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2021年10月13日 (水)

太地シャチ捕獲事件(1)

 11月23日に違反イルカ事件の緊急集会が東京で行われ、イルカ捕獲と水族館飼育についての多様な意見交換が行われた。12月に水産庁との意見交換も行われ、一段落して新しい年を迎えたのも束の間、翌年2月7日、事務所に今度は大阪からシャチが捕獲されたという電話やファックスが相次いで入って来た。テレビで映像が流れたらしく10頭のシャチが追い込まれたという。

シャチは、水産庁のRDBと呼ばれる「日本の希少な水性野生動物に関する基礎資料」では希少種に分類されている。また、毎年更新されている水産庁管轄の、国立研究開発法人水産研究・教育機構の「国際漁業資源の現況」では「北東太平洋では複数系群の存在が知られているが(Olesiuket al. 2005)、北西太平洋における本種系群の情報は全くない。今後、本海域の系群構造を明らかにして、系群単位の資源量推定とその動向を確認する必要がある。」と記述され、管理方法として「捕獲は禁止されている」と端的に記されている。

1997年2月に追い込まれ、捕獲された10頭の群れについて、IKANが作成した「太地シャチレポート」で、水産庁は「今回の捕獲は学術研究の目的で実施されたもの。6年前の1991年に国内の5水族館から研究計画書を添えた捕獲許可申請が提出され、その内容を水産庁内の専門家きか関係者によって審査・検討した結果、年間5頭まで捕獲を許可した。研究会用はシャチの生理・生態・習性を調べ、究極的には繁殖を目的とするもの」と説明。しかし、のちにあきらかになっことでは、1991年当時、小型鯨類に関する水産庁内の専門家機関の最高責任者は、シャチ捕獲について許可を出していなかった(捕獲許可申請があったことさえ知らなかった)。また6年前に5水族館から提出されたはずの「研究計画書」は、関係者ですら存在を知らず、水産庁も公表しなかったことから、実際は存在しないか、存在したとしても計画書の形を成していないズサンなものであったと思われる」(太地シャチレポートからの抜粋)

2月10日早朝、シャチは畠尻湾に追い立てられ、水族館の飼育員による選別と捕獲が始まった。

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