2017年4月27日 (木)

種の保存法国会審議衆議院その2「穴」

 25日、朝から種の保存法改正に関する審議が、石井実阪大教授(蝶の専門家で、検討小委員会の座長)と日本自然保護協会の辻村千尋氏のヒアリングで開始した。

国会で、絶滅の危機に瀕する種をどのように保全していくのかという議論が行われているこの日、辺野古では、埋め立て工事が始まっていた。
変則的だが、ここは、最後の質問に立った自由党の玉城デニー議員の締めくくりの言葉から始めたいと思う。彼は、今日は非常に「やるせない気持ちだ」という言葉を二度、冒頭に使っている。沖縄の言葉で「チヌワサワサー」と「チルダイ」というのだそうだが、心がざわめき、脱力しているような状態をいうらしい。非常に重要な議論をみんな真摯に行っている、しかしどこかに穴があいている、と彼は訴えた。

辺野古を生息海域の一部としているジュゴンを同法対象に、という意見が繰り返し出ている。この日は、玉城デニー議員はもちろん、共産党塩川鉄也議員もかなり執拗に、他の法律にある規制措置だけではなく、生息域をこそ保全し、種の回復を図るべきではないかと質問し、(ジュゴンを提案制度を使って繰り返し訴えてきた)自然保護協会だけでなく、政府参考人の石井実氏からも、科学的見地からは当然掲載されるべき種であり、様々な障害があるにしても、なんとか保全措置を取り、回復を願いたいというこたえを引き出している。

2002年に共産党岩佐恵美議員(当時)が谷津農水大臣に迫り、水産庁との覚書からジュゴンを除外してもいいという答えを得てからすでに15年。その間、防衛省による「環境調査」という名目での機材投入などからか、ジュゴンは海域から見られなくなったものの、先ごろまた、付近で子連れの個体が発見されている。絶滅回避の、ギリギリの瀬戸際といえるかもしれない。
環境省としても基本は守りたいわけで、今後のレッドリスト掲載の検討において、曖昧ながら海域の保護を含めて検討する、という返事をしている。しかし、この「検討」というのは使いようでどうにでもなる言葉だ。
いつまで検討するつもりかわからないが、生態的なデータも少なくなく、絶滅に瀕していることが明らかである大型哺乳類、しかも世界的に生息域が北限である貴重な種(そしてその生息する海域における沢山の希少種も含め)を守れなくて、一体何のための法律なのか?

海生生物のレッドリスト問題については、同じく塩川議員が非常に的を得た質問を繰り返し、政府参考人の石井実教授から、水産庁は水産資源が重要なので、純科学的には難しいところがあるかもしれない。環境省が評価して、それから水産庁が資源としてどう利用するのか考える、というのが理想だという答えを引き出してくれた。
午後からの審議においても、レッドリストで住み分けをするのではなく、水産庁の持つ知見と研究者の協力を得て環境省が行えば住み分けしなくても済むのではないか?と問いただした。
亀澤局長は将来的に知見を蓄積していきたいという答えだったが、山本大臣は水産庁が「船を持っている」ことが水産庁が評価している妥当な理由だと考えたらしかった。水産庁だって、調査が必要な時は、業務委託したりしているし、予算をつければいいだけの話で、船を持つことがそれほど重大なことなのか?

スナメリについては、毎年のストランディングレコードでは最高の死亡数を示し、研究者の人たちが海洋汚染や混獲、船舶との衝突(特に東京湾)など非常に大きな懸念を示している。
また、シャチのように、北海道で個体識別されている数は羅臼で239頭、釧路で105頭を数えるのみで、北太平洋の東海域で600頭以下という報告もあるというのに、水産庁は1990年代の調査結果として(当時の解析では生活史が類似しているとされるコビレゴンドウからの推定地で1300頭くらいだったと記憶している) 、日本周辺海域全てが生息域だとし、推定個体数は7531頭という途方もない数を出している。
ツチクジラはその生態に未だに未解明のところが多くあるが、小型沿岸捕鯨対象種で、3つあある個体群のうち、希少な個体群と考えられるオホーツク海の推定610頭の群れから毎年10頭の捕獲枠が出ている。そして、このなかに、もしかしたら新種が混じっているかもしれないという調査結果がNOAAから出され、ナショナルジオグラフィック誌で報じられている。まだ最終判定に至ってはいないものの、漁業者はこれを「カラス」と呼び、明らかに異なるクジラをいう認識を持っていたらしい。今回これについての記述などもちろんない。

全体的に、捕獲対象種では減少したと考えられないないから、そして捕獲対象外では脅威がないから、ランク外だといとも簡単に切って捨てている。
これがどれほど信頼できない評価なのか、ことさらに言うまでもないと思うが、肝心の環境省はこれを持って「多くの知見を有する」と評価するのだ。

しかし、こうした情報も一般的には伝えられておらず、陸域の「見える」生き物と比べると親近感にかけるためか、関係者の反応は鈍いと言わざるをえない。また、「クジラ」と言うと、途端に政治的な色合いを帯びてしまうため、下手に近寄りたがらない向きもあるかもしれない。環境省が所轄するかどうか、ということはこの点からいっても重要なものだ。

今回、最終的に付帯決議が12、ついた。科学委員会の独立性、透明性、提案制度に生息地を含む、希少種を保護するための里地里山の保全、違法に輸入された希少種の生息地への変還、ワシントン条約掲載種の国際情勢を踏まえての見直し(これには少し期待)などがあったが、海に関しては六番目に希少性の透明性を高めること、水産庁との令閨では「同法の趣旨に沿って」適切に行うというもの一つ。これで前に進めるのか?という疑問も残る。

感想としては、前進したところもあったが、やはり種の保存法のターゲットは陸域なのだなあということだ。
「穴」。


2017年4月24日 (月)

種の保存法改正審議始まる

 11日本会議場での種の保存法の山本大臣による改正の趣旨説明と民進党による代表質問、18日の環境委員会での改正法案の説明を経て、21日から実質的な審議が始まった。

 (環境委員会の内容は、インターネット中継は次のサイトで。
    http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php)

まず、議長が水曜日(19日)に視察した多摩動物園についての報告をした後、与党、公明党の斉藤鉄夫議員が、環境省に種の保存法の成り立ちと対象とされている種の構成、今後の取り組みなどを質問。
環境省亀澤玲治自然環境局長が、これまでの経緯、改正、そして今回改正によってもたらされる種の保存にとっての進展(特定第2種希少野生生物の指定による掲載種の増加の見通し、動物園、水族館の認定制度による生息域外保全、国際希少野生生物の届出制から登録制への変更)を説明した。亀澤局長は、2008年の生物多様性国家戦略の策定過程で何回も意見交換をした相手で、私が知っている限りでは、生物多様性保全に熱心でNGOに対する接し方も公平な人だと思ってきた。実際、彼が計画課長であったときの第3次戦略では、パンフレットの真ん中の見開きいっぱいに、小笠原のザトウクジラの写真が使われていたこともあって、海の生物多様性保全の前進にはいい機会だと感じていた。残念ながら、そう簡単にことが運ぶ訳ではないことも分かった今回改正議論ではある。

最初の質問者は、共産党の塩川鉄也議員で、のっけから委員会の出席数の低さを問題とし、定足数に達しているのか?と質問した。それへの直接的な返事は議長からなかったが(定足数を満たすたったの15名が欠ける時間があったみたいだ)。
彼は、まず種の保存法掲載のための提案制度について質問。亀澤局長の説明の後、この提案制度の中に、生息地の指定も入っているのかと確認。また、希少種の生息域外保全については、次善の策だと突き放した。
次に、私たちが前回改正で求めてきた専門家による科学委員会の法定化について、かなり突っ込んだ質問をしてくれた。これまで、中央環境委員会がそれに当たるという環境省の答弁であったが、中環審のメンバーの中にはタレントさんなど、誰の目にも専門性に欠ける方もいたことから、検討小委員会を一部手直ししてやるのか、分類群ごとの専門家で構成された常設の委員会を作り、種指定だけではなく、回復を目指す保全対策等、保護管理全体を検討する組織を構成すると、これまでより前向きな答弁があった。あ〜〜〜。
ただし。
今のままでは、海生哺乳類などの海生生物の専門家の検討会は相変わらず水産庁管轄なのだろうか?今回の水産庁の検討会のメンバーを見ても、どうもそれらしい人(つまり現場で生態等を調査、研究している人)がほとんどいないのだが。

民進党松田直久議員の質問は、まず環境教育の必要性について。希少種の生息する土地所有者の財産権について個人の権利と公益との関係をかなりしつこく迫ってはいたが今一歩進まず。「公益」という言葉は最近の傾向からいうと結構危険ではあるが、生物多様性保全に関して一般の土地所有者の理解を促進し、インセンティブをつけていくことは重要だ。最初に書かれた種の保存法(案)に、財産権はなかったそうだで、他省庁との協議の際に付け加えられたものらしい。その次は、掲載種の指定の解除について。オオタカが絶滅危惧種から回復していることから、指定を解除する要件と解除した後の保護措置について質問。
最後は、動物園、水族館の認定制度について、その前に動物園、水族館に特化した法整備が必要ではないか。

次は、国際希少種取引の違反防止の不十分性に関して、今回新たに創設された登録制度でクリアできるというところまでしか行かなかった。個体登録票に所有者の住所と名前をつけるのは、所有者が変わる度に行わなければならず「煩雑」だという本会議での答弁を覆せなかった。

海については、ボン条約についての質問をこれまで何回かされた日本維新の会の河野正美議員がかなり突っ込んだ質問をしてくれた!
まずは、種の保存法ができた当時の環境庁と水産庁の覚書(密約)から。前回改正時の議論では、水野賢一議員(当時)と北川知克議員がそれぞれ、覚書が既に存在しないことを確認したのだが、時期や経緯は不明のままだった。今回の質問に対して、覚書からジュゴンが除外された2002年の翌年に廃棄されたということが明らかになった。それから今までの15年、環境省は、実質管理責任もないような戦略を打ち出したものの、具体策についてはまったく放置したままだったのだ!
実際、今回の海洋生物の水産庁との切り分けは、実質、水産庁支配が続いているのと変わりなく、海のものは環境省的には対象外であると言う認識に変わりはないようだ(もっとも、環境省だけではなく、関係者の大部分にとっても「種の保存法は陸域の議論で手一杯、海まで考える余裕はない」と感じられる節は度々あり、それはそれで問題が深刻だ)。
次に、前回改正の時の附帯決議十に海生生物の選定を積極的に行うということが書かれているのに、今回改正にあたって行われた検討小委員会で海洋生物の専門家が存在せず、海の議論がなかったことはなぜかという質問。
これに対しては、それが法的な措置を必要としていなかったからだということ、また、中環審では議論があった(亀澤さん、これは嘘だよ!臨時委員の白山義久さんが「附帯決議にあるのになんで答申案に海について書かれていないの?」と質問したのに対して、環境省は「レッドリストができていないから」という答えになっていない答えをしただけじゃない。白山さんの一言で最終修正案に、「情報が不足している」などという言い訳が追加されたが、これを議論と呼ぶか?)
それから、海洋生物の対象範囲はどこまで?という質問には排他的経済水域までと認めたものの、生息域の保全についての大臣の答えは、1昨年公表された重要海域の選定を参考に(辺野古も入っていたよね?確か)愛知目標に向け、現在は8.3%にとどまる海域の10%を海洋保護区に設定する予定だ、と説明。確かに、海洋保護区の設置は、その海域で生息する種の保護に役立つから、その意味では、今回取り上げられた陸域の特定第2種の扱いと同じものかもしれない。しかし、現在8.3%と出されている数字の大部分は、地域の漁協によるなんらかの管理の手が入っているというものが多いため、そのまま種の保存法による保護、回復計画にとって適切かどうかと言えばかなり疑わしいものがある。

マグロについては、水産庁の保科正樹増殖推進部長が高度回遊性物については、国連海洋法条約の定めで関係国が共同で管理することになっており、評価することはできないという返事。捕獲数を2014年から2015年にかけて半減させており、管理はできている。(21日の新聞によるとそうでもないようだが。「クロマグロ 漁獲枠突破へ、日本、規制守れず」 https://mainichi.jp/articles/20170422/k00/00m/020/089000c)

山本大臣が、水産庁との共同はすでに行われていると答弁。
また、再改正の必要性については、亀澤局長が、RDBを踏まえて掲載すべきものを掲載していくので改正は必要ないと答弁した。しかし、今後のレッドリスト掲載に関しては、「ジュゴンも含めて」検討をしていくという弱々しくはあるが、獲得もあった。

そのあとは、自由党の玉城デニー議員が質問に立ち、今回の動物園、水族館の認定制度について、本来であれば、動物園、水族館についての規定等きちんと書いた法整備が必要であり、今回のようにごく一部を認定するというのは間違いではないか、と発言。これは至極まっとうな意見だと思った。


明日、25日には参考人によるヒアリングと質疑、そして採決が行われる。
詳細はインターネット中継で見ることができる。

2017年3月27日 (月)

海のレッドリスト

2010年に海洋生物のレッドリストが作られると環境省が発表して以来、7年経過してやっと、この3月21日、リストが公表された。
これまでの海の生き物に対する(法的な)冷たい扱いを考えると、まずは最初のステップではある。が、その中身にはこれまでも何回か話題にしてきた以上に、たくさんの課題があることがわかった。

●環境省が評価した幾つかの種で絶滅危惧IA(魚類で8種甲殻類8種,無脊椎動物1種)IB(魚類6種、サンゴ1種、甲殻類11種 、軟体動物2種)絶滅危惧II類(魚類2種、サンゴ5種、甲殻類11種、軟体動物1種)準絶滅危惧種(魚類89種、サンゴ7種、甲殻類43、軟体動物3種、無脊椎動物20種)情報不足種(魚類113種、サンゴ1種)甲殻類98、種無脊椎動物13種)絶滅の恐れのある地域個体群(魚類2集団、甲殻類2集団、無脊椎動物1集団)となっている。
まだ、直接種の保存法対象となっているわけではないが、早急に評価していく必要があることと同時に、法文の中に欠けている生息海域保護を入れ込む(改正対象とする)必要がある。
ご存知のように、種の保存法が策定された1993年に、環境庁(当時)は水産庁と覚書(密約)を取り交わし、水産資源を対象物から外したため、海域の保護は明記されていないのだ。

●水産庁評価の対象種94種のうち93種はランク外、残る1種は情報不足(DD)
ランク外というのは、情報が不十分ながら、絶滅の恐れがない種だということだ。しかし、例えば鯨類を例としてみるとランク外とされた29種のうちの17種が情報不足ーDDでIUCNのリストに入っている。スナメリに至っては、絶滅危惧II類(VU)にランクされている。
日本周辺海域だけ、なぜ絶滅の恐れがないのか、もし特殊な事情があるのだったら、わかりやすく説明する義務があるのではないだろうか?
データが古くて恐縮だが、1997年に出版された「レッドデータ日本の哺乳類(の本哺乳類学会)によると、17種が希少、スナメリも絶滅を危惧される地域個体群になっている。
海洋環境が日々悪化する中で、沿岸漁業における様々な魚種の減少も懸念されていると聞いている。また、沿岸での小型鯨類の捕獲が許可される中、日本の沿岸海域でどのような前向きの変化があって今回評価に繋がったのか、知りたいところである。

2017年1月31日 (火)

種の保存法 海洋生物の保全は・・

 昨日は、中央環境審議会の野生生物部会が開催され、「種の保存につき構ずべき措置について」の審議(異議がなければそれを元に改正に向かう)と「大正狩猟鳥獣の禁止または制限を定めることについて」の諮問が9人の委員(臨時委員含む)によって議論された。
種の保存法に関しては、昨年12月13日から今年の1月11日までパブリックコメントが募集されており、私たちの意見については前回のブログに書いた通りだ。

これまでパブリックコメントなどはすでに決められた内容を踏襲できる形でしか修正されない。今回も、例えば、海洋生物が入ってくるのに、なんで国土だけ?という意見には修正が加えられたものの、「世界第6位の広さの排他的経済水域」とし、「南北約3,000㎞にわたる国土」と対応して領海+排他的経済水域の広さ(447万㎢)としなかったのはなぜなのか。

その他は、陸域と海域の生物の種数については「生物多様性の保全上重要な地域として認識されている旨を説明している」だけということで言及はない(地域?)

留保見直しについても、「政府として決定しているから」いいらしい(国民不在)。

重要海域の選定に沿った保護海域の特定としてについてはまず絶滅危惧種の選定希少野生動植物種選定が先」とし、「生息数や生態の調査が十分に行われていない」ことから、具体的な方向性を求めたのに対しては「情報の不足」を追記したにとどまった。
重要海域の選定の中にも、それなりに情報をすくい上げられるものがあるし、水産庁管轄の魚種等に関してはすでに情報が十分あるものも少なくない。ジュゴンだって、そして多分水産庁と共管したスナメリ調査でもそれなりの情報はあるし、このところ、大きな話題になっているウナギはどうなのよ?と言いたいが、彼らとしては全てが同じように平等に情報収集できなければ何もしないということなのだろうか??

わかってはいたが残念な結果。

2017年1月12日 (木)

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存につき講ずべき措置について(答申案)に関 する意見

昨日だった「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存につき講ずべき措置について(答申案) 」
に提出したパブコメ。

■〔意見1〕
1〔該当箇所〕 答申案全体について
2 〔意見の内容〕
本文全体に、海生生物種を意識した記述をすべき。
3 〔意見の理由〕
2010年、生物多様性条約第10回会議において、環境省は海生生物のレッドデータを作
成すると宣言した。環境省は、その結果の公表については繰り返し今年度末であると発
言してきた。したがって、公表時期と今回の改正と時期は前後すると思われる。しかし
ながら、今回の改正に向けた検討小委員会に、海生生物の専門家は参加していない。ま
た、今回の答申案について言えば、海生生物に関しては、「絶滅危惧種の選定が不十分
である」という個別の記述以外に、全体として海生生物を意識した記述が見られない。
もし、今年度末での公表時に、種の保存法に該当する種がなかったとしても、これは不
都合ではないのかと思われる。なぜなら、法律は毎年改正されるわけではないので、こ
の案に従えば、今後は海生生物が対象種に含まれるにも関わらず、法文内容に追加や変
化がない可能性がある。 

■〔意見2〕国土のみならず、海域を加えること。
1〔該当箇所〕 1ページ3行目(1.はじめに )
2〔意見内容〕「我が国は、南北約 3,000km にわたる国土」の後に、
「447万?に及ぶ海域(領海及び排他的経済水域)」を追加する。
3〔意見1の理由〕
今年度中に海生生物のレッドリストが公表されると環境省は説明している。改正法案が
審議される時期には、海生生物の中に同法対象となる種が存在する可能性がある。した
がって海生種が生息する海域についても言及すべきである。法改正が実施されても次期
改正までに数年(通常5年)かかるため、海域に関しての記述を今回改正の「講ずべき
重要な措置」の一つとしてここに限らず全文に反映させることが重要だと考える。
<海域の面積記述の出典>
1)「領海(含:内水)+排他的経済水域(含:接続水域)+延長大陸棚※約465万
km2
(海上保安庁)」
2)我が国は、北海道、本州、四国、九州、沖縄 島のほか、6,000 余の島々で構成さ
れており、 その周辺の領海及び排他的経済水域の面積 は、約 447 万?と世界有数で
ある。
(環境省「海洋生物多様性保全戦略」)

■ 〔意見3〕
1〔該当箇所〕意見1と同じく1ページ5行目
2 〔意見の内容〕
「 既知の生物種数は9万種以上、まだ知られていないものも含めると30万種を超える
と推定されており、」
種数について、海生種を含め、陸生、海生の種数を区別して記載すべき。
3〔意見2の理由〕
上記と同じ。今年度中に海生生物のレッドリストが公表されるため。
<海生生物の種数に関しての出典>
1)日本近海には、世界に生息する127種の海棲哺乳類のうち50種(クジラ・イルカ類4
0種、アザラシ・アシカ類8種、ラッコ、ジュゴン)10、世界の約300種といわれる海鳥
のうち122種11、同じく約15,000種の海水魚のうち約25%にあたる約3,700種が生息・生
育する12など、豊かな種の多様性がある。我が国の排他的経済水域までの管轄権内の海
域に生息する海洋生物に関する調査によると、確認できた種だけで約34,000種にのぼり
、全世界既知数の約23万種の約15%にあたる13。このうち我が国の固有種は約1,900種
確認されている。なお、海洋生物に関しては、一部の分類群を除き分類学研究が遅れて
おり、未知の生物が多く存在することには留意する必要がある。(環境省:海洋生物多
様性戦略)
2)科学的に正式な記録がない種類数(出現予測種数)は、121,913 種に達する。これ
に既知の 33,629 種を加えた 155,542 種が、日本近海の総種数になるわけである。つ
まり、私たちは未だ 20 %の種しか認識していない。
<出典>(ワークショップ21世紀の生物多様性研究「日本近海にはどれくらいの生物
がいるのか」http://www.gbif.jp/pdf/workshop2011_1.pdf)

■〔意見3〕
1〔該当箇所〕2ページ7行目から
2〔意見の内容〕「加えて、ワシントン条約に基づいて国際取引が規制されている希少
な野生動植物につい ても、国内における違法流通等が報告されており、国際的に協力
して種を保全していく観 点から、違法行為を食い止めるための一刻も早い対策が急務
となっている。」
の後に、「なお、日本が長らくワシントン条約の取引を禁止している種についての留保
を、現在の管理当局水産庁とは異なる保全の観点から見直す必要がある」
を付け加える。
3 〔意見の理由〕
種の保存法において、これまでIUCNのレッドデータをその基準としている。しかし一方
で、水産庁管轄の鯨類や魚類等の一部に関しては、もっぱら産業の観点からの判断で留
保措置がとられてきた。産業優先ではなく、種の保存の観点からの見直しをすべきだと
考える。
<留保品目 参考>
http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_wash
ington/cites_about.html


■〔意見4〕
1〔該当箇所〕4ページ29行目から
2〔意見の内容〕「なお、海洋生物については、絶滅危惧種の選定が十分に行われてお
らず、国内希少野生動植物種の指定が進展していない。今後、海産種の絶滅危惧種の選
定を進め、その結果を踏まえて、国内希少野生動植物種の指定を推進する必要がある。

の後に、
「2014年改正時の付帯決議に基づき、また今年度中に公表される海生生物レッドリ
スト
を踏まえ、希少性の認められる種については積極的に対象とし、また選定が不十分な種
に関してはその要因を取り除き、選定を早急に進める。」
を加える。
3〔意見の理由〕
上記意見1、2と同じ。講ずべき措置について、現状を単に記述するのではなく、
一歩踏み込んだ記述が必要。特に、目的が異なる水産庁によるレッドリストの選定は、
元となるデータが保全にとっては不適切だと考えられる。また、移動性の他の動物につ
いては、条約で国際的な評価が行われていても、国内での選定が行われて対象種となっ
ているにも関わらず、鯨類に関しては、対象から外されていることは整合性に欠ける。

■〔意見5〕
1〔該当箇所〕5ページ21行目から
2〔意見の内容〕
「生息地等保護区は、現在、全国でわずか9地区の指定に留まっている。国立公園や鳥
獣保護区特別保護地区、自然環境保全地域等の他法令の保護地域制度で生息・生育地が
保護されている種も多いものの、国内希少野生動植物種の指定種数と比較すると 生息
地等保護区の指定数は大幅に少ない。」
の後に、
「また、海生生物に関しては、重要海域の選定に沿って、希少な海生生物に関する保護
海域を特定し、その指定を進めるべきである」を追加。
3〔意見の理由〕
前述と同じく、海生生物の同法選定に従い、生息地等保護区だけでなく、保護海域の記
述も必要。

<ついでながら>
■〔意見6〕
1〔該当箇所〕13ページ
2「意見の内容」
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案に対
する附帯決議 抄」で閉じるのではなく、全文掲載し、その進捗具合(何か可能で何が
不十分なのか)を点検すべき。
「意見の理由」
今後、同法の実効性を高めるためにも、今できること、できないこと双方に対して今後
の見通しをきちんと立てる必要があると思ういます!

2017年1月 6日 (金)

種の保存法改正〜海は無視するのか

 昨年12月から、環境省が種の保存法についての講ずべき措置(案)という改正に向けてのパブリックコメントを求めている(締め切り1月11日)。
これは、2014年の改正における国会論議での附則に従っての3年目の改正が今年行われる予定だからだ。
前回の改正時には、3年後の見直しの附則に加えて、11項目の附帯決議が衆参両院でつけられた。その中には、レッドリストに上がっている種のうちの300種を2020年までに選定すること、「種指定の優先度と個体数回復などの目標、必要な保護管理計画などを勧告する、専門家による常設の科学委員会の法定を検討すること」(現在は非公開の専門家による検討会がその都度召集され、その意見に従って中央環境審議会で審議されるという過程)などが記され、海洋生物に関しても、「二 「保全戦略」は海洋生物を含めて策定すること。また、「保全戦略」は、種の指定の考え方や進め方を示す、大胆かつ機動性の高いものとすること。」
「十 海洋生態系の要となる海棲哺乳類を含めた海洋生物については、科学的見地に立ってその希少性評価を適切に行うこと。また、候補種選定の際、現在は種指定の実績がない海洋生物についても、積極的に選定の対象とすること。」と強い意見が出されている。
しかし、この間、5回開催された検討会では海生生物に関する議論はなく、最後に検討結果を受けた審議会で、臨時委員のJAMSTECの白山義久氏がやっと、海生生物はどうなっているのか?という質問を出した結果として、二箇所に書き込みが加えられた。しかしそれだって、2の種の保存をめぐる現状と課題で「現時点では、海洋生物については絶滅危惧種の選定が十分に行われていない。」そして、今後講ずべき措置で「なお、海洋生物については、絶滅危惧種の選定が十分に行われておらず、国内希少野生動植物種の指定が進展していない。今後、海産種の絶滅危惧種の選定を進め、その結果を踏まえて、国内希少野生動植物種の指定を推進する必要がある。」と素っ気なく書かれているのみで、最後の附帯決議(抄)では、海についての上記2決議が省かれてしまっている。
環境省の意見交換では、担当官が「海生生物のレッドリストは今年度末(2017)に発表されますので」と、現時点ではないからしなくてもいいんだと言わんばかりの言いよう。
でも考えてみてほしい。附則でやっと3年で見直し、通常は5年後に見直しがされるわけで、レッドリストが公表されて、「もしかしたら」そのうちに種の保存法対象となるべき種があるかもしれないが、そうした一部手直しだけでは、これまで陸域した考えて作ってこなかった法文で済むわけがない。一例を挙げると、「はじめに」ではのっけから、「我が国は、南北約 3,000km にわたる国土、変化に富んだ地形、四季に恵まれた気候などにより、豊かな生物多様性を有している。既知の生物種数は9万種以上、まだ知られていないものも含めると 30 万種を超えると推定されており」と陸域しか意識しない書き方になっているし、この9万種、あるいは30万種に陸よりも種数が多いのではないかと言われる海生生物が含まれているかどうかも不明である。ちなみに、海域は、領海(含:内水)+排他的経済水域(含:接続水域)+延長大陸棚で約465万平方km(出典:海上保安庁「日本の領海等概念図」より)とされている。

 環境省的には海までかかえ込むほどの力はありません、と言いたいところなのかもしれないが、2010年に海生生物のレッドリストを作成するという前向きな態度を維持するなら、海生生物を加えることを前提として全文を書き直すのが筋だし、それができないならせめて「レッドリスト公表後に必要があれば再度改正する」などといった具体的な方策を書き込む必要があると思いませんか。

パブコメ締め切りまであとわずかだが、心ある人たちに、ぜひこのパブコメに参加していただきたいと切に願う。
http://www.env.go.jp/press/files/jp/104293.pdf


2015年11月 4日 (水)

つながろう!入間、沖縄そして福島 デモ(クジラは出ません)

 昨日、入間で掲題のデモを行った。
 主催は『平和の声 行動ネットワーク入間(平和ネット)』で、駅頭で30分くらいのアピールの後、周辺を70人くらいで行進した。アピールでは、入間の基地拡張問題とともに、福島の現状や辺野古の緊急事態についての報告もあった。入間高教組からは、武器輸出を国策にしようとしているという怖い話もあったが、私たちが学生のころに、こんな時代が来るとは思いもしなかったと、同世代の人たちで嘆いたことだった。
 デモコースについては、平和ネットの代表が何度も狭山警察署に足を運んだが、当日は、お隣の入間航空基地で恒例の航空祭が行なわれると言うことで(もちろん、それにぶつけたわけだが)、騒ぎ等起こらないように、あらかじめ基地から離れたところを歩き(一部は歩道)、正門には近づくこともできないという不名誉なコース設定になった。当初は主催者も、あるいは航空祭を見に来る人とのいざこざがあるかもしれないと多少は緊張したものの、コースに沿ってはあまり人も通らず、いざこざなど望んでもないという結果だった。
 それでも、原発反対や安保法制反対に加えて、基地拡張のために貴重な森を壊すなというコールが商店街に響き渡った。
 そのあと、事務所まで行く用事があり、電車に乗ったのだが、ものすごい混みようで驚いた。警察などによると、30万〜40万人が航空祭を見に来るという。人々は、何の抵抗もなく武器展示を見たり、戦闘機となる飛行機に試乗したりするらしい。非力さを実感する。

 一方で、請願署名活動をするグループもあり、少しずつだが問題は広がりつつあるようだ。

森を守ろうというチラシを作ってみた。なかなか好評だったようだ。
「iruma_leaflet_front.pdf」をダウンロード

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2015年10月16日 (金)

CCAMLRでの海洋保護区設置国際交渉での日本政府への市民要望書を提出

 FoE Japanの「CCAMLRでの海洋保護区設置国際交渉での日本政府への市民要望書を提出呼びかけ」に、連名。今回要望されている海域は、日本の調査捕鯨新計画の対象海域でもある。

要望書
内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
外務大臣 岸田 文雄 殿
環境大臣 丸川 珠代 殿
農林水産大臣 森山 裕 殿
水産庁長官 佐藤 一雄 殿
農林水産省顧問 飯野 健郎 殿

私たちは、日本政府にオーストラリア・ホバートで開催される南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)の会合で、ロス海と東部沿岸に南極海保護区を設置することを支持されるよう要望します。

南極海域は、世界の海洋の10%を占め、地球上で最も手つかずの海洋環境が残されています。私たちは手遅れにならないうちに、日本がCCAMLRと共に広範囲に永続的な海洋保護区(MPA)と禁漁海洋保護区のシステムを構築し、重要な南極海の生態系を保護するよう求めます。乱獲や気候変動の脅威が拡大しており、今こそ南極海が直面する今日の脅威に対し、更なる保護策を講じてください。

CCAMLRは2012年までに南極海に海洋保護地域体系を構築すると表明し、数年にわたりロス海および南極東岸海域の保護区案を検討してきました。提案国は他の加盟国の意見を受け入れ提議案を大幅に変更してきました。これ以上の変更は、海洋保護区を事実上無意味なものにし、この素晴らしい生態系を十分に保護することができなくなる恐れがあります。また、国際的な基準と同様、海洋保護区は恒久的なものでなければならず、保護区に期限を設けるべきではないと考えます。

 2010年に名古屋で開催された国連生物多様性条約会合(COP10)では愛知目標を採択し、その個別目標11に「2020年までに、少なくとも陸域及び内陸水域の17%、また沿岸域及び海域の10%、特に、生物多様性と生態系サービスに特別に重要な地域が、効果的、衡平に管理され、かつ生態学的に代表的な良く連結された保護地域システムやその他の効果的な地域をベースとする手段を通じて保全」するとしています。
 
 海洋に依存する国家として、私たちはとりわけ海洋や魚類その他の多くの海洋生物種を適切な管理で守り健全な状態で次世代に残すため予防原則に基づく措置に取り組むべきです。愛知目標を採択した議長国であり、またCCAMLRの加盟国である日本は、CCAMLRをリードし、 10月に海洋保護区の設置が実現するよう、環境保護への強いコミットメントを示す時ではないでしょうか。

日本が賢明な選択をし、未来の世代のために南極海の保護に力を尽くすことを切に望むものです。



賛同団体 (団体名五十音順)

イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク

国際環境NGO FoE Japan


国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

国連生物多様性の10年市民ネットワーク

コーラルネットワーク

公益財団法人 日本野鳥の会

バードライフ・インターナショナル

ペンギン会議

2015年8月19日 (水)

審議会答申

機能、ジョンソン基地跡地利用に関する審議会の、防衛省の災害対処拠点計画への答申が出た。早速、市長に手渡されたようだ。見たくない事、聞きたくない事はすべて「ない」事にしてしまうこのご都合主義。

https://www.city.iruma.saitama.jp/kakusyukeikaku/15673/016292.html

<答申内容>
https://www.city.iruma.saitama.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/016/292/tousinsyo.pdf

2015年8月 5日 (水)

入間市長との面談

 8月3日、入間市で今回のジョンソン基地跡地への防衛省計画に反対する市民の「ストップ入間基地拡張!市民の会」と市長との面談に参加した。市民の会は、名前の通りに、基地拡張に関して反対するかいで、跡地計画は市民合意のある入間市の2008年の利用計画に基づいたものとすべきではないか、現在進行中の‘平和’法制に沿った基地拡張計画に対しての市の考え方と立場、跡地利用審議会がきちんと役目を果たしていないことなどについて、市長の考えを質した。
 市側(市長)は、早急にこの問題の決着を計りたいため、形ばかりの市民との意見交換会の場を設けたものと見え、直前に通知、しかも昼日中ではあったが、20人以上が集まり、市長の意見を聞いた。
 
 市長は、まず、この計画が首都圏地震に対応した災害対策のための拠点づくりであり、2008年に市が計画した跡地利用案に‘ほぼ’沿ったものだと説明。現在国会審議にかかる安保法案とは関係なく、軍事訓練はやらない、平気等を使用しない事などはすでに確認済みだとこたえた。しかし、市民の会は、この5月行なわれた入間市選出の共産党議員と防衛省との意見交換から、
   <防衛省担当者は建設予定の両施設について「入間基地の一部として管理する」と述べ、
   災害対処拠点施設は大規模災害に限定せずに各種事態に対応し、平時では自衛隊の訓練
   で使われると説明。>(塩川議員のブログより)
また市民の会は、自衛隊病院についても、後送病院として前線病院のバックアップ機能をもつもので、すでに防衛省の27年度予算で1億圓の予算がついている事などを指摘した。

 田中市長はこうした指摘については認識していなかった(この問題は、市長としての政治生命以上の重大な課題だという市長が知らなかったというのは本当だろうか?)というスタンスを取りながら、「首都圏の災害対策という重要な責任を(国民として)無視していいのか、ということと、市が買い取ろうにも予算がないと説明。
 しかし、国の災害対策計画は、内閣府の災害対策基本法に基づき策定されるもので、首都圏地震に関しても災害対策拠点はすでに指定されている。防衛省の計画案は、内閣府の災害対策計画とのリンクが確認されない。「災害対策」というのは受入れをし易いようにするための口実ではないのか。
しかし市長の側から言えば、市民の代表として任命された審議会で検討しているし、また市民の代弁をする議会でも議論がある事を市民合意の論拠とする。
 災害対策拠点を作るなら、すでに300万haという広大な自衛隊入間基地があるのに、28hの土地がなぜ追加的に必要なのか、納得できるような答えはないのだが。基地拡張予算を消化するためのずさんな計画とした言いようがない。

 私は、2008年に入間市が出した計画についても賛同できない。もちろん、土地取得を企業に売却する事で果たすようなこともあってはならないと考えている。
自然林ではないかもしれないが、米軍とその家族が退去してから(たぶん)50年も経った現在、緑深い森に育っているのを見て、何人もの人たちが「そのままにしておきたい」と感想を漏らしている。壊すのは簡単だが、いったん人が利用し始めたところを自然に戻すには人は強慾すぎるのではないか、と思う。そのままそうっとしておきたいものだと思う。