2018年11月20日 (火)

教育者のお手本なのかな?

著者は、富山大学の准教授で、自然保護団体で特に環境法関連において活動している人たちと親しい。私は、種の保存法に関する勉強会で、Kさんを通じて紹介してもらった。それ以来、ニュースレターなどクジラ関連の資料を送ってきていた。今回、「自然環境法を学ぶ」と題した、若い人たちへの環境関連法の紹介本として送られてきた本を手に取ってなかみを見るまで、捕鯨問題を論じた項があるとは思わなかったが。あんまり、個人的な批判はしたくない方なので、10日間ほど放っておいたが、若い人たちが手に取るものだから、間違いの指摘くらいはしてもよかろうと思うに至った。

「自然環境法と産業法(企業法)は裏返しの関係」との著者の認識から、環境関連の法律(主に環境省の管轄)だけではなく、農林漁業関連の法律、動物の愛護と管理法の概説も網羅してある。大体において、これらはそれぞれの法律の条文や書いてある解説を抜き取って書き出しているので、「こういうものがあるよ」という紹介としては良い方法かもしれない。また、環境関連の訴訟についても例示されているが、その方向性についてはあまりよくわからなかった。産業法と自然環境法との相互的な影響とかギャップなどの乗り越えるべき課題などについての言及は私には見つけられなかったし、それぞれの法律の持つ限界などは明確にはわからない。若い人がどのような法律があるかをダイジェスト的に見るのはいいのかもしれないが。

13章に「水系管理に関する法律」があり、その中の「海洋生態系」の中に思いがけず「捕鯨」に関する論考があった。
漁業法は別の項にあるので、「産業法」の位置付けではなく、あくまでも海洋生態系の中での議論という位置付けのようだが、内容的にはICJ(国際司法裁判所)判決に至る経緯(残念ながら、ニュースレターを読んでいないようで間違いだらけー後述)、鯨肉輸入(カナダが輸出先に入っている)そして、ICRW(国際捕鯨取締条約)の旧来通りの大本営解釈など、定められた法体系の中に客観的に書き込まれたものが少ないためか、環境省関連の法律の紹介と比べると随分といい加減で、足りない分著者の主観が多々見られるというところで、他とはかなり異なる。

まず、事実誤認。
彼女の解釈では、ICJ判決の背景として「1994年のIWC総会において南極海サンクチュアリ決議が採択されたことにより、南極海における商業捕鯨は全面的に禁止された」
「その決議に唯一反対した日本は、調査捕鯨を継続している」としている。
しかし、サンクチュアリ決議は何の拘束力もなく、その採択に異議を持つ日本はその影響を受けていないし、ご存知のように、商業捕鯨の一時停止は南極も含めて1982年に合意されたもので、ここの記述は誤りである。

また、オーストラリアが2010年にICJの提訴に踏み切ったきっかけを「2007年、IWCでは南極海の特定海域で鯨類を死に至らしめるような調査捕鯨を一旦中止するよう日本に求める決議が採択されたが、日本はこの後も調査捕鯨を継続した」だと記している。
しかし、調査捕鯨の一旦停止の決議は、日本が調査捕鯨を開始してからほぼ毎年のように採択されてきたわけで、2007年の決議が他の決議と際立って異なるということはない。(サンクチュアリ決議と同じく、過半数採決の決議に拘束力はない)。
それよりも、むしろ2010年に期待された合意形成(2008年のPEW主催のシンポジウムを契機とした日本とニュージーランドの歩み寄り〜結局失敗したが。日本も調査捕鯨のフェーズアウトに反発した議員からの反対の声も大きかった)の行方を危惧したオーストラリアが先手を打つ格好で提訴したと言う考え方が一般的だ。

次の話題は突然、彼女曰くの2015年以降の(輸入量が増えたのは2010年からで2014年が過去最大)鯨肉輸入増加の話題。
「輸入ですむ問題ではないとし、その理由として「海に囲まれた漁業国における食料・食材としての鯨肉の確保の是非、生業としての水産漁業の継続と水産技術の継承、及び水産詩編の持続的な利用とその実現のために果たすべき国際的な貢献等を勘案して判断すべき問題」だとする。
その下段にあるグラフでは、国別鯨肉輸入量としてアイスランド、ノルウェーに並び、少量ではあるがカナダから赤肉及び白手物が入ってきていることになっている。
しかし、カナダはIWCに加盟してはいないものの、実施しているのは先住民捕鯨としてのホッキョククジラの(多分隔年)2頭の捕獲のみで、IWCに毎回オブザーバー参加して報告をしている。先住民捕鯨に関しては自家消費が前提で、しかも、カナダはワシントン条約でクジラ類を一つも留保していない。輸出/入が事実なら、いくつも違反を重ねていることになる。(実は、この件で一度騒ぎがあり、カナダからの輸出はないというところで落ち着いたように覚えている)2014年だったと思うが、知り合いがカナダからの海棲哺乳類の油脂に関して、水産庁に問い合わせを行った。他の鯨肉に比べて量の少なさと値段の高さで際立っていたからである。
その結果、「それはアザラシの油脂です」と答えがあった。だから、グラフで白手物とされているのは、多分、アザラシの油脂と考えるのが妥当だろう。しかし、赤身肉は?
著者は、もし増刷する場合は「検討」するそうであるが、カナダとしても迷惑ではないのだろうか。

著者による既存各種捕鯨について「動物の権利」「動物福祉」「予防原則」に反するかの検討がある。まず、「動物福祉の理由として商業捕鯨及び調査捕鯨そのものを反対することにはならないという考えであり、この点において、石井准教授、真田客員講師らと異なる見解を持つ」としている。彼らの本論ではなく、80ページに掲載された表に対しての意見のようだが、読み間違いの可能性が高い。
(彼と真田さんの著書「クジラコンプレックス」の当該部分を見直してみたが、動物福祉の考え方に基づいて反対しているNGOがいる、ということをわかりやすいように図解しただけで、彼自身の動物動物福祉の考え方を示しているのではないし、それが必然的に商業捕鯨、調査捕鯨に反対だ、というような主張をしてはいない)

さらにため息が出るようなトンデモな展開も。予防原則の適用に着目したいとして「保全には不確実性すなわちリスク管理の問題を伴う」よって、予防原則に基づく管理が必要であり、そのためにもさらなる科学的知見の収集が求められる」
「とすれば、希少とされている鯨種に関しては科学的研究結果が得られるまでは研究目的に限っての捕鯨(調査捕鯨)に徹する必要があるとも言える」とし、さらには
「他方、鯨類は大食であるため増えすぎている鯨種を捕獲しないことも保全に反する行為であると言えるが、どの鯨種がどれだけ増えすぎているのか定量的な検証は十分ではない。これに関しても、既知の知見に基づく対応とともに、より一層の科学的調査を尽くすしかないと言える」
「そのためにもむしろ科学的な調査捕鯨は「科学的な信頼に基づく国際的に権威ある科学的組織(例としてIPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学〜制作プラットフォーム)のイニシアティブで積極的に推進」と進言している。
なんでわざわざ、大本営発表しか資料のない捕鯨を持ち出したのか(しかも、産業ではなく海洋生態系に)
、多分ここの部分が斬新なアイデアだと思ったのかもしれないし、だからこそこのテーマを選んだかもしれない。
IPBESに持っていく勇気のある官僚がいるとは思えないが、持っていったらそれこそ世界の恥さらしとなるだろう。

ついでに間違いだらけのイルカビジネス解説も。
イルカ捕獲について、漁業法の管轄であること、知事認可漁業であることを記した後、追込み猟に焦点を当てている。「群れごと捕獲するため、鯨肉の供給量が増大し、結果として余るという現象になると予想される。そこで、太地町の追込み漁は、群れごと「生けどり」して水族館の展示施設用に供することを目的とするようになった」と解説している。
また、イルカ漁の方法を解説し、パニックを起こして傷つけあうことや、群れの大半がメスとその子供であり、(中略)さらに水族館に送られた生体イルカたちは「芸」をすることを強要されており、それによるすくなからずのリスクと犠牲も強いられるという批判がある」としながら、「追込み漁は伝統であるという言説もある」とし、その残酷さを回避すべく漁法も改良されたきたとの和歌山県太地町の公式見解もある」(「改良された」は間違いと思われる。なぜなら、捕殺に関する報告書は主に漁業者の安全性や海洋の汚染を防ぐための方法についてのように私には思われたし、その最後に、致死時間が長引く恐れがあることが書かれているからである)

しかも、自らの判断は脇に置いておいて、「やみくもに生業に対して新たな倫理観や規範を押し付けることにも、いくばくかの躊躇を感じざるを得ない」と記し、WAZA/JAZAの騒動から、「一部の水族館がJAZAから脱退して独自の路線を歩んだ、すなわち追込み漁による生体イルカを継続して飼育する道を選んだという選択も尊重したい」「諸外国が水族館用に生体イルカを太地町から購入していることも、水族館が持つアミューズメント性の発揮のための需要と必要性の証左」だとしている。

相矛盾する紹介は、読む側に判断をさせようという意図かもしれないが、このような中途半端な紹介と間違いだらけの私見でまともな判断ができるだろうか。
さらに、これらの矛盾を覆い隠すように、「法に照らせば違法ではないが、倫理的にこうあるべしという新たな規範に由来する問題がグローバルな規模で生じているのは、人間社会が成熟してきた証左」と結んでいて、本人はすべて承知なのかもしれないが、なにやらもやもやが残る。

こういう本がどの程度読まれるかわからないが、ダイジェスト版としては使い勝手がいいかもしれないし、少なくとも彼女らが授業に使用するだろうことは察しがつく。教えられる方が矛盾に気がつき、自ら調べる道を選ぶのだからいいのではないか、という声が聞こえそうだが、問題はメディア報道を含めた国内情報がかなり偏り、限られていることだ。(以前、海洋大学で行われた海洋大学と農工大学合同のアクティブラーニング風研究会で、’生徒たち’は国内メディア報道主体の資料による研究発表をし、反対意見の検証や海外論文の読み込みなど一つも見当たらなかったので驚いた経験がある。いや、一人女性でかなり鋭い反対意見を述べた人がいたのを思い出した)


2018年11月14日 (水)

アイスランドから希少なナガスクジラの肉が

知人から、今日、石巻港に1400トンに上るナガスクジラの肉が、アイスランドから到着したという知らせをもらった。
ご存知のように、アイスランド周辺などのナガスクジラはIUCNのレッドリストでは絶滅危惧1類であり、その生息数も十分把握されていない。(IWCでは、東グリーンランドからフェロー諸島まで、及び西グリーンランドに関する推定数は出ている)。
(訂正:11月14日発表の最新のリストでは危急種になったようだが)

アイスランドは、モラトリアムに異議申し立てをして、その後、IWCを脱退したが、2003年にモラトリアムの留保つきで再加盟し、ミンククジラとナガスクジラを商業的に捕鯨している。ミンククジラは自国流通だが、ナガスクジラは最初から輸出目的での捕獲である。
絶滅危惧種に当たるナガスクジラの国際取引は、本来であればワシントン条約で禁止されているが、日本もアイスランドもナガスクジラについては留保を行っているため、事実上取引が可能となっている。

ナガスクジラの捕獲は、長らく捕鯨業で利益を得てきたロフトソンという金持ちが自前の捕鯨船を使って行っている。最初のうちは、南回りの航路で、時間がかかる上にあちこちで入港を拒否されるということが起きて、最近は温暖化で可能になった北極航路を利用して日本に肉を輸出している。一時期は、鯨肉の安全性を検査するための体制が’厳しすぎる’、とアイスランド側で捕獲を取りやめたものの、日本が検査体制を緩めて再び取引が開始されるようになった。
ナガスクジラ取引を仲介したのは、元水産庁の官僚と言われているが、日本では調査捕鯨の肉よりも安価に加工及び販売ができるため、業界では一定の人気がある。絶滅危惧で取引は問題があるという認識が日本国内では薄く、ペットのおやつとして加工、販売されたことさえあった。

今回さらに問題が生じている。ナガスクジラとシロナガスクジラのハイブリッドのクジラが2頭、捕獲されたことである。
https://www.bbc.com/news/science-environment-44809115
日本は、シロナガスクジラ及びハイブリッドのクジラの留保手段は取っていない。したがって、この肉は日本に輸出できないはずのものである。
今回輸出に関して、ハイブリッドのクジラ肉が入っている可能性の指摘も海外からあった。
そこで、水産庁にこの件についての問い合わせをしたところ、
1)アイスランド政府とハイブリッドのクジラの輸出入は行わないと合意している。
2)日本に導入する際には、密輸肉が混入しないように、ランダムサンプリングによるDNA検査が行われている。
という回答をもらった。
また、どの程度のランダムサンプリングなのか?という再質問の際には、アイスランドでは100%DNA検査をしているはず、ダブルチェックをしているのだから問題はない、という回答をもらった。
これまでの例から見ると、鯨肉が到着し、冷凍の保税倉庫に入っていても、すぐに通関はしていない。石巻港できちんとした検査が行われるのを祈るばかりである。

一方で、「留保」がいくら合法的な措置であるからといって、それでワシントン条約の商業的な取引を規制するという本来の趣旨が全うされるかどうかは別の問題である。本来は取引できないものであるという認識の周知があるべきだと思う。しかし、国内で流通販売する業者にその趣旨を認識するように期待するのもあまり効果が期待できない気がする(認識してほしいが)。

日本が持続的な利用を掲げるのであれば、せめて絶滅に瀕するナガスクジラのような種についての留保を取り下げる、あるいは国内でのそうした啓発を積極的に行うなど、幾らかの本気度を見せるべきではないのか、とこうした事件があるたびに思う。

2018年11月13日 (火)

脱退するとかしないとか・・・それでも調査捕鯨は続く

昨日(11月12日)、捕鯨船団が南極に向けて出発した。
「行ってらっしゃい、捕鯨船 下関から南極に出発」(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37636810S8A111C1CR0000/?fbclid=IwAR3RaRDXV5Gz4K4mM63UglQMTGmbAY3bCX3e0aGXE-7vjxHx9sAxOZLDhYc

日本は、商業捕鯨の再開を目指し、今回の総会で否決されたことしか日本のメディアは伝えていないし、これまで少しは出てきていた調査捕鯨に対する批判的な見方はその陰に隠されてしまっている。
しかし、今回の総会では、前回採択された特別許可捕獲(調査捕鯨)についての常設作業グループの報告があり、その中で、科学委員会の評価と報告を一般向けに噛み砕いて説明することが行われた。調査捕鯨は国際捕鯨取締条約の8条で認められているが、その内容に関しては、ANNEX Pという附属書によって規定されており、また召集された第三者の専門家評価会議での計画内容についての評価が課せられている。
今回の作業グループの報告は、JARPA II 、NEWREP-A、 NR|EWREP NPについての評価で、いずれも致死的調査の必要性が証明されていないという評価委員会の報告が科学委員会で受け入れられたことが示されている。
この報告書の採択に反対する21の国があるのは確かだが、評価委員会の報告と科学委員会がそれを受け入れたことに関してではないし、日本の調査捕鯨に問題があることはまちがいないように思う。

9月のIWC67本会議以降、捕鯨水産側は繰り返しIWC脱退の可能性に言及してきた。一説では「12月に重大発表があるらしい」などという話も出ていると聞くし、「IWC事務局への通告は6ヶ月前。6月に間にあわせるため」などとその理由を挙げる人もいる。
日経の記事でも、IWCを脱退すれば、南極での捕鯨はできなくなる、今回の調査捕鯨が最後になるかも、と書かれている。
調査捕鯨船を出して、その操業が3月に終了するそうだから、そうなるともし脱退を決めてもその後になるのだろうか?もし、12月にその重大な決定が行われても、実際の脱退は6月だからいいだろうという考え方なのだろうか?
この辺りも随分と気になるが、あっちもこっちも立てたいということであやふやなまま出港したとしたら、関係者にとっても気の毒な気がするし、こちらとしては姑息な感じが否めない。

そろそろ誰を守りたいのか、どこが大切なのかを見極め、関係者だけでなく一般の理解を仰いだ上で、原理原則ではない現実的な解決を目指すべきではないか。

2018年11月 5日 (月)

IWC67会議報告−最終日

 最終日の最初は、科学委員会報告の続き。
科学委員会は毎年開催なので、来年、2019年は、ケニアが開催地として名乗りを上げた。
そのあと、オランダが小型鯨類の保全基金として25000ユーロを提供すると申し出る。

昨日の議事の続き、特別許可評価に関する作業部会について、日本とオーストラリアが協議し、作業部会報告を修正したものを議長サマリーに載せるが、同時に報告書に、日本に追加して反対する国々について、列挙することになり、議長がその名前を逐一読み上げた。
ノルウェー、マーシャルアイランド、セントルシア、アイスランド、ニカラグア、セントキッツ&ネビス、ソロモン、セントビンセント&グレナディン、セネガル、キリバス、コートジボワール、ツバル、スリナム、トーゴ、パラオ、アンティグア&バービューダ、サントメプリンシペ、カンボジア、リベリア、ギニア、ラオス。

最後は日本の提案するIWC の将来について。
決議と附表修正を一気に投票にかける。日本の意見としては、参加国はICRWに加盟しながら、持続的利用を否定する国があることが残念。日本の立場としては保護と利用が両立するものだという認識で、前に議論を進めたかったが、フロリアノポリス宣言の評決で共存する意思がないことが明らかである。
日本としては、(決議がたとえ成立しても効力を持たないので、附表の修正を行うことで実効性をもたせたいので)条約に則った決定を求めてパッケージとして全て含めた形で4分の3の評決を求める。

採決の結果、賛成は27カ国、反対が41カ国、棄権が2カ国で採択されなかった。
採決の後、農水副大臣がステートメント。
「日本はこれまで真剣に努力を重ねてきたのに真の問題解決に消極的な姿勢が見られたことが残念。IWCが資源管理機関という大義を確認するために提案してきたが、建設的な提案が反対する側からはなかった。日本としては引き続きグローバルガバナンスの場としてのIWCと協力していきたいが、共存する可能性がないなら、あらゆる選択肢を考えざるをえない」
そのあと、この言葉によって、すわ!日本が脱退!というような記事が出回った。

その後は、今回議事に出された報告書を次々と採択し、次期議長には副議長のスロベニア代表アンドレ・デヴィチ氏が、次期副議長にはアイスランドの推薦するギニアのディアロー氏が決まった。
科学委員会議長は、アメリカのロバート・フーダム氏、副議長はブラジルのアレックス・ゼルビニ氏。

参加国が(捕鯨国も反捕鯨国も)口々にこれまでの科学委員会議長のフォルテュナさんに感謝を述べる。「これまでの中で一番」という声も。

次は、肝心の予算小委員会。議長がアメリカからオーストラリアにバトンタッッチされる。
ビューローの構成も変わる。議長副議長、科学主任、その他地域代表と次期開催地の代表。

保全委員会の毎年の開催につていは合意できなかったので見送り。

次回開催地はスロベニアが名乗り出た。

次は「その他の議題」で、前回に続き、ルクセンブルグの提案。前回は、鯨類のネクタイコンテストで、女性陣が投票して優勝は日本の諸貫さんに決まった。
今回は鯨類のジュエリーで男性陣が投票権を。正面のスクリーンに次々とペンダントやピアス、ブローチが映し出される。解説はベルギーで、上手にユーモアを交えて紹介する。イルカのところで日本が’異議申し立て’。「議長、イルカはIWCの管轄外です!」一同爆笑。ロープ用の首飾りにクジラの尾びれがひっかかってているようなペンダントを見て「(座礁、混獲のワークショップの指導員)マテラさんを呼ばなくては!とみんな突然ノリノリになって、森下議長も「これはその他の議題ではなく、常設議題にした方がいいですね」とニコニコ顔。
優勝者は、七宝のような石のついたクジラの尾びれのペンダントをしていたコスタリカ代表だった。

そのあとも、双方の立場の国が双方の意見を述べてクロージングステートメントで第67回IWC総会が終了。
M&Mコンビが初めてくつろいでいるのが印象的だった。

2018年11月 3日 (土)

IWC67会議報告−4日目後半

IWCの将来については、政府内での協議とさらなるIWC内での話し合いを持つことになり、一旦棚上げ。

議長は、最終日に早めに終わるため、4日目は目一杯議事を進めようと皆に呼びかける。

次の議題は、クジラの捕殺法と福祉について。

もともとは、捕鯨する際の捕殺時間の検討などが主要目的であったが、それだけではなく、世界的に見られる混獲やら網、座礁といった事象に対して、どう対応するかも大きな課題となっている。
ニュージーランド代表が委員会の報告。
混獲やら網したクジラの救出など福祉評価ツールの開発を次回IWCの2020年までに完成させる。また、委員会は、閉会中の作業継続に、自主的な基金提供を求め、それによって行動計画を策定する。また、大型鯨類のら網に関してのそれに対応できる人材育成に関する報告書を採択した。科学委員会の勧告により、ストランディングイニシアティブの進捗を歓迎し、そのコーディネーターの関与に感謝する。また、NGO連合による2000米ドルの貢献も報告された。

一方で、捕鯨に関連する捕殺時間や方法についてもデンマーク(グリーンランドの先住民生存捕鯨)、ロシア(同じく先住民生存捕鯨)、ノルウェー、米国(先住民生存捕鯨)と関係国からの報告があった。
一方で、日本は、当初は提供してきたものの、より多くの課題を求められることに反発し、データの提供を北大西洋海産哺乳動物委員会(NAMMCO)に行っている(南極ミンクの捕殺データを北西大西洋の委員会に送っていることになる)。
NAMMCOが捕殺に関する報告。もともとは狩猟をするための委員会だが、動物福祉にも配慮し、安全とともに効率化を図り、可能な限り短時間で鯨類が死亡する方法の開発を求めている。ただし、環境や条件によって異なるため、ニーズが満たせないことを懸念している。

午後の最初は、科学委員会による日本の調査捕鯨に関する評価に関する常設作業部会報告。
2016年に決議された常設作業部会では、JARPANII, NEWREP-A, NEWREP-NPのついての科学委員会の評価をより簡潔にし、概略をまとめ、本会議の議論に貢献するものだと座長のニック・ゲイル、オーストラリア代表の説明。
評価に関しては、NEWREP-A、NEWREP-NP:致死的サンプルの必要性を証明できていないと言う専門家パネルの報告とそれに従った科学委員会結論について。
JARPAN II:すべてのサンプルサイズが正当化されていない。ANNEX Pに沿ったものと認められない。
との結論。

議論開始。
日本が「もともと常設作業部会には反対してる。国の権利を逸脱したものだと考える。科学委員会が評価とコメントすると条約にも述べられており、政治的な立場で議論をすべきではない。この報告書の採択に反対するが、議長のサマリーに含めるまでは反対しない。しかし、日本のステートメントも同時に入れて欲しい」

アメリカ「報告書の中にある勧告を支持する。条約6条では、議長及び委員会がアドバイスできると書かれている。」
ニュージーランド「専門家パネルの韓国に対応できていない。また、CCAMLRでコンセンサスで採択されたロス海の海洋保護区でのミンククジラの捕殺は認められない」
(日本は、 ロス海海洋保護区内での調査は認められていると反論)
アルゼンチン「作業部会は、わかりやすい言葉で伝えることにより、専門家パネル、科学委員会とのコミニュケーションの改善に資する。」
セネガル「(作業部会報告は)科学的評価とかけ離れている。総会では科学的な議論はできない。ここではできないことをやっている。科学的ではない意見で攻撃されている」
アイスランド「議論することがおかしい。致死情報必要かどうかの議論でもない。どこの国でも日々致死調査は行われている。ないという国は手を挙げろ」


議長「常設委員会の報告書を入れることを求めている」
日本「日本の声明も入れて欲しい」
この件は議長、日本で協議。
アルゼンチンが午後の提案については今晩中にアップし、すべての国の発言を入れて報告書に添付して欲しい」
議長「サマリーで報告しているので前例を作るわけにはいかない」
特別許可捕獲について書かれているANNEX Pの改定について、(文言の使い方で「特別許可」と「科学許可」がごっちゃになっているなど)くべコンセンサスが必要とされた。

ちなみに会議後に掲載された水産庁の報告では:
<水産庁の報告>
(4)特別許可プログラム常設作業部会報告書:
報告書は採択。
ただし、我が国の反論と我が国に賛同する他の21か国の国名を報告
書に明記。
概要:
日本の NEWREP-A、NEWREP-NP 等の調査について、
① 日本は、致死的調査の必要性を十分に立証していない。
② 日本は、不完全な計画案の提出など、調査計画のレビュー手続を適切
に遵守しなかった。
③ 日本は、科学委に調査計画を再提出しレビューを受けるべき

次の議題は、CMP(保全管理計画)実施に関する中間評価。
混獲に関する作業部会の2020年までの作業計画に関して、常任委員会を設立する予定。
保全委員会は河口域のイルカに対する人間由来の脅威についての対応について次回科学委員会が提出することを望む。また、ブラジル、エクアドル、チリ、ペルーの政府と協力し、共同作業をしていきたい。

科学委員会報告、保全委員会報告、保全管理計画を採択。
次はホェールウォッチングハンドブックのオンラインで公表したことの報告。イギリス政府とNGOが貢献し、英語、フランス語、スペイン語で公表。科学委員会も評価。
モナコが、日本やノルウェーでもWWが盛んで、日本には150箇所もあるのに、ハンドブックに入っていないことを指摘。アイスランドが早速反発。保全委員会に入っていない。IWCに介入されたくない、など。
しかし、全体としては歓迎。

国際調査活動
オーストラリアの主導で13カ国がメンバーとなって南大洋で実施されているSORPの報告。
日本が船と乗員を提供して北西太平洋でおこなわれているPOWER報告。2019年にはロシア海域でも調査を開始予定。

南大洋サンクチュアリ
科学委員会での評価がないと常に議論に的になるが、あらたな作業計画も整い、結局は採択。

RMPに従った捕獲枠の議論。科学委員会が評価を行って現在北太平洋のニタリクジラが終了し、ミンククジラは2019年に終了予定。北大西洋に関してイワシクジラ、ミンククジラが終了している。

EUを代表して、オーストリアかノらルウェーとアイスランドの捕獲枠について意見が出る。科学委員会の助言に基づかないバージョンの元での捕獲に対して、留保の撤回を求める。

NGOからも、調査捕鯨による39000頭もの商業流通についての問題の指摘。また、アイスランドで捕獲されたシロナガス/ナガスの捕獲に関して留保撤回を求める。

日本政府、EIA発言に対して、商業捕鯨といったことに関して謝罪を求める。

アイスランドが捕獲枠の選択肢としてのチューニングレベルについては、科学委員会の助言に従っているとし「勝手なものを使っているわけではない。政治的な決定は納得がいかない」と反論。
それに対して、IUCNが発言を求め、科学委員会の科学委員会の選択肢について、本会議の指示を仰ぐことになっており、その決定に従って、管理計画などを立てるので、本会議の選択がなければ適用できなくなると意見。
科学委員会議長は、MSYは承認されなかったと発言。
アイスランドが再び反論し、自分勝手なバージョンを使っているわけではないので誤解を撤回してほしいと要請。
やや歯切れの悪い科学委員会に変わって、IUCNが誰のバージョンというものではなく、科学委員会がテストバージョンを本委員会に図り、その決定に従って助言をするので、異なるチューニングレベルを使うと管理計画が操業に適用できないと発言。
そういえば、2014年だったか?小型沿岸捕鯨の一番新しい日本提案では、沿岸のミククジラのRMP評価が済んだので、その結果としての17等を枠として要求したことがあった。オーストラリアが、まだ評価途上で幾つかの選択肢があり、検討しているところだと発言。日本はじゃあ、それが終了すればいいのか?と突っかかったことがあった。なんでも、17頭はその中で一番大きい数であっ他という話を、アイスランドの発言で思い出した。

再び日本が、NGOが特定の国を批判するのは禁じられているはずと謝罪の要求。結果はわからないが、議長との話し合いがあったのだろうか?

次ぎは非加盟国からの報告。
オーストリアがEUを代表して、ガバナンスレビューが明確ではないので、遵守が不十分な場合があると指摘。意見の相違に関しては、法的助言のできる第三者が必要。

非加盟国の捕獲はカナダが東北極圏でのホッキョククジラ捕獲( 先住民捕鯨)。カナダの科学者が科学委員会に参加し、データを提供している。

そのあとは、ブラジル提案の2030年決議及び、日にあの食料安保に関してコンセンサスが得られないと撤回。

さらに、他機関との連携について。課題に関して、FAOやCMS,IMOなどと協力している。
最後に財運。
これまで、IWCの維持、運営が困難なほど財政が逼迫している。議長は、このままでは7〜8年で破綻してしまうと警告。ガバナンスレビューや運用効率化を図ってきた。科学委員会の経費も30%カットしなければという意見もある。
それにしても、本部の建物の修繕費の話とか、他の会議でもやってるのかなあ?


2018年10月20日 (土)

IWC67会議報告−4日目

4日目。フロリアノポリス宣言が採択された後、いよいよ日本の「IWC改革案」の提案。
日本政府の説明では、
「この提案はIWCの組織的な機能の回復を目指し、今後の道筋を作るもの。
二つの構成要素からなり、一つは持続的捕鯨委員会の設立。条約の一部改正を進め、科学委員会の捕獲枠の提出を求める。もうひとつは附表修正(10e)で、モラトリアムの条文に科学委員会で認められた健全な種に関してはゼロではなく捕獲枠を付ける。改革の規模はいい聞いが’一体感’がある。会議におけるコンセンサスを求める。これまでの失敗を繰り返さないためにも、このパッケージ提案こそがIWCの唯一生き残る道である」
要するに、「みなさんがIWCを「環境条約」とみなしてあれこれやるなら、こちらは「漁業協定」を分派としてやりますよ。どうです?こうすればどちらに取っても都合がいいでしょ?」と言っているわけだ。
ただし、その対象となる海域やクジラが住む地球は別々に2つは存在しない。

早速オーストラリアが日本提案に鋭いツッコミ。
「こういう見方を主張する権利はもちろんある。商業捕鯨については様々な見方があるし、もちろん、それを持ってIWCの意思決定に参加ができる。しかし、オーストラリアは、先住民生存捕鯨には賛成するが、あらゆる商業捕鯨には反対の立場。IWCは保全と管理を組織としてちゃんとやっている。
このパッケージ提案は、3ヶ月前に突然出されてコンセンサスを求められた。現状を考えれば採択されないことを前提として提案されたとしか思えない。意図がどこにあるのか知りたい。」
アメリカが財運として。条約改正のための会議等の費用は、中核予算から出ることになる。任意拠出もありうる。と発言。科学委員会は、枠の算出には追加的なコストはかからないと報告。

EUを代表してオーストリアが発言。
日本の多大な努力にまず感謝。EU内部での議論も含めて対話の機会は継続していきたいが、IWCがモラトリアム以降、30年かけて保全の役割を果たし、先住民生存捕鯨の問題に対処してきたことを無効にするような提案であり、新しい委員会は承認できない。外交会議で条約を改正するということも根本的な意見の相違を無視しており、附表修正に関して過半数可決とすることも不必要な分断を促進する。

続いてアルゼンチン、ブラジルがモラトリアムの継続を支持するも、継続的な議論を続けていく意思を表明。

日本提案の支持も。
トーゴ「フロリアノポリス宣言こそ機能不全に陥っている原因である。日本提案は組織の回復にメリットとなる」
ニカラグア「IWCの保全・管理に貢献する提案。科学委員会も幾つかは健全な状態だと言っている。条約の改正により、秩序ある捕鯨ができる」
ギニア「鯨類に脅威があれば保全、なければ利用するということで、すべての国のニーズを考慮できる。立場を超えて負うべき責任に向かい合うべき。リオ宣言をどう考えるか聞きたい」
セネガル「日本提案は現在の問題点を明確にした。条約を変える道筋を受け入れるべき」
アイスランド「EUだって商業取引をしてるだろ!なんでクジラだけダメなんだ?他の人に押し付けるな!」

結局、16カ国が日本支持に熱弁をふるい、(セネガルの「クジラは陸のライオンと同じだ〜」というような謎の発言もあったが)38(EUの24カ国を含む)が反対意見を述べた。
そのあとは、IWMC(ラポアント)、それと双子のような団体(WTC:参加者名簿に団体名が見当たらなかった)、GGT(宮本氏)が日本提案支持、そしてIKAN、R&Cロースクール国際環境法プロジェクト(附表修正に関する法的な瑕疵の指摘)、アルゼンチンが反対とそれぞれの立場で意見表明。
IKANの発言は以下のブログ参照。
http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2018/09/iwc-edd9.html

発言の際しては、NGO特にAWIの助けがすごく嬉しかった。立場が多少とも異なるのに、私のいう「溝を埋めたい」というコンセプトに従い、チラシの要約を、私が発音しやすい言葉と短い文章にまとめてくれた。
おかげさまで、なかなか評判は良く、ランチブレークの時にはIISDの方が取材にこられた。かつて環境省の外郭団体に所属し、今はレポーティングサービスの仕事をしているという若い女性で、日本の状況とその意図をよく理解してくれた。
また、そのあとではCNNシンガポールやラジオ・フランスの電話取材もあった。

会議終了後、たまたまロビーで(多分)韓国の代表団の方とすれ違った時に、丁寧に会釈をされた。同じホテルで顔を見たことはあるが挨拶までは交わしたことのない方で、ちょっと驚いた。
そういえば、その日はいつも頼んでいる運転手さんが別のツアーでいない日だったので、そうだ!もし一緒に帰れれば安心、と思いつき、その方たち一団のところに行って、すみませんが、と話しかけた。
「日本語で大丈夫ですよ〜」と関西訛りで笑いながら答えてくれたが、残念なことにまだ会議があって帰れないとのこと。しかし、彼は「外にタクシーがいるから僕が頼んであげますよ」と気楽に応じてくれ、早速、待機していたタクシーにポルトガル語で(たぶんイングレセスに送るように)頼んでくれた。そして、なんと恭しく、タクシーの扉を開けて、どうぞと私が乗るのを助けてくれたのだ。そのあとはホテルでも見かけなかったので、実際どうかはわからないが、もしかしたら、私の意見に共感してくれたのか?と勝手に思って嬉しかったのだった。

そうしてもう一つ。
朝、ホテルを出発する前に、突然淳子さんが「早く、早く!来てみて」とベランダから呼びかけてきた。
何事?とベランダに出てみると、浜辺の向こうの波打ち際の少し先に、黒い物体が。「あれ、そうだよね?」と望遠鏡片手に言われてみていると、四角っぽい胸ビレが! ああ、ミナミセミクジラだ!
ブラジルのNGOのホセさんが、今はミナミセミクジラが子育てに回遊してくる時期なんだよ、と言っていたが、本当に現れるなんて!
しかも、私が発言する当の日に。
よく見ていると動きは緩慢で、どうやら大きな母クジラとともに、小柄な子クジラも一緒にたゆたっているらしい。
ホテルの正面に、肉眼でわかるほどに。
それから毎日のように、(サーファーたちが近寄っても気にしないで)2頭はホテルの部屋の前の海を行ったり来たりした(淳子さんは3番目のクジラもいたという)。
この海は澄んでいて、ゴミ一つ落ちていない。そんなところで、安心して母クジラが子育てに励んでいるのだ。やはり子供たちに残したい将来はこんな風景だ、と強く感じいったのでした。

4日目の会議はまだ続く。

(写真は、ベランダからi Phoneで撮ったもの。望遠なし)

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2018年10月19日 (金)

IWC67会議報告−3日目

3日目は、先住民生存捕鯨の議論の続き。2日会議終了後にコンセンサスを得るための合意形成が図られ、幾つかの修正が行われた。例えば懸念が表明されていた自動更新に関しては、合意されたタイムラインで情報の提供を行い、6年ごとに総会で安全性について検討し、変化が認められなければ更新すること。また、キャリーオーバーに関しては、科学委員会での確認を行うなど。また、クジラの捕殺に関してもロシア側から福祉レポートを出し、改善するとされた。多くの国が改善に感謝し、支持を表明。しかし、中南米諸国の中でのWWに依存する共同体への影響が検討されていないなど、まだ懸念を示す国があり、結局は採決に。
結果は、先住民生存捕鯨に関する附表修正に賛成の国は58、反対7、棄権5。

次の議事は、科学委員会の報告。
ヒゲクジラ
個体数に関する評価の見直し。同じデータセットを使い、評価プロセスを均質化。資源が回復しているか/したか/懸念があるかに関する評価を繰り返して、どこに問題があるかを見ていく。
懸念:北太平洋セミクジラ 漁網による絡まりや船との衝突が要因。アメリカ、カナダの当局と協力にして保護を推進。
        オホーツク西部のホッキョククジラ(ASW対象外)石油、ガス掘削が脅威。フィールドワークを再開し、隔年モ
        ニタリングを推奨。
       メキシコ湾 ニタリクジラ 衝突海部のための航路変更、漁具の管理など。
       南アフリカセミクジラ 長期的モニタリングが必要だが財源が不足している。
小型鯨類
        ハンドウイルカの分類が最終化された
 懸念:揚子江スナメリ 2020年までに揚子江全体で漁業禁止措置をとる。
         インダス、ガンジス、イラワジカワイルカ それぞれ重大な懸念(イラワジ、刺し網が脅威。メコンダムの開発
         が生息域を破壊など)
         コビトイルカ(ブラジル、ボリビア、ペルーにまたがる)運河建設による脅威。混獲、らもうなど。
        ハンドウイルカ(ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ)個体群サイズが小さく、混獲や皮膚疾患により減少。
       漁業用の餌としてのアマゾンカワイルカ捕獲懸念。

生体捕獲を行っているオホーツク海のシャチへの懸念も示された。カムチャツカ海域のシャチは、定住性、移動性の2つのエコタイプがあり、個体数も少なく、それぞれに管理が必要な状態であるにもかかわらず、ロシア当局が捕獲許可を出してきた。

議論が開始され、まず、モナコが科学委員会の作業が他の機関から評価されるようになっており、より強化して国際的にもリーダーシップをとるべきだと意見。
毎回、懸念が示されるメキシコ湾のバキータ(コガシラネズミいるか)に関しては、長年その調査、研究をしてきたメキシコ代表(保全委員会の議長も務める)が政府の取り組みを紹介しつつも、バキータが混獲される原因になっているトトアバの密漁について、取引額がコカインよりも高値を呼んでおり、場合によっては1日で16万ドルも稼げる現状を訴え、生息域の北側で取締が弱いことを示した。トトアバを利用してきた中国が前回に引き続き今回参加していないので、国際的な防止策には至らない。
イギリスが小型鯨類基金に1万ポンド提供。(後ではNGOもアジアのカワイルカに、と支援の申し出。こうしたボランタリーな資金提供が小型鯨類の調査や研究を支えている)
アルゼンチン、ブラジルなどが自国の保全計画等の取り組みを報告。
報告書は採択された。
次の議題は「鯨類の健康と疾病」
ブラジルのギアナイルカに特殊なウィルスが発生したことやアメリカ西海岸の有害な藻類の発生などの報告がある。
次は「個体群分類」
ノルウェーがDNA解析を今後マイクロサテライトに変える、など。
「鯨類の環境」
IWCのSOCERプロジェクトで気候変動問題に取り組む。
CCAMLRや南極条約との協力で氷縁後退などに対処。

チリが主体となって、前回の決議に次いで、鯨類の生態系への機能向上貢献を理解し、ボン条約など国際機関と協力してより強力に科学委員会と保全委員会にその理解の前進を促す決議案を提出している。

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こうした研究は最近とみに増えてきており、クジラの二酸化炭素の貯留機能、死体が深海の貧弱な生物多様性を豊かにしていること、糞による中層、海面などの生物多様性への貢献など、様々な形で報告されてきており、人間の肉の消費と比べて多様な形で海洋生態系に貢献していること、したがって今だけではなく将来にわたって、人類にも貢献するのだろうことは理解できる。

しかし、これは私の個人的な偏見かもしれないのだが、わざわざ決議として残すことで、こうした生態系の複雑さを強調することが両方のサイドの合意形成に資するか?という疑問が前回決議の時にもあった。(中学、高校とミッションスクールで、文句なしに素晴らしい宣教師の先生たちに育まれた私の感性がいじけて発露するのだろうか、そうした親切な’教え’が必ずしも人々の理解に有効だとは限らない、むしろ溝の深化となるのではないか?という猜疑心がある)

早速、捕鯨推進勢力からの反発意見が出てくる。 
日本「鯨類だけ取り上げて、それぞれの役割を無視している。大体、条約の趣旨を無視した決議案で立場の異なる人たちが受け入れるは難しい」
ノルウェー「日本の賛成。栄養段階は環境により変化する。例えば、鯨の餌生物の分布にも影響されるもので、1%未満の捕獲で大きな影響があるとも思えない」
アイスランド「生態系アプローチは重要で力を入れるべきだが、科学委員会は10年以内には評価できないと言っている、知見を深めるのはいいがだから他のことをストップすべきではない」

採決の結果は、決議案支持40、反対23、棄権7、欠席1

次は鯨類への汚染問題。SOCERプログラムで汚染物質のマッピングツールを作る。各国政府の汚染物質に関するモニタリングプログラムを推奨。北極海航路の活発化による重油汚染への懸念など。
報告/勧告採択。

海洋ゴミに関しての議論。ブラジルが、放置された漁具に絡まる鯨類に関する決議案を出している。

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IWCではら網に関するワークショップを行い、その対処法を開発、ネットワークを組織して対処してきている。
各国政府に自主的な報告の提出をうながし、ら網に関する能力開発を行って鯨類のら網による死亡を減少させることが目的。
日本は、委員会の管轄外であり、FAOや IMOが取り上げるべき課題だとしたが、他の機関の作業と重複しないという文言を入れることにより、採択を妨げないと発言。
各国が自国での取り組みを紹介。
追加文章を含めてコンセンサスで採択。

次は人間由来の水中騒音。
科学委員会と保全委員会の合同報告書。
EUを代表してオーストリア他から決議案が出ている。
人間由来の水中騒音としては、船の航行や地震探査、海中油田などの掘削、ソナーなどによる騒音が激しくなってきている。
特に音響に依存している鯨類に関して、科学委員会と保全委員会の協力のもと、影響を把握し、SDGs14にある2030年の汚染削減目的に向かって、IMOや CMSなどとも協力しあって削減に努める。

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オーストリア代表は、確か2000年の時点で他の国に先んじて、低周波ソナーなどによる水中騒音に関する意見を述べた人だ。水中騒音による影響を各国代表は認めながらも、IWCの管轄ではない、などの意見が出る。また、現在国連海洋法条約で議論されている国家管轄外の生物多様性(BBNJ)に関しては決議に収めるべk智慧はないという意見もあって、削除するが、その上で採択。
次は保全委員会の混獲に関する報告。15カ国参加で行われたワークショップに関しての報告書が出ている。2018年から2020年に向けての混獲イニシアティブが常任委員会では採択されているが、財源が乏しく、拠出を求めた。NAMCOも混獲が捕鯨以外の脅威であると認識し、作業部会を設置したようだ。

次にフロリアノポリス宣言。

鯨類の非致死的利用の推進を訴える内容。
鯨類が生態系の機能に重要な役割を果たしていること、また自然界と人々にとって貢献していること。沿岸共同体、とりわけ途上国の人々にとって非致死的な利用が目覚ましい利益を提供していることを強調している。
さらに、21世紀の委員会はとりわけ鯨類の個体群を捕鯨前のレベルに回復させることに合意し、商業捕鯨モラトリアムの継続を再確認する。また、今日では数多の非致死的な調査方法が確立され、致死的な調査は不必要となったことも指摘。
先住民生存捕鯨が先住民共同体にとっての利益になるよう委員会が保全と管理の目的に沿い、また猟師の安全性とともに鯨類の福祉にも叶う方法を確認。
国連とその下にある環境条約と連携して鯨類保全を推進することを求めている。

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「IWCの将来」と題した日本提案が出されてから、対抗措置として出されたように見えるこの提案は、最終的に、4日目の朝に採決に付され、42対27で採択された。

ここのところ、IWCを環境条約と考える認識が確かに広がっている。すでにほとんどの国が捕鯨産業から足を洗うか、関わったことがないかであり、捕鯨そのものに対してよりも、クジラの保全に強い関心を持つ国際世論が形成されているのは不思議でもなんでもない。
しかし、一方で国内に捕鯨産業を抱え、あるいはクジラを水産物として扱うことを良しとし、この条約は「漁業協定」だと認識してそれ以外のことは関係ないと考えている国々もあるわけだし、この違いをどうやって埋めていくのか
を考えるか、国際世論の動向だからそうした少数意見は押しつぶして構わないと考えるか、ということは今度こそ重要だと思える。
日本は、一応背水の陣を引いて、漁業協定であるという立場を明確にし、それを否定されたわけであり、今国内でごちゃごちゃしているIWCを脱退するとかしないとかの話もその延長線上にあると理解できる。
が・・・
しかし、ここにきて、日本がやるべきことは他にあるのではないだろうか?
私たちはこれまで、問題解決に向けて日本国内での捕鯨関連産業や鯨肉流通の実態を明らかにし、問題の解決を図ってきた。これまで日本がうやむやにしてきたことー誰を守りたいか(共同船舶なのか、地域の漁業者なのか)、どこが重要だ(商業捕鯨の再開が必要なのか、限られた鯨肉の供給を守りたいのか)と考え、残したいのかなど、日本のいわゆる’原理原則’としてきたものではなく、現実に即した解決法を真摯に見出し、そこに限って粘り強く要望していくことを考えるべきではないのか、と今回会議に参加して強く思うようになった。

2018年10月15日 (月)

IWC67会議報告−2日目

2日目は、ホテルの正面で抗議行動している人たちに対してセキュリティを強化したという報告で始まる。嫌がらせを受けた人たちがいるということで、そういう行為があったら即刻報告してください。(そういえば、初日に血だらけのクジラの着ぐるみの人が近づいてきた。暴力行為があったわけではなく、そばにきて「日本人、クジラ殺すな。」って言っていただけだが、2日目にはいなかった。まあ、意思表示はいろいろ。効果的かどうかは別として)

議題の変更がある。ブラジルの環境大臣が参加しているが、会場にいることのできる時間が限られているので、最初の議題に南大西洋サンクチュアリを扱ってほしいという議題修正提案があった。
南大西洋サンクチュアリは、2001年から何回か提案されてきており、4分の3の賛成票を獲得できないまま、今回に至っている。その間、周辺国の理解がない、とか、管理計画がないとか反対する国の言い分を聞いて、着実に設立に向けて計画を充実させてきた。今回、ブラジルが主催国になった経緯も、サンクチュアリの採択を目指したものだということは明らかだ。

「サンクチュアリは非致死的調査の良い機会になる。また沿岸地域の意思はWWであり、鯨類保全に即したもの」(アメリカ)、「反対する国は科学委員会のレポートを参照してほしい。管理計画を含めて総括的な提案になっている」(メキシコ)、「高度回遊性の種に関しては小さな保護区では対応できない。提案されている海域は、鯨種も多く、豊かなところであり、食餌レベルが高次である種の保全は栄養段階のより低い生物に取っても恩恵となる」(モナコ)など支援する意見も多数出たが、反対する側は相変わらずで「科学的な必要性がない。一部の脅威にも見対処しても例えば気候変動に対しては対応できないではないか」(日本)、「科学委員会の議長だって捕鯨に関係ないところに大きな脅威があると言っている。対応が全ての種にまたがり、個別の差に配慮できない」(ギニア)、「商業捕鯨は50年以上やっていないし、今後もないだろう。今作っても何かできるわけではない」(ソロモン)、「鯨を他の資源と切り離すべきでない」(アンティグア)など賛成、反対が入り乱れて結局は投票にかけられることになった。
就任後初の投票で、少しまごついたものの、レント事務局長がベニンからの投票国を読み上げる。
結果は賛成39対反対25でまたしても4分の3には届かなかった。ケニア、ニカラグア、セントビンセントが棄権。

コーヒーブレークを挟んで先住民生存捕鯨(ASW)の議論。提案説明は1日目に終わっている。
デンマーク王国、ロシア共和国、セントビンセント&グレナディン、アメリカ合衆国による共同提案で、項目は

・先住民生存捕鯨制度におけるキャリーオーバーの規定のアップデート
・2025年までの1回きりの7年の枠持ち越し(その後は6年ごと/本会議2年ごとに合わせて)
・クジラの個体群保護を目的とした安全性の上に立った限定的な銛打ち数の自動更新
・もとは商業捕鯨のために採択された附表の5及び15(b)項*の技術的な微調整
・東グリーンランドでのASWに求められた安全性に従った年間の銛打ち数を増やす。
・北東太平洋コククジラにおけるいわゆる’くさいクジラ’問題とASWの安全性に従った年間の銛打ち数を増やす。
・附表13(a)の技術的な修正に関する科学委員会の助言に従った委員会の捕獲枠/銛打ち数の包括的な評価
(*5項 ミンククジラ捕獲の実施期間
  15(b)ナガスクジラの体長制限)

先住民生存捕鯨に関しては、毎回のように先住民捕鯨の当該地域でのワークショップが開催され(スイスとアメリカが自主的な資金提供)、その中で現実的な解決が図られてきた。今回は、バローで関係者だけでなく、NGOも含めた参加者によってのワークショップが開催されている。作業部会の報告書は承認。
先住民の中には、IWCに捕獲の許可をもらうことが屈辱と考える人たちもいて、どうすればIWC の管理と先住民の人たちの思いとの調和が図られるかということも課題の一つになってきた。今回の枠の自動延長などもその例の一つだと考えられるが、科学委員会の助言も入れ、提案そのものがかなり先住民の要望をそのまま受け入れたものになっており、まあまあ満足した結果となっているようだ。

枠の自動更新などかなり大胆な修正の行われた今回の提案だが、議論は概ね好意的。
ただし、インドやガボンなどのように、将来的には非致死的利用の検討してほしいという要望や、グリーンランドで捕獲されているザトウクジラの系群のうち、カリブ諸国のWW対象となっているものが存在する可能性があり、写真判定などを求める(アルゼンチン)などの声もある。

ちなみに、セントビンセント&グレナディンの捕鯨は、アメリカのいわゆるヤンキー捕鯨が元であり、他のものと一括するのに対して反対の声がある。
また、ドミニカ共和国の提出した2014/15期のグリーンランドの捕鯨は違反(2014年会議で枠を否定された経緯がある)であるという決議案は撤回されたが、しこりは残っている。
自動更新に対する懸念も幾つかの国やIUCNから出されている。

問題は、すべての参加国が先住民生存捕鯨を支持しているというのに、すべて一括して賛成か反対かと問うことに対しての抵抗があることで、今回の附表修正を支持する声がともすると「ASWを支持するなら細かいことをツベコベ言うな!」という無言の圧力に傾きがちなことは問題ではないのか、と思う。

2日目は終了。
1日目は恒例の主催国政府のレセプション。会場のある高級リゾート「コスタォン・ド・サンティーニョ・リゾート」の食堂(ビュッフェ会場)で、幾つかのテーブルを囲んでのディナーブッフェ。
ちなみに、開催前に水産庁のM氏がいうに、会場ホテルがいくら治安がいいと言っても1泊5万円は高すぎ。結局治安の外に行かなければならない、と言っていたが、結局、政府代表ご一行様は、高級リゾートにご宿泊の模様。例の某’有名’監督が、一泊1万5千円で泊まっていると言っていたそうで、きっと政府ご一行様はみなさん団体割引でもしてもらったのだろうと推測。もっともそれでも私たちのところの三泊分ですが。

2日目はやはり恒例のNGOのレセプションで、ビーチのレストランを借り切ってのパーティ。政府主催はメディアを入れないがこちらは誰でも参加できる無礼講。会場では、懐かしいボサノバの今風アレンジのギター演奏(日本でも50年前にはすごく流行っていた!)。そして、プラスティックフリー、ミートフリーのブラジル風ビュッフェ。
昔馴染みの人たちと今の日本の若者の保守化の話などしていたら、ある国の代表が、「ねえ、日本は一体どうしたいというの?あなたなら答えられるんじゃないか、って言われたんだけど?」。
「そうですね。日本はとにかく、国の原理・原則を強く主張したいだけだと思う。そうすれば、国に帰って次の予算が取れるから。とにかく具体的な解決ではなく、メンツが大事なんです」などと下手な英語で説明していたら、別の国の代表もやってきて「数年前に、水産庁の役人と話したんだけど、話が全く抽象的で、クジラにも捕鯨にもそれほど具体的な関心がないように見えて残念だった。とにかく、大切なのは国の体面、一種のナショナリズムだよね。まるで筋肉対決やってるみたいだ」と。
見透かされていることを知ってかしらずか、「もうこれ以上同じ議論はしたくない」、とか、「IWCは終わりだ」とかよく言うよ、と思いませんか。

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2018年10月12日 (金)

IWC67会議報告−1日目

9月10日、10時きっちりに森下丈二議長が開会を宣言。
翻訳機械の取り扱い説明。メディアへの注意事項。ブラジル政府の挨拶までの時間つぶしの面白みのないジョーク、などなど。

ブラジル環境大臣の挨拶は、パリ協定を例に、地球の将来への国際社会の取り組みについて、特に国境を超えた生物多様性を人類が賢く利用するための保全措置などを提唱。沿岸域での海洋保護区の取組紹介とともに、2017年のボン条約におけるサンクチュアリ・イニシアチブが全会一致で採択されたことを紹介し、今回提案している南大西洋サンクチュアリの実現に向けて管理計画等の整備など前進していることを紹介し、採択を求めた。

そのあとは、サントメプリンシペ、とリベリアの持続的な水産資源の利用の推進についてのコメントと続いた。
ちなみに、サントメプリンシペは、西アフリカのギニア湾に浮かず火山列島で、人口は16万6千人。リベリア共和國は、同じく西アフリカの国で、国名はラテン語の「自由な」に由来。西アフリカ諸国と日本は結構つながりが深い。
いずれも、コート・ジボワールやガーナなどと同じく、日本政府が力を入れているCOMHAFAT(大西洋沿岸アフリカ諸国漁業協力閣僚会議)のメンバー国でもある。そういえば、最終日に、COMHAFATメンバーだという沿岸漁民の女性が、持続的な水産資源の利用を訴え、クジラが魚を食べ過ぎることに言及してたっけ。

続いて、参加国のうち政府閣僚級の挨拶。
まず、オーストラリアの環境大臣がIWCのガバナンスについてコメント。サンクチュアリの必要性への理解と、日本の特別許可捕鯨に関して透明性の高い情報の上での議論を求めた。また、今回の日本提案について、大規模商業捕鯨は過去のものであり、認められないこと、IWCの運営が当事者すべての利益にはかなっていないにしても透明性の高い議論で良い会議運営ができていると讃え、また、かつては捕鯨の管理のみで保全ができたが、現在の脅威はそれだけでは済まないとし、多様な脅威に立ち向かう必要性を訴えた。

次は日本。まず、谷合正明農水副大臣が、今回重要なことは先住民生存捕鯨だけではなく、長く解決できなかった真の課題の解決を目指すことだと表明。「遅くとも1990年までには科学的評価を行うとしてきたモラトリアムの解除がまだできていないとし、(出た!前のブログでも書いたが、1990年にはミンククジラの推定個体数も、RMPの合意もまだで、科学的に評価ができるわけがない。水産庁さん、’国の顔’として話す人に恥をかかせてはダメじゃないの!)、世界中に鯨肉が必要な人が存在することに敬意を払うべきで、意思決定を尊重しない会議はグローバルガバナンスにとって逆効果だと主張した。(意思決定に逆らい続けているのは・・・ねえ)
次は、岡本三成外務政務官。(お二方とも公明党だった)
まず、IWC科学委員会の成果を称賛。一方で、条約が追求する目的が果たされていないとした。加盟国の求めに従い、条約の趣旨と目的の実現を目指すべき。しかし、これまで共存の道を目指してきたが失敗してきたとし、日本だけでなく、同じ意見の国々の主張を尊重し、建設的な議論をするための転換点と今回を捉えるとコメント。

確かに条約の目的は「鯨類の適切な保全を図って捕鯨産業の秩序のある発展を可能にする」だが、’捕鯨産業の秩序ある発展’が現在可能かどうか。
日本についていえば、かつての捕鯨産業は全て手を引く中、補助金なしでは公海での操業だけでなく、沿岸海域でも採算が合わない事業になりつつあり、それが商業捕鯨を再開することによって回復するとも思えず。
ノルウェーやアイスランドでは留保して沿岸域での商業捕鯨を実施しているが、同じように鯨肉消費の落ち込みもあり、日本への輸出が期待されているし、アイスランドに至っては、今年、国内向けのミンククジラの捕獲を、収支が合わないと取りやめてしまったくらい。
日本支持のカリブやアフリカ諸国がどうしても捕鯨をやりたいと言っているならまだしも、彼らの求めているのはいわゆる食料安全保障なので、その解決が限られた資源でしかないクジラの捕獲とも思えず。また彼らが今クジラ肉が食べたいとも言っているわけではない。
それよりも、条約ではまず「これ以上の乱獲からすべての種類の鯨を保護することが重要であることにかんがみ」とまず保全を訴えているわけだから、食べたいがための既得権獲得を認めさせるために、『取らねばならない!』と意気込むことがそれほど重要か。今の所、IWCは鯨類の管理をまずまずうまくやっていると言えるのに。

セレモニーはおしまいで、次に事務手続き。今回から、レベッカ・レント博士が事務局長として、参加国(89のうち現時点では75カ国)とか、分担金が支払えていなかったり、信任状が不備だったりして投票権がない国を読み上げる。
議事運営の確認など、議長に変わり、議事の概要、個別議題の確認など進行上の説明に移る。
先住民生存捕鯨に関する決議案が取り下げられたこと、また、日本が附表修正と決議案との二本立ての提案をパッケージとして提出していることの紹介。
内容修正についての意見(チリ「議案85でSPをscience permit としてるけど、special permitでは?」と細かい)

議題採択され、次に科学委員会フォルテュナ議長によるわかりやすい詳細な委員会報告。(2014年の北門議長の短い報告とつい比べてみたり)
資源評価について。RMPが優れているとして他の漁業機関等で使われていること。今後、保全、管理においてどのような展開が可能か、など、前向きな説明。
北太平洋ミンククジラの資源評価とインプルメンテーションの開始について。同じくニタリクジラについてはまだ継続中であることなど。
先住民生存捕鯨の捕獲枠算出についてはすべての評価がすみ、影響はない状態。
次に、保全委員会との協働で実施している小型鯨類、アラビア海の希少なザトウクジラに関する懸念。
鯨類のDNAガイドラインの更新。
混獲、ら網についてデータベース化したこと、IMOに協力して船舶との衝突回避に関する小委員会に参加。
その他環境影響懸念について。
小型鯨類の生け捕り問題。特にロシアのシャチの捕獲。
ホエールウォッチングに関するガイドブックを公表したこと。
決議23に基づき、日本の調査捕鯨の評価についても言及があった。
そのあとで質疑。
科学委員会報告詳細は以下。
RS6940_SC67bReport.pdf

次は、保全委員会(政府訳では保護委員会)報告。
科学委員会との協働と資金調達。
ホエールウオッチングガイドラインのウェブアップなど。

そのあとの議論では、保全委員会も科学委員会同様年次会合が持てないか(オーストラリア)
小型鯨類は現在IWCの管轄外だが、科学委員会は鯨類の専門知識を有する科学者が揃っており、他機関とも共有すべき(ニュージーランド)など。
詳細は以下。
IWC_67_REP_05.pdf

保全委員会のガバナンスの評価についての議論。
2016年にもガバナンスの評価に関する決議も出ており、主要関係者への質問等を踏まえ、ビューロー会議(本会議が1年おきになったので、閉会中に課題整理等をする。決定権はない。本会議議長、副議長、財運議長と各地域代表)を経て、科学委員会、事務局との関わりなど関係性を強化すること、決議のフォローアップ、補助機関によって効率化を図るなどの議論があった。
一方で、財源の限界から、どのように作業を効率化し、優先的な課題をこなすか、本会議と補助機関、そして外部のステークホルダー(環境関連条約など)とのコミニュケーションの強化などについても議論された。
科学委員会とともに毎年会合を行うことは全体としては受け入れられていないようだった。

詳細は
IWC_67_CC_05_rev1.pdf

次に附表修正提案(参加国の4分の3の賛成が必要)に関する概要紹介。各提案5分ずつ。

アメリカから、先住民生存捕鯨実施国4カ国提案として、(本会議が隔年になったことを踏まえ)7年見直しを一度行って年度を揃え、次から6年ごとの見直しを提案。キャリーオーバー(年度内に捕獲頭数に達しない数を翌年に持ち越す)に関して、環境によって捕獲頭数に到達しないため捕獲のリスクが起きるので、全体として捕獲数が変わらないこと、また情報提供を怠らず科学委員会による継続的な判断をあおぐなどで問題を防ぐことを前提に提案。実質議論は後で。

次に、南大西洋サンクチュアリのブラジル、アルゼンチン、南アフリカ、ガボン、ウルグアイの共同提案。
これまで指摘されてきた管理の不十分性を補う管理計画の策定が紹介された。また、国連海洋法条約の元で保障されたそれぞれの近隣諸国の権利を損なうものではないことが強調された。

詳細は
IWC_67_10_rev1.pdf

次は、ご存知日本のIWC改革提案。
議長は、附表修正と決議案と二つあるので、それぞれ5分で10分ね、と倍の時間配分。

資源の安定している一定の鯨種に捕獲枠を設ける附表の修正(10eに一定の鯨種に枠を設ける項目 fを追加)と持続可能な捕鯨委員会の提案(先住民生存捕鯨を含む)。既存の保全委員会ともう一方の側の委員会の設立(決議案)。科学委員会に対して、RMPのもとでの捕獲枠を求めるなど持続可能な鯨の捕獲を目指して各委員会の中でコンセンサスを得られれば、過半数での票決が可能にあり、双方にメリットがあるはず。
背景説明として、これまで機能してこなかった管理機関としてのIWCの役割を果たすための改革案をパッケージで提案し、コンセンサスを目指す。これがIWC を改革する唯一の方法。共存できることを望む。

附表修正提案の後は決議案の紹介。
まず、オーストリア提案の人間由来の水中騒音問題。音響の動物である鯨にとって、聴覚障害など生理的に問題を引き起こす恐れ。また生息域や繁殖域から離脱せざるをえなくなることもあり、今後長期的な影響についてはまだ不明。科学委員会の緊急対応と他機関との協力で緩和措置をとることが必要。
(思えば、2000年、AWIのベン・ホワイト氏が米海軍の低周波ソナーのことで再度イベントを行い、その後、日本にも配備されるということで、勉強会を行ったこともあった。騒音ひっくるめて正式議題に取り上げられるようになったんだ、と感慨深い)

次はガーナ提案の食料安保。将来の人口増加で96億人が飢餓に直面する恐れ。漁業が重要になる。リオ+20の海洋保全と利用、またSDGs14にもあるように、環境リスクを見越して問題の完結とする必要がある。鯨は何千年も利用されてきた。IWC加盟国の多くはまたFAO加盟国でもある、食料供給と文化的生活のため協力してミッションを達成する。

ブラジルによる流出した漁具による鯨類のら網に関して。絶滅に瀕する鯨種にとっての脅威になっている。発見のためのテクノロジーや他機関との連携が必要。
フロリアノポリス宣言。
IWCの21世紀の役割として提案。保全に関する貴重な活動を支え、モラトリアムを継続、科学的活動としての保全の強化を訴えるもの。

次は、独立ガバナンス評価のコンセンサスでの採択。

グリーンランドの提案は取り下げ。

次は、チリのクジラの生態系への役割と生物多様性への貢献についての説明。クジラの存在が地域の健全性に貢献している。
ボン条約との連携の強化と決議の共有が必要。

サクサクと1日目の議題終了。

外では、捕鯨に反対する人たちのパフォーマンスが。


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2018年10月 9日 (火)

IWC67会議詳細報告−その前に

 IWC67総会後、案の定というか、各紙は日本政府の言い分通りの報道を行ってきた。
そして、捕鯨議連は総会を開き、さらに言い分を強めてIWCのあり方を問題視し、脱退に言及。
外務省が及び腰だと呼びつけて脅したりしているようだ。
しかし、反捕鯨国が商業捕鯨という言葉そのものを嫌うとか、科学的ではないとか行っているが、その言い分といえば国内向けで、ちょっとでも中身を分かっていれば茶番ではないか、と疑うようなものだ。

例えば、10月 日付の浜田議員のインタビュー。「前からひどい会議だと思っていた」そうで、その例としてフロリアノポリス宣言が「宣言と名のつくものなら本来はコンセンサスで本来はコンセンサスで採択されるべきものだが、多数決で強引に」(なら、持続的な利用を歌った2006年のセントキッツ宣言はどうよ? ’強引に’採決したんではなかったっけ?)
フロリアノポリス宣言については、日本の「IWC改革提案」に対抗して出されたものという側面があるのでちょっと引っかかるものが残るが、結構真面目に合意形成が図られていた。
一方で日本の「改革案」は、コンセンサス合意と言いながら、中身はこれまでの対立構造をそのまま持ち込んだもので、会議場でもいろいろな人から「え?日本はどうしてこんなのを出してきたの?真意はどこにあるの?」と質問されたり、驚く声が多かった。「二極化を防ぐために双方に利益がある」と言いながら、「持続的捕鯨委員会」のような二極化を拡大するような提案を出しておいて、何をか言わんや、である。「地球B」は存在しない。まるで保全も管理も机上の空論がごとし、に見えてしまうのだが。

また、彼らの好きな言い方に(モラトリアム見直しに関して、1990年に行うという当初の話を持ち出し)、「科学に基づいた見直しを行うといったん決めたことを守らずにここまで来た」と言うが、1990年にはまだ日本が捕獲したがっていたミンククジラの推定個体数も明らかではなかったし、日本も合意した改定管理方式(RMP)もできていなかった。2006年のJARPA評価でさえ、南極のミンククジラの推定個体数は「増えている、減っている、あるいは変化なし」と全く不明であり、合意されたのが2012年だということもいくらなんでも知っているだろうが、と思う。どこが科学に基づいた見直しだか?
「人権」ではなく「鯨権」には恐れ入った。席を外していないで、あるいは居眠りこいていないで耳を澄ましていれば、南アメリカ諸国の沿岸の小規模、零細漁民と沿岸住民にとって、ホェールウォッチング産業が大きな支援になっていることは理解できたろう。一部利権による商業捕鯨再開よりも、よっぽどSDGsのゴールに向かう道につながるだろうに。

さらには脱退する、するといってしないだろう、という声が出てくると、今度は分担金を出さないもんね、とくる。日本が一番多く負担していると言っているが、調査捕鯨をはじめ、いろいろと厄介ごとを持ち込んでいるのだから、仕方ないのではないだろうか。議員たちの’政治手腕’と言うのがこうしたヤクザまがいの手法だとしたら、この日本の政治の貧困さのまさしく象徴ではないのか、と思われる。

こうした国内報道のいい加減さを身につけ、概要だけで済ますつもりが、少し何が行われたのか書いた方がいいのかなと思った次第である。


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