5。水族館からの解放
10月23日、県水産課の指示で湾内に残っていたおよそ150頭のイルカが解放された。仕切り網が解かれても、中にいるイルカたちがなかなか出ていかないので、漁師たちが船を使って追い出したようだ。しかし、これで解決したとは誰も考えなかった。
10月21日から22日にかけての捕獲で、6頭のオキゴンドウ が生け捕りされ、伊豆三津シーパラダイスと下田海中水族館に搬入された。これについても、違反捕獲なのに水族館に販売して展示するのは問題ではないか?とIKANは水産庁と県の対応を求めたが、当該水族館は違反をしたのは漁協であり、水族館ではない、また、群れから引き離されたオキゴンドウ は野に返せない、などの反対姿勢が当初あり、動物園水族館協会は「混獲により、枠外のイルカが捕獲されたとしても研究のため飼育を許可してほしい」旨の要望を水産庁に出した。また、動物園、水族館の監督官庁である文科省は、「違反を知らずに購入した水族館は善意の第三者であって、返還する義務はない」という答えだった。
IKANは関係省庁と県だけでなく、水族館の親会社の西武グループと椿山荘にたいしてオキゴンドウ 解放を求める緊急行動を仲間によびかけ、25団体の連名で要望も行った。
30日になって、県の強い指導で解放の方向にあるという水族館からの返答があり、31日朝、県水産課立ち合いのもと、6頭がリリースされたという報告があった。これが日本で最初の水族館からのリリースになった。
職員の話によると、トラックで運ばれてきたオキゴンドウ は、1頭ずつ海に離されたが、先に離されたものはその場にとどまり、6頭全ての解放が終了して初めて外海に泳ぎ出したという。
しかしここで事件が終わったのではなかった。年が明けて、内部告発をする1本の電話がかかってきたのだ。
最近のコメント