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2022年9月13日 (火)

ソフトなやり方で・・・

 知り合いが、「韓国で、人気ドラマの影響でイルカが解放されたらしい。」とリンクを送ってくれた。

https://www.youtube.com/watch?v=LINfGgNmsh4

何でも、ドラマの中で主人公が’水族館はクジラの監獄です’というセリフがあって、済州道で水族館飼育されていた最後の1頭のミナミハンドウイルカが解放に向けてリハビリを受けている。韓国では、2015年にも違法に捕獲されたイルカが解放されたという話が確かあったと記憶している。

https://japanese.korea.net/NewsFocus/Society/view?articleId=128106&pageIndex=18

別の知人が、IKA-NET NEWSの感想として、「難し過ぎて一般はついてこられない、漫画にでもしたらどう?」というメールをくれ、少し考えていたところでもあったので、どんなドラマなのか見てみた。主人公は、自閉スペクトラム症の若き弁護士で、幼い頃からクジラが中心という感じで、何かというとクジラにたとえて同僚からうるさがられているが、その彼女に惹かれる調査員がまだイルカをみたことがないという主人公に、うっかりと「水族館には行かないの?」というようなことを言ったため、水族館ではイルカがどれほど苦しむかを彼女が捲し立てるシーンがリンク先にある。

それだけではなく、何か問題に突き当たったりした時、解決のためのインスピレーションでは、ザトウクジラの大ジャンプやイルカたちがジャンプする場面が描かれ、解決した後は、高層ビルに並行してクジラが空中遊泳したりするのだ。子供たちの受験地獄が描かれるところでは、背鰭が折れ曲がったシャチが登場という具合。

IWCでは韓国は数年前まで日本に同調し、捕鯨推進の立場であり、一度は調査捕鯨をやるとか言ってみんなをびっくりさせたこともあった(すぐに撤回したが)。また、蔚山では相変わらず、混獲されたとされるミンククジラ肉が結構の数販売されていたようだが、こうしたドラマに人気が集まるということは、確実に世論が変化しているということだろう。

そういえば、BTSのベガスのコンサートのフィナーレでも、クジラたちの模型が空中遊泳していたし。

日本でリメイクしたいという話もあるそうなので、下手な漫画よりもこちらを頑張ってもらうことにしようと考える怠惰なわたし。

 

2022年9月 9日 (金)

富戸、イルカ猟返上!

 懐かしい方から久々の電話があった。富戸の元イルカ漁師で、今はイルカウォッチング船、光海丸の船長さんの石井泉さんだ。彼は開口一番、「富戸がイルカ猟を返上しましたよ!」と元気にいう。

富戸は、日本国内で2箇所あるイルカ追い込み猟の実施地域の1つだったが、実際は2004年に行われた追い込み以来は、水産庁から捕獲枠は示されてきたものの、捕獲はしてこなかった。ここ1、2年は、毎年8月に行われた「イルカ取るぞ!」宣言もなくなって、実際は断念したようなものだったのだが、やっと「返上」という言葉を明るみに出せることになった。

「あれから26年ですよ。」と石井さんは感慨深げに続ける。これまでのブログで見ていただくとわかるように、「あれから」とは、私たちがイルカ猟に遭遇し、反対する行動を始めた1996年から、26年の年月が過ぎたということだ。長いようで短かったこの26年。

石井さんは、1993年にイルカの捕獲枠が定まったことを幹部から知らされないまま、1996年の捕獲の後のテレビ局の取材に対して「漁師が捕獲した獲物を全て水揚げするのは当たり前」と発言。その後で、捕獲枠のことを知って愕然とし、組合内部で問題をきちんと解決しようとしたのだが、組合内での反発が激しく、一人、村八分ような立場になった。私たちも何とか彼を支援しつつ、イルカ捕獲問題を広めてきたが、国内での支援の輪はそれほど広がらなかった。彼はそれでもめげずに、海外NGOの助けを借りてイルカのウォッチングを開始する。

元々、いまの追い込み猟のかたちは伊豆地方で始まったようだが、そのことが仇になって、70年、80年代にイルカを取り過ぎ、4箇所あったイルカの各地は次々撤退、かろうじて踏みとどまった富戸においても、コンスタントな収入源になったというよりは、たまさかのボーナス程度の経済性でしかなかった。しかし、近隣水族館の要望もあり、肉というよりも生け捕りによる収入は魅力的であったらしく、なかなか引くことにならなかった。

しかし石井さんも黙ってみていたわけではなく、イルカを追い込む湾内への定置網の誘導提案など、イルカの追い込みにく状況作りに努めてきた。定置網を湾内に設置してから10年、そこそこの売り上げも見込まれる状況も生まれ、伊東市漁協の運営ではなく、富戸在住の理事の一人がその定置網漁業を漁協から買いとり、法人組織化を試みた。それまで漁協が唯一の水上げ魚の市場だったものが、これによって販売努力さえすれば、複数の市場でより高く売れるということもあり、定置網業者にとっても、またその維持運営での経費削減を見込まれる伊東市漁協にとっても言ってみればウィンウィンの関係となったようだ。

石井さんは、これからさらに「イルカを平和な海のシンボルに」という運動を加速させるべく張り切っている。

ウォッチング事業の方は、震災や海難事故でなかなか困難な状態ではあるそうだが、イルカのため、海と海に生きる人々のため、ぜひウォッチングを応援して欲しい。

 

 

 

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