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2018年10月12日 (金)

IWC67会議報告−1日目

9月10日、10時きっちりに森下丈二議長が開会を宣言。
翻訳機械の取り扱い説明。メディアへの注意事項。ブラジル政府の挨拶までの時間つぶしの面白みのないジョーク、などなど。

ブラジル環境大臣の挨拶は、パリ協定を例に、地球の将来への国際社会の取り組みについて、特に国境を超えた生物多様性を人類が賢く利用するための保全措置などを提唱。沿岸域での海洋保護区の取組紹介とともに、2017年のボン条約におけるサンクチュアリ・イニシアチブが全会一致で採択されたことを紹介し、今回提案している南大西洋サンクチュアリの実現に向けて管理計画等の整備など前進していることを紹介し、採択を求めた。

そのあとは、サントメプリンシペ、とリベリアの持続的な水産資源の利用の推進についてのコメントと続いた。
ちなみに、サントメプリンシペは、西アフリカのギニア湾に浮かず火山列島で、人口は16万6千人。リベリア共和國は、同じく西アフリカの国で、国名はラテン語の「自由な」に由来。西アフリカ諸国と日本は結構つながりが深い。
いずれも、コート・ジボワールやガーナなどと同じく、日本政府が力を入れているCOMHAFAT(大西洋沿岸アフリカ諸国漁業協力閣僚会議)のメンバー国でもある。そういえば、最終日に、COMHAFATメンバーだという沿岸漁民の女性が、持続的な水産資源の利用を訴え、クジラが魚を食べ過ぎることに言及してたっけ。

続いて、参加国のうち政府閣僚級の挨拶。
まず、オーストラリアの環境大臣がIWCのガバナンスについてコメント。サンクチュアリの必要性への理解と、日本の特別許可捕鯨に関して透明性の高い情報の上での議論を求めた。また、今回の日本提案について、大規模商業捕鯨は過去のものであり、認められないこと、IWCの運営が当事者すべての利益にはかなっていないにしても透明性の高い議論で良い会議運営ができていると讃え、また、かつては捕鯨の管理のみで保全ができたが、現在の脅威はそれだけでは済まないとし、多様な脅威に立ち向かう必要性を訴えた。

次は日本。まず、谷合正明農水副大臣が、今回重要なことは先住民生存捕鯨だけではなく、長く解決できなかった真の課題の解決を目指すことだと表明。「遅くとも1990年までには科学的評価を行うとしてきたモラトリアムの解除がまだできていないとし、(出た!前のブログでも書いたが、1990年にはミンククジラの推定個体数も、RMPの合意もまだで、科学的に評価ができるわけがない。水産庁さん、’国の顔’として話す人に恥をかかせてはダメじゃないの!)、世界中に鯨肉が必要な人が存在することに敬意を払うべきで、意思決定を尊重しない会議はグローバルガバナンスにとって逆効果だと主張した。(意思決定に逆らい続けているのは・・・ねえ)
次は、岡本三成外務政務官。(お二方とも公明党だった)
まず、IWC科学委員会の成果を称賛。一方で、条約が追求する目的が果たされていないとした。加盟国の求めに従い、条約の趣旨と目的の実現を目指すべき。しかし、これまで共存の道を目指してきたが失敗してきたとし、日本だけでなく、同じ意見の国々の主張を尊重し、建設的な議論をするための転換点と今回を捉えるとコメント。

確かに条約の目的は「鯨類の適切な保全を図って捕鯨産業の秩序のある発展を可能にする」だが、’捕鯨産業の秩序ある発展’が現在可能かどうか。
日本についていえば、かつての捕鯨産業は全て手を引く中、補助金なしでは公海での操業だけでなく、沿岸海域でも採算が合わない事業になりつつあり、それが商業捕鯨を再開することによって回復するとも思えず。
ノルウェーやアイスランドでは留保して沿岸域での商業捕鯨を実施しているが、同じように鯨肉消費の落ち込みもあり、日本への輸出が期待されているし、アイスランドに至っては、今年、国内向けのミンククジラの捕獲を、収支が合わないと取りやめてしまったくらい。
日本支持のカリブやアフリカ諸国がどうしても捕鯨をやりたいと言っているならまだしも、彼らの求めているのはいわゆる食料安全保障なので、その解決が限られた資源でしかないクジラの捕獲とも思えず。また彼らが今クジラ肉が食べたいとも言っているわけではない。
それよりも、条約ではまず「これ以上の乱獲からすべての種類の鯨を保護することが重要であることにかんがみ」とまず保全を訴えているわけだから、食べたいがための既得権獲得を認めさせるために、『取らねばならない!』と意気込むことがそれほど重要か。今の所、IWCは鯨類の管理をまずまずうまくやっていると言えるのに。

セレモニーはおしまいで、次に事務手続き。今回から、レベッカ・レント博士が事務局長として、参加国(89のうち現時点では75カ国)とか、分担金が支払えていなかったり、信任状が不備だったりして投票権がない国を読み上げる。
議事運営の確認など、議長に変わり、議事の概要、個別議題の確認など進行上の説明に移る。
先住民生存捕鯨に関する決議案が取り下げられたこと、また、日本が附表修正と決議案との二本立ての提案をパッケージとして提出していることの紹介。
内容修正についての意見(チリ「議案85でSPをscience permit としてるけど、special permitでは?」と細かい)

議題採択され、次に科学委員会フォルテュナ議長によるわかりやすい詳細な委員会報告。(2014年の北門議長の短い報告とつい比べてみたり)
資源評価について。RMPが優れているとして他の漁業機関等で使われていること。今後、保全、管理においてどのような展開が可能か、など、前向きな説明。
北太平洋ミンククジラの資源評価とインプルメンテーションの開始について。同じくニタリクジラについてはまだ継続中であることなど。
先住民生存捕鯨の捕獲枠算出についてはすべての評価がすみ、影響はない状態。
次に、保全委員会との協働で実施している小型鯨類、アラビア海の希少なザトウクジラに関する懸念。
鯨類のDNAガイドラインの更新。
混獲、ら網についてデータベース化したこと、IMOに協力して船舶との衝突回避に関する小委員会に参加。
その他環境影響懸念について。
小型鯨類の生け捕り問題。特にロシアのシャチの捕獲。
ホエールウォッチングに関するガイドブックを公表したこと。
決議23に基づき、日本の調査捕鯨の評価についても言及があった。
そのあとで質疑。
科学委員会報告詳細は以下。
RS6940_SC67bReport.pdf

次は、保全委員会(政府訳では保護委員会)報告。
科学委員会との協働と資金調達。
ホエールウオッチングガイドラインのウェブアップなど。

そのあとの議論では、保全委員会も科学委員会同様年次会合が持てないか(オーストラリア)
小型鯨類は現在IWCの管轄外だが、科学委員会は鯨類の専門知識を有する科学者が揃っており、他機関とも共有すべき(ニュージーランド)など。
詳細は以下。
IWC_67_REP_05.pdf

保全委員会のガバナンスの評価についての議論。
2016年にもガバナンスの評価に関する決議も出ており、主要関係者への質問等を踏まえ、ビューロー会議(本会議が1年おきになったので、閉会中に課題整理等をする。決定権はない。本会議議長、副議長、財運議長と各地域代表)を経て、科学委員会、事務局との関わりなど関係性を強化すること、決議のフォローアップ、補助機関によって効率化を図るなどの議論があった。
一方で、財源の限界から、どのように作業を効率化し、優先的な課題をこなすか、本会議と補助機関、そして外部のステークホルダー(環境関連条約など)とのコミニュケーションの強化などについても議論された。
科学委員会とともに毎年会合を行うことは全体としては受け入れられていないようだった。

詳細は
IWC_67_CC_05_rev1.pdf

次に附表修正提案(参加国の4分の3の賛成が必要)に関する概要紹介。各提案5分ずつ。

アメリカから、先住民生存捕鯨実施国4カ国提案として、(本会議が隔年になったことを踏まえ)7年見直しを一度行って年度を揃え、次から6年ごとの見直しを提案。キャリーオーバー(年度内に捕獲頭数に達しない数を翌年に持ち越す)に関して、環境によって捕獲頭数に到達しないため捕獲のリスクが起きるので、全体として捕獲数が変わらないこと、また情報提供を怠らず科学委員会による継続的な判断をあおぐなどで問題を防ぐことを前提に提案。実質議論は後で。

次に、南大西洋サンクチュアリのブラジル、アルゼンチン、南アフリカ、ガボン、ウルグアイの共同提案。
これまで指摘されてきた管理の不十分性を補う管理計画の策定が紹介された。また、国連海洋法条約の元で保障されたそれぞれの近隣諸国の権利を損なうものではないことが強調された。

詳細は
IWC_67_10_rev1.pdf

次は、ご存知日本のIWC改革提案。
議長は、附表修正と決議案と二つあるので、それぞれ5分で10分ね、と倍の時間配分。

資源の安定している一定の鯨種に捕獲枠を設ける附表の修正(10eに一定の鯨種に枠を設ける項目 fを追加)と持続可能な捕鯨委員会の提案(先住民生存捕鯨を含む)。既存の保全委員会ともう一方の側の委員会の設立(決議案)。科学委員会に対して、RMPのもとでの捕獲枠を求めるなど持続可能な鯨の捕獲を目指して各委員会の中でコンセンサスを得られれば、過半数での票決が可能にあり、双方にメリットがあるはず。
背景説明として、これまで機能してこなかった管理機関としてのIWCの役割を果たすための改革案をパッケージで提案し、コンセンサスを目指す。これがIWC を改革する唯一の方法。共存できることを望む。

附表修正提案の後は決議案の紹介。
まず、オーストリア提案の人間由来の水中騒音問題。音響の動物である鯨にとって、聴覚障害など生理的に問題を引き起こす恐れ。また生息域や繁殖域から離脱せざるをえなくなることもあり、今後長期的な影響についてはまだ不明。科学委員会の緊急対応と他機関との協力で緩和措置をとることが必要。
(思えば、2000年、AWIのベン・ホワイト氏が米海軍の低周波ソナーのことで再度イベントを行い、その後、日本にも配備されるということで、勉強会を行ったこともあった。騒音ひっくるめて正式議題に取り上げられるようになったんだ、と感慨深い)

次はガーナ提案の食料安保。将来の人口増加で96億人が飢餓に直面する恐れ。漁業が重要になる。リオ+20の海洋保全と利用、またSDGs14にもあるように、環境リスクを見越して問題の完結とする必要がある。鯨は何千年も利用されてきた。IWC加盟国の多くはまたFAO加盟国でもある、食料供給と文化的生活のため協力してミッションを達成する。

ブラジルによる流出した漁具による鯨類のら網に関して。絶滅に瀕する鯨種にとっての脅威になっている。発見のためのテクノロジーや他機関との連携が必要。
フロリアノポリス宣言。
IWCの21世紀の役割として提案。保全に関する貴重な活動を支え、モラトリアムを継続、科学的活動としての保全の強化を訴えるもの。

次は、独立ガバナンス評価のコンセンサスでの採択。

グリーンランドの提案は取り下げ。

次は、チリのクジラの生態系への役割と生物多様性への貢献についての説明。クジラの存在が地域の健全性に貢献している。
ボン条約との連携の強化と決議の共有が必要。

サクサクと1日目の議題終了。

外では、捕鯨に反対する人たちのパフォーマンスが。


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