« 2016年12月 | トップページ

2017年1月31日 (火)

種の保存法 海洋生物の保全は・・

 昨日は、中央環境審議会の野生生物部会が開催され、「種の保存につき構ずべき措置について」の審議(異議がなければそれを元に改正に向かう)と「大正狩猟鳥獣の禁止または制限を定めることについて」の諮問が9人の委員(臨時委員含む)によって議論された。
種の保存法に関しては、昨年12月13日から今年の1月11日までパブリックコメントが募集されており、私たちの意見については前回のブログに書いた通りだ。

これまでパブリックコメントなどはすでに決められた内容を踏襲できる形でしか修正されない。今回も、例えば、海洋生物が入ってくるのに、なんで国土だけ?という意見には修正が加えられたものの、「世界第6位の広さの排他的経済水域」とし、「南北約3,000㎞にわたる国土」と対応して領海+排他的経済水域の広さ(447万㎢)としなかったのはなぜなのか。

その他は、陸域と海域の生物の種数については「生物多様性の保全上重要な地域として認識されている旨を説明している」だけということで言及はない(地域?)

留保見直しについても、「政府として決定しているから」いいらしい(国民不在)。

重要海域の選定に沿った保護海域の特定としてについてはまず絶滅危惧種の選定希少野生動植物種選定が先」とし、「生息数や生態の調査が十分に行われていない」ことから、具体的な方向性を求めたのに対しては「情報の不足」を追記したにとどまった。
重要海域の選定の中にも、それなりに情報をすくい上げられるものがあるし、水産庁管轄の魚種等に関してはすでに情報が十分あるものも少なくない。ジュゴンだって、そして多分水産庁と共管したスナメリ調査でもそれなりの情報はあるし、このところ、大きな話題になっているウナギはどうなのよ?と言いたいが、彼らとしては全てが同じように平等に情報収集できなければ何もしないということなのだろうか??

わかってはいたが残念な結果。

2017年1月12日 (木)

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存につき講ずべき措置について(答申案)に関 する意見

昨日だった「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存につき講ずべき措置について(答申案) 」
に提出したパブコメ。

■〔意見1〕
1〔該当箇所〕 答申案全体について
2 〔意見の内容〕
本文全体に、海生生物種を意識した記述をすべき。
3 〔意見の理由〕
2010年、生物多様性条約第10回会議において、環境省は海生生物のレッドデータを作
成すると宣言した。環境省は、その結果の公表については繰り返し今年度末であると発
言してきた。したがって、公表時期と今回の改正と時期は前後すると思われる。しかし
ながら、今回の改正に向けた検討小委員会に、海生生物の専門家は参加していない。ま
た、今回の答申案について言えば、海生生物に関しては、「絶滅危惧種の選定が不十分
である」という個別の記述以外に、全体として海生生物を意識した記述が見られない。
もし、今年度末での公表時に、種の保存法に該当する種がなかったとしても、これは不
都合ではないのかと思われる。なぜなら、法律は毎年改正されるわけではないので、こ
の案に従えば、今後は海生生物が対象種に含まれるにも関わらず、法文内容に追加や変
化がない可能性がある。 

■〔意見2〕国土のみならず、海域を加えること。
1〔該当箇所〕 1ページ3行目(1.はじめに )
2〔意見内容〕「我が国は、南北約 3,000km にわたる国土」の後に、
「447万?に及ぶ海域(領海及び排他的経済水域)」を追加する。
3〔意見1の理由〕
今年度中に海生生物のレッドリストが公表されると環境省は説明している。改正法案が
審議される時期には、海生生物の中に同法対象となる種が存在する可能性がある。した
がって海生種が生息する海域についても言及すべきである。法改正が実施されても次期
改正までに数年(通常5年)かかるため、海域に関しての記述を今回改正の「講ずべき
重要な措置」の一つとしてここに限らず全文に反映させることが重要だと考える。
<海域の面積記述の出典>
1)「領海(含:内水)+排他的経済水域(含:接続水域)+延長大陸棚※約465万
km2
(海上保安庁)」
2)我が国は、北海道、本州、四国、九州、沖縄 島のほか、6,000 余の島々で構成さ
れており、 その周辺の領海及び排他的経済水域の面積 は、約 447 万?と世界有数で
ある。
(環境省「海洋生物多様性保全戦略」)

■ 〔意見3〕
1〔該当箇所〕意見1と同じく1ページ5行目
2 〔意見の内容〕
「 既知の生物種数は9万種以上、まだ知られていないものも含めると30万種を超える
と推定されており、」
種数について、海生種を含め、陸生、海生の種数を区別して記載すべき。
3〔意見2の理由〕
上記と同じ。今年度中に海生生物のレッドリストが公表されるため。
<海生生物の種数に関しての出典>
1)日本近海には、世界に生息する127種の海棲哺乳類のうち50種(クジラ・イルカ類4
0種、アザラシ・アシカ類8種、ラッコ、ジュゴン)10、世界の約300種といわれる海鳥
のうち122種11、同じく約15,000種の海水魚のうち約25%にあたる約3,700種が生息・生
育する12など、豊かな種の多様性がある。我が国の排他的経済水域までの管轄権内の海
域に生息する海洋生物に関する調査によると、確認できた種だけで約34,000種にのぼり
、全世界既知数の約23万種の約15%にあたる13。このうち我が国の固有種は約1,900種
確認されている。なお、海洋生物に関しては、一部の分類群を除き分類学研究が遅れて
おり、未知の生物が多く存在することには留意する必要がある。(環境省:海洋生物多
様性戦略)
2)科学的に正式な記録がない種類数(出現予測種数)は、121,913 種に達する。これ
に既知の 33,629 種を加えた 155,542 種が、日本近海の総種数になるわけである。つ
まり、私たちは未だ 20 %の種しか認識していない。
<出典>(ワークショップ21世紀の生物多様性研究「日本近海にはどれくらいの生物
がいるのか」http://www.gbif.jp/pdf/workshop2011_1.pdf)

■〔意見3〕
1〔該当箇所〕2ページ7行目から
2〔意見の内容〕「加えて、ワシントン条約に基づいて国際取引が規制されている希少
な野生動植物につい ても、国内における違法流通等が報告されており、国際的に協力
して種を保全していく観 点から、違法行為を食い止めるための一刻も早い対策が急務
となっている。」
の後に、「なお、日本が長らくワシントン条約の取引を禁止している種についての留保
を、現在の管理当局水産庁とは異なる保全の観点から見直す必要がある」
を付け加える。
3 〔意見の理由〕
種の保存法において、これまでIUCNのレッドデータをその基準としている。しかし一方
で、水産庁管轄の鯨類や魚類等の一部に関しては、もっぱら産業の観点からの判断で留
保措置がとられてきた。産業優先ではなく、種の保存の観点からの見直しをすべきだと
考える。
<留保品目 参考>
http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_wash
ington/cites_about.html


■〔意見4〕
1〔該当箇所〕4ページ29行目から
2〔意見の内容〕「なお、海洋生物については、絶滅危惧種の選定が十分に行われてお
らず、国内希少野生動植物種の指定が進展していない。今後、海産種の絶滅危惧種の選
定を進め、その結果を踏まえて、国内希少野生動植物種の指定を推進する必要がある。

の後に、
「2014年改正時の付帯決議に基づき、また今年度中に公表される海生生物レッドリ
スト
を踏まえ、希少性の認められる種については積極的に対象とし、また選定が不十分な種
に関してはその要因を取り除き、選定を早急に進める。」
を加える。
3〔意見の理由〕
上記意見1、2と同じ。講ずべき措置について、現状を単に記述するのではなく、
一歩踏み込んだ記述が必要。特に、目的が異なる水産庁によるレッドリストの選定は、
元となるデータが保全にとっては不適切だと考えられる。また、移動性の他の動物につ
いては、条約で国際的な評価が行われていても、国内での選定が行われて対象種となっ
ているにも関わらず、鯨類に関しては、対象から外されていることは整合性に欠ける。

■〔意見5〕
1〔該当箇所〕5ページ21行目から
2〔意見の内容〕
「生息地等保護区は、現在、全国でわずか9地区の指定に留まっている。国立公園や鳥
獣保護区特別保護地区、自然環境保全地域等の他法令の保護地域制度で生息・生育地が
保護されている種も多いものの、国内希少野生動植物種の指定種数と比較すると 生息
地等保護区の指定数は大幅に少ない。」
の後に、
「また、海生生物に関しては、重要海域の選定に沿って、希少な海生生物に関する保護
海域を特定し、その指定を進めるべきである」を追加。
3〔意見の理由〕
前述と同じく、海生生物の同法選定に従い、生息地等保護区だけでなく、保護海域の記
述も必要。

<ついでながら>
■〔意見6〕
1〔該当箇所〕13ページ
2「意見の内容」
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案に対
する附帯決議 抄」で閉じるのではなく、全文掲載し、その進捗具合(何か可能で何が
不十分なのか)を点検すべき。
「意見の理由」
今後、同法の実効性を高めるためにも、今できること、できないこと双方に対して今後
の見通しをきちんと立てる必要があると思ういます!

2017年1月 7日 (土)

ティリカム

  シーワールドの有名なシャチ、Tilikumが昨日死んだ。Tilikumが一躍有名になったのは、彼が2010年に、ベテラントレーナーのドーン・ブランショウさんを観客の眼の前で水中に引きずり込み、死に至らしめたからだ。
 その死を発端に、シャチ飼育を検証し、批判するドキュメンタリー映画「ブラックフィッシュ」が作成され、アメリカだけでなく世界中で大きな議論を巻き起こした。観客離れ、有名歌手多数のシーワールドでのショーへの出演拒否、株価大暴落という激しい反応を生み出し、結局シーワールドの本拠地カリフォルニア州が、シャチのショー利用と繁殖を禁止する法律まで作った。
 アイスランドで生まれ、3歳の頃に捕獲され、カナダやアメリカでショーや繁殖にこき使われた1頭のオスのシャチの悲しい最期であったが、シャチ飼育への大きな疑問を世界中に行き渡らせた(日本では上映されていないが)という意味では大きな功績のあったシャチとなった。

http://www.usatoday.com/story/news/nation-now/2017/01/06/sea-world-orca-whale-tilikum-dies/96240604/

http://www.telegraph.co.uk/news/2017/01/06/tilikum-seaworld-orca-blackfish-documentary-dies/

2017年1月 6日 (金)

種の保存法改正〜海は無視するのか

 昨年12月から、環境省が種の保存法についての講ずべき措置(案)という改正に向けてのパブリックコメントを求めている(締め切り1月11日)。
これは、2014年の改正における国会論議での附則に従っての3年目の改正が今年行われる予定だからだ。
前回の改正時には、3年後の見直しの附則に加えて、11項目の附帯決議が衆参両院でつけられた。その中には、レッドリストに上がっている種のうちの300種を2020年までに選定すること、「種指定の優先度と個体数回復などの目標、必要な保護管理計画などを勧告する、専門家による常設の科学委員会の法定を検討すること」(現在は非公開の専門家による検討会がその都度召集され、その意見に従って中央環境審議会で審議されるという過程)などが記され、海洋生物に関しても、「二 「保全戦略」は海洋生物を含めて策定すること。また、「保全戦略」は、種の指定の考え方や進め方を示す、大胆かつ機動性の高いものとすること。」
「十 海洋生態系の要となる海棲哺乳類を含めた海洋生物については、科学的見地に立ってその希少性評価を適切に行うこと。また、候補種選定の際、現在は種指定の実績がない海洋生物についても、積極的に選定の対象とすること。」と強い意見が出されている。
しかし、この間、5回開催された検討会では海生生物に関する議論はなく、最後に検討結果を受けた審議会で、臨時委員のJAMSTECの白山義久氏がやっと、海生生物はどうなっているのか?という質問を出した結果として、二箇所に書き込みが加えられた。しかしそれだって、2の種の保存をめぐる現状と課題で「現時点では、海洋生物については絶滅危惧種の選定が十分に行われていない。」そして、今後講ずべき措置で「なお、海洋生物については、絶滅危惧種の選定が十分に行われておらず、国内希少野生動植物種の指定が進展していない。今後、海産種の絶滅危惧種の選定を進め、その結果を踏まえて、国内希少野生動植物種の指定を推進する必要がある。」と素っ気なく書かれているのみで、最後の附帯決議(抄)では、海についての上記2決議が省かれてしまっている。
環境省の意見交換では、担当官が「海生生物のレッドリストは今年度末(2017)に発表されますので」と、現時点ではないからしなくてもいいんだと言わんばかりの言いよう。
でも考えてみてほしい。附則でやっと3年で見直し、通常は5年後に見直しがされるわけで、レッドリストが公表されて、「もしかしたら」そのうちに種の保存法対象となるべき種があるかもしれないが、そうした一部手直しだけでは、これまで陸域した考えて作ってこなかった法文で済むわけがない。一例を挙げると、「はじめに」ではのっけから、「我が国は、南北約 3,000km にわたる国土、変化に富んだ地形、四季に恵まれた気候などにより、豊かな生物多様性を有している。既知の生物種数は9万種以上、まだ知られていないものも含めると 30 万種を超えると推定されており」と陸域しか意識しない書き方になっているし、この9万種、あるいは30万種に陸よりも種数が多いのではないかと言われる海生生物が含まれているかどうかも不明である。ちなみに、海域は、領海(含:内水)+排他的経済水域(含:接続水域)+延長大陸棚で約465万平方km(出典:海上保安庁「日本の領海等概念図」より)とされている。

 環境省的には海までかかえ込むほどの力はありません、と言いたいところなのかもしれないが、2010年に海生生物のレッドリストを作成するという前向きな態度を維持するなら、海生生物を加えることを前提として全文を書き直すのが筋だし、それができないならせめて「レッドリスト公表後に必要があれば再度改正する」などといった具体的な方策を書き込む必要があると思いませんか。

パブコメ締め切りまであとわずかだが、心ある人たちに、ぜひこのパブコメに参加していただきたいと切に願う。
http://www.env.go.jp/press/files/jp/104293.pdf


« 2016年12月 | トップページ