« 海の生物の混獲について | トップページ | イルカの新捕獲枠 »

2020年5月25日 (月)

沿岸の生物多様性とクジラ

5月22日は、生物多様性の日。今年は本来ならば、愛知目標の検証年だし、国連生物多様性十年の最後の年だ。十年前のCOP10では、主に東京と愛知のNGOがネットワークを組織し、会議に臨んだ。IKANは海の部会を立ち上げ、事務局のリー博士をお呼びしてシンポジウムを開催したり、日本で消費されている代表的な魚たちの現状を知らせる「お魚ガイドブック」を作って市民に訴えかけたり、また、主宰する政府を盛り立てる下働きに励んだのを懐かしく思い出す。

あれから海の保全は進んだか?と言うととても心許ない。確かに海洋生物のレッドリストはできたし、また、日本の重要海域の選定も行われた。しかし、その内実はとてもお寒いどころではないと私は思っている。海洋環境と海洋の生き物たちが私たちの、そして私たちの将来世代にとってかけがえのない、たやすく失ってしまっていいものではないと言う認識の共有が残念ながらできていない。

クジラについていえば、2018年に日本がIWCを脱退し、2019年に商業捕鯨が再開されて以降、話題となるのはどこでどの大きさの鯨が取れたか、いくらで販売されたか、と言うものばかり、産業の継続が危ぶまれる中、クジラ種や海域の拡大を求める捕鯨工船の関係者と小型業者はすでに調査捕鯨でも捕獲が難しくなっていた鮎川周辺から八戸、そして室蘭と、捕獲しやすい海域の開拓を求めているようだ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202005/CK2020052502000131.html?fbclid=IwAR14ThXXR0aZFuOKtjVivTZma2opYkY2W758iTSRer6tFa3QC-1rCm4mOIM

コロナウィルス下ではあるが、洋上ではそれほど問題ではないようで、小型もそのまま操業を継続しているし、近々捕鯨工船も鯨を求めて出かけると言う噂も聞いた。

最近、たまたま行政の方と話す機会があり、商業捕鯨の再開に際し、これまで国際世論任せであったクジラの保全はこれからは国内でどう見ていくか、私たちの責任という話になります、と訴えた。しかし、クジラの話はどこでもちょっとばかり重たい話になってしまうので、任期中に尻込みしないで立ち向かうと言う酔狂な人はなかなかいないと言う諦めもある。

生物多様性の日に、珍しくも環境大臣が国際社会にメッセージを寄せている。

https://www.youtube.com/watch?v=iuq3wZZAG4w&feature=youtu.be&fbclid=IwAR2W1-p_HTiCLkoa02rZ2TfW5E1S2K0RPGFjnMM1juXIH3OyjkYN3rzSZV0

’毎日ステーキ’の方がよく言ったと思うが、それだけに、このコロナの状況下でーそれ以前の環境行政の脆弱さと世論形成の弱さを思えばー多分、鎮まれば即経済の側からの激しい巻き返しが想定され、なんとか踏みとどまれるところがあれば、と祈るような気持ちだ。

« 海の生物の混獲について | トップページ | イルカの新捕獲枠 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。