調査捕鯨母船の建造
今朝の読売新聞朝刊に「調査捕鯨 新船導入へ 水産庁事業継続 明確に」という記事が掲載された。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20180118-OYT1T50211.html?from=ytop_top
老朽化した日新丸に変わる新船を導入する方針を水産庁が固めた。というものである。
記事の小見出しは「高齢の船」「対シー・シェパード」「反発も」という構成になっており、記事では91年から捕鯨母船になったとある(?)。
老朽化の危険だけでなく、これまで乗組員がレーザー光線の照射をSSから受けたり、体当たりされたことから、SSは今季妨害をしないと言っているが頑強で足の速い船が必要とその理由を説明する。
新造船計画への踏切はやはり調査捕鯨新法だ。とにかく(科学的な疑義や国内外での異論をよそに)未来永劫継続させたいという法律を作ってしまったのだから始末に悪いが、記事からはそのところはうかがえない。
水産庁は18年度予算に「新船について検討するための費用1億円を盛り込んだ」そうである。いったいどんな検討なのだろう?
普通に考えられることとしたら、
船を建造するなら、今後の海洋環境に悪影響をもたらさないような構造(これまでの一重船底の構造を変える)と気候変動対策に対するエネルギーの問題(国際的には、石油燃料ではなく、LPGが主流になりそうな気配だ)が検討課題として思いつくところだが、それにかかる費用をこれから調査捕鯨でまかなえるか?という大疑問が湧いてくる。特に、ICJ判決後の国際世論の動向、ワシントン条約でのイワシクジラ問題(やめなければならなくなる???)、日本沿岸でのミンククジラの捕獲の減少など、(税金を投入し、返さなくてもいいというのなら別だが)懸念は大きい。
もう一つ、「外国の大型漁船を買い付けて捕鯨船に改造」という案もあるそうだ。捕鯨に対する風当たりの強くない国や、多少とも脛に傷を持つような出どころの可能性があるが、こうした船の改造で、今後、長期にわたって海洋環境への国際基準を満たせるかというとかなり怪しい。
(何れにしても、水産庁が止める口実を作るような検討を行ってくれればいいのだが。無理?)
冷めた目でみれば、今回の計画は役人のかなり場当たり的な解決方法ではないかという疑いもあるものの、そんなアホなことにお金は使わないでほしいという思いは募るばかりである。
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