2017年1月31日 (火)

種の保存法 海洋生物の保全は・・

 昨日は、中央環境審議会の野生生物部会が開催され、「種の保存につき構ずべき措置について」の審議(異議がなければそれを元に改正に向かう)と「大正狩猟鳥獣の禁止または制限を定めることについて」の諮問が9人の委員(臨時委員含む)によって議論された。
種の保存法に関しては、昨年12月13日から今年の1月11日までパブリックコメントが募集されており、私たちの意見については前回のブログに書いた通りだ。

これまでパブリックコメントなどはすでに決められた内容を踏襲できる形でしか修正されない。今回も、例えば、海洋生物が入ってくるのに、なんで国土だけ?という意見には修正が加えられたものの、「世界第6位の広さの排他的経済水域」とし、「南北約3,000㎞にわたる国土」と対応して領海+排他的経済水域の広さ(447万㎢)としなかったのはなぜなのか。

その他は、陸域と海域の生物の種数については「生物多様性の保全上重要な地域として認識されている旨を説明している」だけということで言及はない(地域?)

留保見直しについても、「政府として決定しているから」いいらしい(国民不在)。

重要海域の選定に沿った保護海域の特定としてについてはまず絶滅危惧種の選定希少野生動植物種選定が先」とし、「生息数や生態の調査が十分に行われていない」ことから、具体的な方向性を求めたのに対しては「情報の不足」を追記したにとどまった。
重要海域の選定の中にも、それなりに情報をすくい上げられるものがあるし、水産庁管轄の魚種等に関してはすでに情報が十分あるものも少なくない。ジュゴンだって、そして多分水産庁と共管したスナメリ調査でもそれなりの情報はあるし、このところ、大きな話題になっているウナギはどうなのよ?と言いたいが、彼らとしては全てが同じように平等に情報収集できなければ何もしないということなのだろうか??

わかってはいたが残念な結果。

2017年1月12日 (木)

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存につき講ずべき措置について(答申案)に関 する意見

昨日だった「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存につき講ずべき措置について(答申案) 」
に提出したパブコメ。

■〔意見1〕
1〔該当箇所〕 答申案全体について
2 〔意見の内容〕
本文全体に、海生生物種を意識した記述をすべき。
3 〔意見の理由〕
2010年、生物多様性条約第10回会議において、環境省は海生生物のレッドデータを作
成すると宣言した。環境省は、その結果の公表については繰り返し今年度末であると発
言してきた。したがって、公表時期と今回の改正と時期は前後すると思われる。しかし
ながら、今回の改正に向けた検討小委員会に、海生生物の専門家は参加していない。ま
た、今回の答申案について言えば、海生生物に関しては、「絶滅危惧種の選定が不十分
である」という個別の記述以外に、全体として海生生物を意識した記述が見られない。
もし、今年度末での公表時に、種の保存法に該当する種がなかったとしても、これは不
都合ではないのかと思われる。なぜなら、法律は毎年改正されるわけではないので、こ
の案に従えば、今後は海生生物が対象種に含まれるにも関わらず、法文内容に追加や変
化がない可能性がある。 

■〔意見2〕国土のみならず、海域を加えること。
1〔該当箇所〕 1ページ3行目(1.はじめに )
2〔意見内容〕「我が国は、南北約 3,000km にわたる国土」の後に、
「447万?に及ぶ海域(領海及び排他的経済水域)」を追加する。
3〔意見1の理由〕
今年度中に海生生物のレッドリストが公表されると環境省は説明している。改正法案が
審議される時期には、海生生物の中に同法対象となる種が存在する可能性がある。した
がって海生種が生息する海域についても言及すべきである。法改正が実施されても次期
改正までに数年(通常5年)かかるため、海域に関しての記述を今回改正の「講ずべき
重要な措置」の一つとしてここに限らず全文に反映させることが重要だと考える。
<海域の面積記述の出典>
1)「領海(含:内水)+排他的経済水域(含:接続水域)+延長大陸棚※約465万
km2
(海上保安庁)」
2)我が国は、北海道、本州、四国、九州、沖縄 島のほか、6,000 余の島々で構成さ
れており、 その周辺の領海及び排他的経済水域の面積 は、約 447 万?と世界有数で
ある。
(環境省「海洋生物多様性保全戦略」)

■ 〔意見3〕
1〔該当箇所〕意見1と同じく1ページ5行目
2 〔意見の内容〕
「 既知の生物種数は9万種以上、まだ知られていないものも含めると30万種を超える
と推定されており、」
種数について、海生種を含め、陸生、海生の種数を区別して記載すべき。
3〔意見2の理由〕
上記と同じ。今年度中に海生生物のレッドリストが公表されるため。
<海生生物の種数に関しての出典>
1)日本近海には、世界に生息する127種の海棲哺乳類のうち50種(クジラ・イルカ類4
0種、アザラシ・アシカ類8種、ラッコ、ジュゴン)10、世界の約300種といわれる海鳥
のうち122種11、同じく約15,000種の海水魚のうち約25%にあたる約3,700種が生息・生
育する12など、豊かな種の多様性がある。我が国の排他的経済水域までの管轄権内の海
域に生息する海洋生物に関する調査によると、確認できた種だけで約34,000種にのぼり
、全世界既知数の約23万種の約15%にあたる13。このうち我が国の固有種は約1,900種
確認されている。なお、海洋生物に関しては、一部の分類群を除き分類学研究が遅れて
おり、未知の生物が多く存在することには留意する必要がある。(環境省:海洋生物多
様性戦略)
2)科学的に正式な記録がない種類数(出現予測種数)は、121,913 種に達する。これ
に既知の 33,629 種を加えた 155,542 種が、日本近海の総種数になるわけである。つ
まり、私たちは未だ 20 %の種しか認識していない。
<出典>(ワークショップ21世紀の生物多様性研究「日本近海にはどれくらいの生物
がいるのか」http://www.gbif.jp/pdf/workshop2011_1.pdf)

■〔意見3〕
1〔該当箇所〕2ページ7行目から
2〔意見の内容〕「加えて、ワシントン条約に基づいて国際取引が規制されている希少
な野生動植物につい ても、国内における違法流通等が報告されており、国際的に協力
して種を保全していく観 点から、違法行為を食い止めるための一刻も早い対策が急務
となっている。」
の後に、「なお、日本が長らくワシントン条約の取引を禁止している種についての留保
を、現在の管理当局水産庁とは異なる保全の観点から見直す必要がある」
を付け加える。
3 〔意見の理由〕
種の保存法において、これまでIUCNのレッドデータをその基準としている。しかし一方
で、水産庁管轄の鯨類や魚類等の一部に関しては、もっぱら産業の観点からの判断で留
保措置がとられてきた。産業優先ではなく、種の保存の観点からの見直しをすべきだと
考える。
<留保品目 参考>
http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_wash
ington/cites_about.html


■〔意見4〕
1〔該当箇所〕4ページ29行目から
2〔意見の内容〕「なお、海洋生物については、絶滅危惧種の選定が十分に行われてお
らず、国内希少野生動植物種の指定が進展していない。今後、海産種の絶滅危惧種の選
定を進め、その結果を踏まえて、国内希少野生動植物種の指定を推進する必要がある。

の後に、
「2014年改正時の付帯決議に基づき、また今年度中に公表される海生生物レッドリ
スト
を踏まえ、希少性の認められる種については積極的に対象とし、また選定が不十分な種
に関してはその要因を取り除き、選定を早急に進める。」
を加える。
3〔意見の理由〕
上記意見1、2と同じ。講ずべき措置について、現状を単に記述するのではなく、
一歩踏み込んだ記述が必要。特に、目的が異なる水産庁によるレッドリストの選定は、
元となるデータが保全にとっては不適切だと考えられる。また、移動性の他の動物につ
いては、条約で国際的な評価が行われていても、国内での選定が行われて対象種となっ
ているにも関わらず、鯨類に関しては、対象から外されていることは整合性に欠ける。

■〔意見5〕
1〔該当箇所〕5ページ21行目から
2〔意見の内容〕
「生息地等保護区は、現在、全国でわずか9地区の指定に留まっている。国立公園や鳥
獣保護区特別保護地区、自然環境保全地域等の他法令の保護地域制度で生息・生育地が
保護されている種も多いものの、国内希少野生動植物種の指定種数と比較すると 生息
地等保護区の指定数は大幅に少ない。」
の後に、
「また、海生生物に関しては、重要海域の選定に沿って、希少な海生生物に関する保護
海域を特定し、その指定を進めるべきである」を追加。
3〔意見の理由〕
前述と同じく、海生生物の同法選定に従い、生息地等保護区だけでなく、保護海域の記
述も必要。

<ついでながら>
■〔意見6〕
1〔該当箇所〕13ページ
2「意見の内容」
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案に対
する附帯決議 抄」で閉じるのではなく、全文掲載し、その進捗具合(何か可能で何が
不十分なのか)を点検すべき。
「意見の理由」
今後、同法の実効性を高めるためにも、今できること、できないこと双方に対して今後
の見通しをきちんと立てる必要があると思ういます!

2017年1月 6日 (金)

種の保存法改正〜海は無視するのか

 昨年12月から、環境省が種の保存法についての講ずべき措置(案)という改正に向けてのパブリックコメントを求めている(締め切り1月11日)。
これは、2014年の改正における国会論議での附則に従っての3年目の改正が今年行われる予定だからだ。
前回の改正時には、3年後の見直しの附則に加えて、11項目の附帯決議が衆参両院でつけられた。その中には、レッドリストに上がっている種のうちの300種を2020年までに選定すること、「種指定の優先度と個体数回復などの目標、必要な保護管理計画などを勧告する、専門家による常設の科学委員会の法定を検討すること」(現在は非公開の専門家による検討会がその都度召集され、その意見に従って中央環境審議会で審議されるという過程)などが記され、海洋生物に関しても、「二 「保全戦略」は海洋生物を含めて策定すること。また、「保全戦略」は、種の指定の考え方や進め方を示す、大胆かつ機動性の高いものとすること。」
「十 海洋生態系の要となる海棲哺乳類を含めた海洋生物については、科学的見地に立ってその希少性評価を適切に行うこと。また、候補種選定の際、現在は種指定の実績がない海洋生物についても、積極的に選定の対象とすること。」と強い意見が出されている。
しかし、この間、5回開催された検討会では海生生物に関する議論はなく、最後に検討結果を受けた審議会で、臨時委員のJAMSTECの白山義久氏がやっと、海生生物はどうなっているのか?という質問を出した結果として、二箇所に書き込みが加えられた。しかしそれだって、2の種の保存をめぐる現状と課題で「現時点では、海洋生物については絶滅危惧種の選定が十分に行われていない。」そして、今後講ずべき措置で「なお、海洋生物については、絶滅危惧種の選定が十分に行われておらず、国内希少野生動植物種の指定が進展していない。今後、海産種の絶滅危惧種の選定を進め、その結果を踏まえて、国内希少野生動植物種の指定を推進する必要がある。」と素っ気なく書かれているのみで、最後の附帯決議(抄)では、海についての上記2決議が省かれてしまっている。
環境省の意見交換では、担当官が「海生生物のレッドリストは今年度末(2017)に発表されますので」と、現時点ではないからしなくてもいいんだと言わんばかりの言いよう。
でも考えてみてほしい。附則でやっと3年で見直し、通常は5年後に見直しがされるわけで、レッドリストが公表されて、「もしかしたら」そのうちに種の保存法対象となるべき種があるかもしれないが、そうした一部手直しだけでは、これまで陸域した考えて作ってこなかった法文で済むわけがない。一例を挙げると、「はじめに」ではのっけから、「我が国は、南北約 3,000km にわたる国土、変化に富んだ地形、四季に恵まれた気候などにより、豊かな生物多様性を有している。既知の生物種数は9万種以上、まだ知られていないものも含めると 30 万種を超えると推定されており」と陸域しか意識しない書き方になっているし、この9万種、あるいは30万種に陸よりも種数が多いのではないかと言われる海生生物が含まれているかどうかも不明である。ちなみに、海域は、領海(含:内水)+排他的経済水域(含:接続水域)+延長大陸棚で約465万平方km(出典:海上保安庁「日本の領海等概念図」より)とされている。

 環境省的には海までかかえ込むほどの力はありません、と言いたいところなのかもしれないが、2010年に海生生物のレッドリストを作成するという前向きな態度を維持するなら、海生生物を加えることを前提として全文を書き直すのが筋だし、それができないならせめて「レッドリスト公表後に必要があれば再度改正する」などといった具体的な方策を書き込む必要があると思いませんか。

パブコメ締め切りまであとわずかだが、心ある人たちに、ぜひこのパブコメに参加していただきたいと切に願う。
http://www.env.go.jp/press/files/jp/104293.pdf


2015年11月 4日 (水)

つながろう!入間、沖縄そして福島 デモ(クジラは出ません)

 昨日、入間で掲題のデモを行った。
 主催は『平和の声 行動ネットワーク入間(平和ネット)』で、駅頭で30分くらいのアピールの後、周辺を70人くらいで行進した。アピールでは、入間の基地拡張問題とともに、福島の現状や辺野古の緊急事態についての報告もあった。入間高教組からは、武器輸出を国策にしようとしているという怖い話もあったが、私たちが学生のころに、こんな時代が来るとは思いもしなかったと、同世代の人たちで嘆いたことだった。
 デモコースについては、平和ネットの代表が何度も狭山警察署に足を運んだが、当日は、お隣の入間航空基地で恒例の航空祭が行なわれると言うことで(もちろん、それにぶつけたわけだが)、騒ぎ等起こらないように、あらかじめ基地から離れたところを歩き(一部は歩道)、正門には近づくこともできないという不名誉なコース設定になった。当初は主催者も、あるいは航空祭を見に来る人とのいざこざがあるかもしれないと多少は緊張したものの、コースに沿ってはあまり人も通らず、いざこざなど望んでもないという結果だった。
 それでも、原発反対や安保法制反対に加えて、基地拡張のために貴重な森を壊すなというコールが商店街に響き渡った。
 そのあと、事務所まで行く用事があり、電車に乗ったのだが、ものすごい混みようで驚いた。警察などによると、30万〜40万人が航空祭を見に来るという。人々は、何の抵抗もなく武器展示を見たり、戦闘機となる飛行機に試乗したりするらしい。非力さを実感する。

 一方で、請願署名活動をするグループもあり、少しずつだが問題は広がりつつあるようだ。

森を守ろうというチラシを作ってみた。なかなか好評だったようだ。
「iruma_leaflet_front.pdf」をダウンロード

「iruma_leaflet.pdf」をダウンロード

2015年10月16日 (金)

CCAMLRでの海洋保護区設置国際交渉での日本政府への市民要望書を提出

 FoE Japanの「CCAMLRでの海洋保護区設置国際交渉での日本政府への市民要望書を提出呼びかけ」に、連名。今回要望されている海域は、日本の調査捕鯨新計画の対象海域でもある。

要望書
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
外務大臣 岸田 文雄 殿
環境大臣 丸川 珠代 殿
農林水産大臣 森山 裕 殿
水産庁長官 佐藤 一雄 殿
農林水産省顧問 飯野 健郎 殿

私たちは、日本政府にオーストラリア・ホバートで開催される南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)の会合で、ロス海と東部沿岸に南極海保護区を設置することを支持されるよう要望します。

南極海域は、世界の海洋の10%を占め、地球上で最も手つかずの海洋環境が残されています。私たちは手遅れにならないうちに、日本がCCAMLRと共に広範囲に永続的な海洋保護区(MPA)と禁漁海洋保護区のシステムを構築し、重要な南極海の生態系を保護するよう求めます。乱獲や気候変動の脅威が拡大しており、今こそ南極海が直面する今日の脅威に対し、更なる保護策を講じてください。

CCAMLRは2012年までに南極海に海洋保護地域体系を構築すると表明し、数年にわたりロス海および南極東岸海域の保護区案を検討してきました。提案国は他の加盟国の意見を受け入れ提議案を大幅に変更してきました。これ以上の変更は、海洋保護区を事実上無意味なものにし、この素晴らしい生態系を十分に保護することができなくなる恐れがあります。また、国際的な基準と同様、海洋保護区は恒久的なものでなければならず、保護区に期限を設けるべきではないと考えます。

 2010年に名古屋で開催された国連生物多様性条約会合(COP10)では愛知目標を採択し、その個別目標11に「2020年までに、少なくとも陸域及び内陸水域の17%、また沿岸域及び海域の10%、特に、生物多様性と生態系サービスに特別に重要な地域が、効果的、衡平に管理され、かつ生態学的に代表的な良く連結された保護地域システムやその他の効果的な地域をベースとする手段を通じて保全」するとしています。
 
 海洋に依存する国家として、私たちはとりわけ海洋や魚類その他の多くの海洋生物種を適切な管理で守り健全な状態で次世代に残すため予防原則に基づく措置に取り組むべきです。愛知目標を採択した議長国であり、またCCAMLRの加盟国である日本は、CCAMLRをリードし、 10月に海洋保護区の設置が実現するよう、環境保護への強いコミットメントを示す時ではないでしょうか。

日本が賢明な選択をし、未来の世代のために南極海の保護に力を尽くすことを切に望むものです。



賛同団体 (団体名五十音順)

イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク

国際環境NGO FoE Japan


国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

国連生物多様性の10年市民ネットワーク

コーラルネットワーク

公益財団法人 日本野鳥の会

バードライフ・インターナショナル

ペンギン会議

2015年8月19日 (水)

審議会答申

機能、ジョンソン基地跡地利用に関する審議会の、防衛省の災害対処拠点計画への答申が出た。早速、市長に手渡されたようだ。見たくない事、聞きたくない事はすべて「ない」事にしてしまうこのご都合主義。

https://www.city.iruma.saitama.jp/kakusyukeikaku/15673/016292.html

<答申内容>
https://www.city.iruma.saitama.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/016/292/tousinsyo.pdf

2015年8月 5日 (水)

入間市長との面談

 8月3日、入間市で今回のジョンソン基地跡地への防衛省計画に反対する市民の「ストップ入間基地拡張!市民の会」と市長との面談に参加した。市民の会は、名前の通りに、基地拡張に関して反対するかいで、跡地計画は市民合意のある入間市の2008年の利用計画に基づいたものとすべきではないか、現在進行中の‘平和’法制に沿った基地拡張計画に対しての市の考え方と立場、跡地利用審議会がきちんと役目を果たしていないことなどについて、市長の考えを質した。
 市側(市長)は、早急にこの問題の決着を計りたいため、形ばかりの市民との意見交換会の場を設けたものと見え、直前に通知、しかも昼日中ではあったが、20人以上が集まり、市長の意見を聞いた。
 
 市長は、まず、この計画が首都圏地震に対応した災害対策のための拠点づくりであり、2008年に市が計画した跡地利用案に‘ほぼ’沿ったものだと説明。現在国会審議にかかる安保法案とは関係なく、軍事訓練はやらない、平気等を使用しない事などはすでに確認済みだとこたえた。しかし、市民の会は、この5月行なわれた入間市選出の共産党議員と防衛省との意見交換から、
   <防衛省担当者は建設予定の両施設について「入間基地の一部として管理する」と述べ、
   災害対処拠点施設は大規模災害に限定せずに各種事態に対応し、平時では自衛隊の訓練
   で使われると説明。>(塩川議員のブログより)
また市民の会は、自衛隊病院についても、後送病院として前線病院のバックアップ機能をもつもので、すでに防衛省の27年度予算で1億圓の予算がついている事などを指摘した。

 田中市長はこうした指摘については認識していなかった(この問題は、市長としての政治生命以上の重大な課題だという市長が知らなかったというのは本当だろうか?)というスタンスを取りながら、「首都圏の災害対策という重要な責任を(国民として)無視していいのか、ということと、市が買い取ろうにも予算がないと説明。
 しかし、国の災害対策計画は、内閣府の災害対策基本法に基づき策定されるもので、首都圏地震に関しても災害対策拠点はすでに指定されている。防衛省の計画案は、内閣府の災害対策計画とのリンクが確認されない。「災害対策」というのは受入れをし易いようにするための口実ではないのか。
しかし市長の側から言えば、市民の代表として任命された審議会で検討しているし、また市民の代弁をする議会でも議論がある事を市民合意の論拠とする。
 災害対策拠点を作るなら、すでに300万haという広大な自衛隊入間基地があるのに、28hの土地がなぜ追加的に必要なのか、納得できるような答えはないのだが。基地拡張予算を消化するためのずさんな計画とした言いようがない。

 私は、2008年に入間市が出した計画についても賛同できない。もちろん、土地取得を企業に売却する事で果たすようなこともあってはならないと考えている。
自然林ではないかもしれないが、米軍とその家族が退去してから(たぶん)50年も経った現在、緑深い森に育っているのを見て、何人もの人たちが「そのままにしておきたい」と感想を漏らしている。壊すのは簡単だが、いったん人が利用し始めたところを自然に戻すには人は強慾すぎるのではないか、と思う。そのままそうっとしておきたいものだと思う。

2015年7月30日 (木)

みどり恐怖症のおやじ(とおやじもどき)たち

 最近、あちこちの駅で電子音の鳥の声を聞く。あまり素直とはいえない私はそれで和むかわりにイライラするが、入間市の駅のプラットフォームでは、春から秋にかけて、本物のウグイスの声が聞こえる。暑い夏の昼日中も、電車待ちの間に、ウグイスと、その声につられてか、涼風が吹き抜けるという贅沢この上ない気分を味わえる。
 残念なことは、こうしたかけがえのない宝とも言うべき事を、ここに住むほとんどの人が気にしていない事だ。当然ながら、この声が聞け、涼風の恩恵を受けられるのが、背景となっている基地跡地や隣の家政大学の森、そして自衛隊基地との緩衝林のつらなりだ。だというのに、基地跡地は、特に目の敵になっており、’草ぼうぼうのなんとかすべきところ’なのだ。これまで、(幸いな事に)国に支払えるだけの予算がないためにそのまま維持されてきた。ここに防衛省の計画だ。

入間市のジョンソン基地跡地利用に関する審議会。おととい(7月28日)は、防衛省が’災害対策拠点’計画案を提出してから4回目。2回目の跡の市民説明会で総反対に遭い、受入れを表明していた市長がビビって、なるべく慎重な審議を、と形ばかり取り繕ったが、4回すればもう良いと思ったのか、それまでの意見を取りまとめ、審議会答申案を次回は出すという。

 ちなみに、この「災害対策拠点」とよばれるものの、自衛隊の通常(横田基地配備のオスプレイも含む)訓練と自衛隊員のための病院(後送病院といわれる)で、<使わないときは訓練地を利用することもできるかもしれない>とか<支障をきたさない限りで2時救急搬送を受入れるかもしれない>と、甘い言葉に期待をこめ、キラキラお目目になっているおやじたちがいる。
しかも昨日の審議会では、この計画が、本来ならば内閣府が策定する災害対策計画の来年度策定予定を待たずに、フライングして出されたものだという事も明らかになった。

 ところが、みんな、よほど夢から覚めたくないと見え、「防衛省による東町側留保地の利用は、基地の拡張・防衛力強化につながるという視点で論議すべきことではない。」そうで、内閣府の計画策定が先ではないのか?という意見は(驚いた事に)審議内容とは直接関係ないのだそうだ。
特に入間医師会長は、受入れ議論を自らが全権委任されていると錯覚しているのか、満員の傍聴席から野次が飛ぶと、顔を真っ赤にして「黙れ!」と叫び、「いま野次を飛ばした奴は即刻退場!」と怒鳴り出した。しかも、座長がその意見を取り入れ、野次を飛ばした人は退場。何を審議するのかと言えば、計画を受入れる事がどれほど入間市に取ってよいかということ、受入れるからかくかくの余録(サッカー場が欲しいな〜、道路拡幅工事をしてほしいな〜などなど)をつけてよ、という極めて下品なおねだりだけが許されるらしい。

28h、ドーム8個分という森を「草ぼうぼうのジャングルをただで整地してくれるだけでもありがたい」というのが多数決を占め、反対意見(一人)は、入間市が買い取って企業に売却する夢を捨てていないだけ。昭島市のただで開発という前例を持ち出し、視察を提案する。(昭島市にも反対はあった。その証拠に「オオタカの森」という緑地が残されているのが地図で確認できる)
 今回は、すでに審議会答申までたどり着いた事とて、「有志で」ということになったが、きっと、この視察は、駅前に残された緑(残りの基地跡地)をどうやったら企業に売りつけられるか、という道筋につながっていくだろうと推測できる。さらば、ウグイス、さらば涼風・・・
 反対する市民も、基地拡大に反対するも、代替案としての開発には反対しないかもしれない。
せっかく、オオタカの姿まで確認されているというのに、本当にそんなものがいたら面倒、とばかりに、企画課は植生の調査のみを来年実行予定だそうだ。

 21世紀になっても、化石のような認識しか存在しない事を改めて確認する。

2015年6月19日 (金)

野生動物を展示すること

 小学校に上がる前、(たぶん4歳か5歳の頃)祖父が場末の映画館に映画を見に連れて行ってくれた。上映されていたのはエノケンの孫悟空だったように思うが、肝心の映画そのものは全く記憶にない。その代わりに今でもはっきり覚えているのは、映画の前に上映された2つのニュースだ。(といっても、全体に雨が降ってたような印象があるのでニュース自体もそう新しいとは限らないのだが)
 そのうちの一つは原爆の後遺症に苦しむ人々の映像の一コマで、女の人が髪の毛を梳かそうと櫛を入れると、そのまま髪の毛がごそっと抜けて櫛についてきてしまうさまだ。しばらくの間、夢でうなされた。

 もう一つは、ゾウが上野動物園に到着して、鼻を持ち上げて観客に挨拶しているところだ。
ゾウについて当時のことを調べてみると、1949年にインドの故ネール首相から、台東区の子供たちの願いに対して送られたインディラというメスのゾウのことと、新聞社がそれを聞いてタイから輸入した花子というゾウのことが出てくる。私の記憶ではゾウは2頭いた。最初に上野動物園に連れてこられたのは花子で、その後にインディラが到着したとあるので、そのときに撮影されたものではないだろうか。私が衝撃を受けたたのは、ゾウの姿ではなく、この2頭のゾウの足に巻き付けられていた重たそうな鎖と、草1本生えていないむき出しのコンクリートだ。見た当時に何事か意識したわけではないが、ずっと後で何が違和感となって心に残ったかに思い至るのだ。

 ゾウに関しては、もう一つ忘れられない体験がある。1995年か96年、ある人の写真集のための選別作業の中で、アフリカに一度も行った事がないことに引け目を感じ、思い切って行くことにした時の事だ。目的地はタンザニアのセレンゲティなどいくつかの国立公園で、最後に行ったタランギレという公園での印象的な出来事だ。
http://www.tanzaniaparks.com/jp/tarangire.html
 すでに夕闇が訪れようという時間、帰路にゾウの群れに出会った。少し離れたところで車を止めて見守っていると7〜8頭のゾウが右方向からゆっくりと行進してきた。最初、気づいたときにはその中に1頭の子ゾウがいた。ゾウの群れは、車に気がついた様子もなく、そのままのペースでたんたんと車の前を行き過ぎる。そのとき(驚いた事に)、彼らのペースそのものは全然変わらないというのに、こちらが気づく間もない短い間に群れの中に子どもがすっぽりと隠されて見えなくなっていたのだ!そのスマートなやり方と来たら!彼らが自分たちの暮らしを持っていて、自分たちの意志と考え方で生きているという事が初めて実感できた瞬間だった。


 WAZAの決定をこれまでの反・反捕鯨の人たちは「日本いじめ」「伝統文化への無理解」とくっつけようとするが、一方で国内でも動物園・水族館の将来を真剣に考えるきっかけと捉える人たちもいる。
 私自身は、生き物を飼う事や見せる事に全く反対するわけではない。しかし、時に、生き物を見せる事がその生き物の生態を歪んで伝えてしまう可能性があるという事を忘れるわけにはいかない。特に、いわゆる珍獣と言われる希少動物たちは、姿を見せる事が目的となりがちで(また、集客の目玉となることから展示施設の経営に直接関係してくるということからも)いくら自然の素晴らしさを伝えるなどと理由を付けても、受け取る側は結局はぬいぐるみとそう変わらない認識に陥る可能性があるのだ。
 特にこの間のイルカ関連の議論では、生理、生態に沿った飼育環境を整備するという解決ではなく(生理・生態の重要な一つである繁殖については、施設にお金がかかりすぎるだの、授乳中はショーに使えないなどが壁となっているとされ)、生け捕りで手に入らなくなった際に見せ続けるための繁殖が目的という逆立ちした考え方になっている。

 また、見る側にしても、珍しいものを見る事が目的になればそれは一種の消費行動とも言えるものになってしまい、(往々にして地味な)身近な生き物や自然への関心、想像力を培う妨げになるかもしれない。飼育する側のあり方の再確認とともに見せる工夫が求められるが、一方で想像力を育て、生物多様性への理解を培う教育や飼育の規準を厳しくし、代わりにそうした飼育施設への多面的な支援などの制度の設計が求められている。
 

2015年6月 1日 (月)

’市民説明会’という名の茶番劇

 5月29日と30日に、ジョンソン基地跡地利用に関する防衛省の計画と市の考えについての説明会が行われた。

 埼玉新聞 米軍基地跡防衛省利用 入間市民「実質的な基地拡張」
 http://www.saitama-np.co.jp/news/2015/05/31/09.html

資料は、「留保地に関するこれまでの経緯」http://www.city.iruma.saitama.jp/kakusyukeikaku/15673/014999.html、
「防衛省の計画について」
http://www.city.iruma.saitama.jp/kakusyukeikaku/15673/015674.html
そして「防衛省の利用に対する市の考え」
https://www.city.iruma.saitama.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/014/983/11sinokanngae.pdf

 入間市は「基地の町」なのだ。
 米軍から返還された後に自衛隊が駐屯し、すでに「防衛力の役割にシームレスかつ機動的に対応し得るよう、各種態勢の整備に取り組んでいる(防衛省「入間市基地跡地留保地の利用について」1はじめに)。
航空祭直前になるとそれが身にしみる。自衛機がまるで空から落ちてくるのではないか、というくらい轟音を響かせて低空飛行を行なう(基地返還後の墜落事故は1963年、1972年、1978年、1999年で、そのうち78年と99年には、自衛官がそれぞれ二人ずつ死亡している)。あまり近くて孫が泣き出した事があったが、風の谷に墜落したトルメキアの戦闘機が近づいてくる所を連想してしまった。

 一方で、基地及び跡地は予期しない自然の恵みを入間市民に与え続けてきた。確かに二次的自然ではあるが、留保地とされるところ(およそ40ha)と、基地との緩衝帯となっている林地、家政大学の林地、公園になって自然としての質は落ちたものの、彩の森公園(入間市)、稲荷山公園(狭山市)と緑の回廊となって、(肝心の市民の知る、知らずは別として)入間市民の心身に寄与してきた。

 今回の計画は、かつて小河内ダム建設に追われた人々が移り住んだ東町の28haの林地に、来るべき’災害に備えて’「災害対処拠点(注:自衛隊訓練場所)」と「新病院(入間病院(仮称)(注:自衛官の救急搬送用後送病院)」を作るという。留保地自体は国の土地ではあるが、「自衛隊が的確に対処するためには、地方公共団体等との連携を一層強化する事は極めて重要であり(すなわち、地域住民の意見を聞かなければならないので)入間市が平成20年(2008年)に出した利用計画に十分配慮する」
 当該区域の開発は、埼玉県の環境影響評価条例(20ha以上の開発には環境影響評価を実施)に違反するものである。(説明会では防衛省がやらなくてもいいと言った、とか、防衛省が埼玉県に打診したが、いいと言った、という説明をしていたが、市の担当者は、何でアセスを実施しなければならないか、という肝心のところを理解していないようである。むざむざと貴重な市民の財産を放り出すようなもので、これのどこが十分な配慮と言えるのか)

それに対する市の答えはこうだ。
1.総論
市では、東町留保地については公的利用すべきものとして、緩衝緑地ゾーン及び健康・スポーツ・医療ゾーンからなる施設整備構想を内容とする利用計画を平成20年6月に財務省に提出している。
 しかしながら、財政的な事情により利用計画を具体化するには至っておらず、今後も難しい状況と考えている。(開発したいけど、お金がない)
2。災害対策拠点
地元市民が運動場を利用できる事は(注:実際は自衛隊が使っていない夜間や休日のうちで利用できるとき)健康・スポーツ・医療ゾーンとしての総合運動公園、多目的広場等の整備を構想した市の利用計画の趣旨に合致する。(注:客観的にも合致していないのは明らかだが、イケイケの市にとっては何でも合致のようだ)
3.自衛隊病院
健康・スポーツ・医療ゾーンとしての病院医療施設の整備を構想した市の利用計画の趣旨に合致する。(注:二次救急患者を受け入れるという’かっこうつけ’によって保険医療機関に昇格)
4.緑地帯
緩衝ゾーンの設置を構想した市の利用計画の趣旨に合致する。(注:訓練等の目隠し用垣根の設置程度)

 私が参加したのは、埼玉新聞の記事の翌日(30日)だったが、やはり質疑応答ではすべての意見が市の見解に反対し、計画の見直しを求めるものだった。
その理由は、
1.2008年計画とまったく異なるものであるのに関わらず、事前に市民の意見を聞いていない。5月になってやっと広報に掲載されたが、情報を幅広く伝えようと言う意志がない。→意見を聞くべき
2.災害対策とされているが、実際は自衛隊基地の拡張であり、受け入れがたい。→計画に反対
3.環境影響評価の実施なしに開発するのはおかしい。特に2008年計画で目的とされた自然環境の保持が考慮されていない(15メートル幅の緑地帯は、緩衝地帯として機能するものとは言えない)→計画に反対

 質疑時間とされた1時間の制限を超えても挙手する人が減らなかったというのに、少しばかり延長した上で説明会は打ち切られてしまった。今後はこれまでのスケジュールから言うと、6月2日(明日)からの市議会で(多分)質疑が行なわれ、6月5日までパブコメ、12日に審議会が行なわれ、そこで結果が報告され、市の対応について報告されるはずである。現状から言うとそれでは短すぎだろうと思われる。しかし、質疑の中で、田中市長が11月段階ですでに受け入れを表明した事も暴露され、形ばかりの民主的な手続きは地に落ちた形である。

*パブコメというのは間違いだった、単に責任のない「意見を聞く」という形らしい。
リンクの一番下に意見書の書式が添付されているのに注意。
https://www.city.iruma.saitama.jp/kakusyukeikaku/15673/015674.html

パブリックコメントについての入間市の手続き説明。
https://www.city.iruma.saitama.jp/dbps_data/_material_/localhost/100kikaku/200kouhou/iruma_public_comment.pdf
(ここの部分は6月3日追加)


 「災害対策」という言葉は、3.11以降、なかなか反論しにくい響きを持っている。しかし、本気で災害対策をやるのであれば、現在の入間基地をそのように改変すればすむ事である。
「自然の保全が一番の災害対策]とある人が言っていたが、まさにそのとおりと思いませんか。