水産庁からのお返事が
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2度ほど催促して、先週金曜日(8月9日)に待っていた返事が来た。先だっての捕鯨室長とのやりとりで、今回はくれないんじゃないか、と思っていたので、ホッとしたが、内容的には納得できるものには程遠いものだと思う。少し内容を見てみよう。
質問1は、脱退するに際して、「商業」という形をなぜとったか、だ。海外との意見の違いとか、脱退のわけを聞いたのではない。そうした行為をとるにあたって、日本の伝統文化とするのなら、捕獲を続けたい/食べたい一部の人たちに一番いいと考えられる手段が「商業」だけしかなかったのか、と聞いたつもりなのだが。
【答】
水産資源を、科学的根拠に基づき持続的に利用するという考え方は、我が国の基本的な方針です。四方を海に囲まれた我が国にと
って、鯨類も貴重な水産資源の一つです。この基本的な方針に基づき、我が国は捕鯨業を再開しました。
なお、ご存じのとおり、IWCの目的は鯨類資源の保存と秩序ある捕鯨産業の発展(持続的利用)です。しかしながら、長年に亘り、
IWCでは持続的利用が蔑ろにされてきました。しかも、昨年の IIWC総会では、鯨と捕鯨に関する立場の異なる国々の共存が否
定され、目的に沿ったIWCの機能回復の見込みが全くないことも明らかになりました。このため、我が国はIWCから脱退するこ
とを決定しました。
これまできちんと報道できなかったメディアでさえ、今後、商業的に成り立つのか、と疑問視している。しばらくは補助金によって支えられるのだろうが、需要の低迷はもちろんのこと、船の老朽化とか、後継者問題とか、問題が山積しているのだ。国の伝統文化としてどうしても残したかったら、地域限定の流通と利用を確立した方が地域を利するのではないのか。もっとも電話で担当者は「この時代にそんなことはできない」と言っておいでだったが、そうだろうか?
質問二つ目は、捕獲枠と希少クジラの混獲回避。
【答】
1 IWCで採択された方式(RMP)に沿って算出された捕獲可能量の範囲内で捕獲枠を設定しています。
2 RMPは系群管理を前提に設計されており、ミンククジラの捕獲可能量の算出に当たっては、日本海系群存在を考慮しています。
また、同系群の太平洋沿岸への回遊を考慮し、捕獲回避のための操業禁止水域を設定しています。
3 御質問の「カツオクジラ」が何を指すのか明確ではありませんが、ニタリクジラについては、高知県沿岸などに生息する沿岸系群
の捕獲回避のための操業禁止水域を設定しています。
4 捕獲された鯨類の科学的情報については、IWC科学委員会に報告するとともに、日本鯨類研究所の科学者からの科学雑誌への投稿
等を通じて発表していく予定です。
イワシクジラについてはRMP出ていないと記憶している。数については、厳格に従っているというよりも、幾つかある選択肢の中で、多いのをを選んだのではないだろうか、と最後の沿岸捕獲枠議論をも出だす。
また、希少な日本海個体群について、RMPで考慮されているとしているが、また、沿岸のごく一部(50キロメートルだったっけ?)を捕獲禁止に設定していている。ちょうど定置網でミンククジラが混獲されているあたりかな?
水産庁が「捕鯨問題の真実」と言う冊子を出しているが、その14ページに日本海個体群が沿岸域でその程度の割合で生息しているかを記したものがある。今回、捕鯨海域である網走沖は、それによっても希少個体群がかなり混じっていることが確認できる。そこを回避すればかなり救われるのでは?
「カツオクジラが何を指すかわからない」要するにIWCではまだ種として認定されていないからだろうが、IUCNではすでにリストされているし、ネットを検索すれば国内情報が出てくる。高知沖での禁止海域は、混獲を防ぐ役に立つのではないかと期待するし、ここで実施されているホェールウォッチングへの配慮かもしれない。
国立科学博物館のページ。
https://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/marmam/pictorial_book/b_edeni.html
個体群の混獲回避とその情報公開について、回避の努力とともにと捕獲された個体がどの群れか、どの種か市民が知ることができるということであり、科学雑誌の発表はその代わりにはならないだろう。
質問3の答えは、コスト面から将来的に電子機器を採用するかも、ということで、それはそれで歓迎だが、何で最初からそうしなかったか?という疑問はある。小型に関しては、日帰り操業で毎度指定された解体場に運ばれ、そこで監視するからOKということだったと思うが、実際は海上で内臓などを取り出して捨てていることが新聞等で伝えられているし、(陸上での監視は)頭と尻尾があればいい、という乱暴な話も聞く。
質問4。
【答】
1 令和元年度予算において、鯨食普及への支援に必要な経費を計上しています。
2 来年度以降の学校給食への鯨肉の供給及び鯨食普及への支援については、現時点では未定です。
伝統的に必須食品だとしたら、どうしてわざわざ普及活動をするのか?という疑問もあるが、来年度は是非ともつけないでいただきたい。
質問5と6。
大切な食の安全についての水産庁。
【答】
食品の安全性については、厚生労働省が管轄しています。
【答】
食品の安全性については、厚生労働省が管轄しています。なお、
捕獲後の処理については業者ごとに対応が異なるため、水産庁は、お答えする立場にありません。
と我々は関係ないもんねえ、という立場のようだ。しかし、水産庁が曲がりなりにも継続してきた魚介類の放射能汚染情報は、食の安全とは関係ないのか?
http://www.jfa.maff.go.jp/j/housyanou/kekka.html
他のところも責任を持ってやっていただきたいものだ。
それと、食中毒などについては、個人責任だから、というのも、確かにそうではあるにしても、すっきりしない。定置網混獲が商業利用できない時代にもこっそりと肉を持ち帰って食中毒になったという話を聞いたし、http://idsc.nih.go.jp/iasr/CD-ROM/records/09/10202.htm
その後も富山県で混獲されたクジラによる食中毒があった。https://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/marmam/drift/detail.php?id=5693
真夏に海上で内臓を取り出し、海洋投棄している(それだってかなり問題行為)わけで、十分注意する必要があると思いませんか?
以上、クソ暑いお盆にざっと見たところでした。
また考えてみよう。
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