2019年8月15日 (木)

イルカ捕獲枠

8月1日付けでイルカの2019年度捕獲枠が公表されていた。

http://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/w_document/attach/pdf/index-18.pdf

前年度に比べ、4000頭近く減枠されているようだ。

昨年度の捕獲枠は、それぞれ、イシイルカ、リクゼンイルカ各5900で

2017年度(1年前だが水産庁の資料ではそれが最新)の実績は7頭と1366頭。

今年度枠は4137/4398。

以下、ハナゴンドウ460(実績は突きん棒7頭、追込み118)から398頭に。

ハンドウイルカ500(同実績は突きん棒47、追込み127頭)から374頭。

マダライルカ470(同実績27、17)329頭に。

スジイルカ550(18、299)が521。

コビレゴンドウ135(2、57、沖縄突きん棒22)が127。

オキゴンドウ100(沖縄2:ちなみに太地での実績はこのところずっとゼロ)

から70。

カマイルカ360(追込み21)から260に。

昨年度から新たに加わったシワハイルカ33(追込み27)は30

カズハゴンドウは290(156)から263に減少している。

実態に合わせて、もっと枠を減らせるのではないかと思うのだが、今の所‘科学的

な根拠’から「安全な枠」を示すということが唯一の水産庁の役割で、しかも業者

にしてみれば、明日になれば取れるかもしれない、と言う期待があるのかも知れず、

国内外からの批判や懸念への配慮はないように見える。

 

2019年6月17日 (月)

「野」に生きるものは「野」に、イルカは海に

富戸でイルカ捕獲を再開するというニュースが流れてきた。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190616-00000008-at_s-l22

2004年以来、「やるぞ」と何度も言ってきたイルカ漁を今回はかなり具体的に実施する

方向で考えているようだ。

富戸でウォッチングをしている光海丸の石井泉さんが、2005年だか6年に、「これまで追い込みを

してきた湾で定置網漁を始めるので、イルカ追い込みはできなくなった」と言っていたのを聞いた覚えがあるが、

この定置網を取り外すのだろうか?

もともと富戸は、東京近郊で人気のダイビングスポットで、1996年にイルカ追い込みをした時は

複数のダイバーがなんとか助けて欲しいと連絡してきたことが発端だった。この時は、漁師たちは

まだ水産庁が枠を設定したことを知らされておらず(幹部は知っていた)、枠を大幅に超える

ハンドウイルカと、当時は枠がなかったオキゴンドウの群れを一網打尽に追い込み、私たちを

はじめとする市民の抗議で一部のイルカを解放した。また枠外であったオキゴンドウを買った水族館

に働きかけ、解放を勝ち取ったのだ。そのあと、実際の捕獲数が申告された数を超過し、さらには

オキゴンドウの捕殺も申告をかなり上回っていることが内部告発で明らかになった。その時の

領収書があるが、肉の売り先は太地だった。

その後、富戸漁協は伊東市漁協の傘下に入り、その売り上げは伊東市漁協の会計に入ると聞いた。

従って、追い込みをやっても漁師に手元には働きに比べてわずかな金額にしかならないため、

朝早くから操業し、燃油を消費するのには見合わないというような話も前述の石井さんから聞いている。

確かにこのところ太地では、イルカの生体販売でかなりの儲けが出ている。それを、

追い込み技術を伝えた本が指をくわえて見ているというのは悔しいのだろう。

浜値でおよそ100万円程度、馴致を終えればその5〜8倍の値がつくような動物を捕獲することに

食指が動くのは残念だが仕方ないことなのかもしれない。

また、管理の責任のある水産庁にしても、目的は産業が消え失せずに発展して欲しいわけで、

毎年取りきれないほどの数を「枠」と称して知事に渡すのがお仕事になってしまったように見える。

 

富戸周辺でのバンドウイルカの生息数はどうなっているのだろう?太地では捕獲したいがなかなか

こない状態があると聞くが、どうだろう?また、遺伝子の異なる南ハンドウイルカ

が御蔵島ではウォッチングやスイミングの相手として人気があるが、間違えて捕獲するなど

ないと良いのだが。

 

残酷なイメージがないというので批判が少ないのでは、というが、実際2004年の時に

現場(立ち入り禁止で厳重に組合員が監視しているので、近くの小高い丘で見た)に

足を運んだのだが、パニックになったイルカたちが互いに狭い仕切り網の中でぶつかり合う

ので、海は血に染まるし、その匂いが私のいるところまできた。また食肉用に販売ができないに

しても、地元関係者が食べる分は捕殺するだろうと思われる。

 

自然にいるイルカたちを見て喜ぶのではなく、群れと切り離され、人工的な施設で

曲芸をさせられるイルカたちを見て「可愛い」だの、「お利口」だの言っている人たち

(また夏になると特集をしたがるメディア)がなくならない限り、この悲惨な状態は終わらない。

さらには、犬吠埼に取り残されたイルカのように、「役に立たなく」なっていい加減に

放り出されるイルカたちが今後増えていくことも大きな懸念だ。

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2019年6月 5日 (水)

ロシアのイルカについての記事が

ダウンロード - m201906e8a898e880852.pdf

「太地町のイルカの最大の輸出先は経済発展に伴い、水族館が続々と誕生している中国だ。

ロシアもシャチやベルーガを中国に輸出している。(中略)

安倍首相は欧州を訪問する際、日欧は民主主義や人権尊重など「価値観を共有する」

と由縁づね強調する。しかし、イルカ取引をめぐり、日本と価値観を共有するのは中国とロシアである」

 

2018年8月22日 (水)

イルカの新捕獲枠

2007年から毎年更新されてきたイルカ捕獲枠。公開がこれまでは猟が終わった後で、しかも2、3年後というようなこともあり、毎年、6月ごろに水産庁に電話をかけ、ファックスでもらってブログなどで公開してきた。今年は6月にはまだ決まっていないと言われ、7月終わり頃電話したところ、お盆明けだという。それで律儀にお盆明けに電話したら今度は近々に公開するので待ってほしいと。で、今日になってやっと出ていた。ただし、とても見つけにくいところにあるので、見つけられる人の方が珍しいかもしれない。

http://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/w_document/attach/pdf/index-12.pdf

Photo_2

これまでは前年との捕獲数の違いが出ていた。
Photo

比べてみると、捕獲数は前年とほぼ同じ、ただし、カズハゴンドウだけ、100頭増えて290頭になっている。
昨年、8月に出した枠から、2度も増枠した結果が反映されているようだ。

注釈もついている。
「なお、鯨種別捕獲枠については、関係道県の要望や関係道県間の調整の結果により、許容捕獲頭数の範囲内で漁期中に変更することがあります。」

これも、昨年までなかったことで、水産庁は漁業者のいいなりになっている(というか、もうどっちでもいい)という管理放棄の見本である。

肉としての需要が激減し、わずかに需要のあるコビレゴンドウが捕獲できなくなった結果、枠を導入したカズハゴンドウであるが、まだその生態もろくに分かっていない種である。また、肉に変わって売れ筋の生体販売で、やはり現象傾向が見られるバンドウイルカに加えて、やはり生体のろくすっぽ分かっていないシワハイルカを入れている。「持続的」に行っていると胸を張るイルカ漁業だが、これでは全く信用できない状態にあるのではないだろうか。海外の敵を前面に出して正当化する前に、どうすればきちんとした管理ができるのか、真剣に考えて欲しい。

<追記>
知人から、静岡県は「イルカ追い込み漁業」なのに、和歌山県が鯨類追い込み」になっているのはどうして?と
聞かれてわからなかったので、担当者に聞いてみた。そうしたら、「ああ、これは単純に表記間違いですね、’イルカ追い込み網’漁業です」という返事。猟期が翌年8月までというのはなぜ?と聞いたら「ああ、それは鯨類捕獲全般です。県の許可では猟期は変わっていないはずです」だと。
猟期が明示されたのはいいが、これをみると、どの猟法も通年可能になっているように見える。

2018年7月14日 (土)

今度は水族館応援議連・・・

業界紙によると自民党水族館応援議連というものが 7月11日に立ち上がったそうだ。
目的は、「科学的根拠に基づく海洋生物資源の持続的な利用の立場から、鯨類などの飼育展示・教育研究・保全活動を推進する水族館を応援し」、「水族館基本法」制定を目指すことだ。
動物園や水族館はこれまでに文科省の管轄で、その飼育展示に関しては環境省が基準を設けている。また、昨年の種の保存法改正において、環境省は動物園、水族館の種の保存に果たす役割を明示し、保存に貢献していると認められた園・館を認定するとした。中で言及されてはいないものの、飼育施設の目玉として捕獲され、飛んだり跳ねたりのショーに使われ、使い捨てられる鯨類=イルカはその範疇ではない。しかし、この記事によると、2014年の世界動物園水族館協会に突きつけられた、非人道的なイルカ捕獲NO!に従った日本動物園水族館協会に対して、イルカ捕獲継続を支持して同協会を離脱し、新たに設立した「日本鯨類研究協議会」の動きを受けての基本法制定ということで、ここで初めて、海洋生物資源の持続的利用の意味が明らかになる。
会長と副会長のうちの一人、幹事長がみな和歌山県選出の捕鯨議員だということもなかなか示唆に富んでいる。

2017年12月13日 (水)

イルカの増枠

たまたま、ニュースレターで今年の出来事を書いていて、水産庁のHPを見たら、なんと12月1日付のイルカの捕獲枠の更新情報が見つかった。
以下
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     いるか漁業の鯨種別捕獲枠については、推定資源量を基に、捕獲を続けても資源が減少しない
     水準(許容捕獲頭 数)を科学的に算出し、それ以下の頭数を、国が捕獲枠として設定し、関係
     道県に配分しています。本年度漁期における鯨種別捕獲枠は以下のとおりです。
     なお、鯨種別捕獲枠については、関係道県の要望や関係道県間の調整の結果により、許容捕獲頭数の
     範囲内で漁期中に変更することがあります。

    平成29(2017)年度漁期のいるか漁業の鯨種別捕獲枠(12月1日時点)(PDF : 56KB)
***************************************************************************

この新しい捕獲枠だと、今年新たに枠の設けられたシワハイルカとカズハゴンドウがずいぶん増えているように見える。20→27に 100矢印200に(もしかしたら私の目の錯覚か)
そういえば、今回の太地町の追い込みでは、バンドウイルカが’不漁’なのに比して、この2種に関しての捕獲が成功しているようだ。これまで、途中で増枠したという記憶がないのだが、水産庁の管理放棄もここまで来たか、とちょっと驚く。

念のため、8月に出された枠をつけておく。

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追加情報:
水産庁の聞き取りによると、和歌山県から枠の追加要望があった。
シワハイルカとカズハゴンドウに関しては捕獲の許容範囲内であるということで、枠を変更した。
許容範囲は、
シワハイルカが46頭まで、カズハゴンドウは704頭まで捕獲できることになっているらしい。
初年度でもあり、どの程度の捕獲が可能かわからなかったため、要望する県が控えめな数字を出してきた。

このような捕獲枠の追加配分は、今のところ見当たらないということ(道府県での捕獲数の融通はあった)。

また、ユメゴンドウの誤捕獲についてはすでに指摘されていることであり、県を通じて漁業者に指導をしているとのことです。

釈然とはしない。

2017年10月30日 (月)

太地もうで(1)イルカ生息調査の必要性を説明

 <やっと実現>

 先週末の10月19日から3日間、和歌山県太地町に行ってきた。
 昨年スロベニアで、三軒町長から「また意見交換をしましょう」と声をかけられたというのに、資金的にめどがつかずに延び延びになっていた会見だ。

 話は、イルカ猟や飼育問題だけでなく、太地の風土、歴史、太地における福祉の考え方など多岐に及んだ。
最初に、対立する立場にあるにかかわらず、3時間と言う長い対話の時間を割いてくださってことに感謝したい。

 3年前の太地訪問は、イルカ猟の是非についての国際的な立場の違いが膠着した状態で、捕獲が継続されている状態をなんとかできないものか、とかなり思いつめての訪問だった。三軒町長は、自分の立場を、「国が許可した漁業をやりたいという町民がいる以上、町として支援するのは当然」と説明し、それは、残念ながら正論だと思った。一方で、そうした率直な話の運びに、意見交換が無駄にならないのではないかという希望も見た。
 その時は結局、森浦湾のクジラの海構想について、環境の観点から意見を交換し、イルカの放し飼いについては元々ある地域環境を損なう可能性を指摘し、専門家による環境調査の必要性を訴えた上で、継続してこうした場を設けようと約束して帰途についた。

 残念ながら往復にかかる旅費などでそうそう簡単に動ける話でもなかったのだが。
 産経新聞における森浦湾での繁殖場計画は、産経のフライングだという説明をスロベニアで受けていたものの、すでにかなりの計画が進んでいる段階での意見交換なので、今回は正直なところどんな話し合いになるのか、当初は想像もつかなかった。ただ、イルカの捕獲が水族館需要によって続いていることにも焦りを感じていたし、生けどりの正当化の「学術研究」という名で多頭飼育が進むことには、どうしても異議を唱えておきたかった。

 たまたま、同行したフリージャーナリストの佐久間さんが、東京であいさつした漁業協同組合長の背古輝人さんに取材を申し込んだところ、町長との意見交換に同席されることになった。忌憚のない話し合いができるのかどうか、さらに不安は増したが、これを好機と捉えて、少しでも実りある話し合いをしようと決心した。
 
 背古さんは、痩身長躯、年の頃は70歳前後、ごま塩頭の生真面目そうな方だ。当初懸念したような警戒心はなく、率直にご自身の経歴を話しの合間に聞かせてくれた。例えば、若い頃、従兄弟のつてでアメリカまで出稼ぎに行き、イタリア人の経営する捕鯨会社で捕鯨船に乗り、(たぶん人間環境会議の成り行きで)禁止されると日本に戻ってきた、というような思いがけない話も出た。その後も、小型捕鯨やイルカ追い込みなど、クジラ捕獲に関わる仕事に従事されてきたということだ。聞いてみたところ、オホーツクではツチクジラの群れの中にカラスらしき黒い個体も見たということだ。

 イルカ猟に反対すると言いに行くだけなら簡単だが、ではどのようにして問題を解決するのか、となると答えは出ない。前夜に色々と思案し、イルカ類のきちんとした調査を、ともに水産庁に求めて行ってはくれないかという要望に絞ることにした。これまで不十分であると考えるイルカの生息状況に関する科学的で透明性の高い調査の必要性を、実際に業に携わっている方が必要だと感じて欲しい。

<イルカ資源調査の必要性>

当ブログに何回か、イルカの調査や個体数推定などの評価について書いている。
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/cat22800313/index.html

 毎度の話になるが、日本におけるイルカ類を含む海洋生物は水産資源として水産庁の管轄下にあり、公にその捕獲が認められている。ただ、管理のための資源評価は公表されているものの、
http://kokushi.fra.go.jp/index-2.html
もはや資源的にそれほど有用と考えられていないことも手伝って、古いデータも混在しているし、調査捕鯨のついでに適切とは言えない海域で調査が行われたり、単発的な目視調査だったりと、これまで十分な調査や評価が行われてきたとは言えない。
 同じ海域で50年間も群れごとに一網打尽にしていけば、どうなるか捕獲実数にすでに現れていると思うが、それをはっきりさせるにはよりきちんとした生息調査が不可欠だ。
 ちなみに、この4月に公表された海洋生物レッドリストに関しても、水産庁が評価したものは1種をのぞいてランク外(種の保存法の対象外)という信じられない結果が出ており、国会審議においても与党の招聘した専門家も、水産庁が評価することに疑問を呈し、環境省が評価してから水産庁が資源管理した方が良いという意見を述べている。

(ついでながら、水産庁評価があんまりだと、評価の市民版を作った人がいる!是非見比べてほしい。
http://kkneko.sblo.jp/article/181313159.html)

 8月出版された例の「おくじらさま」の文中に、捕鯨/沿岸小型を取り仕切る国際課の諸貫交渉官のコメントが載っていることを見つけたこともヒントになった。彼は、これまでの資源量のデータが古いことと、捕獲枠の計算方法も現在の資源管理方式にそぐわないと認めつつ、水揚げが漁業のわずか0.1%なので、詳細な調査をするのは難しいと正直な意見を述べているのだ。
 イルカ類の保全というだけでなく、持続的な事業を継続していくつもりならば調査は不可欠であり、またもし事業者が国内外に向けてその’正当性’を発言し、理解をもとめたいのであれば、科学性や透明性は不可欠であることを、なんとか共有できないものか。

 もちろん、最初は「イルカについてはどこに何がいるか、漁師が一番よく知っている」と強く主張されていた背古さんも、佐久間さんが作った太地におけるイルカ捕獲枠と捕獲実績を示すエクセルグラフを見せ、捕獲枠と実績との乖離を示し、確かに海で実際に発見する機会は多いかもしれない、しかし、その群れがどこに所属するどういう群れなのかなど、みんなが納得するような調査とデータがどうしても今必要なのではないか、と言葉を重ね、調査の重要性を訴えた。

「22713598_1431662560245428_6199900073860927369_o.jpg」をダウンロード
(佐久間さんの作成したグラフ。薄い色が捕獲対象種の枠で棒グラフが実績)

 また、これまで、種の保存に関して環境省との共管での調査と管理を求めているということも報告し、最後は調査の必要性を納得していただけたと思う。(特に、佐久間さんが「環境省が調査の予算をつけたらいいのにね?」というと「I hope....」と思いがけない言葉が聞けたことが嬉しかった)

<’捕鯨’ではなく’クジラ’によるまちづくりなのだ>

 三軒町長は、かつて60年代に、当時の町長の庄司五郎氏が「そのうちクジラがいなくなる、捕鯨の時代は終わった」という予言をしたの先見の明だと断言する。
 庄司元町長は、太地の未来を観光産業に見ており、そのための礎として太地くじらの博物館と亜熱帯植物園(現在は県警の駐留場所)を作り、太地の捕鯨史を編纂した。
 三軒町長はその考えを評価しつつ、現在は町内にイルカを獲りたいという人たちがいるので、その人たちの後押しはしなければならない、しかし、将来を見据え、時代に沿って考え方を変えていくべきだとする。その先にあるのが「国際的な学術都市構想」だ。だから彼は、「捕鯨によるまちづくり」ではなく「クジラによるまちづくり」を目指しているそうだ。
 彼の目指すところは、追い込み漁で捕獲したイルカを森浦湾で飼育し、いずれは仕切りの網を解いて海に帰りたいものは放す、ここで生まれたもので残りたものは残ればいい、という「放し飼い飼育」の実践だ。専門家には素人が言うべきではないとお叱りを受けるといいつつ、世界中の鯨類学者を呼び、森浦湾のイルカの様々なデータをこの実験によって集めて貢献したいとする。
 
 イルカの自然施設での飼育と解放に関しては、ボルティモア水族館の事例を話し、イルカのリハビリと解放を方向とするイルカサンクチュアリを目指すべきでは、といったが、町長の念頭にあるのは、現段階でのイルカ捕獲の実施を否定しておらず、同町でイルカの飼育販売を手がける三好晴之氏の呼び戻しのイメージのようだと思えた。
 すでに森浦湾でのイルカ飼育やタッチングが実施されており、訪問時には、幾つもの四角い浮き囲いが見え、数人の人がイルカの世話をしているらしく、時折ジャンプするイルカも見えた。
 果たしてどこまで本気で、どれほどの期間を持ってやり遂げるか疑問ではあるが、当面はタッチングやイルカと泳ぐなど観光イベントは繰り返されるのだろう。こうした事業が、将来的にはマイナスになることを納得してもらう方法をなんとか考えなければ、と思った。

<おくじらさまの功罪>

  道の駅には、おクジラ様のポスターやチラシ、本が並べられている。最終日に、太地道の駅でお会いしたアラバスターさんが指摘されたように、「おくじらさま」の効果として、こうした割とフランクな意見交換が可能になったのかもしれない。(アラバスターさんは、自分が利用されたと認めつつも、映画が果たした役割について、前向きに捉えたい気持ちが強いようだった)
 
 好意的に見れば、確かに意見交換の中でも「映画によってやっと太地の人々の意見を伝えることができた」、「もっと積極的に意思表示していく必要がある」、などのコメントが何回か出てきたのは確かだ。
 もつれた糸を解きほぐし、解決に導くためには、ここをスタート地点と考え、次に移るほかなさそうだ。前述の諸貫さんの言葉では、捕獲枠見直しも行われるようだが、枠見直しの根拠としての調査の必要性を訴えていかなければならない。また、環境省の種の保存法の一連の動きに中で、さらにレッドリストのよりきちんとした評価を求め、そのための調査の必要性を水産庁と共有してほしいと求めていかなければならない。宿題は山ほどある。

2017年8月 4日 (金)

イルカの新しい捕獲枠

7月半ばでもまだ未定とされていた2017/2018年のイルカの捕獲枠を入手した。
なんと、223頭の増加だ!増加分は、今年から新たに加わったシワハイルカ33頭とカズハゴンドウ190頭だ。

’捕獲できなくなって経営的に問題が出てきたから’新たな種を加えたいという要望だったと覚えているが、取れなくなったはずのバンドウイルカとコビレゴンドウも枠はそのまま、500頭と101頭だ。取れなくなったために他の種を加えたわけだから、この2種については枠をなくすべきではないのか。

水産庁の管理は、人気のある魚種に関しても事業者のいうままであちこちから非難されているようなものだが、こちらは、一部漁業者以外、まず関心はないだろうと思っているのか、まったくやる気なしが見え見えだ。

そろそろ本気で調査をしなければ、取れなくなる=消滅するのではないかと懸念される。

Photo


2017年5月13日 (土)

イルカ捕獲枠2種追加

 シワハイルカとカズハゴンドウの捕獲枠が追加されたそうだ。

http://www.kinan-newspaper.jp/?p=9453

水産庁曰く、
『「われわれは他の水産物と同じように、漁業者から要望があるものに関して調査の上、認可している。イルカ自体は日本沿岸に回遊しており、量的なめども把握できたので今回の追加認定へと至った」と語る。
 追加予定の2種は沖縄県と和歌山県を中心に捕獲枠が振り分けられ、太地町では今期の追い込み漁(9月〜4月末)から捕獲される見通しとなっている。』(紀南新聞)

パブコメでは、「是非という声が大多数」だったそうだが、私たちだって(迂闊なことに)、パブコメを実施していることを発見するのが遅すぎた。どういう人たちがあの見つけにくいパブコメ募集を見つけて、意見を提出したのだろうか?このことを実際に知っていたのは、関係者だけだろうと思うのだが(関係者が賛成意見を出すことは当たり前だし、パブコメの取り方としては如何なものか)。

レッドリストで一応の格好をつけ、そっとパブコメをやり、体裁だけは整えて、前回のカマイルカのような不手際は避けたのだろうが、これだけ相反する意見が国内外で大きくなっている時に、この進め方は随分と姑息で問題があるのではないかと感じる。

ちなみに、ある事情を知る人によると、カズハゴンドウは、ユメゴンドウ(滅多に見られないのでこの名前がついたらしい)と混合の群れで泳ぐことが多いそうで、専門家でも両者を見分けることは困難だという。混獲した場合はどのような措置をとるのか?それとも見分けられないということで問題なしなのか?

2017年4月15日 (土)

パブコメやっと提出

 締め切りは今日です。

以下:
意見:
指定省令第82条第1項ただし書きに、新たに「しわはいるか」及び「かずはごんどう」を追加することに反対します。
理由:
反対する理由は、二つあります。
1。持続的な資源管理と産業に資さない
イルカの捕獲枠は1993年に設定されましたが、2000年には既に捕獲実績が捕獲枠を下回り、近年は捕獲枠の4分の1にも至りません。
主な理由として考えられるものは、1)対象としているイルカ種の減少 2)需要の減少 ですが、
1)であれば、早急にその原因調査や回復計画を進めるべきですし、2)であれば、そもそも新たな種を付け加える必要はありません。
商業捕鯨の最盛期に、乱獲によって減少した種に変わって別の種の捕獲を開始し、多くの鯨類を絶滅の危機に追いやったことは歴史に明らかなことであり、今回の案は、将来的な産業の持続的な推進に資するとも思われず、水産資源管理の怠慢とさえ言えるものではないかと思います。

2。生物多様性の保全と逆行する
国連海洋法条約の前分にあるように、国を超えて移動する可能性のある海洋哺乳類は、世界の共有財産です。今回指定しようとしている二つの種は、生息環境、生態等不明なことが多く、国を超えて移動している可能性があります。一つの国、さらには捕獲しようとする漁業者の占有物ではありません。従って、特定の漁業者の都合によって捕獲を開始するのは間違いです。
「国連海洋法条約第65条第六十五条」 に従い、よりより保全と調査・研究を国際機関など多様な主体との連携で行い、国際的にも貢献することが望ましいと思います。  「この部のいかなる規定も、沿岸国又は適当な場合にほ国際機関が海産哺乳動物の開発についてこの部に定めるよりも厳しく禁止し、制限し又は規制する権利又は権限を制限するものではない。いずれの国も、海産哺乳動物の保存のために協力するものとし、特に、鯨類については、その保存、管理及び研究のために適当な国際機関を通じて活動する。」(国連海洋法条約)

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