スロベニアに向けて(2)
IWC本会議開催が来週に迫り、バタバタと(少しやっつけだったような気がするが)やっと共同声明を出すことができた。http://ika-net.jp/ja/ikan-activities/whaling/328-jjoint-statement-regarding-iwc66
この2番目について、早速業界紙の方から質問を受けた(ありがとうございます)。
「企業が参入する可能性のない商業捕鯨」はどういう意味なのか、と。
日本は商業捕鯨再開のために南極における調査捕鯨を継続していると言っているが、現在は南極で商業捕鯨を行うだけの需要はなく、当初のような鯨肉売り上げで調査を継続することも困難になってしまったため、政府まる抱え事業になっているのが実情だ。旧捕鯨大手3社が撤退を表明したのもそのためだ。
しかも、最近では、前回書いたように、食の多様性確保のために鯨肉が必要だの、クジラが漁業被害を生んでいるから間引く必要があるという、いつかどこかで聞いたようなことを、広報やQ&Aで再開している。
そうでもしないと、税金を投入する理屈が立たないからだ。
こうしたとんでもキャンペーンに税金を投入してほしくないというのがこの2番目の要求なのだ。
もしかしたら、沿岸もダメというのか?と聞く方もあるかもしれないが、もし商業捕鯨を沿岸で再開しても、改訂管理方式に従えば、沿岸で毎年100頭以上混獲しているミンククジラにも遥かに、遥かに及ばない数字の可能性が高い。現在の業者の方たちにとっても、事業として継続するのは難しいと感じるのではないか。
今回、日本政府は沿岸提案を引っ込めて、いつものテーマソング、ICRWは捕鯨の振興のためのもの、附表の10eはその時点での0枠でしかなく、商業捕鯨の否定ではない、という原理・原則で議論をするつもりなのだろう。
鯨肉の需要と供給は数年前に比べ、安定してきているようだ。また、鯨類研究所と共同船舶にしても、無理に鯨肉を売らなくても、税金投入で調査捕鯨は継続できる。共同船舶なんか、輸入鯨肉も扱える共同販売という関連会社を作ったことだし、この形は、日本的にはかなり安定しているのだろうと私は思っている。
だから、今回焦点はNEWREP-Aの攻防だが、これについては、捕鯨時代にできた古いICRWをきちんと現状に合わせる努力をしないといけない。
日本が「水産資源」として認めさせたいという熱意はわかるものの、実際の攻防は(WWのような非消費的利用も含め)水産資源としてクジラを今後どのように位置付けるのか、さらには、どうすれば互いに納得できるかという議論だと思うし、それに集中してほしいものだ。
前から言っているが、日本は実際にどの程度の需要があり、どのようにすれば持続的に(そしてフードマイレージを上げずに!)利用できるのか、事実を示していってほしいものだ。
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