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2022年2月 7日 (月)

太地シャチ捕獲から25年

1997年の今日、2月7日に、太地にシャチの家族10頭が追い込まれた。この件については、ブログで何回も書いているので詳細はそれに任せるが、4半世紀前のことであるのに、いまだに強く記憶に残っている。このところ、資料整理を行なっており、昨年10月にも少し詳しい情報を掲載したところだ。

http://ika-net.cocolog-nifty.com/blog/2021/10/index.html

このところ、意見交換ができていないが、関係者の話では1昨年あたりでも、やはり、高額取引できるシャチの捕獲は魅力的らしいことが伺えた。幸いなことに、日本国内での捕獲は止まったままだし、また次の捕獲地になったロシアでも、海外への移動はできなくなったというニュースがあり、また捕獲は科学目的か教育目的に限られ(まだ懸念は残るが)、枠の提示は停止されているというのは喜ばしい。

ただ、それで問題解決というわけではなく、人間活動による海洋の汚染が、世界各地のシャチをはじめとしたクジラ類を苦しめていることは度々ニュースになっている。とくに、海の食物連鎖の頂点にいるというところでは、1990年代からシャチに溜まった高濃度の化学物質汚染が懸念されてきた。アメリカのサザンレジデント個体群の化学物質汚染と餌生物減少による激減は繰り返し問題となっていることは既知の話だろう。

日本の’国際漁業資源の現況’では、とてもたくさんいるかのように書かれているが、現実を見据え、きちんとした科学調査とその上での保全の前向きな施策が望まれる。

2022年2月 5日 (土)

アイスランド捕鯨撤退

AFPは、アイスランドが2024年に商業捕鯨から撤退すると伝えた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3a5a1ce71374d77ff1872c3e146d589a09f5b681

それによると、(漁業相の)スバーバルスドッティル氏は、現地紙モルゲンブラディット(Morgunbladid)に対し、捕鯨数の年間割り当てが終わる2024年以降、「捕鯨を認めることを正当化できる理由がほぼなくなる」と説明。捕鯨に「何らかの経済的メリットがあるという証拠はほとんどない」と述べた、そうである。

しかし、これはすでにミンククジラの捕鯨業者2社のうち、1社が撤退した2020年段階で予想できたことだ。アイスランドの捕獲枠は、2019年〜2023年の間年間ミンククジラが217、ナガスクジラ209頭だが、この3年間でミンククジラが1頭捕獲されただけ。大きさからいうとミンククジラの2倍半ほどあるナガスクジラは、ほぼ全てが日本向けにクバルルという個人企業が捕獲し、輸出していた。しかし、日本が商業捕鯨を開始したことや、輸出するべき鯨肉の品質にも問題があり、このところ輸出も奮わない状態で、国内にそれほどの需要があった訳ではなく、漁業が盛んなアイスランドにあって捕鯨業が占める位置が大きかったわけでもないのだ。

さらに、自国海域における海洋保護区の拡張や、NGOによって設置されたサンクチュアリが存在し、クジラの捕獲が近場でできなくなったことも捕鯨業にとっては打撃だったろう。

また、例のパナマ文書スキャンダルで時の首相が退陣した後、選挙で選出された首相は、左派の緑の党のカトリン・ヤコブスドッティル氏。流れとしては至極当たり前のことだ。

人口およそ36万人という小国ながら、人権や女性の権利で先進的な役割を果たしているアイスランドだから、こうした結果も受け入れやすいのだろうと思う。

翻って日本はどうなのか?

業の継続には足りない捕獲割り当てにも関わらず、また、業者の涙ぐましい努力にも関わらず、鯨肉需要は減り続け、在庫が積み上がっている。もともと補助金なしには継続が難しい業種であったのだが、そろそろ政府も梯子を外しにかかっているようで、表看板はおろさないものの、内実としてはどうやってうまく転換を果たそうかと考えいるのではないか、とさえ勘ぐれるようなおかしな動きがあるように思える。まあ、日本の伝統として、’すっぱりきっぱり’ではなく、あいまいに、なんとなく消えるような当たり障りないやり方が通りやすいということなのかもしれない。

 

 

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