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2017年4月27日 (木)

種の保存法国会審議衆議院その2「穴」

 25日、朝から種の保存法改正に関する審議が、石井実阪大教授(蝶の専門家で、検討小委員会の座長)と日本自然保護協会の辻村千尋氏のヒアリングで開始した。

国会で、絶滅の危機に瀕する種をどのように保全していくのかという議論が行われているこの日、辺野古では、埋め立て工事が始まっていた。
変則的だが、ここは、最後の質問に立った自由党の玉城デニー議員の締めくくりの言葉から始めたいと思う。彼は、今日は非常に「やるせない気持ちだ」という言葉を二度、冒頭に使っている。沖縄の言葉で「チヌワサワサー」と「チルダイ」というのだそうだが、心がざわめき、脱力しているような状態をいうらしい。非常に重要な議論をみんな真摯に行っている、しかしどこかに穴があいている、と彼は訴えた。

辺野古を生息海域の一部としているジュゴンを同法対象に、という意見が繰り返し出ている。この日は、玉城デニー議員はもちろん、共産党塩川鉄也議員もかなり執拗に、他の法律にある規制措置だけではなく、生息域をこそ保全し、種の回復を図るべきではないかと質問し、(ジュゴンを提案制度を使って繰り返し訴えてきた)自然保護協会だけでなく、政府参考人の石井実氏からも、科学的見地からは当然掲載されるべき種であり、様々な障害があるにしても、なんとか保全措置を取り、回復を願いたいというこたえを引き出している。

2002年に共産党岩佐恵美議員(当時)が谷津農水大臣に迫り、水産庁との覚書からジュゴンを除外してもいいという答えを得てからすでに15年。その間、防衛省による「環境調査」という名目での機材投入などからか、ジュゴンは海域から見られなくなったものの、先ごろまた、付近で子連れの個体が発見されている。絶滅回避の、ギリギリの瀬戸際といえるかもしれない。
環境省としても基本は守りたいわけで、今後のレッドリスト掲載の検討において、曖昧ながら海域の保護を含めて検討する、という返事をしている。しかし、この「検討」というのは使いようでどうにでもなる言葉だ。
いつまで検討するつもりかわからないが、生態的なデータも少なくなく、絶滅に瀕していることが明らかである大型哺乳類、しかも世界的に生息域が北限である貴重な種(そしてその生息する海域における沢山の希少種も含め)を守れなくて、一体何のための法律なのか?

海生生物のレッドリスト問題については、同じく塩川議員が非常に的を得た質問を繰り返し、政府参考人の石井実教授から、水産庁は水産資源が重要なので、純科学的には難しいところがあるかもしれない。環境省が評価して、それから水産庁が資源としてどう利用するのか考える、というのが理想だという答えを引き出してくれた。
午後からの審議においても、レッドリストで住み分けをするのではなく、水産庁の持つ知見と研究者の協力を得て環境省が行えば住み分けしなくても済むのではないか?と問いただした。
亀澤局長は将来的に知見を蓄積していきたいという答えだったが、山本大臣は水産庁が「船を持っている」ことが水産庁が評価している妥当な理由だと考えたらしかった。水産庁だって、調査が必要な時は、業務委託したりしているし、予算をつければいいだけの話で、船を持つことがそれほど重大なことなのか?

スナメリについては、毎年のストランディングレコードでは最高の死亡数を示し、研究者の人たちが海洋汚染や混獲、船舶との衝突(特に東京湾)など非常に大きな懸念を示している。
また、シャチのように、北海道で個体識別されている数は羅臼で239頭、釧路で105頭を数えるのみで、北太平洋の東海域で600頭以下という報告もあるというのに、水産庁は1990年代の調査結果として(当時の解析では生活史が類似しているとされるコビレゴンドウからの推定地で1300頭くらいだったと記憶している) 、日本周辺海域全てが生息域だとし、推定個体数は7531頭という途方もない数を出している。
ツチクジラはその生態に未だに未解明のところが多くあるが、小型沿岸捕鯨対象種で、3つあある個体群のうち、希少な個体群と考えられるオホーツク海の推定610頭の群れから毎年10頭の捕獲枠が出ている。そして、このなかに、もしかしたら新種が混じっているかもしれないという調査結果がNOAAから出され、ナショナルジオグラフィック誌で報じられている。まだ最終判定に至ってはいないものの、漁業者はこれを「カラス」と呼び、明らかに異なるクジラをいう認識を持っていたらしい。今回これについての記述などもちろんない。

全体的に、捕獲対象種では減少したと考えられないないから、そして捕獲対象外では脅威がないから、ランク外だといとも簡単に切って捨てている。
これがどれほど信頼できない評価なのか、ことさらに言うまでもないと思うが、肝心の環境省はこれを持って「多くの知見を有する」と評価するのだ。

しかし、こうした情報も一般的には伝えられておらず、陸域の「見える」生き物と比べると親近感にかけるためか、関係者の反応は鈍いと言わざるをえない。また、「クジラ」と言うと、途端に政治的な色合いを帯びてしまうため、下手に近寄りたがらない向きもあるかもしれない。環境省が所轄するかどうか、ということはこの点からいっても重要なものだ。

今回、最終的に付帯決議が12、ついた。科学委員会の独立性、透明性、提案制度に生息地を含む、希少種を保護するための里地里山の保全、違法に輸入された希少種の生息地への変還、ワシントン条約掲載種の国際情勢を踏まえての見直し(これには少し期待)などがあったが、海に関しては六番目に希少性の透明性を高めること、水産庁との令閨では「同法の趣旨に沿って」適切に行うというもの一つ。これで前に進めるのか?という疑問も残る。

感想としては、前進したところもあったが、やはり種の保存法のターゲットは陸域なのだなあということだ。
「穴」。


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