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2017年11月 6日 (月)

ボン条約会議

 「移動性野生動物種の保全に関する条約(通称ボン条約/CMS)」がこの10月24日から28日にかけて、フィリピンのマニラで開催された。

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https://www.jiji.com/jc/article?k=20171030036362a&g=afp
   移動性野生動物34種が新たに保護強化対象に、ボン条約会議
  【マニラAFP=時事】フィリピンの首都マニラで28日に閉幕した「移動性野生動物種の保護に関する
条約(CMS)」(ボン条約)の締約国会議で、ライオンやチンパンジーなど野生動物34種が新たに保護
強化の対象リストに加えられた。
 移動性動物種は国境をまたいで移動することなどからその保護は特に難しいとCMS事務局長の
ブランディー・チェンバーズ氏は言う。動物たちが移動した先が野生動物保護体制が徹底されて
いない国である可能性もあるからだ。
 会議では、今以上の保護対策が必要だとしてライオン、ヒョウ、チンパンジーなどの対象リスト入り
が決まった。なかでもチンパンジーは近年、生息地の減少などで個体数が急激に減っているという。
アフリカ全土での個体数が9万頭を下回ったキリンもリスト入りした。
 このほか、ハゲワシやコンドル10種や世界最大の魚類ジンベイザメ、カスザメ、ドダブカ、
ヨシキリザメ、モンゴルと中国の国境が接する地域が生息域とされるゴビグマなどもリストに
加えられた。ゴビグマの生息数は世界で45頭とされている。(後略)
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 残念ながら、日本はこの条約に未加盟である。
なぜなのか、と繰り返し行政に聞いてきたが、クジラが入っているから、とか、我が国の考え方と異なるところがある、日本ではウミガメを食べる習慣がある、他の協定で間に合っていて入るメリットがないとかの答えが返ってくる。2014年に、国会である議員さんが質問してくれたところ、検討中だという回答を受け、「20年間も検討し続けているのか?」と苦笑い。

 「わが国(=霞ヶ関+永田町)と考え方が異なる」という返事には、日本政府の野生生物や環境への後ろ向きの考え方が如実に出ている。ワシントン条約に関しては、国際的に色々と批判されて、成立後5年経ってやっと一杯の留保品目を抱えて加盟したが、CMSに関しては、そうした具体的な規制はないし、いろいろと’脛に傷を持つ身’だからなまじ加盟して難癖をつけられたくないのだろう。
 今回も、海洋生物に関連して重要な決議が採択されたが、そのうちの鰭脚類、ジュゴン目、クジラ類等の海棲哺乳類の重要海域(IMMAs=Important Marine Mamale Areas)は、当然のことながらここまでしっかりと進んできたか、と素直に嬉しいのだけど、一方で日本の加盟のハードルを上げたのだろうな、とも思う。

http://www.cms.int/sites/default/files/document/cms_cop12_crp8_immas_e.pdf

 日本政府の考えている海洋保護区は、どこからも反対されないような緩い規制と管理区域だと私は思っている。日本政府が日本独自の海洋保護区の設置で最終的には何を設計していくのか(つまり愛知目標の数合わせ以外ということだが)、よくわからない。既存の漁業管理区域などで、生物多様性が増したり、漁業生産が増したところがどれくらいあるのか、海洋保護区の指定とともに数値も示すべきだと思う。
(でも・・・・もしかしたら、海洋保護区で海が豊かになるなんて、ハナから信じていないのかもしれない。
   一種の他国からの嫌がらせとしか思っていないのかもしれない。この辺り、中国政府の考え方はどんどん国際化してきている)
 昨年せっかく公表した日本の重要海域は、海洋保護区の基礎的なデータを提供していると思っていたのだけど、聞くところによると、水産庁の一部の人が「事前に相談されなかった」、とかでむくれてしまって、座礁しているらしい。重要海域を抽出する努力は、私たちの税金と関わった担当官のみならず専門家の方たちの努力の結晶であり、異論を唱えたければご自分でもっと上等なものを作って海洋の生物多様性と、漁業に貢献すれば良いものを
面倒なことをしないですむ口実にしているのかもしれない 。

 ボン条約会議に戻ると、ようやく海中騒音問題にスポットライトが当てられた。2000年、アデレードのIWC会議のサイドイベントで、今は亡きベン・ホワイトさんが米海軍の低周波ソナーが鯨類に与える音響被害について一生懸命述べていたことを今更のように思い出す。今回会議では海中騒音に関しての環境影響評価のガイドラインが採択されたようだ。海洋開発がひどく活発化していること、また、船の航路が世界の海を縦横無尽に走っていることなど、海洋環境における騒音は、特に音を頼りに生きている生物たちにとっては危機的な状況のはずだ。

http://www.cms.int/sites/default/files/document/cms_cop12_doc.24.2.2_marine-noise_e_n.pdf

ブッシュミートとしての海棲哺乳類問題。
野生動物肉の利用=ブッシュミート問題は、ワシントン条約などでも取り上げられており、科学的な根拠を持って持続的に利用でき程るかどうか、とかなり曖昧な点もある。
海棲哺乳類について言えば、特定の海域に生息するものだけでなく、幾つもの国にまたがって移動している種も少なくないので、勧告では、参加国も参加していない周辺国も協力して情報を共有し、科学的なデータを集めて、適切な技術や資金提供、人材育成などを通じて、リストされている海棲生物が持続的に収穫されているかどうか確認すること、とされている。

それと商業的な生け捕り問題も問題になっている。
捕獲に関するガンドラインは任意であり、歯切れが悪いが、野生個体の商業的な利用に関しては捕獲、移動や輸出入についての規制を求めている。また、事務局に生け捕りに関してワシントン条約やIWCとの協力を推進することや参加国に対して生け捕りに関する情報の共有を求めている。

移動する生き物について、周辺国が協力して保全を考えるときに、1国で勝手な使い方をしては困るというのは当たり前の話だ。特に生け捕り問題では、特に日本に大きな責任があると感じる。
散々利用してきたが、この上、さらに利用し続けたいのであれば、ちゃんと条約に参加して堂々とそれを訴えるべきではないだろうか?

今回のテーマ「彼らの未来は私たちの未来」という言葉をよ〜〜く噛み締めてみたい。

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