2010年に海洋生物のレッドリストが作られると環境省が発表して以来、7年経過してやっと、この3月21日、リストが公表された。
これまでの海の生き物に対する(法的な)冷たい扱いを考えると、まずは最初のステップではある。が、その中身にはこれまでも何回か話題にしてきた以上に、たくさんの課題があることがわかった。
●環境省が評価した幾つかの種で絶滅危惧IA(魚類で8種甲殻類8種,無脊椎動物1種)IB(魚類6種、サンゴ1種、甲殻類11種 、軟体動物2種)絶滅危惧II類(魚類2種、サンゴ5種、甲殻類11種、軟体動物1種)準絶滅危惧種(魚類89種、サンゴ7種、甲殻類43、軟体動物3種、無脊椎動物20種)情報不足種(魚類113種、サンゴ1種)甲殻類98、種無脊椎動物13種)絶滅の恐れのある地域個体群(魚類2集団、甲殻類2集団、無脊椎動物1集団)となっている。
まだ、直接種の保存法対象となっているわけではないが、早急に評価していく必要があることと同時に、法文の中に欠けている生息海域保護を入れ込む(改正対象とする)必要がある。
ご存知のように、種の保存法が策定された1993年に、環境庁(当時)は水産庁と覚書(密約)を取り交わし、水産資源を対象物から外したため、海域の保護は明記されていないのだ。
●水産庁評価の対象種94種のうち93種はランク外、残る1種は情報不足(DD)
ランク外というのは、情報が不十分ながら、絶滅の恐れがない種だということだ。しかし、例えば鯨類を例としてみるとランク外とされた29種のうちの17種が情報不足ーDDでIUCNのリストに入っている。スナメリに至っては、絶滅危惧II類(VU)にランクされている。
日本周辺海域だけ、なぜ絶滅の恐れがないのか、もし特殊な事情があるのだったら、わかりやすく説明する義務があるのではないだろうか?
データが古くて恐縮だが、1997年に出版された「レッドデータ日本の哺乳類(の本哺乳類学会)によると、17種が希少、スナメリも絶滅を危惧される地域個体群になっている。
海洋環境が日々悪化する中で、沿岸漁業における様々な魚種の減少も懸念されていると聞いている。また、沿岸での小型鯨類の捕獲が許可される中、日本の沿岸海域でどのような前向きの変化があって今回評価に繋がったのか、知りたいところである。
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