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2022年10月22日 (土)

IWC5日目

5日目は、最後の今回提出された報告書等の採択と、役員の選出、次回開催地の決定などが進んだ。

次回の議長はギニア共和国のディアロ代表、副議長はオーストラリアのニック・ゲイル氏。2分化されたIWCで議長は、それぞれの利益を代表する側が交代交代に努め、68まではスロベニア、その前は日本だった。露骨な身内贔屓は出されないが、蓋を開けて見ないとわからない状態で、ちなみに今回までの議長は公平、中立だと両方の側から褒められていた。特に、採決ボイコットに際して、強行しないで、多分、怒りに萌えるブエノス・アイレスグループを宥めた事が評価されたのか。

しかし、議長の会議の成果文書では、採決できなかったことを単に「定足数が満たされなかった」と表現したことから、採択を強く望んだ側からは事実に反すると大きな不満が爆発した。しかし、議長は文書が単なる成果の報告で、詳細経過はのちに出される議長報告で語られるとがんとして動かず。議論が長引き、最終的には多少の文言修正が試みられ、また次回会議ではまず最初に定足数に関しての手続き規則がどのように考えられるのか検討されるということでなんとかおさまった。

多分、サンクチュアリが会議で決定されようがされまいが、提案した沿岸国は粛々と保全を進めるだろうし、また、どっちみちそれはサンクチュアリに強硬に反対するアフリカを主体とする国々にとっては、決まっても、決まらなくても実質的に何も変わらないだろう。要するに、「日本症候群」に感染した捕鯨支持の国々が、象徴としての保全を受け付けないという意思表示なのだから。

しかし、なんとも収まらない気分にさせられるのは、‘提案した国々=豊かな国々、反対する国々=貧困国‘というおかしなレッテルづけだ。なぜなら南米沿岸諸国での経済活動は、だいたい小規模な業者によるホェールウォッチングで、大国の経済活動とは関係ないからだ。それを、捕鯨を将来するつもりもないし、クジラを食べもしない国がめくじら立てるというのは一体なんなんだろう。

関連する提案で食糧安全保障という観点からの捕鯨推進があるが、これも同じように、鯨肉で飢餓を解消しようとすれば、程なくクジラたちはいなくなってしまうだろうし、クジラの海に貢献するさまざまな生態を考えれば、小規模な沿岸漁業者にとって、存在することこそ恩恵と考えてもよさそうなのに。

なんだか母国では時事通信が、この提案が‘否決‘されたとか報道したようだが、飢餓撲滅はIWCを超えるとされながらも、より良い内容で検討しましょうね、とアメリカなどがいって継続討議されており、採決はもちろんされていない。

 

で、次の開催地はペルーだ。

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