2017年4月 4日 (火)

北西太平洋捕獲調査についての専門家パネルの評価

 1月末から東京で行われた北の調査捕鯨新計画についての専門家パネル報告が出た。
11月にも書いたが、どうしてこんな計画をたてたのか、 素人目にも問題がありすぎではないのか?と思うような、恐ろしい計画だったが、やはり評価は厳しかったようだ。29もの多岐にわたる勧告が出ており、殺す前にこれまでのサンプルを活用すべきではないのか、とか、(イワシクジラに関して)捕獲頭数の正当性を説明できていない、というような意見も見える。

https://this.kiji.is/221581060774577660
↓共同通信の記事 ここから
    水産庁は3日、北西太平洋でミンククジラとイワシクジラを年間計314頭捕獲する新たな調査捕鯨計画案に関  
    し、国際捕鯨委員会(IWC)の専門家会合が「捕獲調査の必要性や捕獲頭数の妥当性が十分に説明できてい
    ない」として、日本に追加作業を行うよう勧告したと明らかにした。〔・・・〕

パネル報告は5月に開催されるIWCの科学委員会に報告され、日本の修正提案とともに議論される。
しかし、日本政府としては、「日本の調査は管理上重要」とかいうリップサービスのみ取り上げて正当化を図り、7月には(少しばかりの修正の上)船を出すのではないだろうか。それに、そうだ!そろそろ沿岸調査も始まる。←みなと新聞によると、春季調査はすぐにはやらないらしい。確か、一昨日、小型捕鯨船が胎児を出港するとか出ていたみたいだが。

2017年3月31日 (金)

日新丸船団ご帰還

 おとといくらいから、近くにいるらしいという話があったが、今日、下関に着くという報告が。
3月いっぱいで(お国のお仕事らしく)予定通り帰国ということらしい。SSの妨害にもめげず?333頭、枠いっぱいの捕獲。「本調査は、2014年3月の国際司法裁判所(ICJ)の判決を踏まえて策定され、国際捕鯨委員会科学委員会(以下、IWC/SC)によるレビューを経て最終化された」と前書きで空々しい言い訳。だんだん政治的になってきている科学委員会であってもたくさんの科学者が抗議をしているし、だいたい独立した専門家パネルの報告では、
致死的調査の必要性に疑問符が。

http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/170331.html

http://www.icrwhale.org/170331ReleaseJp.html

2016年12月 3日 (土)

スロベニア、その他のこと

 今回会議は、前回と同じスロベニアで開催された。図らずも、アメリカの選挙で、次期ファーストレディになるかもしれない人の出身地ということで知られるようになったスロベニアだが、2度も連続してホスト国になるというのは稀なことで、事務局長が「スロベニアがIWCの第2の故郷になった」というような紹介をしていた。来年の科学委員会も、同じくスロベニアのブレッドで開催される予定だ。
 2014年のIWC65の参加は、ドーハ、ベネチア、トリエステ経由で海辺の町ポルトルージュに入ったためそれほど強く意識はしなかったが、緑豊かな美しい国だと、今回、首都リュブリャナからバスで移動しながらつくづく感じた。
バスの窓からは、森と田園風景が交互に現れ、紅葉に始まった木々と、まだ緑が色濃く残る牧草地に放たれた馬や羊の姿があちこちに見られた。
そういえば、初日の環境・空間計画大臣(こうしたポスト名にも、スロベニアの意思があると感じた)の挨拶でも、国の半分を占める緑をはじめとした自然を守っていく姿勢がはっきりと出ていた。

 私たちがお世話になったアパートは、港町のピランにあり、道路の向こうは海だ。観光地らしく、貸しアパートや小さなホテル、レンストランなどが並ぶ道路の向こう側のアドリア海は驚くほど澄んでおり、岩場にはウニやムール貝が付着し、透明度の高い水には魚の群れが見える。会期中に、この海でイルカを見たという人も何人かいた。
帰りのシャトルバスで聞いたのだけど、この海も15年ほど前までは、町の排水が容赦なく流れ込み、汚れていたそうだ。それを市民たちが協力して浄化したという。そういえば、海辺のあちこちに、木と魚の組み合わせのイラストのポスターが貼ってあったが、気がつくと、街中を走るバスとかタンクローリーにもそのシールが貼ってあるのだ。
日本でも最近話題になってきた沿岸域の統合的な管理の構想は、すでにEUでは当たり前なのかもしれない。
と書いていたら、今朝、スロベニアは安全な水は全ての人々に不可欠なものだという法律を作ったという記事が掲載されていた。
https://www.theguardian.com/environment/2016/nov/18/slovenia-adds-water-to-constitution-as-fundamental-right-for-all?CMP=share_btn_fb

自国民を戦争に駆り立てる法律、TPP、年金カット法、そして今度は賭博法と、全く市民の意思、そして生活を踏みにじるような法律を連射する何処かの国とは大違いだ。

次回IWCで副議長を務めるのはこのスロベニアのビビクさんだ。直接の会話はないが、一度、エレベーターで乗り合わせた時に、一緒に乗っていた人たちに、今日まではお湿りだったけど、明日からは晴れますよ、誰ともなく、と楽しそうに語りかけていたのが印象的だった。’何処かの国’に振り回されるな、と念じたりして。

2016年11月29日 (火)

スロベニア その他の話

 <映画で使われた?>
 会議の初日の事。太地町の三軒町長がニコニコして「映画見ましたよ」と話しかけてくる。「えっ?私まだ見ていないのですけど、なんて言ってました?」と聞くと「いいこと言ってましたよ」とうなづくだけで具体的な話にはならなかった。
 S監督は、2時間ほどのインタビューの一体どこを切り取ったのだろう?
 気を取り直して「そういえば森浦湾・・」と言い始めると、「いやいや、あれは記者が勝手に書いたことで、私たちとは関係ないことです。私たちが思っているのは、森浦湾で国際的な鯨類研究をしようということですから」という。
それでは、ボルチモア水族館のように、飼育イルカを解放するためのサンクチュアリにしたら?というと、「ええ。水族館のイルカを入れて、ゆくゆくは繁殖した子供を放すことなども考えています」。それはちょっと、と思ったが、いずれ伺いますからその時意見交換しましょう、とその場を離れた。
 会場で座ろうとすると、大隅御大が近づいてきた。「やあ、嬉しいな。あなたが考えを変えたって聞きましたよ」という。びっくりして「え??」と聞き直すと「捕鯨推進になったというじゃありませんか」????。そんなことどなたから?と聞いても答えがない。例の映画だな、とまた不安になるが、捕鯨を是認したコメントなど言っていないことには確信がある。
 それでも、彼もさすがに3日目のNGO発言(10月18日に出した日本のNGO17団体の共同宣言)の後は、むっとした顔で話しかけては来なくなった。

<2つのIWC>

 6月以降、森下丈二代表がIWCの二分化を主張し始めている。曰く、捕鯨推進は沿岸捕鯨や食料安保(南極など公海での操業?)を、そして反捕鯨はクジラ保全や環境、動物福祉を担当すればいい、と。ここにはクジラが生きて動いているものだという認識は全く感じられない。
また現在、調査捕鯨で好き勝手をやっている日本は、すでにこの主張を実践しているようにも見える。

  これまで反対する人たちがいて、きつく監視してきたからこそきちんとした管理への道筋ができた。また、必要なところ(例えば先住民捕鯨)には、枠が設けられてきたのだ。対立そのものは決して悪いわけではない。ところが、
 「対話」とか「理解を得る」とかいいことを言っている日本がやっているのは、とにかく規制を受けない捕鯨を存続するために条約改正に踏み込まれないことだ。そのためには、4分の3を反捕鯨に取らせないことが至上命令であるのは明らかだと思える。

 一方で、反捕鯨側はどうかというと、例えば、ニュージーランドは2014年にどのようにIWCを改革していくのかという投げかけの決議案を出し、採択された。また、今回も、オーストラリアとともに、科学許可の要件等を議論する作業部会設置を含む特別許可のを管理できるための決議を通している。日本がいくら反対し、今も古くないと言い張っている国際捕鯨取締条約は、すでに性格が変わっているのは確かなのだから、本気でIWCの将来を考えるなら、この方向に踏み出さざるをえないだろうと思うが、二分の一で採択される決議には拘束力がないため、埋めるべき溝は埋まらないのが現実だ。
 日本は、「IWCの将来」と銘打って、捕鯨時代の条約を復活させようと、様々な思惑で日本に加勢する国々を巻き込んで行っている。’かつてのような乱獲はありえない、守るべきは守り、持続的な利用を推進する’、と言いながら、今回のNEWREP-NP案を見ればかなり疑わしいものだ。
そして、モラトリアムを解除するための4分の3は獲得できないことを承知の上で、2006年のセントキッズ宣言とか、今回の食料安保決議などを通じ、モラトリアムの事実上の突破を狙っている。

 もう一つの動きは、小型鯨類の保全活動や環境と健康に関する決議案の提出だ。前回の小型鯨類に関しても他機関と連携して保全に努めること、今回のクジラの地球生態系への関与や水俣条約と連携して、水銀の汚染が報告されている鯨類に関して、同条約に貢献しようというもので、「非致死的調査により」という文言が「持続利用」勢力は気に入らない。これらは、2分の1の獲得で採択されるので、捕鯨推進の反発をよそに採択される。調査捕鯨にストップをかけられないまま、こうした決議案を持ってくる気持ちはわかるが、それでは問題は解決しないのになあ、と複雑な思いだ。また、こうした動きが捕鯨に反対する勢力の自己満足に終わらないかということも懸念される。

一方でNGOはというと、発言の機会が増えた分をうまく活用できているわけではないような気がする。今回、発言の機会は加盟国の発言がおさまってからで、必ずしも議論として噛み合わせられるわけではなかったし、また事前に発言内容を知らせる必要もあり、実際に行われている議事に対して影響を与えるのは難しいと思った(違ったかもしれないが)。このままでは、相変わらずのガス抜きに終始するかもしれず、もっと体系的な動きを考える必要がある。と、きちんと作戦会議などに参加しないまま偉そうなことを言っても仕方ないのだが。

 本当は、このことに責任があるのは私たちなので、(あえていうが)’暴走’の止まらない日本を、どうやって私たち市民が止められるかということだと感じている。どんどん民主国家でなくなっている現在、ますます難しいことになってはいるが。

2016年11月25日 (金)

IWC66スロベニア 議長

 11月24日の毎日新聞「オピニオン」。
森下丈二次期IWC議長が「捕鯨の未来」を語っているhttp://mainichi.jp/articles/20161124/ddm/004/070/014000c
曰く、日本は、モラトリアム以降、モラトリアムの法的な解釈をしたり、調査捕鯨で科学的データを積み上げ、日本文化を理解してもらおうとしてきた。しかし、強硬な反捕鯨国は、法律や文化とは関係なく、「1頭たりともクジラを捕らせない」と主張しています。
だって反捕鯨は捕鯨に反対しているということであるだけで、だからこそ「対話」と「合意形成」が求められているのではないのか。非難するだけでは「子供のけんか」レベル。それを「法律や文化とは関係なく」とさりげなく付け加えて、告げ口するようないつもの森下節をそのまま書く、いつもながらの劣化した国内メディア記事にため息。
もちろん、今回の北西太平洋の調査捕鯨にも、南極での調査捕鯨の問題にも触れていないでうわべのきれいごとだけ。

 さて、彼はますます、都合の良いところだけを切り取って使うのがうまくなってきている。「議長は自国の代表団の代弁をするようなことは許されない」と言いつつも、片方では「単に事務的な手続きを流すだけでなく、何らかのイニシアチブや(!!)展開、進展を見せるよう努力していきたい」と本音も出している。
議長は2年任期なので、次回(2018年の総会)で役目を果たせばいいことになる。「議長に置いとく方が少しは大人しいのではないの?」という楽観的な意見も聞いたが、ここは要注意。先ほどの引用から行くと、「中立」の意味がわかっているのか?と疑いたくなってしまう。

 今回議長を務めたスイスのブルーノ・マイニニさんは、実に見事な采配ぶりで、限られた時間内に必要事項全てをきちんと議論するように運営した。彼は、非常に冷静で客観的な判断のできる人で、そういえば2007年に日本が主催した「IWCの将来」の会合にも参加していた。
海外の方たちはともすると時間にルーズという先入観があったが、彼の時間厳守はまったく恐れ入るほどで、また、議論が膠着すると、対立するもの同士で必要な合意形成の場を設定させたので、無駄な議論はかなり減り、夜遅くまで不毛な議論が重ねられるということがなくなった。その分、私たちの意見発表の場も保証された(一度だけ、NGOの発言が中止させられたことがあった。鯨肉缶詰が日本から不正輸出入されてイギリスの保税倉庫にあるという話で(1缶25ドルもするらしい!)、その場の議論とは離れているという指摘に対しては不満や異論もあるかもしれない。一方で、あの場で発言するから解決するという類のものとも思われなかったが、その後どうなったのだろう)。

ついでだが、前回の科学委員会議長は日本の北門さんで、本会議での科学委員会の報告が通常の四分の一以下で、議事進行に貢献したのかもしれないが、議論がとても不活発になった記憶がある。確かに、報告書の何ページに書いてあると言われればそれまでだが、その場で読むことによって議論のきっかけができる。報告の短さについてはNGOの中でも評判が悪く、今回は、以前と同じように(そして2年分の)それぞれの議題、作業の報告が議長のフォルトゥナさん(イタリア)から行われた。

また、報告には含まれていなかったが、オホーツク海で見つかった新種「カラス」について、報告書の中にはツチクジラ猟の際に混獲されないように監視しているというようなことしか書かれていなかったので、詳しい人に尋ねてみた。日本政府による新たな調査は全くないそうで、生きた個体は見つかってなく、現在頭骨を使ってのDNA解析で最終的に新種であるかどうかということがいずれ発表されるということだ。日本政府の「保護すべきはする」という姿勢はどこ?

2016年11月22日 (火)

新植民地主義??

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161105-00000022-jij-int
「さまようIWC-捕鯨賛否で水掛け論 ー票取り合戦激化(深層探訪)」
という時事通信の記事があった。
残念ながらすでに消されているようで、スクリーンショットで撮っておけばよかったと後悔。
なぜ、取り上げたかったかというと、冒頭の写真が、日本の代表の一人とカリブの代表の一人が向き合ってにこやかに話し合っているもので、(CITESのFB写真などを合わせてみると)記事の意図とは違ってなかなか象徴的なものに見えるのだ。しかも、会議でのカリブ諸国の発言、「植民地」という言葉との組み合わせでは。

カリブ諸国をはじめ、日本がODAを使って途上国にどのような工作を行ってきたかということは、幾つかのNGOによって報告されている。
http://www.ifaw.org/sites/default/files/3MF_Report-Japan_IWC_Vote_Consolidation.pdf
http://www.eccea.com/index.php?mact=News,cntnt01,detail,0&cntnt01articleid=4&cntnt01returnid=46

http://www.eccea.com/index.php?mact=News,cntnt01,detail,0&cntnt01articleid=43&cntnt01returnid=44

これまでも、カリブの国々から議論が沸騰してくると、この「植民地」という言葉が繰り返し出てきた。彼らにしてみれば、かつての大植民地時代に、欧米がどれほどカリブの小国を搾取してきたかということを搾取側に思い知らせるためのいいチャンスなのだ。もちろん、彼らが何かにつけこうした過去の恨み節を噴出させることは理解できる。しかし、こと捕鯨を再開させることで、彼らの直接的な利益になることがあるだろうか?以前は、とにかく捕鯨に関心はないが、クジラが漁業資源を食べ過ぎてしまうので困る、というような話は繰り返されてきた(日本がそんなこと言っていないというまで)。過去に国絡みで捕鯨に従事してきたとことがあると記憶にはないし、先住民捕鯨枠を獲得したセント・ビンセント&グレナディーンの場合など、いわゆるヤンキー捕鯨が発端であって、厳密に言うところの先住民捕鯨ではないと聞いている。同国の民俗博物館の学芸員の方が、(チリでだったかな?)同国の遺跡の中にクジラの骨など出てこない事を証言しているが、それでも一応、小国の要求を受け入れて、ザトウクジラの捕獲枠が設定されている。他に捕鯨したいというところは今の所ないのだが、それでもカリブの幾つかの国の代表は、いわゆる「持続利用」に反する意見に対してマイノリティの抹殺とか、新植民地主義とかいう言葉で議論を座礁させてしまう。
会議の中では、ああまたか、というため息が聞かれそうな話なのだが、今回が初回だった例の記事の記者さんは、まんまとその言葉に反応したようだ。その結果、瓢箪から駒。

今回は、最終日に投票が行われたCreation of a Fund to Strengthen the Capacity of Governments of
Limited Means to Participate in the Work of the IWCの議論において繰り返された。要は、条約でも認められているように、締約国には条約の議論に関して参加する権利がある。参加資金が限られている小国がすべての作業に参加できるように、基金を設立すべきで、とくにグループ1と2に属する金持ちの国がその基金提供をするというものだ。この限りにおいてはもっともな話ではある。しかし、内実を見るとなかなかそのままでは受け入れ難い微妙なところのある問題だ。基本的には異議はないが、科学委員会参加や技術的な面でのキャパシティビルディングなど、内容的な詰めが必要、また部分的に異なる見解もあるとして、閉会中に詳細を詰めようという意見も数多くあったものの、議長は採決を促し、結果的に賛成30、反対なし、棄権31、不参加1という結果になってしまった。

IWCの参加費の負担は、捕鯨の有無や、会議参加人数、その国の財政規模によって4段階に分けられており、上述のような国はすべて負担が軽くなっている。
RS4616_Financial_Contributions_2015.pdf
ちなみに日本が一番高額で、132,341ポンド(およそ1600万円)、ドミニカなど小国は4467ポンド(54万円くらい)。
ODAによる水産支援も含めて考えれば、日本のIWC貢献度がダントツで高いのは確かだ。

2016年11月17日 (木)

IWCスロベニア会議 その4決議など

対立する議題などに関してグループを推奨し、その進捗状況を確認、決議案の内容によって議論の時間はまちまちだったが、4日目(27日)には5つの決議案が採択された。

https://iwc.int/day-four-special-permit-whaling
<Five Resolutions>


IWCの効果をより強めるという決議案で、これはコンセンサスで採択された。ブラジル、アルゼンチンなどのほかアメリカも提案者となり、包括的で独立した評価が閉会中に行われるということになった。

オーストラリア、ニュージーランドによる特別許可のもとでの捕鯨についての改善策提案。両者からの議論沸騰で投票にかけられ、賛成34、反対17、棄権10で採択。文言にある、特別許可内容を検討する作業部会が設立される。
しかし、2014の5決議同様、拘束力を持たない。

前回ガーナなどから提案された食料安保に関する提案。世界の飢餓を救うためにIWCも貢献すべしという意見だが、モラトリアムの事実上の破壊では?とか議論の場所が違うのでは?などという意見があり、次回再提案されることになった。

チリなどから提案された鯨類と生態系に関する提案は、最近になって明らかになった鯨類の地球生態系への貢献を認識し、保全を行うというもので、日本などは捕鯨の否定だとして反対。投票結果は、賛成36、反対16、棄権7で採択。捕鯨議論だけでなく、クジラを包括的に考えるという新しい方向だ。

ウルグアイが水俣条約と鯨類に蓄積される水銀問題を取り上げた。日本政府は、人為的な水銀による汚染は本条約とは関係ない、また非致死的調査という文言が気にくわないとして反対。投票結果は賛成38、しかし投票に加わらないとした国が23もあった。

もう一つ、また議論を醸したのは絶滅に瀕するバキータの保護提案でアメリカから出された。メキシコ湾に生息するバキータは、違法なトトアバ漁による混獲により、現在わずか59頭以下となっている。すべての国に、早急な保護対策を訴えるというものだ。トトアバは、魚そのものも絶滅に瀕していると言われるが、中国などでその浮き袋をスープなどに利用、場合によっては浮き袋一つで1万ドルという高値がつくようだ。トトアバ漁を行う刺し網は生息海域で禁止されているが、密猟が絶えないのだ。
なんでメキシコでなくアメリカが提案?というような議論から始まり、捕鯨推進側からは、小型鯨類はIWCの管轄外!という合唱が。それでも、絶滅危惧種の保護にはさすがに反対しづらかったのか、どこも合意を阻止しない。日本は、投票には参加しないが、その理由を声明として出すと(要するに、絶滅させるには忍びないが、IWCの管轄外のものを受け入れられない、IWCで決議したって状況は変わらない)いい、アンティグア&バービューダなど日本支持国が同調。ロシアだけ、投票に参加しないが、声明にも賛同しないと独自路線(中国は今回IWC不参加)。

まだ、日本などが提案している、経済的に困難な国のIWC参加促進のための決議案が作業中だ。


2016年11月16日 (水)

スロベニアIWC66(3)NGO発言

  前回、会議の透明性と市民参加の決議が採択されたので、NGO発言の機会が増えるということを聞いていた。
CITESばりになるかもよ、という話だったが、今回は、加盟国発言が概ね終了してからというルール。だが、同じような発言が繰り返されるような場合は、IGO,NGO発言の場を議長が確保した。
 3日目は、小型沿岸捕鯨が最初の議題だったので、仲間から、日本のNGOによる共同声明を読んだらどうか?というお誘いがあり、予算のうちの沿岸調査が2倍になったことをじゅんこさんが懸念しており、伝えるべきだと思い、発言することにした。
 各国の座席の後ろにしつらえられたNGO席には、すでに網走水産の下道吉一さんが座って、細かく書かれた下書きを読まれていた。
 オホーツク海には、希少なJ-stockが生息するということから、政府はこれまで網走での操業を許可してこなかった。
 もともとの網走捕鯨の歴史というのはあまり古くなく、1915年の東洋捕鯨による捕鯨事業が最初だ。
当時の捕鯨は、食用というよりは、採油と肥料が主要で、ミンククジラではなく座頭鯨やナガスクジラが捕獲された。しかし、捕獲が本格化したのは1940年、第二次世界大戦に向かう食料増産だと言われている。
 沿岸調査捕鯨が業務委託された時、彼は、釧路に解体工場を建設して沿岸調査捕鯨に参加したきたが、4年ほど前に太地漁協が所有し、廃棄しようとしていた「正和丸」を購入し、沿岸調査に参加している。網走での捕鯨というのは、彼にとっては「悲願」というべきものなのかもしれない。
 しかし、せっかくの訴える機会なのに、彼のプレゼンテーションは、原稿を読み上げるというより、マイクに向かって吠え立てるという感じで、何を言っているのか理解するのが大変難しかった。
あとで他の人たちからも、「彼が何を言っているのかわからなかった」とか「(あなたが)マイクに向かって吠えなくてありがとう」などと言われたが、考えてみれば、予兆はあった。
 パナマで、政府関係科学者が「J-stockは増えているのですよ」と言っていたし、今回の沿岸調査捕鯨の予算倍増、そして伊藤議員のIWC参加と下道氏の発言を結びつければ、網走での操業開始宣言だということが理解できたはずだったのだ。

2016年11月10日 (木)

地域個体群

 今回の北西太平洋クジラ捕殺計画で、網走での操業が明らかになった。これまで希少個体群が存在するとされて捕獲を許可されなかった海域での許可だ。

読売新聞はこう書いている。
  「水産庁が9日、発表した新しい北西太平洋の調査捕鯨の計画案(2017年度から12年間)で、
   ミンククジラの捕獲調査の対象海域に網走沖が追加された。かつては国内の捕鯨基地の一つ
   だった網走市では、調査捕鯨とは言え、30年ぶりにミンク捕獲が再開される見通しとなった。

   新しい計画案で、網走沖が追加されたのは、オホーツク・太平洋で繁殖するミンクだけでなく、
   日本海で繁殖する系統が捕獲できるのが理由だ。日本海の繁殖系統は、資源が少ないと
   されるが、それを示すデータがなく、実際はどうなのか調べるという。〔・・・〕

今回の新計画でJストックの捕獲に関連して述べているのを見つけたが:

        Mixing of J and O stock common minke whales in the coastal area of Japan
 Common minke whales have been caught by past commercial whaling, JARPN/JARPNII and bycaught by setnet fisheries along the Japanese coast.
 Composition of J and O stock common minke whales estimated by microsatellite assignment differs among sub-areas and survey components.
Although some of the J stock animals migrate into the Pacific side of Japan, their distribution range is limited to the coastal zone, mainly within 30 miles from the coastline (Figures 1 and 2).
 The mixing proportion of J stock animals in sub-area 7 during the 1983-1987 commercial whaling period was1.8% (Goto, unpublished data). On the other hand, the mixing proportion of J stock animals during the 2002-2014 JARPNII coastal surveys conducted in sub-area 7 was 21.7% which was much larger than the commercial whaling period (Figure 1).
Sampling of commercial whaling and JARPNII coastal survey was conducted at approximately the same season at the Sanriku region (sub-area 7CS): April to June. However, mixing proportion of J stock animals differs between commercial and JARPNII coastal survey in each distance from the coastline in Sanriku, being larger in the JARPNII coastal survey (Table 1, Figure 1).
 The information above suggests a possible recovery of J stock common minke whales and an ensuing increased ‘spill over’ from the Sea of Japan to the Pacific side of Japan. Further investigation is necessary to confirm this.

 要するに、商業捕鯨時代と比べて、Jストックのミンクが太平洋側に生息域を伸ばしているから「回復」しているのだろう(=だから殺しても大丈夫!?)、というものだ。
 47頭殺すことでどうやって推定個体数の増減を調べるのだろうか?というのが素人の疑問だ。

 水産庁の資源調査では、あまり個体群とその動向というものに重きは置かれてこなかったように思う。このJストックだって、指摘されてもすぐには認めていなかったと記憶している。他に枝分かれした個体群もあるかもしれない(Ow個体群)と指摘する科学者もいると聞いているが、科学委員会で意見が一致していないと一蹴しているようだ。

ついでに気になるのは、今回救われた(!!)ニタリクジラとマッコウクジラだ。一生懸命その理由を探しているがまだ見つからない。

2016年11月 9日 (水)

大盤振る舞い?

 2014年のIWC会議で、日本政府は、 RMP に基づいた沿岸(商業)捕鯨におけるミンククジラの捕獲枠として、17頭を要求した。そしてオーストラリアのコミッショナーから、枠の算出に幾つかの選択肢があり、その数は、その中でも最大のものだというだけだと指摘された。
今年、日本政府は、沿岸小型捕鯨の提案を行わなかった。提案そのものがあまり真剣なものではなかったが、そんなに少ない数では採算が合わないもんね。
そして期間中に質問状を出しておき、小型沿岸枠要求に代わりに、国際捕鯨取締条約の10e(モラトリアム)は、捕鯨禁止ではなく、枠がゼロだということを認めろ、と訴えた。
まあ、こうした日本型の「原理・原則」の主張は、今更だが、何らかの解決策を求めたものではない。
それが証拠に、会議が終わって10日しか立たないのに、今度はNEWREP-NP(北西太平洋での新調査捕鯨計画)を公表した。
http://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/attach/pdf/index-2.pdf

役立たずのRMPではなく、誰にも口を挟まさない調査捕鯨というかたちで、仲間内が納得する数字を弾き出すというわけだ。
イワシクジラは+40の140頭、業者捕獲のミンククジラは太平洋側で100頭、そして、網走で希少なJストックを47頭、母船では27頭だという。
日本としては、なんとかいちゃもんをつけつつ、不利な改正を阻止し、かつ、RMPに束縛されない方法での捕獲を続けることになる。「RMP合意で捕獲すべし」も「持続的に利用できるものは利用する」もあんまり本気ではないように見えるのは私だけか?

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