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2019年1月25日 (金)

調査捕鯨から続いて沿岸商業捕鯨だって

  昨年11月、日新丸船団は、南極に向けて出発、これまで日本が正当性を主張してきた調査捕鯨を行っている。
確かに、脱退は六月末なのだから、違法ではないのだろうが(減産を見越して鯨肉を貯蓄?)、ちょっとセコイ感じは免れない。
そこにさらに、
 
日本の小型沿岸捕鯨業者(及び共同船舶)は、今年7月からEEZ内で商業捕鯨を再開するという。
https://www.asahi.com/articles/ASM1S5T2BM1SPXLB00W.html
      【協会に加盟する5隻の船団はこれまで、春から秋にかけて、東北や北海道沖で
       IWC管理鯨種のミンククジラの沿岸調査捕鯨をしてきた。今年も4~6月は
       調査捕鯨をし、IWC脱退が正式に決まって商業捕鯨が可能となる7月1日
      から1週間、そのままミンククジラの商業捕鯨をする。】

と報じられている。その後、一旦解散し、それぞれ捕鯨を実施したあと、九月には北海道集合だそうである。
春季調査では、確か鮎川と八戸で合わせて80頭の枠が決められていたと覚えている。そのあとの網走が枠47頭。

この調査による捕獲実績は、七月に定められるとされている商業捕鯨枠とは別物なのか?
(まずそんな風には作らないのだろうが)商業捕鯨の枠として算出した枠の頭数が、すでに捕獲したミンククジラよりも少なければ「やらない」という選択肢があるのか?それとも、調査捕鯨での捕獲数は「別物」としてカウントされないのか?
九月に北海道(網走?)で実施するミンククジラの捕獲には、どの程度希少な個体群(J-stock)が含まれてしまうだろうか?これまで、遺伝子解析は日本鯨類研究所の知的財産だから公開しないと言われてきたが、商業捕鯨の場合はどうなのだろか?

これらについては、水産庁がきちんと説明する責任があると思うのだが。

2019年1月20日 (日)

国内報道への違和感

特に、一般的に公平だと思われている報道の中にある思い込みに違和感がある。

https://archive.iwc.int/pages/download.php?ref=7916&size=&ext=pdf&k=&alternative=4247&usage=-1&usagecomment=

「鯨類保護に「挑戦するな」 IWC脱退でEU声明 」

ブリュッセル=共同】欧州連合(EU)と加盟国は16日までに、日本政府による
国際捕鯨委員会(IWC)への脱退通告を「残念だ」としたうえで、日本は脱退後、
鯨類の保護などこれまでの「進歩」に「挑戦せず、多国間協力を続けるよう求める」
とする声明を発表した。

EU声明では、鯨類の脅威がこれまでの乱獲の問題のみならず、混獲や罹網、海洋ごみなど多岐にわたっているとし、これまでのIWCの議論の過程で獲得して来た成果を強調している。これはいわゆる「保護」に止まらない。国内議論には完全に抜け落ちて来た、保全と管理の進展を指していることが重要だと思う。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40100980X10C19A1000000/?fbclid=IwAR0NNDSVuWR12fswVRcc62BPTYTkT8ODTIgFVIHzj2V1gV8-f6vM6IodQ5w

これについては首をかしげている。
なぜなら、海外での大きな懸念は、脱退後の日本の再加盟だからだ。
アイスランドのように、留保を引っさげて再加盟しようとすれば、同盟国からの賛成票が欠かせない。
事実、最近になって分担金を支払った日本支持国もあるくらいで、彼らが抜けたらもう返り咲けないことは双方が承知のことだと思う。

https://this.kiji.is/459156887939171425?c=39550187727945729

 【ロンドン共同】国際捕鯨委員会(IWC、本部・英南部ケンブリッジ)は18日、ビビッチ議長(スロベニア)が加盟国に脱退を検討しないように促し残留を訴える、17日付の加盟国宛て書簡を公表した。日本政府が脱退を通告したことに危機感を抱いていることが背景にあるとみられる。

 ビビッチ氏は書簡で、IWCは長い歴史の中で加盟国が幅広い意見を表明し、議論する場を提供してきたと指摘。「多様な意見を持つ活発な組織の一員であることは、われわれ全員に利益があることだと考える」として、加盟国にIWCにとどまるよう訴えた。
https://archive.iwc.int/pages/download.php?ref=7925&size=&ext=pdf&k=&alternative=4262&usage=-1&usagecomment=

2019年1月15日 (火)

外務省のいうクジラの「保全」て?

ニューヨークタイムズが昨年末社説で、日本のIWC脱退を批判した記事に対して、外務省が反論したことが記事化されている。

こちらはそれを報じた読売新聞。

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190112-OYT1T50026.html?from=
  大菅岳史外務報道官の署名で、捕鯨は日本固有の文化であり、日本は国際法を順守し、
   「クジラの保全に取り組 んでいる」と主張している。
(中略)
 
   日本政府は同紙の社説が「重大な事実に触れていない」と反論。日本の捕鯨が、
   IWCで科学的に確立された方式に基づく捕獲枠の範囲内であり、排他的経済
   水域(EEZ)内に限ることなどを強調し、「日本だけを標的にするのは不公平だ」と主張した。

こちらは産経新聞。
 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190112-00000517-san-n_ame
 【ニューヨーク=上塚真由】米紙ニューヨーク・タイムズが社説で日本の国際捕鯨委員会(IWC)脱退を批判したことを受け、外務省は11日、「日本はクジラの保護に献身的だ」と反論する寄稿を同紙電子版に掲載した。

 捕鯨が「日本’固有’の文化」と簡単に言っちゃっていることについてのツッコミは別の機会にするとして、
 この人は、「保全(あるいは保護)」」という言葉をどういうふうに解釈しているのだろう?
実際に資源の利用に関わっている水産庁ではないから、勝手なことを言っているだけか?それとも、水産庁(あるいは議員)にそう言えと言われたのか?

保全に取り組んでいない理由ならそれこそごまんとあげられるのだが。

1)2003年のベルリン第55回IWC。保全委員会(官製訳では保護委員会)の設立決議猛反対。南極でシロナガスクジラを取りまくって絶滅の淵に追いやった国々が保護委員会なんておこがましいそうだ。(その仕上げをしたのは、捕鯨から手を引いた国々から捕獲枠付きで船を買って取りまくった日本ではなかったか?)
日本は今だに’保護’委員会をボイコットしている(あ、過去だからし続けた、だ)。
2)南大西洋サンクチュアリに(お友達国を誘って)反対票を投じた。
3)絶滅寸前のバキータの保全決議は棄権。
4)国内では、希少個体群であると指摘されているJ-stock(日本海個体群)の混獲が懸念されているオホーツク海域での捕鯨を承認している。
5)定置網混獲の回避措置が全く取られない(生物多様性国家戦略のパブコメでは、混獲防止は流し網についてです、と返答)毎年、100〜150頭のミンククジラが生きた状態でかかり、死んで肉は商業流通している。2010年の日本鯨類研究所通信によると、特に日本海側やオホーツクではJ-stockの混獲が著しい。
定置網混獲は、ミンククジラだけではない、はるばる、小笠原や沖縄に繁殖にやってくるザトウクジラも毎年何頭も
定置網にかかり、販売されているし、セミクジラがそういう憂き目にあうこともある(2016年1頭混獲→販売)。
http://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/w_document/attach/pdf/index-10.pdf
006〜2007年に混獲されたコククジラに関してのみ、回避措置のガイドラインが作られたが、それのみ。
6)2017年に公表された海洋生物レッドデータで、水産庁は全てレッドリスト対象外とし、専門家からも批判されている。「保全」を尽くすのであれば、まずきちんとした調査を実施し、その評価を客観的で透明なものとして発表すべきである。
(あ!もしかしたら、せっかくの’捕鯨対策費’51億円ををこれを含む保全対策に使ったら、いくらか外務省の役人の言葉が空々しくなくなるかもしれない)

7)だいたい、水産庁は、1972年の環境庁(当時)との密約がすでにありません、と言っておきながら、決して環境省の管轄に譲ろうという姿勢を見せない。資源利用と産業の振興が目的の水産庁ではなく、「保全」対策を進めるなら、環境省の関与は重要だ(最も環境省は、予算も人もない状態ではやりたがらないだろうが)。

忘れてはいけない!
8)イワシクジラ「海からの持ち込み」。商取引禁止のイワシクジラを2000年からこれまで1300頭も捕獲し、肉を販売。
ワシントン条約の常設委員会で違反の是正勧告も、まだ肉が市場に出回っている。
9)昨年に危急種にランクが下がったものの、希少なナガスクジラをアイスランドから輸入し続けている。


今懸念しているのは、IWC脱退してますます「保全」問題から一般が遠ざかり、クジラがいつまでたっても(もしかしていなくなっても)水産資源としての原理・原則から外されず、当たり前のように’切り身’のクジラしか想像しない状態が続くことだ。

2019年1月14日 (月)

クジラ・コンサート

ローリング・ココナッツ・レビュー・ジャパン・コンサートの14枚組CDができたそうだ。
これは、1977年、アメリカやカナダで反捕鯨の活動をしている人たちが、アメリカの有名ミュージシャンに呼びかけ、クジラを救おうと企画し、晴海国際貿易センターで実行されたいわゆるチャリティ・コンサートの実録版だ。

収録されているのは、エリック・アンダースン、リッチー・ヘヴンス、ジョン・セバスチャン、フレッド・ニール、テリー・リード、ダニー・オキーフ、カントリー・ジョー・マクドナルド、豊田勇造、泉谷しげる&CHAR、中川五郎、南佳孝withブレッド&バター、久保田麻琴と夕焼け楽団with細野晴臣、上田正樹。
目玉だったジャクソン・ブラウンの曲こそ彼の所属するレコード会社の都合で収録されていないが、そうそうたるメンバーと言える。

私自身は、まだその時はクジラ問題に関わっていなかったので、当時は全く知らなかったことだが、以前、編集していた雑誌「オイコス」には三輪妙子氏の感想が掲載されている。
「76年に、グリーンピースジャパンミッションというので半年間、日本に来たんです。でもその頃は、日本でクジラなんて言っても全然話が通じませんでした。(中略)それに、その頃(海外で)運動をやっている人たちの中には、半日的だったり、反ソ的だったりする人たちがいました。(中略)それはそれでまずいと感じました。」
「謙虚になって、広島に行って原爆のことを知り、水俣に行って、水俣のことを学ぶということから始めました。まず、日本の事情を理解することが先決と思ったんです。」その時に出たのがこのコンサートの企画だった。しかし、「なぜクジラか理解してもらえる状態ではなかったし、事前の宣伝も十分ではないし、蓋を開けたらガラガラ」

企画途中で、グリーンピースは主催を降りたようだが、そのままコンサートは実施された。
その後、何人かに話を聞いたが、「大変だった」とか、「失敗だった」という感想が多かったので、今回、思いがけず、当時のコンサートの様子が再現されるというのに興味がそそられた。
これまで、海外の抗議行動が日本国内問題の解決に資するようなことはなかっただけでなく、嫌われるのがオチという状態だったが、まあ、時間も経ったことだし、歌を理屈抜きに楽しんでもいいか、くらいの軽いノリなのかもしれないが。


2019年1月13日 (日)

ナガスクジラの輸入について

1月11日、ワシントン条約の事務局がアイスランドにおけるナガスクジラの輸出について、3年連続で年次報告書が出されていないことから一時停止の勧告を出した。

https://cites.org/sites/default/files/notif/E-Notif-2019-001.pdf

ナガスクジラは、IUCNのレッドリストのランクで一段下がったものの、絶滅に関しては危急種で今後見直しの必要があれば随時見直すとされているものだ。アイスランド本国では食べる習慣がなく(最近は、一部レストランでダサ¥れているようだが)ほぼ日本向けの輸出のためにロフトソンという富豪が捕獲し、日本に輸出してきた。
昨年はおよそ1800トンものナガスクジラの肉が輸出され、日本の保税倉庫に入っているはずだ。

公海での捕鯨を放棄せざるをえなくなった日本の鯨肉産業にとって、アイスランドからの輸入は安くてありがたいもののはず。1昨年には、それまでかなり厳しかった鯨肉の汚染調査を緩めて、輸入しやすくしている。
売る方も食べる方も、危急種であるという懸念は共有していないようなのは残念だが、この行先の予想としては、多分、アイスランドが年次報告書を出しておしまいなのだろう。

もし輸入が止まったら、それはそれでいいのだが、一方で日本は沿岸での捕獲を増やすのだろうか? それもまた懸念材料ではある。

2019年1月 8日 (火)

幾つかコメントが記事化

共同通信を通じて、京都新聞、東奥日報、中日新聞がIKANのコメントを掲載してくれた。

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