか漁業」という。)に限り、認め
られている。
なお、いるか漁業の対象種については、漁業実態を反映して定められており、
鯨種別捕獲枠については、資源量調査を基に政府が設定して関係道県に配分し、
それを超えない範囲内で捕獲が行われるよう通知している。
2 改正の必要性
我が国周辺の歯鯨のうち「しわはいるか」及び「かずはごんどう」については、
水産研究・教育機構の資源量調査結果では持続的な利用を行うのに十分な資源量
があることが確認されており、また近年、漁業者等からもこれらの鯨種の漁獲枠
の設定について要望が相次いでいる。
3 改正の内容
指定省令第82条第1項ただし書きに、新たに「しわはいるか」及び「かずはご
んどう」を追加する。また、「いしいるか」の系群として規定していた「りくぜん
型いしいるか」について、正式な和名にあわせ「りくぜんいるか型いしいるか」
とする改正を行う。
4 施行期日
公布の日から30日を経過した日とする。
(参考)
○日本周辺海域における推定資源量(2014年)
しわはいるか:5,483頭
かずはごんどう:58,889頭
○推定資源量を基に算出された許容捕獲頭数
(関係道県に配分される頭数の合計はこの内数となる。)
しわはいるか:46頭
かずはごんどう:704頭

2017年4月 4日 (火)

イルカ飼育と福祉について

  神奈川県の新江ノ島水族館と山口県下関の海響館が国内の動物園と水族館の横の連携を形作る組織である日本動物園水族館協会(JAZA)を先月末で脱退したというニュースが複数メディアで報じられた。

http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2017040302000055.html

http://www.yomiuri.co.jp/national/20170401-OYT1T50109.html

  これは、2015年にWAZAからの勧告を受けて、JAZAが和歌山県太地町でのイルカの追い込み猟によって捕獲されたイルカを購入/飼育することがその倫理規定に反するので、所属する園館は太地町からイルカを購入しないという宣言をしたことを不服とするものである。
 すでに、その時に地元太地町くじらの博物館がJAZAから脱退しているのだが、他にもJAZAに所属していない施設が幾つかあり、昨年末にも追い込み猟で捕獲したイルカを購入している。
  これらの飼育施設の言い分は、施設内では設備や技術などの問題からイルカの繁殖を実現できないので、追込み猟で捕獲されたイルカを購入し続けたいということである。
しかし、今回の新江ノ島水族館は、繁殖技術を持っているとされて他の水族館や関係者の期待を担ってきたところ。将来を見越して、イルカ猟を実施する「いさな組合」などとの関係を維持していきたいですと。
限られた血統間での繁殖には限界があるのは確かで、野生からの導入が必要だということをもっとも理解しているのかもしれないが、こうした方向性が他のJAZA所属飼育館の離脱の引き金になる可能性がある。
一方、海響館はさすが下関、「イルカ猟は合法であり、禁止するJAZAの方針を容認できない」そうである。いやしくも、「教育的な」側面を持つ水族館が、命の大切さや自然の不思議さの前に、産業擁護を自分たちの都合のための言い訳にするって、どうよ?

 離脱に対するメディアの反応は、2015年から同じで、水族館にはイルカが必需品だという前提にのかっかっており、’繁殖できないならイルカが見られなくなってしまう!’という、あれ。ウナギやマグロが絶滅に貧すれば、’食べられなくなる!’と脅すのとちょうど同じようなものだと思う。
 イルカが飛んだり跳ねたりすることによる経済効果がどれほどのものかは知らないが、なまじ「教育」などという言葉なんか出てこないだけ、嘘がないのかもしれないが。
 よく、実際に見たり触れたりしなければ、その生き物を「理解」できないというような意見があるが、日本の子どもがちゃんとイルカを理解していれば、狭い人工的な飼育施設に閉じ込めて、冷凍の餌を演技のご褒美に与えるような行為に対して批判するものも出てくるはずだ。イギリスでは1990年代にイルカの飼育施設がなくなったが、イルカに対する愛情が増しこそすれ、失せたとは思えない。
それに反して、日本の子どもたちにとってイルカがペットのような存在であるからこそ、どこから来ているか?という疑問は生まれず、その場限りのふれあいで納得し、あるいは、将来的にペット飼育をする感覚で、トレーナーになりたいなどというのだ。
こうした違いが、欧米との比較で出されるが、実際はアジア圏でも例えばインドがイルカの人格を認める法律を作ったように、広まってきている。こうした変化が昨年のアメリカにおけるシーワールドの失墜をもたらし(あざとくも中国とかに進出するなどという噂もあるが)たし、野生捕獲、そして飼育に留まらずに繁殖の禁止までに至っているのだ。
 
  今回の一連の報道には、イルカ猟のどこが倫理規定に外れているのか、こうした海外での話はもちろん出てこない。その代わり、映画「The Cove」の影響でWAZAがイルカ猟は残酷だと言っているというたいへんお手軽な説明とも言えない説明で済ませている。

 それで思い出したのが、この2月26日に環境省が主催したシンポジウムである。動物福祉と科学と銘打っているので、やっと環境省も科学的な福祉の考え方を身につけたのか、と思いきや、(元々の狙いは、8週齢以前の子犬の飼育がどのようにその後の成長に悪影響を与えるかというアメリカの専門家の講演ではあり、その部分では科学的な論拠が示され、タイトルに沿ったものだったが)問題は環境省の愛護室長のプレゼンテーションだ。
 日本の愛護と海外の福祉との違いを日本の伝統、文化(要するに自然との共生云々という幻想)で説明し、日本の場合、愛し、慈しんで終生飼養を目的にしている。それと異なり、欧米の福祉という考え方はその場において動物たちに苦痛を与えないことが目的なので、終生飼育する代わりに何かあれば安楽死を選ぶ、という。その違いを、日本人は自然と一体となるのに対し、欧米文化では自然を対立するものとみなすからだ、と批判する。
おなじみのイルカやクジラ問題で都合が悪くなると持ち出されるような、(せっかくの基調講演とは矛盾する)論理を得意げに紹介して日本文化を持ち上げ、問題は棚上げ。最後のディスカッションまでいなかったため、結果はわからなかったが、これでは目的まで下手すると損なってしまうのではないかと感じた。
福祉と多少でも関係する唯一の管理当局がこうした方向なのだから、今後もこうした頓珍漢な日本賛美が大手を振って歩くのだろうか。

<追記>
不思議でもないが、4施設に増えたようだ。
http://www.sankei.com/west/news/170403/wst1704030007-n1.html
しかも、海響館の言い分だと、「捕鯨の文化」をJAZAが否定したことになってる。
野生動物の子供を群れから引き離してサーカスやらすのが文化だったのか!

2017年1月 7日 (土)

ティリカム

  シーワールドの有名なシャチ、Tilikumが昨日死んだ。Tilikumが一躍有名になったのは、彼が2010年に、ベテラントレーナーのドーン・ブランショウさんを観客の眼の前で水中に引きずり込み、死に至らしめたからだ。
 その死を発端に、シャチ飼育を検証し、批判するドキュメンタリー映画「ブラックフィッシュ」が作成され、アメリカだけでなく世界中で大きな議論を巻き起こした。観客離れ、有名歌手多数のシーワールドでのショーへの出演拒否、株価大暴落という激しい反応を生み出し、結局シーワールドの本拠地カリフォルニア州が、シャチのショー利用と繁殖を禁止する法律まで作った。
 アイスランドで生まれ、3歳の頃に捕獲され、カナダやアメリカでショーや繁殖にこき使われた1頭のオスのシャチの悲しい最期であったが、シャチ飼育への大きな疑問を世界中に行き渡らせた(日本では上映されていないが)という意味では大きな功績のあったシャチとなった。

http://www.usatoday.com/story/news/nation-now/2017/01/06/sea-world-orca-whale-tilikum-dies/96240604/

http://www.telegraph.co.uk/news/2017/01/06/tilikum-seaworld-orca-blackfish-documentary-dies/

2016年9月15日 (木)

シャチの繁殖・繁殖を禁ずる州法成立ーカリフォルニア

 太地で、大掛かりな繁殖場を計画しているという問題は前回書いたとおりだが、今日の、カリフォルニアが、シャチの繁殖や飼育を禁止する法律を成立させたというニュースが。

http://www.cnn.co.jp/showbiz/35089072.html?tag=cbox;showbiz

 「(CNN) 米カリフォルニア州で13日、シャチの繁殖と飼育を禁止する全米
  初の州法が成立した。
  法案は数年間に及ぶ議論の末に可決され、この日にブラウン知事が署名した。
  来年から施行される。
  救護や研究以外の目的でシャチを飼うことを禁止する内容。州内ですでに
  飼育されているシャチは対象にならないが、6月以降は「教育的」なプログラム
  だけが認められ、従来のような曲芸ショーには出せなくなる。
  可能な場合はシャチを野生に返すことを奨励し、違反者には最大10万ドル
  (約1030万円)の罰金を科すとしている。」

前々から、州沿岸の委員会が勧告を出していたが、いよいよ、州法としてみごとに実ったわけだ。
鯨類の繁殖は、これまで種の保存としても役割を果たすという口実を使われたりしてきたが、いかにそれがいかがわしいものなのか、もう一度考える良いきっかけとなるだろう。

森浦湾も、繁殖工場ではなく、イルカ解放のためのステップとしてのサンクチュアリに!

より以前の記事一覧