« 2019年7月 | トップページ | 2019年9月 »

2019年8月28日 (水)

個人的なメモとして(水産資源について)

1994年に国連海洋法協約(UNCLOS)が発効、仕切りのない海洋に関して同条約の元、国際的な保全と管理が行われることになった。

以前の「獲ったもの勝ち」ではなく、利用する者同士がきちんと保全管理を行う義務と権利が生じたわけだ。

日本も同条約を批准しており、海洋保全と利用に関しては権利だけでなく、義務もあるのだが、往々にして日本はそのことを忘れる。

「保全」という言葉は使うための方便で、実際の保全活動はないがしろにされている。

実は、日本には「本音」と「建前」という都合の良い使い分けがあり、政府は国際的なお約束を(どこも本音はわれ先に使いたがって

いるんだろう。綺麗事を言っても始まらないし、辻つまさえあっていればいいんじゃないか)と、自国流を押し通すのが「国益」と勘違い

している向きがある。今回のワシントン条約における日本政府の立場でそれがなおいっそう明らかになった。

捕鯨に関しては、特に水産資源扱いの砦と考えており、諸外国に対してとにかく日本的な筋を通すのが義務だと思っているようだ。

どう考えてもこれでは「先進国」とは言えない(どうでもいいのかもしれないが)。

 

共同船舶がニタリクジラ150頭枠を使い果たすと、早速37頭の追加枠を提示。

「100年捕獲し続けても絶滅しない」というコンピュータ信仰で国民を説得しようとしている。

共同船舶が、ナガスクジラを捕獲するために、ポンコツ日新丸よりも大きな船を持ちたいと、政府におねだりしている。

商業捕鯨を開始するということはそういうことだ。共同船舶がより多くの儲けを求めたら、沿岸捕鯨業者の実入りが多くなるということは

現状から言って難しい。

2019年8月27日 (火)

海の生き物は「資源」だという日本政府の見方は共有されているか?

8月17日からジュネーブで開催されているワシントン条約会議。

早々と日本が海から持ち込む行為が条約違反だというところで、日本政府は公海での捕鯨を停止したんだから一件落着とし、「でも国内で相変わらずその違反した結果の鯨肉が流通しているじゃん!」という指摘を多くの国から受けた。現在は座長の仲介で全て没収という意見は通らなかったが、違反には違いなく、さらには共同船舶がこれから捕獲するつもりでいイワシクジラとどのように区別していくかは明らかにされていない。

残念ながら、IKANはNGOとして登録していないため参加できなかったが、野生生物を単なる資源としてみなしている日本政府は、今回、提案された海の生き物の付属書掲載に対してことごとく反対票を投じたようだ。それも、禁止措置ではなく、輸出国の許可がいる付属書II掲載なのだが。こうした日本政府の態度は、国内で事前に妥当かどうかを議論する場を得ないまま、言って見れば’暴走’しているように私には感じられる。

政府のこうした態度はまた、メディアのあまり深く考えていない報道で是認されているようだ。

例えば毎日新聞は「かまぼこ材料ピンチ」という取り上げ方。

https://mainichi.jp/articles/20190826/dde/041/040/033000c

頭が胃袋状態だから仕方ないのか、とこの手の報道の時にいつも思うが、果たしてそれでいいのだろうか?

 

昨日、時事通信が、水産庁の来年度予算概算要求について報じていた。捕鯨業者はまだ独り立ちできないので支援しなければ、ということらしく、調査捕鯨予算は削られたものの、今年度と同じ51億円が求められている。

しかも、鯨肉普及のためなどの予算が6億円も入っており、繁殖率の低い野生の大型哺乳類を、国内での需要が減少したからといって、わざわざ食べさせるために予算を投ずるのはいかがなものだろうか?

まあ、アメリカの残り物の武器やとうもろこしを喜んで買い入れることにも明らかなように、昨今の政府のやり方はどれもこれも呆れてものが言えないほどひどいから、捕鯨問題なんて些細なものなのかもしれない。

しかし、ずっとこの問題に関わってきたものからすれば、物言わぬ市民をいいことに、こうした没義道を通すやり方の’はしり’は捕鯨かもしれない?

 

 

 

2019年8月20日 (火)

静岡県におけるイルカ猟の再開の可能性について

67803471_571649929906957_395258748400880
550681_381590328587894_322255812_n-2
(現在の追い込み用金属パイプちゃんちゃんと同2004年のもの)

 

夏もそろそろ終わりに近ずくと、涼しさへの憧れと同時に、イルカ追い込み猟の季節が
来たという緊張もある。
今年は、6月の静岡県伊東市漁協のイルカ追い込み漁開始宣言もあり、不穏な気配
もある一方で、静岡県でのイルカの捕獲が果たして可能なのか?という幾つかの疑問
の声が聞こえてきた。

<伊豆地方のイルカ猟>
伊豆地方では、戦後の一時期、古くから行われてきたイルカ追い込み猟で乱獲が進んだ。
主な捕獲対象であったスジイルカが捕獲できなくなり、対象種をマダライルカに変えた
もののそれもすぐに枯渇し、産業が成り立たなくなって5箇所あった捕獲地が次々廃業した。
現在枠を持ついとう漁協の富戸支所においても、追い込む年は少なくなり、2004年から
捕獲が途絶えている。
<伊豆半島ジオパーク構想>
一方で、2008年頃から伊豆半島をジオパークに登録しようという動きが活発になり、
準備が進んできた。しかしここで、富戸で行われてきたイルカ追い込み猟の実施が、
ジオパークとしてふさわしいかどうか、という疑問が市民から出され、反対の署名活
動が開始された。
その結果、ユネスコ本部から、イルカ猟についての懸念と改善の要請が推進本部に
送られたが、推進本部は回答期限までに返事を出さなかったため、2015年の
登録認定では保留という措置が取られた。
その間、伊東市で毎年行われてきたイルカ捕獲に関する関係者と水産庁、
警察、海上保安庁による会合は、見合わされた。
 しかし、2018年にユネスコのジオパークに登録された結果を受け、再び
イルカ猟への意欲が浮上してきた。近隣水族館からの注文もあるが、生体の捕獲が
極めて儲けの大きい事業であることは、和歌山県での捕獲が実証している。

<猟の再開は可能か?>

しかし、実際に追い込みが行われるかどうかという点で、幾つかの疑問がイルカ猟を
よく知る関係者から出されてきた。もともと、富戸は首都圏近郊での人気のあるダイビング
スポットで、必ずしもイルカ猟が町の繁栄につながらないのが現在。さらに、
例えば、富戸がいとう漁協の支部となり、イルカ猟の実施にあたって、いとう漁協に
わたる金額に比べ実際に捕獲に携わる漁師の日当が十分とは言えないことや、イルカ猟に
携わってきた漁師の高齢化や引退、船の老朽化に加えて、数年前にイルカが追い込まれる
湾のど真ん中に、定置網が敷かれたことなどが追い込み猟再開を阻む可能性があると
指摘されている。
定置網は、網からロープを海底に斜めに伸ばし、網が流れないよう固定する。
海底に固定されたアンカーをつなぐロープはイルカにとって障害物として認識される
だろうと地元漁業者は言う。
静岡県におけるイルカ猟の猟期は10月から翌年の9月までである。2年ほど前から、
猟期が通年になってしまったが、昨年には猟がなかったので、10月までは事実上
捕獲はできないはずだが、今後どのような動きがあるか注視していく必要があるだろう。

2019年8月15日 (木)

イルカ捕獲枠

8月1日付けでイルカの2019年度捕獲枠が公表されていた。

http://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/w_document/attach/pdf/index-18.pdf

前年度に比べ、4000頭近く減枠されているようだ。

昨年度の捕獲枠は、それぞれ、イシイルカ、リクゼンイルカ各5900で

2017年度(1年前だが水産庁の資料ではそれが最新)の実績は7頭と1366頭。

今年度枠は4137/4398。

以下、ハナゴンドウ460(実績は突きん棒7頭、追込み118)から398頭に。

ハンドウイルカ500(同実績は突きん棒47、追込み127頭)から374頭。

マダライルカ470(同実績27、17)329頭に。

スジイルカ550(18、299)が521。

コビレゴンドウ135(2、57、沖縄突きん棒22)が127。

オキゴンドウ100(沖縄2:ちなみに太地での実績はこのところずっとゼロ)

から70。

カマイルカ360(追込み21)から260に。

昨年度から新たに加わったシワハイルカ33(追込み27)は30

カズハゴンドウは290(156)から263に減少している。

実態に合わせて、もっと枠を減らせるのではないかと思うのだが、今の所‘科学的

な根拠’から「安全な枠」を示すということが唯一の水産庁の役割で、しかも業者

にしてみれば、明日になれば取れるかもしれない、と言う期待があるのかも知れず、

国内外からの批判や懸念への配慮はないように見える。

 

2019年8月13日 (火)

水産庁からのお返事が

ダウンロード - 19080920e59b9ee7ad942028129.pdf

2度ほど催促して、先週金曜日(8月9日)に待っていた返事が来た。先だっての捕鯨室長とのやりとりで、今回はくれないんじゃないか、と思っていたので、ホッとしたが、内容的には納得できるものには程遠いものだと思う。少し内容を見てみよう。

質問1は、脱退するに際して、「商業」という形をなぜとったか、だ。海外との意見の違いとか、脱退のわけを聞いたのではない。そうした行為をとるにあたって、日本の伝統文化とするのなら、捕獲を続けたい/食べたい一部の人たちに一番いいと考えられる手段が「商業」だけしかなかったのか、と聞いたつもりなのだが。

【答】
 水産資源を、科学的根拠に基づき持続的に利用するという考え
方は、我が国の基本的な方針です。四方を海に囲まれた我が国にと
 って、鯨類も貴重な水産資源の一つです。この基本的な方針に基づき、我が国は捕鯨業を再開しました。
 なお、ご存じのとおり、IWCの目的は鯨類資源の保存と秩序ある捕鯨産業の発展(持続的利用)です。しかしながら、長年に亘り、
 IWCでは持続的利用が蔑ろにされてきました。しかも、昨年の IIWC総会では、鯨と捕鯨に関する立場の異なる国々の共存が否
 定され、目的に沿ったIWCの機能回復の見込みが全くないことも明らかになりました。このため、我が国はIWCから脱退するこ
 とを決定しました。

これまできちんと報道できなかったメディアでさえ、今後、商業的に成り立つのか、と疑問視している。しばらくは補助金によって支えられるのだろうが、需要の低迷はもちろんのこと、船の老朽化とか、後継者問題とか、問題が山積しているのだ。国の伝統文化としてどうしても残したかったら、地域限定の流通と利用を確立した方が地域を利するのではないのか。もっとも電話で担当者は「この時代にそんなことはできない」と言っておいでだったが、そうだろうか?

質問二つ目は、捕獲枠と希少クジラの混獲回避。

【答】
 1 IWCで採択された方式(RMP)に沿って算出された捕獲可能
量の範囲内で捕獲枠を設定しています。

 2 RMPは系群管理を前提に設計されており、ミンククジラの捕獲可能量の算出に当たっては、日本海系群存在を考慮しています。

  また、同系群の太平洋沿岸への回遊を考慮し、捕獲回避のための操業禁止水域を設定しています。

 3 御質問の「カツオクジラ」が何を指すのか明確ではありませんが、ニタリクジラについては、高知県沿岸などに生息する沿岸系群
 の捕獲回避のための操業禁止水域を設定しています。

 4 捕獲された鯨類の科学的情報については、IWC科学委員会に報告するとともに、日本鯨類研究所の科学者からの科学雑誌への投稿

  等を通じて発表していく予定です。

イワシクジラについてはRMP出ていないと記憶している。数については、厳格に従っているというよりも、幾つかある選択肢の中で、多いのをを選んだのではないだろうか、と最後の沿岸捕獲枠議論をも出だす。

また、希少な日本海個体群について、RMPで考慮されているとしているが、また、沿岸のごく一部(50キロメートルだったっけ?)を捕獲禁止に設定していている。ちょうど定置網でミンククジラが混獲されているあたりかな?

水産庁が「捕鯨問題の真実」と言う冊子を出しているが、その14ページに日本海個体群が沿岸域でその程度の割合で生息しているかを記したものがある。今回、捕鯨海域である網走沖は、それによっても希少個体群がかなり混じっていることが確認できる。そこを回避すればかなり救われるのでは?

http://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/pdf/140513japanese.pdf

「カツオクジラが何を指すかわからない」要するにIWCではまだ種として認定されていないからだろうが、IUCNではすでにリストされているし、ネットを検索すれば国内情報が出てくる。高知沖での禁止海域は、混獲を防ぐ役に立つのではないかと期待するし、ここで実施されているホェールウォッチングへの配慮かもしれない。

国立科学博物館のページ。

https://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/marmam/pictorial_book/b_edeni.html

個体群の混獲回避とその情報公開について、回避の努力とともにと捕獲された個体がどの群れか、どの種か市民が知ることができるということであり、科学雑誌の発表はその代わりにはならないだろう。

質問3の答えは、コスト面から将来的に電子機器を採用するかも、ということで、それはそれで歓迎だが、何で最初からそうしなかったか?という疑問はある。小型に関しては、日帰り操業で毎度指定された解体場に運ばれ、そこで監視するからOKということだったと思うが、実際は海上で内臓などを取り出して捨てていることが新聞等で伝えられているし、(陸上での監視は)頭と尻尾があればいい、という乱暴な話も聞く。

質問4。

【答】
 1 令和元年度予算において、鯨食普及への支援に必要な経費を計上しています。

 2 来年度以降の学校給食への鯨肉の供給及び鯨食普及への支援については、現時点では未定です。

 

伝統的に必須食品だとしたら、どうしてわざわざ普及活動をするのか?という疑問もあるが、来年度は是非ともつけないでいただきたい。

質問5と6。

大切な食の安全についての水産庁。

【答】
食品の安全性については、厚生労働省が管轄しています。

【答】
 食品の安全性については、厚生労働省が管轄しています。なお、

 捕獲後の処理については業者ごとに対応が異なるため、水産庁は、お答えする立場にありません。

と我々は関係ないもんねえ、という立場のようだ。しかし、水産庁が曲がりなりにも継続してきた魚介類の放射能汚染情報は、食の安全とは関係ないのか?

http://www.jfa.maff.go.jp/j/housyanou/kekka.html

他のところも責任を持ってやっていただきたいものだ。

 

それと、食中毒などについては、個人責任だから、というのも、確かにそうではあるにしても、すっきりしない。定置網混獲が商業利用できない時代にもこっそりと肉を持ち帰って食中毒になったという話を聞いたし、http://idsc.nih.go.jp/iasr/CD-ROM/records/09/10202.htm

その後も富山県で混獲されたクジラによる食中毒があった。https://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/marmam/drift/detail.php?id=5693

真夏に海上で内臓を取り出し、海洋投棄している(それだってかなり問題行為)わけで、十分注意する必要があると思いませんか?

以上、クソ暑いお盆にざっと見たところでした。
また考えてみよう。

 

 

2019年8月 5日 (月)

びっくり!

6月26日、水産庁に商業捕鯨を開始するに際して、幾つかの懸念事項についての質問書を手渡した。諸貫参事は、それを一瞥したのち、彼の超多忙スケジュールを説明され、すぐに返事はできませんが、返事が遅くなっても悪く取らないでくださいよ、と答えられた。

7月中待ったが返事がこないので、先週、捕鯨班に電話を入れると、諸貫さんは、その週いっぱいはお休みということだったので、今日また電話をしてみた。

すると、「内容的に私が返事できるものではないので捕鯨室長に渡した、彼と話してください」と電話を高屋室長に回されてしまった。

開口一番、「答える必要があると思えない」というので、諸貫さんはくれると言ったと答えると、「返事をしないというのも返事だ」、と彼らしい理屈が飛び出した。さらに、「我々は、国際法上も、あなたの立場とは違うし、IWCでも商業捕鯨を否定していない。間違った立場を前提として質問をされても、立場が違うというだけだ」「質問は(水産庁に)あなたの意見に同意せよというようなもの」など、驚くような反応が返ってきた。

この暑いさなか、不毛な議論を重ねても無駄と思い、では書き直しますので、と言って、書き直したものを送った。

返事したくない?

ダウンロード - 201920e5b9b48e69c885e697a5.pdf

 

2019年8月 2日 (金)

暑いのは

夏に困ることその1。電車や店舗の過度の冷房。骨が軋む。夜まで引きずって痛みでよく眠れない。弱冷房車量なんて、どこにあるか、電車が来るまでわからない。優先席だけ、冷たい風が直接当たらないような工夫ができないのだろうか。

うちにも事務所にもエアコンは設置されていない。これまで買ったことがないかもしれない。

そんな風なので、とうとう昨日、私より先にコンピュータがダウンしてしまった。仕方なく、仕事仕舞いをして帰る。

自宅の駅に着く少し前からパラパラと雨が降ってきた。良いお湿りと思いきやとんでもない!アスファルトに落ちた雨はそのまま’ジュッと’生ぬるい水蒸気になって、まるで空気がサウナ状態なのだ!これは初体験!

車で行き来し、エアコンの効いたところにいる人たちには到底わかるまい。暑さ対策にはエアコン設置と水分補給という答えが返ってくるに違いない。

でも、本当は、アスファルトを引っぺがして、木を植えればエアコンを持ってこなくても万人が少しはしのぎやすい場ができるはずだ。車の制限と、植樹だけでも違うと思うが、それに加えて、グリーンベルトの設置、高層建築物の制限と風の通り道の確保ができれば、子供たちにとっても、ベビーカーを引いてふうふう言っている若いお母さんたちにも、路上で仕事をしている人たちにもずっと息がしやすい環境になる。今問題になっている年寄りが、免許返納で逡巡してしまうのは、車社会が前提になっているからで、車社会からの脱却という発想の転換が地域社会も変えていくだろうと思う。

でもこうした抜本的な改革は、今回の選挙では誰も語らなかった。自然保護を訴える人さえ、そんな票につながらないことは言わない。

車会社や電力会社、エアコンなどを作る会社などなど、社会で力を持つところはもちろん変革を望まないだろう。今、とここさえよければ先に首が絞まることなど考えない人が多すぎる。

(そろそろシャットダウンしなければ。コンピュータが熱くなってきた!)

« 2019年7月 | トップページ | 2019年9月 »