持続的商業捕鯨実施法案
調査捕鯨継続法をリサイクルした捕鯨のための法案ができ、今国会で成立予定という。
国際的な取り決めも横目で睨んで、捕鯨を「持続的に」行うんだと繰り返し、調査を(捕殺を伴うという文言はやめて)実施して、科学的に捕獲数を決めていく事を書き込んでいるものの、さて、IWC脱退をして本来は本会議で合意し、決定するはずの捕獲枠を生のまま(いくつかの選択肢の中から都合よく選ぶ)取り出して提示し、大丈夫だ、大丈夫だ、と自他に暗示をかけるような案に見える。
実際に、共同船舶の捕獲しているニタリクジラに、新種であるカツオクジラは混獲されないのか、オホーツクで操業するミンククジラ猟に希少なミンククジラ個体群は混獲されないのか。そうした情報はきちんと公開されるのか。前回した質問からは全く不透明なままであった。
前回、質問に立ってくれた山本太郎氏は下野してしまったので、もしかしたら何の質問もないままで通ってしまう可能性が高い。疑問に思う良心的な議員さんはいるのだろうが、政権の無茶振りに関しては既に問題てんこ盛り状態で、なかなかあからさまにするのは難しいのかもしれない。生物多様性基本法なんてものもあるものの、それに配慮する議員さんも本当に少ない。
既に商業捕鯨を実施しているわけで、今更とやかくでもないのかもしれないが、概要のなかで特に気になったことは以下である。
11.鯨類の適正な流通の確保等に関する措置
(第18条)
・違法捕獲された鯨類の国内流通防止
・加工・販売業者の安心確保
12.鯨類の持続的な利用の確保のために必要
な財政上の措置等(第 19 条)
11に関しては、メディア報道などで学校給食への導入の強化が明らかになっている。なんと言っても、今「クジラが食べたい」世代の多くがかつて50年代前後に学校給食で食べた事を懐かしんでいる人たちだから、学校給食というのは短期的な消費の拡大だけでなく、長期的にも(もしかしたら)利用を引き延ばせる可能性があると関係者は踏んでいるのだ。
もう一つは、いうまでもない。2000年以降、需要減少で鯨肉があまり、実施してきた日本鯨類研究所があわや!赤字倒産という瀬戸際まで行って、東日本大地震の復興予算によって生き延びたという過去があり、その後も多額の財政支援なくしては続かない産業であったことから、
補助金の担保は産業維持の要となるのだろう。
しかし、そこまで手厚く、国家事業として捕鯨継続をしなければならないものか、この期に疑問に思う人が少しでも増える事を願っている。
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