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2016年11月25日 (金)

IWC66スロベニア 議長

 11月24日の毎日新聞「オピニオン」。
森下丈二次期IWC議長が「捕鯨の未来」を語っているhttp://mainichi.jp/articles/20161124/ddm/004/070/014000c
曰く、日本は、モラトリアム以降、モラトリアムの法的な解釈をしたり、調査捕鯨で科学的データを積み上げ、日本文化を理解してもらおうとしてきた。しかし、強硬な反捕鯨国は、法律や文化とは関係なく、「1頭たりともクジラを捕らせない」と主張しています。
だって反捕鯨は捕鯨に反対しているということであるだけで、だからこそ「対話」と「合意形成」が求められているのではないのか。非難するだけでは「子供のけんか」レベル。それを「法律や文化とは関係なく」とさりげなく付け加えて、告げ口するようないつもの森下節をそのまま書く、いつもながらの劣化した国内メディア記事にため息。
もちろん、今回の北西太平洋の調査捕鯨にも、南極での調査捕鯨の問題にも触れていないでうわべのきれいごとだけ。

 さて、彼はますます、都合の良いところだけを切り取って使うのがうまくなってきている。「議長は自国の代表団の代弁をするようなことは許されない」と言いつつも、片方では「単に事務的な手続きを流すだけでなく、何らかのイニシアチブや(!!)展開、進展を見せるよう努力していきたい」と本音も出している。
議長は2年任期なので、次回(2018年の総会)で役目を果たせばいいことになる。「議長に置いとく方が少しは大人しいのではないの?」という楽観的な意見も聞いたが、ここは要注意。先ほどの引用から行くと、「中立」の意味がわかっているのか?と疑いたくなってしまう。

 今回議長を務めたスイスのブルーノ・マイニニさんは、実に見事な采配ぶりで、限られた時間内に必要事項全てをきちんと議論するように運営した。彼は、非常に冷静で客観的な判断のできる人で、そういえば2007年に日本が主催した「IWCの将来」の会合にも参加していた。
海外の方たちはともすると時間にルーズという先入観があったが、彼の時間厳守はまったく恐れ入るほどで、また、議論が膠着すると、対立するもの同士で必要な合意形成の場を設定させたので、無駄な議論はかなり減り、夜遅くまで不毛な議論が重ねられるということがなくなった。その分、私たちの意見発表の場も保証された(一度だけ、NGOの発言が中止させられたことがあった。鯨肉缶詰が日本から不正輸出入されてイギリスの保税倉庫にあるという話で(1缶25ドルもするらしい!)、その場の議論とは離れているという指摘に対しては不満や異論もあるかもしれない。一方で、あの場で発言するから解決するという類のものとも思われなかったが、その後どうなったのだろう)。

ついでだが、前回の科学委員会議長は日本の北門さんで、本会議での科学委員会の報告が通常の四分の一以下で、議事進行に貢献したのかもしれないが、議論がとても不活発になった記憶がある。確かに、報告書の何ページに書いてあると言われればそれまでだが、その場で読むことによって議論のきっかけができる。報告の短さについてはNGOの中でも評判が悪く、今回は、以前と同じように(そして2年分の)それぞれの議題、作業の報告が議長のフォルトゥナさん(イタリア)から行われた。

また、報告には含まれていなかったが、オホーツク海で見つかった新種「カラス」について、報告書の中にはツチクジラ猟の際に混獲されないように監視しているというようなことしか書かれていなかったので、詳しい人に尋ねてみた。日本政府による新たな調査は全くないそうで、生きた個体は見つかってなく、現在頭骨を使ってのDNA解析で最終的に新種であるかどうかということがいずれ発表されるということだ。日本政府の「保護すべきはする」という姿勢はどこ?

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