2017年9月 9日 (土)

対抗ツイートだった・・・

 「おクジラさま 二つの正義の物語」のプレミアム上映に行ってみた。
先行上映は3回目ということで、50人弱ほどの人が集まっており、参加者は業界の人たちのほか、クラウドファンディングの大口寄付者や監督の知人、友人などであるらしかった。私は、登場人物の一人として招かれた。
 うたい文句である公平なドキュメンタリーだと最初から期待していたわけではないが、清潔に整った太地の街並みを背景にクジラ祭り、供養などの映像とともに、太地の町長をはじめとした関係者、そしてイルカ漁業者と、イルカ猟推進の立場からの意見がそのまま言いっぱなし状態であふれんばかりに出てきた。
SS活動家ももちろん出てきたが、小さな町の人たちの言い分の中ではどうしても’異物’という感じが拭えない。

 ではこの映画で何をしたかったのか?という問いは、後半で、ストーリーの導き手のアメリカ人、ジェイ・アラバスター氏がイルカ漁業者に問いかけるところで合点がいった。

 アラバスター氏は、コンピュータの画面で、Cove Gardiansが行っているリアルタイムでの追い込みの様子の発信と、それに対する世界中からのツイートを見せ、太地にはこれに対抗できていない、と語りかけるのだ。
つまり、この映画は、太地の側からの対抗ツイート代行であり、公平性とか正義というのは、世界発信されているイルカ漁の映像とそれに対する批判に対してのものだったということだ。
だから私の発言は、こうしたツイートを補強するために用意されたとみるべきで、だからこそ、三軒町長は私のコメントに対して「いいこと言っている」という批評をしたのだ。

 私は、撮影前に佐々木監督が話を聞きに来た時、私自身が望むことは問題の解決であり、映画がさらなる溝を作るものであって欲しくない旨を伝え、彼女も自分としても解決したいと思うからこそだと返事をもらっている。
この映画で何を解決したと彼女が考えているのか、私には未だにわからない。
太地の人たちの多くのコメントが正確さを欠いていることについては、取材時に私や佐久間さんが行った説明でほぼ解決済みで、それを彼女が理解していたと思っていたからだ。漁業者に恨みがあるわけではなく、そうした問題点をきちんと見ていくことが解決にはなくてならないものだと私は考えているからだ。

例えば、伝統については、私も中でコメントしてはいるが、それが太地での勢子船の映像とか、クジラ祭り、博物館の(なんと動く!)クジラ絵巻などの紹介に対して、私のコメントは説明不足であると感じる。

イルカ漁業者が、自分たちは獲物がなくなれば困るから、一番持続的な利用を知っているということに関して言えば、(私は不透明であるとしか言えていないが←残念!)今回の新たなイルカ漁業対象種の追加の理由が、当の太地町の、「マゴンドウとバンドウイルカが捕獲できなくなったので経営的にやっていけない」という要望からであることが水産庁の担当者の発言からわかっているが、これは彼らの主張する持続的な漁業と大いに矛盾している。

 また、監督曰くの「なんちゃって」対話集会では、その中で唯一とも思われる生産的な意見「(問題解決のために)私たちが皆さんたちにしてあげられることは何ですか?」を最後に質問した海外活動家に対して、町長は’きっぱり’と「太地町のことは太地の町民が考えること」だと言い放ったのは乱暴だ。問題があると考える人たちがいるからこそ、太地での事件が起きているわけで、それを部外者は関係ない、としか考えないからこそ、解決できないと思わないのか。(あるいは、町長としては、問題は太地で既に完結しており、他は雑音なのかもしれないのだが)

ここで解決の一番の障壁となるのは、実は町で完結できないものだ。
3千の太地町民のごく一部の人たちの事業が太地全体を潤しているわけではなく、町費に匹敵する(あるいは上回る)ほどの補助金が毎年投入されていることが一番大きく、それは町が捕鯨という名を売ることで得る収入なのだ。
例えば、建設予定の道の駅の建設費は
「233,280,000円の内訳は113,000,000円が国庫補助金、
107,000,000円が過疎債
、後の13,280,000円が一般財源だ」
と太地町議員である漁野尚登氏はブログで述べているが、これが最初でも最後でもないことは彼のブログを遡ることで理解できる。
https://blogs.yahoo.co.jp/nankiboys_v_2522/MYBLOG/yblog.html?m=lc&p=2

トイレの改修工事もあったと思う。
平成27年度太地町一般会計補正予算(第1号)において公衆便所改築工事の予算が計上されていました。
企画費
歳入
国県支出金 2000万円 地方債 2000万円 一般財源 398万円

https://blogs.yahoo.co.jp/nankiboys_v_2522/MYBLOG/yblog.html?m=lc&p=7

 ある研究者によると、こうした補助金による支援は他の漁業村でも盛んに行われているようだが、原発に対するものと同様、その町の健全な発展を助けていると考えるのは難しい。
補助金問題は、監督に何回も「捕鯨推進という盾を掲げる代償として、まるで麻薬漬けのようになっている補助金問題を何とかしないと」ということは伝えてある。
今回、映画は国の捕鯨政策には全く触れなかったが、地方(ローカル)対国際(グローバル)に問題を置き換えるためにも、政策問題は邪魔だったのだろうか。それともあまりにも歪さがわかりやすいので、出すわけにはいかなかったとか。

 最後に二つ、太地の救い(問題解決)のように出てくる水族館でのイルカ飼育問題と、森浦湾の国際的なクジラ研究構想だ。どちらもこれまでこのブログで批判してきたことだが、監督にも問題点は指摘してあったと記憶する。

 まあ、こうした指摘をどうにかするよりも、太地からの対抗ツイートが重要と感じたからこそ、そこで手堅くまとめたんだろうなあ、と思いつつ、やはり釈然としないのだった。
 

2017年9月 8日 (金)

ワシントン条約海からの持ち込み許可証

 日本政府は、モラトリアムの元、調査捕鯨の名の下にクジラを捕殺している。
南極で、ミンククジラ333頭、北西太平洋では2002年から、日本がワシントン条約の取引禁止規定を留保していない、北半球のイワシクジラも捕獲するようになった。
どこかの国に所属しない公海での、ワシントン条約で規制されている種を捕獲する場合は「海からの持ち込み規定」というものがあり、捕獲する国の管理当局が持ち込み前に許可証を発行することになっている。
そこで、イワシクジラに関してはどのような許可証が発行されているのを水産庁に聞いてみた。すると、持ち込むときではなく、調査捕鯨に出航するときに、IWCの捕獲許可証とともに発給するということを教えてくれた。
どんなものか知るには、情報公開請求が必要だと聞き、やってみた。
まず、イワシクジラが捕獲され始めた2002年から今年までの請求をしたが、文書の保存期間を過ぎたものは出せないということで、2010年(平成22年)からのものが、請求してから1ヶ月余を経て手に入った。

実際に見ると、イワシクジラのみではなく、公海で捕獲されるすべてのクジラの捕獲予定頭数と、同時にバイオプシーサンプルを取る予定のクジラ10種に関して、水産庁長官の名前で許可証が発行されていた。
また、2010年には、船の名称なしだったものが、翌年からは、積み込む予定の(?)日新丸、勇新丸、第二勇新丸の3枚が発給されている。
なぜ、わざわざ情報請求の対象となっているのか、よくわからない。Photo


2017年7月28日 (金)

EUの北西太平洋調査捕鯨(NEWREP-NP)への声明文

   科学委員会の専門家パネルの勧告に従い、宿題を果たすまでは殺すのをやめなさいと言っている。

         <Statement submitted by the EU Member States Party to the
                International Convention for the Regulation of Whaling>


1. The aforementioned Parties to the International Convention for the Regulation of Whaling (ICRW) regret that Japan has decided to begin whaling in the North Pacific under Article VIII of the ICRW before the IWC Scientific Committee has completed its review of NEWREP-NP and submitted its advice to the Commission.
2. The EU and its Member States consider that this runs contrary to the spirit of collaboration and the provisions of IWC Resolution 2014-5 on Whaling under Special Permit and Resolution 2016-2 on Improving the Review Process for Whaling under Special Permit.
3. We recall that the Scientific Committee at its 2017 meeting concluded that the Expert Panel tasked with reviewing NEWREP-NP had conducted a detailed, fair and thorough review of the NEWREP-NP proposal and endorsed the recommendations of the Panel.
4. We draw the Government of Japan's attention to the Expert Panel's clear recommendation that the lethal sampling components of the programme should not occur until the additional work identified in its report is undertaken and reviewed.
5. Furthermore, we note with extreme concern the Expert Panel's conclusion that the population size of the common minke whale J-stock is projected to reduce by 20% in 2030 under NEWREP-NP and that further substantial work is required to address this before the programme commences.
6. We also note with concern the proposed take of sei whales given that the Government of Japan has no reservation in place under CITES for this Appendix I listed species in the North Pacific.
7. While we thank the NEWREP-NP proponent for the new information presented at the 2017 meeting of the Scientific Committee following some of the Expert Panel’s recommendations, we draw the Government of Japan's attention to the fact that the Scientific Committee has not had sufficient time to consider this new information and will not provide its full evaluation of NEWREP-NP until 2018, following direction from the IWC Chair on the interpretation of Resolution 2016-2.
8. In light of the above, we are disappointed that the Government of Japan has issued Special Permits for whaling in the North Pacific before a full and robust scientific review has been completed.
9. Therefore, we urge the Government of Japan to re-consider its position on this matter and withdraw its Special Permits in the North Pacific, and to work collaboratively with ICRW Parties to engage in the process established under IWC.

2017年6月21日 (水)

調査捕鯨継続法公布

6月15日に、どさくさに紛れて(としか言いようがない)成立した「商業捕鯨等」実は調査捕鯨の継続法。
昨日、公布された。即日発効すると確か附則にあったと記憶しているから、効力を発揮するのでしょう。
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2017/kakugi-2017062001.html

網走沖での業者による「調査」も開始され、母船調査も始まったようだし、
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/170614.html

捕獲も生肉の価格も順調そのもの、加工場も新設され、これを待ち望んできた人々にとっては喜ばしい限りだろう。
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2017/20170616026055.asp
http://archive.is/dmSfY

しかし、問題はこのために国が責任をもって、51億円と言う税金を費やして、妨害をブロックし、だぶついた肉は学校給食に使って将来世代に味を覚え込ませ、様々な形で事業を支援することに関して、正常な議論が行われなかったことだ。
ただ一人、反対意見を述べた山本太郎議員の「伝統じゃないでしょ」「商業捕鯨の再開は出来ないでしょ」というまっとうな反対意見にたいして反論さえしない。

与党はもともとそっちだからまだしも、今国会で果敢に利権についての問題を指摘し、政府・与党に噛み付いた議員さんたちにとっては、利権の規模から許されると考えたのだろうか?


2017年6月16日 (金)

調査捕鯨継続法案可決・・・

 「恥ずかしい」の一言。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170616/k10011020111000.html

 “調査捕鯨は国の責務” 継続のための新法成立
 6月16日 14時32分

 日本の調査捕鯨に対しオーストラリアなどの反捕鯨国による批判が強まる中、調
 査捕鯨の実施を「国の責務」に明確に位置づけ、調査の継続のため財政支援など
 を求める新たな法律が16日の衆議院本会議で可決・成立しました。〔・・・〕


審議にかけられれば成立するとは思っていたが、これで日本政府と関係者は、これまでやってきたことの後付けを
またしても担保し、誰がなんと言おうと調査捕鯨を延々と続けられるわけです。


2017年6月14日 (水)

調査捕鯨は「国の責務」超党派法案、記事が掲載されました

昨日、種の保存法など自然環境関連法に関して連携しているNGOによる院内開催された。
法案に関する問題点の説明の後、ニュースでおなじみの早稲田大学真田康弘氏による調査捕鯨の科学性についての問題の指摘、フリージャーナリストの佐久間淳子氏による調査捕鯨における終始と鯨肉の需要、供給の問題についてのプレゼンテーションが(実際のパフォーマンスもふくめて!)あり、複数のメディアの取材もあった。

早速東京新聞が掲載してくれたので紹介しよう。201706140


2017年6月13日 (火)

調査捕鯨を安定的に継続するための法案

今日、参議院の農水委員会で「商業捕鯨等のための鯨類捕獲調査の実施に関する法案」が提出され、全会一致で採択された。この中身というのは、冒頭の民進党徳永エリ議員の説明の通り、安定的、継続的に調査捕鯨をすることを法的に担保するものである。
議員の説明にもあるように、この法案は、2014年の国際司法裁判所の判決(厳しかったと述べた)の後に、衆参両院で採択された決議により、国の責務を明らかにする、つまり、調査捕鯨を国営で行うものだ。
したがって、農水大臣が計画策定し、国に指定された鯨類科学調査法人に託して、「捕獲を原則とする」調査を実施する。ほんの一握りの権益のため、国が税金でその継続を保証するという恥ずかしい法律なのだ。

幸いなことに、山本太郎議員が、臨時にこの会合での質疑を行い、法案の問題点を実に鮮やかに指摘した。曰く、すでに商業捕鯨は経済的に成り立たないものとなっている。曰く、わざわざ南極まで行って鯨を捕獲するのが伝統文化と言えるか?曰く、なぜ、沿岸捕鯨の妥協案をことごとく蹴ってしまったか?南極をやめて、沿岸捕鯨を再開させる方が、水産業に貢献できるのではないか。また、2004年にザトウクジラを捕獲すると発表したことが日に油を注ぐように、海外の反捕鯨団体を勢いづかせる結果になったのではないか?
文化庁が嫌々だが、議員の問いに対し愛知間の捕鯨は「伝統文化」ではない、と答えたのは大きな収穫だった。

午後から、院内学習会を予定しており、これから衆議院に回る法案の問題点を指摘する。

2017年5月18日 (木)

’鯨類調査’法案

 調査捕鯨を、超党派で「国の責務」としてやろうという法案が今国会に出されるようだ。
題して「商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律案」。
それでなくても、頭の痛くなるようなひどい法案審議が行われているというのに、全く困ったものだ。しかも、提案しているのがM進というのが。万が一、泥を被るのは元々の推進党ではなく、’被り慣れた(???)’Mだということに陰謀めいたものまで感じてしまう。2011年の復興予算23億円を鯨研の赤字解消にまんまと使ったことだし、税金の無駄遣いを非難されてもどうってことないのだろう。すでに、大手水産会社が補助金なしではできない、と撤退していることを知っているのだろうか?関係者の本音は、強い規制のかかる商業捕鯨再開ではなく、勝手し放題の調査捕鯨をどれだけ継続できるかだろうと思っているし、今回の法案も見ようによっては、この路線をそれらしい言葉で覆っているだけではないのか。

今、種の保存法が国会で審議されているが、そういえば、今回の大きな課題の一つである海洋生物に一切踏み込んでこないのはこれがあったからか、と今更ながら情けなくなる。ここに書かれた科学的知見の集積が必要だと本気で思っているのなら、今回のレッドリストのいい加減さに腹を立ててもおかしくないのに。

それに(今編集中で近々出すニュースに真田さんの論文を掲載予定だが)、この3月に公表された、北西太平洋の調査捕鯨新計画に対する科学委員会専門家のパネル報告で、南極の新計画と同じように致死的調査の必要性についての説明が(相変わらず!)きちんとされていない、もっと悪いのは、沿岸業者に甘く、30カイリまでは直線のライン上で航行するが、30カイリを超えて捕獲目標頭数に達しない場合は、自由に航行して捕獲してもよい、港に近すぎる捕獲とその数が多い割に母船での調査捕獲頭数は少ない。まだ回復途上の日本海側個体群に影響が出るかもしれない。これまでのデータをなぜ使わないの?とけちょんけちょんに言われているのを知ってかしらずか。
それとも、国際的な’科学’は日本の伝統にそぐわないって?
それに、国際的に痛いところをつかれるのが嫌で、耳をふさぐことが日本の国益を守るって本気で思ってる?

「18519890_1302209199891824_6827698517656872011_n.jpg」をダウンロード

2017年4月 4日 (火)

北西太平洋捕獲調査についての専門家パネルの評価

 1月末から東京で行われた北の調査捕鯨新計画についての専門家パネル報告が出た。
11月にも書いたが、どうしてこんな計画をたてたのか、 素人目にも問題がありすぎではないのか?と思うような、恐ろしい計画だったが、やはり評価は厳しかったようだ。29もの多岐にわたる勧告が出ており、殺す前にこれまでのサンプルを活用すべきではないのか、とか、(イワシクジラに関して)捕獲頭数の正当性を説明できていない、というような意見も見える。

https://this.kiji.is/221581060774577660
↓共同通信の記事 ここから
    水産庁は3日、北西太平洋でミンククジラとイワシクジラを年間計314頭捕獲する新たな調査捕鯨計画案に関  
    し、国際捕鯨委員会(IWC)の専門家会合が「捕獲調査の必要性や捕獲頭数の妥当性が十分に説明できてい
    ない」として、日本に追加作業を行うよう勧告したと明らかにした。〔・・・〕

パネル報告は5月に開催されるIWCの科学委員会に報告され、日本の修正提案とともに議論される。
しかし、日本政府としては、「日本の調査は管理上重要」とかいうリップサービスのみ取り上げて正当化を図り、7月には(少しばかりの修正の上)船を出すのではないだろうか。それに、そうだ!そろそろ沿岸調査も始まる。←みなと新聞によると、春季調査はすぐにはやらないらしい。確か、一昨日、小型捕鯨船が胎児を出港するとか出ていたみたいだが。

2017年3月31日 (金)

日新丸船団ご帰還

 おとといくらいから、近くにいるらしいという話があったが、今日、下関に着くという報告が。
3月いっぱいで(お国のお仕事らしく)予定通り帰国ということらしい。SSの妨害にもめげず?333頭、枠いっぱいの捕獲。「本調査は、2014年3月の国際司法裁判所(ICJ)の判決を踏まえて策定され、国際捕鯨委員会科学委員会(以下、IWC/SC)によるレビューを経て最終化された」と前書きで空々しい言い訳。だんだん政治的になってきている科学委員会であってもたくさんの科学者が抗議をしているし、だいたい独立した専門家パネルの報告では、
致死的調査の必要性に疑問符が。

http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/170331.html

http://www.icrwhale.org/170331ReleaseJp.html

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