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2016年11月 9日 (水)

対話の素地ができたって???

北西太平洋での調査捕鯨の計画について共同の記事。

http://this.kiji.is/168722271525126149

  「クジラ捕獲数、100頭増計画案」
  北西太平洋の調査捕鯨  2016/11/8 23:01
   政府が検討している北西太平洋での2017年度からの新たな調査捕鯨計画案の概要が8日、判明した。
   捕獲頭数はミンククジラとイワシクジラで計314頭とし、現在よりも実質約100頭増やす。北海道・網走
   沿岸海域でも調査する。政府は新計画案がまとまり次第、国際捕鯨委員会(IWC)の科学委員会に
   提出するが、反捕鯨国は反発しそうだ。

   北西太平洋での現在の調査捕鯨は、沖合のほか沿岸2カ所で実施している。〔・・・〕

 「対話部会設置」などとあたかも日本がちゃんと議論に向き合っているかのような錯覚を起こさせるIWC報告をしておいて、一方でこれはないだろう。
母船を使うのか、それとも沿岸での業者委託かはこれではわからないが、来年度の予算では、沿岸の業者委託による捕獲調査の予定額が倍増している。このことは、IWCの会議の3日目のNGOの意見発表ができた時にちょこっと触れたのだが、もっと強調すべきだったかもしれない。後の祭りだが。
今年度の沿岸での春季調査でも秋期調査でも、ミンククジラの捕殺は予定枠に達していない。51頭の枠のうち、21頭しか捕獲できていないのだ。
それで懸念されるのは、網走での捕獲が加わりそうなことだ。これについては、これまで、ミンククジラの北太平洋の二つの個体群のうち、希少なJストックが生息しているので枠をつけてこなかった。今回、それを解禁するというのは、日本政府が主張している持続的な漁業のあり方にも反するのではないか。

もう一つは、これまでもCITESで論議となった、日本が留保していないイワシクジラの捕獲数が増えることである。イワシクジラはCITESの付属書1に該当する種で、国際取引を禁止されているが、これについては国による捕獲許可→水産庁による持ち込み許可という勝手な理屈でこれまで捕獲、持ち込みを実行してきた。

記事では、「反捕鯨国の反発」とあるが、こうした諸々の問題を抱えての政府判断なのだ。「反捕鯨国の反発」などというふざけた文脈で市民を騙すようなことはやめてほしい。

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