IWC67会議報告−4日目後半
IWCの将来については、政府内での協議とさらなるIWC内での話し合いを持つことになり、一旦棚上げ。
議長は、最終日に早めに終わるため、4日目は目一杯議事を進めようと皆に呼びかける。
次の議題は、クジラの捕殺法と福祉について。
もともとは、捕鯨する際の捕殺時間の検討などが主要目的であったが、それだけではなく、世界的に見られる混獲やら網、座礁といった事象に対して、どう対応するかも大きな課題となっている。
ニュージーランド代表が委員会の報告。
混獲やら網したクジラの救出など福祉評価ツールの開発を次回IWCの2020年までに完成させる。また、委員会は、閉会中の作業継続に、自主的な基金提供を求め、それによって行動計画を策定する。また、大型鯨類のら網に関してのそれに対応できる人材育成に関する報告書を採択した。科学委員会の勧告により、ストランディングイニシアティブの進捗を歓迎し、そのコーディネーターの関与に感謝する。また、NGO連合による2000米ドルの貢献も報告された。
一方で、捕鯨に関連する捕殺時間や方法についてもデンマーク(グリーンランドの先住民生存捕鯨)、ロシア(同じく先住民生存捕鯨)、ノルウェー、米国(先住民生存捕鯨)と関係国からの報告があった。
一方で、日本は、当初は提供してきたものの、より多くの課題を求められることに反発し、データの提供を北大西洋海産哺乳動物委員会(NAMMCO)に行っている(南極ミンクの捕殺データを北西大西洋の委員会に送っていることになる)。
NAMMCOが捕殺に関する報告。もともとは狩猟をするための委員会だが、動物福祉にも配慮し、安全とともに効率化を図り、可能な限り短時間で鯨類が死亡する方法の開発を求めている。ただし、環境や条件によって異なるため、ニーズが満たせないことを懸念している。
午後の最初は、科学委員会による日本の調査捕鯨に関する評価に関する常設作業部会報告。
2016年に決議された常設作業部会では、JARPANII, NEWREP-A, NEWREP-NPのついての科学委員会の評価をより簡潔にし、概略をまとめ、本会議の議論に貢献するものだと座長のニック・ゲイル、オーストラリア代表の説明。
評価に関しては、NEWREP-A、NEWREP-NP:致死的サンプルの必要性を証明できていないと言う専門家パネルの報告とそれに従った科学委員会結論について。
JARPAN II:すべてのサンプルサイズが正当化されていない。ANNEX Pに沿ったものと認められない。
との結論。
議論開始。
日本が「もともと常設作業部会には反対してる。国の権利を逸脱したものだと考える。科学委員会が評価とコメントすると条約にも述べられており、政治的な立場で議論をすべきではない。この報告書の採択に反対するが、議長のサマリーに含めるまでは反対しない。しかし、日本のステートメントも同時に入れて欲しい」
アメリカ「報告書の中にある勧告を支持する。条約6条では、議長及び委員会がアドバイスできると書かれている。」
ニュージーランド「専門家パネルの韓国に対応できていない。また、CCAMLRでコンセンサスで採択されたロス海の海洋保護区でのミンククジラの捕殺は認められない」
(日本は、 ロス海海洋保護区内での調査は認められていると反論)
アルゼンチン「作業部会は、わかりやすい言葉で伝えることにより、専門家パネル、科学委員会とのコミニュケーションの改善に資する。」
セネガル「(作業部会報告は)科学的評価とかけ離れている。総会では科学的な議論はできない。ここではできないことをやっている。科学的ではない意見で攻撃されている」
アイスランド「議論することがおかしい。致死情報必要かどうかの議論でもない。どこの国でも日々致死調査は行われている。ないという国は手を挙げろ」
議長「常設委員会の報告書を入れることを求めている」
日本「日本の声明も入れて欲しい」
この件は議長、日本で協議。
アルゼンチンが午後の提案については今晩中にアップし、すべての国の発言を入れて報告書に添付して欲しい」
議長「サマリーで報告しているので前例を作るわけにはいかない」
特別許可捕獲について書かれているANNEX Pの改定について、(文言の使い方で「特別許可」と「科学許可」がごっちゃになっているなど)くべコンセンサスが必要とされた。
ちなみに会議後に掲載された水産庁の報告では:
<水産庁の報告>
(4)特別許可プログラム常設作業部会報告書:
報告書は採択。
ただし、我が国の反論と我が国に賛同する他の21か国の国名を報告
書に明記。
概要:
日本の NEWREP-A、NEWREP-NP 等の調査について、
① 日本は、致死的調査の必要性を十分に立証していない。
② 日本は、不完全な計画案の提出など、調査計画のレビュー手続を適切
に遵守しなかった。
③ 日本は、科学委に調査計画を再提出しレビューを受けるべき
次の議題は、CMP(保全管理計画)実施に関する中間評価。
混獲に関する作業部会の2020年までの作業計画に関して、常任委員会を設立する予定。
保全委員会は河口域のイルカに対する人間由来の脅威についての対応について次回科学委員会が提出することを望む。また、ブラジル、エクアドル、チリ、ペルーの政府と協力し、共同作業をしていきたい。
科学委員会報告、保全委員会報告、保全管理計画を採択。
次はホェールウォッチングハンドブックのオンラインで公表したことの報告。イギリス政府とNGOが貢献し、英語、フランス語、スペイン語で公表。科学委員会も評価。
モナコが、日本やノルウェーでもWWが盛んで、日本には150箇所もあるのに、ハンドブックに入っていないことを指摘。アイスランドが早速反発。保全委員会に入っていない。IWCに介入されたくない、など。
しかし、全体としては歓迎。
国際調査活動
オーストラリアの主導で13カ国がメンバーとなって南大洋で実施されているSORPの報告。
日本が船と乗員を提供して北西太平洋でおこなわれているPOWER報告。2019年にはロシア海域でも調査を開始予定。
南大洋サンクチュアリ
科学委員会での評価がないと常に議論に的になるが、あらたな作業計画も整い、結局は採択。
RMPに従った捕獲枠の議論。科学委員会が評価を行って現在北太平洋のニタリクジラが終了し、ミンククジラは2019年に終了予定。北大西洋に関してイワシクジラ、ミンククジラが終了している。
EUを代表して、オーストリアかノらルウェーとアイスランドの捕獲枠について意見が出る。科学委員会の助言に基づかないバージョンの元での捕獲に対して、留保の撤回を求める。
NGOからも、調査捕鯨による39000頭もの商業流通についての問題の指摘。また、アイスランドで捕獲されたシロナガス/ナガスの捕獲に関して留保撤回を求める。
日本政府、EIA発言に対して、商業捕鯨といったことに関して謝罪を求める。
アイスランドが捕獲枠の選択肢としてのチューニングレベルについては、科学委員会の助言に従っているとし「勝手なものを使っているわけではない。政治的な決定は納得がいかない」と反論。
それに対して、IUCNが発言を求め、科学委員会の科学委員会の選択肢について、本会議の指示を仰ぐことになっており、その決定に従って、管理計画などを立てるので、本会議の選択がなければ適用できなくなると意見。
科学委員会議長は、MSYは承認されなかったと発言。
アイスランドが再び反論し、自分勝手なバージョンを使っているわけではないので誤解を撤回してほしいと要請。
やや歯切れの悪い科学委員会に変わって、IUCNが誰のバージョンというものではなく、科学委員会がテストバージョンを本委員会に図り、その決定に従って助言をするので、異なるチューニングレベルを使うと管理計画が操業に適用できないと発言。
そういえば、2014年だったか?小型沿岸捕鯨の一番新しい日本提案では、沿岸のミククジラのRMP評価が済んだので、その結果としての17等を枠として要求したことがあった。オーストラリアが、まだ評価途上で幾つかの選択肢があり、検討しているところだと発言。日本はじゃあ、それが終了すればいいのか?と突っかかったことがあった。なんでも、17頭はその中で一番大きい数であっ他という話を、アイスランドの発言で思い出した。
再び日本が、NGOが特定の国を批判するのは禁じられているはずと謝罪の要求。結果はわからないが、議長との話し合いがあったのだろうか?
次ぎは非加盟国からの報告。
オーストリアがEUを代表して、ガバナンスレビューが明確ではないので、遵守が不十分な場合があると指摘。意見の相違に関しては、法的助言のできる第三者が必要。
非加盟国の捕獲はカナダが東北極圏でのホッキョククジラ捕獲( 先住民捕鯨)。カナダの科学者が科学委員会に参加し、データを提供している。
そのあとは、ブラジル提案の2030年決議及び、日にあの食料安保に関してコンセンサスが得られないと撤回。
さらに、他機関との連携について。課題に関して、FAOやCMS,IMOなどと協力している。
最後に財運。
これまで、IWCの維持、運営が困難なほど財政が逼迫している。議長は、このままでは7〜8年で破綻してしまうと警告。ガバナンスレビューや運用効率化を図ってきた。科学委員会の経費も30%カットしなければという意見もある。
それにしても、本部の建物の修繕費の話とか、他の会議でもやってるのかなあ?
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