2016年12月 3日 (土)

スロベニア、その他のこと

 今回会議は、前回と同じスロベニアで開催された。図らずも、アメリカの選挙で、次期ファーストレディになるかもしれない人の出身地ということで知られるようになったスロベニアだが、2度も連続してホスト国になるというのは稀なことで、事務局長が「スロベニアがIWCの第2の故郷になった」というような紹介をしていた。来年の科学委員会も、同じくスロベニアのブレッドで開催される予定だ。
 2014年のIWC65の参加は、ドーハ、ベネチア、トリエステ経由で海辺の町ポルトルージュに入ったためそれほど強く意識はしなかったが、緑豊かな美しい国だと、今回、首都リュブリャナからバスで移動しながらつくづく感じた。
バスの窓からは、森と田園風景が交互に現れ、紅葉に始まった木々と、まだ緑が色濃く残る牧草地に放たれた馬や羊の姿があちこちに見られた。
そういえば、初日の環境・空間計画大臣(こうしたポスト名にも、スロベニアの意思があると感じた)の挨拶でも、国の半分を占める緑をはじめとした自然を守っていく姿勢がはっきりと出ていた。

 私たちがお世話になったアパートは、港町のピランにあり、道路の向こうは海だ。観光地らしく、貸しアパートや小さなホテル、レンストランなどが並ぶ道路の向こう側のアドリア海は驚くほど澄んでおり、岩場にはウニやムール貝が付着し、透明度の高い水には魚の群れが見える。会期中に、この海でイルカを見たという人も何人かいた。
帰りのシャトルバスで聞いたのだけど、この海も15年ほど前までは、町の排水が容赦なく流れ込み、汚れていたそうだ。それを市民たちが協力して浄化したという。そういえば、海辺のあちこちに、木と魚の組み合わせのイラストのポスターが貼ってあったが、気がつくと、街中を走るバスとかタンクローリーにもそのシールが貼ってあるのだ。
日本でも最近話題になってきた沿岸域の統合的な管理の構想は、すでにEUでは当たり前なのかもしれない。
と書いていたら、今朝、スロベニアは安全な水は全ての人々に不可欠なものだという法律を作ったという記事が掲載されていた。
https://www.theguardian.com/environment/2016/nov/18/slovenia-adds-water-to-constitution-as-fundamental-right-for-all?CMP=share_btn_fb

自国民を戦争に駆り立てる法律、TPP、年金カット法、そして今度は賭博法と、全く市民の意思、そして生活を踏みにじるような法律を連射する何処かの国とは大違いだ。

次回IWCで副議長を務めるのはこのスロベニアのビビクさんだ。直接の会話はないが、一度、エレベーターで乗り合わせた時に、一緒に乗っていた人たちに、今日まではお湿りだったけど、明日からは晴れますよ、誰ともなく、と楽しそうに語りかけていたのが印象的だった。’何処かの国’に振り回されるな、と念じたりして。

2016年11月29日 (火)

スロベニア その他の話

 <映画で使われた?>
 会議の初日の事。太地町の三軒町長がニコニコして「映画見ましたよ」と話しかけてくる。「えっ?私まだ見ていないのですけど、なんて言ってました?」と聞くと「いいこと言ってましたよ」とうなづくだけで具体的な話にはならなかった。
 S監督は、2時間ほどのインタビューの一体どこを切り取ったのだろう?
 気を取り直して「そういえば森浦湾・・」と言い始めると、「いやいや、あれは記者が勝手に書いたことで、私たちとは関係ないことです。私たちが思っているのは、森浦湾で国際的な鯨類研究をしようということですから」という。
それでは、ボルチモア水族館のように、飼育イルカを解放するためのサンクチュアリにしたら?というと、「ええ。水族館のイルカを入れて、ゆくゆくは繁殖した子供を放すことなども考えています」。それはちょっと、と思ったが、いずれ伺いますからその時意見交換しましょう、とその場を離れた。
 会場で座ろうとすると、大隅御大が近づいてきた。「やあ、嬉しいな。あなたが考えを変えたって聞きましたよ」という。びっくりして「え??」と聞き直すと「捕鯨推進になったというじゃありませんか」????。そんなことどなたから?と聞いても答えがない。例の映画だな、とまた不安になるが、捕鯨を是認したコメントなど言っていないことには確信がある。
 それでも、彼もさすがに3日目のNGO発言(10月18日に出した日本のNGO17団体の共同宣言)の後は、むっとした顔で話しかけては来なくなった。

<2つのIWC>

 6月以降、森下丈二代表がIWCの二分化を主張し始めている。曰く、捕鯨推進は沿岸捕鯨や食料安保(南極など公海での操業?)を、そして反捕鯨はクジラ保全や環境、動物福祉を担当すればいい、と。ここにはクジラが生きて動いているものだという認識は全く感じられない。
また現在、調査捕鯨で好き勝手をやっている日本は、すでにこの主張を実践しているようにも見える。

  これまで反対する人たちがいて、きつく監視してきたからこそきちんとした管理への道筋ができた。また、必要なところ(例えば先住民捕鯨)には、枠が設けられてきたのだ。対立そのものは決して悪いわけではない。ところが、
 「対話」とか「理解を得る」とかいいことを言っている日本がやっているのは、とにかく規制を受けない捕鯨を存続するために条約改正に踏み込まれないことだ。そのためには、4分の3を反捕鯨に取らせないことが至上命令であるのは明らかだと思える。

 一方で、反捕鯨側はどうかというと、例えば、ニュージーランドは2014年にどのようにIWCを改革していくのかという投げかけの決議案を出し、採択された。また、今回も、オーストラリアとともに、科学許可の要件等を議論する作業部会設置を含む特別許可のを管理できるための決議を通している。日本がいくら反対し、今も古くないと言い張っている国際捕鯨取締条約は、すでに性格が変わっているのは確かなのだから、本気でIWCの将来を考えるなら、この方向に踏み出さざるをえないだろうと思うが、二分の一で採択される決議には拘束力がないため、埋めるべき溝は埋まらないのが現実だ。
 日本は、「IWCの将来」と銘打って、捕鯨時代の条約を復活させようと、様々な思惑で日本に加勢する国々を巻き込んで行っている。’かつてのような乱獲はありえない、守るべきは守り、持続的な利用を推進する’、と言いながら、今回のNEWREP-NP案を見ればかなり疑わしいものだ。
そして、モラトリアムを解除するための4分の3は獲得できないことを承知の上で、2006年のセントキッズ宣言とか、今回の食料安保決議などを通じ、モラトリアムの事実上の突破を狙っている。

 もう一つの動きは、小型鯨類の保全活動や環境と健康に関する決議案の提出だ。前回の小型鯨類に関しても他機関と連携して保全に努めること、今回のクジラの地球生態系への関与や水俣条約と連携して、水銀の汚染が報告されている鯨類に関して、同条約に貢献しようというもので、「非致死的調査により」という文言が「持続利用」勢力は気に入らない。これらは、2分の1の獲得で採択されるので、捕鯨推進の反発をよそに採択される。調査捕鯨にストップをかけられないまま、こうした決議案を持ってくる気持ちはわかるが、それでは問題は解決しないのになあ、と複雑な思いだ。また、こうした動きが捕鯨に反対する勢力の自己満足に終わらないかということも懸念される。

一方でNGOはというと、発言の機会が増えた分をうまく活用できているわけではないような気がする。今回、発言の機会は加盟国の発言がおさまってからで、必ずしも議論として噛み合わせられるわけではなかったし、また事前に発言内容を知らせる必要もあり、実際に行われている議事に対して影響を与えるのは難しいと思った(違ったかもしれないが)。このままでは、相変わらずのガス抜きに終始するかもしれず、もっと体系的な動きを考える必要がある。と、きちんと作戦会議などに参加しないまま偉そうなことを言っても仕方ないのだが。

 本当は、このことに責任があるのは私たちなので、(あえていうが)’暴走’の止まらない日本を、どうやって私たち市民が止められるかということだと感じている。どんどん民主国家でなくなっている現在、ますます難しいことになってはいるが。

2016年11月25日 (金)

IWC66スロベニア 議長

 11月24日の毎日新聞「オピニオン」。
森下丈二次期IWC議長が「捕鯨の未来」を語っているhttp://mainichi.jp/articles/20161124/ddm/004/070/014000c
曰く、日本は、モラトリアム以降、モラトリアムの法的な解釈をしたり、調査捕鯨で科学的データを積み上げ、日本文化を理解してもらおうとしてきた。しかし、強硬な反捕鯨国は、法律や文化とは関係なく、「1頭たりともクジラを捕らせない」と主張しています。
だって反捕鯨は捕鯨に反対しているということであるだけで、だからこそ「対話」と「合意形成」が求められているのではないのか。非難するだけでは「子供のけんか」レベル。それを「法律や文化とは関係なく」とさりげなく付け加えて、告げ口するようないつもの森下節をそのまま書く、いつもながらの劣化した国内メディア記事にため息。
もちろん、今回の北西太平洋の調査捕鯨にも、南極での調査捕鯨の問題にも触れていないでうわべのきれいごとだけ。

 さて、彼はますます、都合の良いところだけを切り取って使うのがうまくなってきている。「議長は自国の代表団の代弁をするようなことは許されない」と言いつつも、片方では「単に事務的な手続きを流すだけでなく、何らかのイニシアチブや(!!)展開、進展を見せるよう努力していきたい」と本音も出している。
議長は2年任期なので、次回(2018年の総会)で役目を果たせばいいことになる。「議長に置いとく方が少しは大人しいのではないの?」という楽観的な意見も聞いたが、ここは要注意。先ほどの引用から行くと、「中立」の意味がわかっているのか?と疑いたくなってしまう。

 今回議長を務めたスイスのブルーノ・マイニニさんは、実に見事な采配ぶりで、限られた時間内に必要事項全てをきちんと議論するように運営した。彼は、非常に冷静で客観的な判断のできる人で、そういえば2007年に日本が主催した「IWCの将来」の会合にも参加していた。
海外の方たちはともすると時間にルーズという先入観があったが、彼の時間厳守はまったく恐れ入るほどで、また、議論が膠着すると、対立するもの同士で必要な合意形成の場を設定させたので、無駄な議論はかなり減り、夜遅くまで不毛な議論が重ねられるということがなくなった。その分、私たちの意見発表の場も保証された(一度だけ、NGOの発言が中止させられたことがあった。鯨肉缶詰が日本から不正輸出入されてイギリスの保税倉庫にあるという話で(1缶25ドルもするらしい!)、その場の議論とは離れているという指摘に対しては不満や異論もあるかもしれない。一方で、あの場で発言するから解決するという類のものとも思われなかったが、その後どうなったのだろう)。

ついでだが、前回の科学委員会議長は日本の北門さんで、本会議での科学委員会の報告が通常の四分の一以下で、議事進行に貢献したのかもしれないが、議論がとても不活発になった記憶がある。確かに、報告書の何ページに書いてあると言われればそれまでだが、その場で読むことによって議論のきっかけができる。報告の短さについてはNGOの中でも評判が悪く、今回は、以前と同じように(そして2年分の)それぞれの議題、作業の報告が議長のフォルトゥナさん(イタリア)から行われた。

また、報告には含まれていなかったが、オホーツク海で見つかった新種「カラス」について、報告書の中にはツチクジラ猟の際に混獲されないように監視しているというようなことしか書かれていなかったので、詳しい人に尋ねてみた。日本政府による新たな調査は全くないそうで、生きた個体は見つかってなく、現在頭骨を使ってのDNA解析で最終的に新種であるかどうかということがいずれ発表されるということだ。日本政府の「保護すべきはする」という姿勢はどこ?

2016年11月22日 (火)

新植民地主義??

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161105-00000022-jij-int
「さまようIWC-捕鯨賛否で水掛け論 ー票取り合戦激化(深層探訪)」
という時事通信の記事があった。
残念ながらすでに消されているようで、スクリーンショットで撮っておけばよかったと後悔。
なぜ、取り上げたかったかというと、冒頭の写真が、日本の代表の一人とカリブの代表の一人が向き合ってにこやかに話し合っているもので、(CITESのFB写真などを合わせてみると)記事の意図とは違ってなかなか象徴的なものに見えるのだ。しかも、会議でのカリブ諸国の発言、「植民地」という言葉との組み合わせでは。

カリブ諸国をはじめ、日本がODAを使って途上国にどのような工作を行ってきたかということは、幾つかのNGOによって報告されている。
http://www.ifaw.org/sites/default/files/3MF_Report-Japan_IWC_Vote_Consolidation.pdf
http://www.eccea.com/index.php?mact=News,cntnt01,detail,0&cntnt01articleid=4&cntnt01returnid=46

http://www.eccea.com/index.php?mact=News,cntnt01,detail,0&cntnt01articleid=43&cntnt01returnid=44

これまでも、カリブの国々から議論が沸騰してくると、この「植民地」という言葉が繰り返し出てきた。彼らにしてみれば、かつての大植民地時代に、欧米がどれほどカリブの小国を搾取してきたかということを搾取側に思い知らせるためのいいチャンスなのだ。もちろん、彼らが何かにつけこうした過去の恨み節を噴出させることは理解できる。しかし、こと捕鯨を再開させることで、彼らの直接的な利益になることがあるだろうか?以前は、とにかく捕鯨に関心はないが、クジラが漁業資源を食べ過ぎてしまうので困る、というような話は繰り返されてきた(日本がそんなこと言っていないというまで)。過去に国絡みで捕鯨に従事してきたとことがあると記憶にはないし、先住民捕鯨枠を獲得したセント・ビンセント&グレナディーンの場合など、いわゆるヤンキー捕鯨が発端であって、厳密に言うところの先住民捕鯨ではないと聞いている。同国の民俗博物館の学芸員の方が、(チリでだったかな?)同国の遺跡の中にクジラの骨など出てこない事を証言しているが、それでも一応、小国の要求を受け入れて、ザトウクジラの捕獲枠が設定されている。他に捕鯨したいというところは今の所ないのだが、それでもカリブの幾つかの国の代表は、いわゆる「持続利用」に反する意見に対してマイノリティの抹殺とか、新植民地主義とかいう言葉で議論を座礁させてしまう。
会議の中では、ああまたか、というため息が聞かれそうな話なのだが、今回が初回だった例の記事の記者さんは、まんまとその言葉に反応したようだ。その結果、瓢箪から駒。

今回は、最終日に投票が行われたCreation of a Fund to Strengthen the Capacity of Governments of
Limited Means to Participate in the Work of the IWCの議論において繰り返された。要は、条約でも認められているように、締約国には条約の議論に関して参加する権利がある。参加資金が限られている小国がすべての作業に参加できるように、基金を設立すべきで、とくにグループ1と2に属する金持ちの国がその基金提供をするというものだ。この限りにおいてはもっともな話ではある。しかし、内実を見るとなかなかそのままでは受け入れ難い微妙なところのある問題だ。基本的には異議はないが、科学委員会参加や技術的な面でのキャパシティビルディングなど、内容的な詰めが必要、また部分的に異なる見解もあるとして、閉会中に詳細を詰めようという意見も数多くあったものの、議長は採決を促し、結果的に賛成30、反対なし、棄権31、不参加1という結果になってしまった。

IWCの参加費の負担は、捕鯨の有無や、会議参加人数、その国の財政規模によって4段階に分けられており、上述のような国はすべて負担が軽くなっている。
RS4616_Financial_Contributions_2015.pdf
ちなみに日本が一番高額で、132,341ポンド(およそ1600万円)、ドミニカなど小国は4467ポンド(54万円くらい)。
ODAによる水産支援も含めて考えれば、日本のIWC貢献度がダントツで高いのは確かだ。

2016年11月17日 (木)

IWCスロベニア会議 その4決議など

対立する議題などに関してグループを推奨し、その進捗状況を確認、決議案の内容によって議論の時間はまちまちだったが、4日目(27日)には5つの決議案が採択された。

https://iwc.int/day-four-special-permit-whaling
<Five Resolutions>


IWCの効果をより強めるという決議案で、これはコンセンサスで採択された。ブラジル、アルゼンチンなどのほかアメリカも提案者となり、包括的で独立した評価が閉会中に行われるということになった。

オーストラリア、ニュージーランドによる特別許可のもとでの捕鯨についての改善策提案。両者からの議論沸騰で投票にかけられ、賛成34、反対17、棄権10で採択。文言にある、特別許可内容を検討する作業部会が設立される。
しかし、2014の5決議同様、拘束力を持たない。

前回ガーナなどから提案された食料安保に関する提案。世界の飢餓を救うためにIWCも貢献すべしという意見だが、モラトリアムの事実上の破壊では?とか議論の場所が違うのでは?などという意見があり、次回再提案されることになった。

チリなどから提案された鯨類と生態系に関する提案は、最近になって明らかになった鯨類の地球生態系への貢献を認識し、保全を行うというもので、日本などは捕鯨の否定だとして反対。投票結果は、賛成36、反対16、棄権7で採択。捕鯨議論だけでなく、クジラを包括的に考えるという新しい方向だ。

ウルグアイが水俣条約と鯨類に蓄積される水銀問題を取り上げた。日本政府は、人為的な水銀による汚染は本条約とは関係ない、また非致死的調査という文言が気にくわないとして反対。投票結果は賛成38、しかし投票に加わらないとした国が23もあった。

もう一つ、また議論を醸したのは絶滅に瀕するバキータの保護提案でアメリカから出された。メキシコ湾に生息するバキータは、違法なトトアバ漁による混獲により、現在わずか59頭以下となっている。すべての国に、早急な保護対策を訴えるというものだ。トトアバは、魚そのものも絶滅に瀕していると言われるが、中国などでその浮き袋をスープなどに利用、場合によっては浮き袋一つで1万ドルという高値がつくようだ。トトアバ漁を行う刺し網は生息海域で禁止されているが、密猟が絶えないのだ。
なんでメキシコでなくアメリカが提案?というような議論から始まり、捕鯨推進側からは、小型鯨類はIWCの管轄外!という合唱が。それでも、絶滅危惧種の保護にはさすがに反対しづらかったのか、どこも合意を阻止しない。日本は、投票には参加しないが、その理由を声明として出すと(要するに、絶滅させるには忍びないが、IWCの管轄外のものを受け入れられない、IWCで決議したって状況は変わらない)いい、アンティグア&バービューダなど日本支持国が同調。ロシアだけ、投票に参加しないが、声明にも賛同しないと独自路線(中国は今回IWC不参加)。

まだ、日本などが提案している、経済的に困難な国のIWC参加促進のための決議案が作業中だ。


2016年11月16日 (水)

スロベニアIWC66(3)NGO発言

  前回、会議の透明性と市民参加の決議が採択されたので、NGO発言の機会が増えるということを聞いていた。
CITESばりになるかもよ、という話だったが、今回は、加盟国発言が概ね終了してからというルール。だが、同じような発言が繰り返されるような場合は、IGO,NGO発言の場を議長が確保した。
 3日目は、小型沿岸捕鯨が最初の議題だったので、仲間から、日本のNGOによる共同声明を読んだらどうか?というお誘いがあり、予算のうちの沿岸調査が2倍になったことをじゅんこさんが懸念しており、伝えるべきだと思い、発言することにした。
 各国の座席の後ろにしつらえられたNGO席には、すでに網走水産の下道吉一さんが座って、細かく書かれた下書きを読まれていた。
 オホーツク海には、希少なJ-stockが生息するということから、政府はこれまで網走での操業を許可してこなかった。
 もともとの網走捕鯨の歴史というのはあまり古くなく、1915年の東洋捕鯨による捕鯨事業が最初だ。
当時の捕鯨は、食用というよりは、採油と肥料が主要で、ミンククジラではなく座頭鯨やナガスクジラが捕獲された。しかし、捕獲が本格化したのは1940年、第二次世界大戦に向かう食料増産だと言われている。
 沿岸調査捕鯨が業務委託された時、彼は、釧路に解体工場を建設して沿岸調査捕鯨に参加したきたが、4年ほど前に太地漁協が所有し、廃棄しようとしていた「正和丸」を購入し、沿岸調査に参加している。網走での捕鯨というのは、彼にとっては「悲願」というべきものなのかもしれない。
 しかし、せっかくの訴える機会なのに、彼のプレゼンテーションは、原稿を読み上げるというより、マイクに向かって吠え立てるという感じで、何を言っているのか理解するのが大変難しかった。
あとで他の人たちからも、「彼が何を言っているのかわからなかった」とか「(あなたが)マイクに向かって吠えなくてありがとう」などと言われたが、考えてみれば、予兆はあった。
 パナマで、政府関係科学者が「J-stockは増えているのですよ」と言っていたし、今回の沿岸調査捕鯨の予算倍増、そして伊藤議員のIWC参加と下道氏の発言を結びつければ、網走での操業開始宣言だということが理解できたはずだったのだ。

2016年11月10日 (木)

地域個体群

 今回の北西太平洋クジラ捕殺計画で、網走での操業が明らかになった。これまで希少個体群が存在するとされて捕獲を許可されなかった海域での許可だ。

読売新聞はこう書いている。
  「水産庁が9日、発表した新しい北西太平洋の調査捕鯨の計画案(2017年度から12年間)で、
   ミンククジラの捕獲調査の対象海域に網走沖が追加された。かつては国内の捕鯨基地の一つ
   だった網走市では、調査捕鯨とは言え、30年ぶりにミンク捕獲が再開される見通しとなった。

   新しい計画案で、網走沖が追加されたのは、オホーツク・太平洋で繁殖するミンクだけでなく、
   日本海で繁殖する系統が捕獲できるのが理由だ。日本海の繁殖系統は、資源が少ないと
   されるが、それを示すデータがなく、実際はどうなのか調べるという。〔・・・〕

今回の新計画でJストックの捕獲に関連して述べているのを見つけたが:

        Mixing of J and O stock common minke whales in the coastal area of Japan
 Common minke whales have been caught by past commercial whaling, JARPN/JARPNII and bycaught by setnet fisheries along the Japanese coast.
 Composition of J and O stock common minke whales estimated by microsatellite assignment differs among sub-areas and survey components.
Although some of the J stock animals migrate into the Pacific side of Japan, their distribution range is limited to the coastal zone, mainly within 30 miles from the coastline (Figures 1 and 2).
 The mixing proportion of J stock animals in sub-area 7 during the 1983-1987 commercial whaling period was1.8% (Goto, unpublished data). On the other hand, the mixing proportion of J stock animals during the 2002-2014 JARPNII coastal surveys conducted in sub-area 7 was 21.7% which was much larger than the commercial whaling period (Figure 1).
Sampling of commercial whaling and JARPNII coastal survey was conducted at approximately the same season at the Sanriku region (sub-area 7CS): April to June. However, mixing proportion of J stock animals differs between commercial and JARPNII coastal survey in each distance from the coastline in Sanriku, being larger in the JARPNII coastal survey (Table 1, Figure 1).
 The information above suggests a possible recovery of J stock common minke whales and an ensuing increased ‘spill over’ from the Sea of Japan to the Pacific side of Japan. Further investigation is necessary to confirm this.

 要するに、商業捕鯨時代と比べて、Jストックのミンクが太平洋側に生息域を伸ばしているから「回復」しているのだろう(=だから殺しても大丈夫!?)、というものだ。
 47頭殺すことでどうやって推定個体数の増減を調べるのだろうか?というのが素人の疑問だ。

 水産庁の資源調査では、あまり個体群とその動向というものに重きは置かれてこなかったように思う。このJストックだって、指摘されてもすぐには認めていなかったと記憶している。他に枝分かれした個体群もあるかもしれない(Ow個体群)と指摘する科学者もいると聞いているが、科学委員会で意見が一致していないと一蹴しているようだ。

ついでに気になるのは、今回救われた(!!)ニタリクジラとマッコウクジラだ。一生懸命その理由を探しているがまだ見つからない。

2016年11月 9日 (水)

大盤振る舞い?

 2014年のIWC会議で、日本政府は、 RMP に基づいた沿岸(商業)捕鯨におけるミンククジラの捕獲枠として、17頭を要求した。そしてオーストラリアのコミッショナーから、枠の算出に幾つかの選択肢があり、その数は、その中でも最大のものだというだけだと指摘された。
今年、日本政府は、沿岸小型捕鯨の提案を行わなかった。提案そのものがあまり真剣なものではなかったが、そんなに少ない数では採算が合わないもんね。
そして期間中に質問状を出しておき、小型沿岸枠要求に代わりに、国際捕鯨取締条約の10e(モラトリアム)は、捕鯨禁止ではなく、枠がゼロだということを認めろ、と訴えた。
まあ、こうした日本型の「原理・原則」の主張は、今更だが、何らかの解決策を求めたものではない。
それが証拠に、会議が終わって10日しか立たないのに、今度はNEWREP-NP(北西太平洋での新調査捕鯨計画)を公表した。
http://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/attach/pdf/index-2.pdf

役立たずのRMPではなく、誰にも口を挟まさない調査捕鯨というかたちで、仲間内が納得する数字を弾き出すというわけだ。
イワシクジラは+40の140頭、業者捕獲のミンククジラは太平洋側で100頭、そして、網走で希少なJストックを47頭、母船では27頭だという。
日本としては、なんとかいちゃもんをつけつつ、不利な改正を阻止し、かつ、RMPに束縛されない方法での捕獲を続けることになる。「RMP合意で捕獲すべし」も「持続的に利用できるものは利用する」もあんまり本気ではないように見えるのは私だけか?

2016年11月 3日 (木)

スロベニア報告2 通訳さんたち

 ご存知と思うが、IWC会議には、日本語の同時通訳が付いている。今回、ある記者さんが、「国際会議で日本語の同通がつくというのは普通じゃありません」と言っておられたが、確かに、普通は日本語は入らない。日本語訳があるのは、私のように半端な英語知識のものにとってはラッキーだ。
日本語の同通は、元からみんなに解放されていたのではなかった。捕鯨推進の仲間たちが共有するものだったのが、いつからか忘れたが、共有できることになった。通訳の方たちというのは、だいたいはものすごく優秀な方たちで、入り組んだ議論もきちんと内容を把握して通訳しているし、特殊な略語やら、種名もすらすら訳す。普通に挨拶もし、休憩時間などに多少の会話もできたし、国内で行われる他の環境関連会議でも、あっ、あの方だとわかるようなベテランもおいでだった。
それが、数年前から少しずつおかしくなっているようだ。予算の関係だと思うが、一時はかなり不慣れな通訳さんが同通をしていて、種名など普通に間違えるし、また、途中で文脈がわからなくなるとそのまま無言で終わったりと、随分と困った状態になってはいた。
今回、それなりに優秀な方たちに頼んだようで、結構スムーズに同通が行われているな(ときおり、「あ、違った」という笑い声なども入るが)、と思っていたら、話の中身を勝手に解釈したような大げさなイントネーションが不規則につくことに気づいた。話している本人の会話に必要とされるようなものではなく、あくまで通訳さんの個人的な(?)思い入れのようなものだ。
それが、4日目のベルギー発言で、通訳の人が全く発言そのものをおちょくるようなイントネーションをつけたのだ。ベルギー代表はその時、生態系におけるクジラの役割を一つ一つ上げていて、まあ、内容的には多少こなれが悪かったのは確かだが、最近の研究成果としては重要と彼女が思ったことを発言したと私は感じた。彼女の方は、特別のイントネーションなどなしの話だ。それで、休憩時間にそのことを通訳さんたちに質そうと思い、ロビーで会話しているところに今の通訳の仕方はちょっと問題ではないか、小馬鹿にしているように聞こえたのだが?と言いに行った。これまでほぼ15回も聴いているが、今回のようなことはこれまでなかった、と。
ところがその中の代表と思われる方に、「何かクレームがあるなら、水産庁に言ってください!」とかなりきつく言われてしまった。通訳の内容の問題だと思ったので、直接話すのがいいと思ったのだが、私もちょっと腹が立って「では、それは水産庁の指示なのですね?」と聞き返すと、今度は「そんな勝手な解釈をしないでください!」とさらに怒り出す。
そして、教頭が悪戯坊主を校長のところにひっ立てるように、「水産庁に直接話に行きましょう」というのだ。代表団の席には水産庁の方たちはいなかったので、私は、諸貫さんを探しましょう、と言ってもう一度、ロビーにとって返し、他の国の代表と話している彼を見つけて事の顛末を話した。(なぜか、その時には通訳さんたちは煙のように消えていた)
諸貫氏が最初にいったのは「これは公共サービスではない」ということだった。はあ、確かにそうだ(税金を使ってはいるものの)。そして、次には「イントネーションをつけるのは、最近の国際的な傾向です。」という。でも、特定の時におかしなイントネーションを使うのは変なのでは?というと、僕自身は同通を聞いていないもんね、ということだったが、何人かに聞き取りをし、フィードバックしましょう、ということになった。

後で彼が言った話では、今回の通訳はわかりやすいと聞いた人たちは言っていたということだった。また、通訳者の特定もしたが、理系の人なのでよく内容を理解しているようだった、というのだ!
驚くようなことでもないが、「公共サービスではない」ことは、認識した事件だった。

IWC スロベニア報告(1)

 24日から28日まで、スロベニアのポルトロス(ポルトルージュ)で66回IWC本会議が開催された。

ことしはユーチューブで実況をしたそうなので、時間があればそちらで実際の議論はご覧になれるはずだ。
だが、今年で70年目という長い歴史を持つIWCの入り組んだ議論というのはなかなか本質を捉えにくいかもしれない。しかも今年はなおさらわかりにくい議論が多いようだった。記者さんたちは、一つ議題が終わると大急ぎで日本代表団席に行き、話を聞いており、海外の人たちとは全く接触しない。これで「バランスのとれた」取材ができているかというと、日本政府が言っているバランスでしかないことをここで改めて書くことも残念だが、せっかく異なる見解をのべようと接触しても、(一つのメディアを除き)全く相手にしようともしない。
そのことを勘案し、これまでのような詳細報告は控え、表に出てこない問題点や感想などを少しずつ報告することとしたい。

IWC報道で「日本政府、反捕鯨国に本質論提起」という見出しが見える。
私も会議二日目、ある新聞記者に、森下氏が「問題(捕鯨推進/反対の二項対立)の根本原因を追究して解決を図りたい」といっているが、「根本原因」というのはどのようなものだと思うか、という質問を受けた。
もちろん、その根本原因は、日本が実施している調査捕鯨以外にない!
それはすでに参加国にとっては言わずもがなの話になっている。調査捕鯨の停止を求めて22回もの決議が採択され、また妥協案が出されてきた。今や、日本がどれほど議論をふっかけても、反対する諸国は日本の使い古された主張を真面目に聞く気も、細かく反論する気も既に失っているようだ。

今の日本にとって、一つだけ大事なお仕事というのは、実は4分の3を取られないように画策することだと私は思っている。会場にいる人たちの多くも気づいているかもしれないが、日本がかき集めた同盟国は、「自分たちに利益をもたらす日本」を応援しているので、それが調査捕鯨だろうと、沿岸捕鯨だろうとどうでもいいのではないだろうか。
日本のODAを使っての票買いは、会議の運営を妨げるものとして、これまでも多くの批判を受けてきた。仮にも問題の本質を問おうというのなら、こうした行為は即座にやめなければならない。

https://www.transparency.org/news/pressrelease/20060611_vote_trading_threatens_the_integrity_of_the_international_whaling

これを書いている最中に、ドミニカ国のモナ・ジョージさんがこの10月31日に亡くなったという知らせを受けた。私が彼女に初めて会ったのは2000年にアデレードで開催されたIWCで、その年、日本はドミニカ国のサンクチュアリでの投票棄権というドミニカ内閣の決断を覆し、日本支持に回るような介入を行った。(少なくとも7億円が1年で支払われたということだ。人口7万人の小さな国に、だ)そのことに抗議し、当時の環境大臣、アサートン・マーチン氏が辞任をしたが、その経緯を記者会見で発表したのが彼女だった。自分自身にとっても初めての海外での会議参加だったこともあり、話とともに彼女の出現はとても強烈だった。

今年9月に行われたCITESの会議中にも多方面からバラされたように、日本はTICAD(アフリカ開発会議)とか、COMHAFAT(大西洋沿岸アフリカ諸国漁業協力閣僚会議)でアフリカ諸国に働きかけ、「食料安保」という大義をアフリカ諸国の意見として出させている。国内では、食料自給率やフードマイレージに絡めて、へんてこな主張が繰り返されていることは既にブログで紹介している。ご存知のように、日本が最もクジラを食べていた時期、幾つかのクジラを殆ど絶滅に追い込んだ時期だって(大量の油を輸出していたことはまた別の話だが)、日本国内の食料供給のほんの一部を形成していたにすぎない。政府代表の主張する日本の自給率を上げるためには全く役に立たないし、ましてや9億人という想定される飢餓人口の解決をどうやって果たすつもりなのかは謎だ。また、クジラをほかくしても食べてもいないアフリカ諸国に、そんな話を提案させること自体が罪だと私には思われる。

もう一つ、日本の非道は、サンクチュアリの否決だ。ブラジルをはじめとするラテンの国々が、2000年から何回も提案してきたことで、当初は確かに周辺国との合意が不十分であったし、日本のいうところの「科学性」に欠けた部分もあったかもしれない。しかし、提案を繰り返す中で、科学的な根拠、管理手法とともに、周辺国との合意形成にも十分力を注ぎ、その創設を願ってきた。提案国の沿岸地域ではホエールウォッチングが盛んで、貧しい零細漁業者が生きたクジラによって大きな恩恵を被っていることも、提案理由の一つだ。また、この所、国際的には、海洋の危機的な状況とその回復、保全が大きな課題になっており、様々な国際条約などでも大きなトピックとして扱われている。アメリカやイギリスも「これまでで最大級」という海洋保護区を設置するなど、海洋の保全と管理が政策としても重要視されている。また、つい最近では、CCAMLR (南極の海洋生物資源に関する保存委員会)でロス海の海洋保護区が合意された(ちなみに日本が調査捕鯨をしている海域でもある)。
クジラに関して言えば、その生態系に果たす役割についての研究が急激に進んでおり、今回もチリ提案の決議として採択されている。
広い海域を、複数の国が共同で管理することのメリットは少なくない。こうした状況を知ってかしらずか、地球の反対側に等しいところの日本が、偉そうに科学的ではないとか、クジラを殺さないという選択が気にくわないと、反対票を固めるのは恥ずべき行為ではないだろうか。
「科学的でない」というなら、日本の海洋保護区こそ、科学的ではない典型だと思っているのは私だけではないだろう。漁協が関与している、近隣漁協との連携や、周辺住民との合意形成も関係ないような漁区をすべて「海洋保護区」と称して、愛知目標である10%を達成したと言っているのだから、まったく「よく言うよ」なのだが、メディアは日本が反対するからよくないことらしいくらいしか問題意識はないようで、前回よりも多い反対票によって否決されたことを強調するだけだ。
確かに今回も採択されないだろうな、という予測はあったが、それでも情けない気持ちに変わりはない。次回開催地はブラジルなので、主催者への敬意が票に現れるといいのだけど。

もうひとつ、IWC での大きなトピックは、先住民生存捕鯨だ。IWCが唯一公式に認める捕鯨であり、細かいところでの意見の相違はあれど、クジラを消費的な利用をするということに関しては了解がある。
今回は、閉会中に行われたワークショップや小委員会の報告を、先住民捕鯨の議長、セントルシアのジャニーン・コンプトンーアントワン氏の欠席を受けて、IWC副議長の森下丈二氏が行った。とても丁寧な逐一の報告が入り、その後に、グリーンランドで開催されたワークショップで講演を行った、アラスカ大学の政治科学者のドロー氏の30分ほどのレクチャーもあった。国連の人権宣言から、先住民の権利宣言に至るまで、それなりの歴史の重みを持った話ではあったが、最後に、あたかもIWCがきちんと向き合っていないかのような方向に引っ張ったのに多少の違和感を感じた。

アルゼンチンが、2013年度にグリーンランドがIWC の捕鯨枠なしで捕獲したことについて繰り返し問題としている。会議全体では、その違反事実には目をつむって、今後枠をつけないような不面目なことを起こさないようにという暗黙の了解ができてはいる。しかし、2012年会議で枠がつかなかったのには訳がある。その年、グリーンランドの枠の要求が毎回増えていることが議論になった。グリーンランド的には、人口も増え、クジラ肉の需要もそれにつれて増えているからというのだけど、実際には地元スーパーなどで販売されるとか、観光レストランで出されるとか、さらには、前の時はナガスが大きすぎて、捕獲するのが難しいのでザトウの枠を要求したのに、なんでまたナガスか?など色々出てきて、それが果たして枠の増加として認められるかということが議論になった。そして、まだ議論を深めたいという意見があったにかかわらず、デンマーク代表は採決を望んだ。EUは先住民のニーズを満たすための捕鯨は認めるものの、修正提案はIWCの要件を満たしていないと反対、一方アメリカは賛成し、投票に付され、結果的に否決という結果になったのだ。それ以前にも、下関のIWC会議で、日本のコミッショナー代理が日本の沿岸捕鯨を認めないならと反対し、アラスカ先住民の枠がつかなかったことがある。それについては中間会合で決着がつき、問題は収集された。今回もどうするかという話し合いが持たれたようだが、結局はグリーンランドが捕鯨を遂行してしまったというのが顛末だ。今回のような場合にクレームをつけることはかなりの勇気がいることであるが、アルゼンチンの意見にも一理あると私は思う。先住民の権利を尊重することが重要だからこそ、きちんと向き合うことも必要であり、センシティブな問題だけに毎回悩ましい議論になる。

このほかにも小型鯨類の保全に関して、これまでよりも頻繁に議論が行われている。多国間を移動している種が多いこともそうだが、また、鯨類の管理全般を行う国際機関はほかになく、絶滅の淵にいる種を手をこまねいて絶滅させるわけにはいかないというのがその意見理由だ。今回、バキータ(コガシラネズミイルカ)に関する決議がアメリカから出されたが、日本とその仲間は採決に参加せず、その理由を声明書として出した(ロシアは投票不参加だが声明には賛同せず)。意地でも捕鯨対象種しか認めない日本のあり方は、やはり大きな問題だと改めて思う。


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