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2016年7月11日 (月)

哲学う〜〜〜

 少し時間が経ってしまったけど、知人が「IKANが批判的に取り上げられている」と教えてくれたブログについてちょっと感想を書いてみた。
http://www.yasuienv.net/WhaleDisp.htm

  ブログを書いたのは外国特派員協会の理事をしている安井という人で、聞くところによると、東大の名誉教授で、以前に国連大学の副学長も務めたという人らしい。特派員協会での記者会見の動画を見て、捕鯨問題が’日本という国と世界との相違を知る’絶好の材料と判断されたということだ。そして、動画があまり見られていないことを残念に思い、解説を試みたということだ。

 読んでみたところ、一見公平そうな’予備知識’を最初に持ってきているものの、国の施策に対しての批判はなく、WWFやGPのどこに論理的な見解を見たのか、どのように公平な視点として反映されているか、以降の文章からは全く見えない一方で、彼が「日本と見解が一致している」というサイトは、<日本の>見解というより、正確には<日本政府の>これまでの見解と書いた方が正確。捕鯨に関連する情報満載という点では彼のオススメなのだろうが、反捕鯨に対して熱心な批判を繰り返しているところは公正/中立というよりは反・反捕鯨の主張であり、要するに安井さんが訴えたいのも結局はこの点だったのだろう。
(ちなみに、反・反捕鯨というのは、捕鯨論争の多様な展開と解決への道筋を探るのではなく、反捕鯨にいちゃもんをつけ、日本が正しいという結論に導くことができれば問題は解決すると思っている人たちだと私は思っている)

<日本と世界の違いって・・・>

  このブログの著者が特に力説したかった「日本とのいう国と世界との違いが分かる」としているのは、森下丈二コミッショナーによる記者会見で、日本が新たに計画し、昨年末に実行した南極における新たな調査捕鯨計画(NEWREP-A)の紹介と計画の正当性について。それを強調するような記者の質問も加えてある。この新計画、多くの科学者から疑問が投げかけられ、国内でも以前の<熱血IWCコミッショナー代理>が「科学ではない」と痛烈に批判しているところから、政府としてこうした新たな援護が必要だったかもしれない。

<企業としては割りが合わない事業>

 今更言うまでもないが、調査捕鯨新計画は「商業捕鯨再開のため」とされていながら、南極での操業は、鯨肉需要に対する経費が膨大で、国が実施しなければ(多大な補助金の投入がなければ)採算が合わないため、民間で参加するところはないため、目的からいえば国内議論としても普通に不必要な調査と考えられるものである。
 ここで新計画の正当性を蒸し返すことが何で「日本と世界との相違」と書かれたか。
 これも再三言っていることだが、日本がクジラを水産資源の一つとして利用するということが重要なら、沿岸捕鯨再開のネックとなっている調査捕鯨計画をさっさと辞めることだ。(森下代表だって、ニュージーランドとともに合意形成を図った2010年には少なくともそう考えていたはずだ。ちなみに、国内の捕鯨議連が大反対し、森下さんはしばらく捕鯨班から離れた)

 外国人記者クラブの理事や、国連大学副学長も務めたという方なら、表面的な議論の尻馬に乗って日本を礼賛する代わりに、冷静に情勢を検討してことの本質を見極めるべきだし、解決に向けた外交手段をあれこれ助言するのがその役割ではないのかと思うのだが。

<ついでながら>
 肝心のIKAN批判については、(批判にも値しないとお考えか)直接的なものではなく、「予備知識」と称する架空の問答で学生Aが言う:

  <A  君:どういう哲学なのか、比較的単純な野生生物保護型の主張のような感触ですが、詳しい説明がありませ ん。余り 説得力はないように思います。>

といっているだけ。

 こうしたどこの何を指して言っているのか、何が説明して欲しいのか判然としない。こうした断定的な書き方は、読む者にある種の先入観を抱かせる意図が隠れているものだ。

  言っておくが、私たちにとって重要なのは学者の行う机上の空論の整理ではなく、解決に向かうための問題提起と行動の呼びかけであって、これまでの対立のように原理・原則を振りかざして一歩も譲らず、感情をエスカレートさせて「勝った、負けた」と自分たちの主張の押し付け合いをするためではない。代わりに、事実をきちんと伝え、まっとうな議論ができる卓を提供しようと考えている。そのためには、水産資源としての鯨類という見方のみならず、野生動物としての鯨類という視点も必要で、だからこそ、動物福祉問題から鯨肉の在庫問題、法改正問題や国際条約についても触れる必要が出てくるのだ。

<食用に供することが良好な戦略という断定>

 例えば、先の先生のブログでは、「食用に供することが、人類全体にとってより良好な戦略である」ということを一義的に書いているが、「食用に供することが人類全体にとってより良好な戦略である」とする根拠は何か?ということからまず説明し、共有できる認識を培うべきだ。これまで、多くの反捕鯨への反論では、「日本の伝統」というだけで、あるべき議論までに発展してはいない。

 確かに、もしかしたら、他の食料資源が人畜共通伝染病で激減するかもしれない。クジラだけその例外という理屈は分からないが。それでも、今クジラ肉を食べることが、あるいは、再生産力の低い限られた鯨類資源によってどれだけ将来の食糧難に寄与できるのだろう? 前回のIWC65でガボン政府代表がコメントしていたが、我々にとっては、鯨による食料安保より、沿岸の漁業資源の回復の方が望ましいのです、という言葉はそのまま、日本沿岸の漁業者にとっての願いでもあると昨今の沿岸漁業資源の管理問題について見聞きするたびに思う。
 また、最近では、クジラが採餌海域や移動海域において、植物プランクトンの生成を促し、栄養循環に貢献しているとする研究成果も上がっているようだが、こちらの方が将来的にも水産資源の供給に資するように思われる。少なくともこうした選択肢もあると紹介すべきではないのか?
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371%2Fjournal.pone.0156553

 資源利用については、色々なアプローチがあり「食べる」こともその一部だということに関しては、(もし自分たちが食べない、食べるべきではないとしても)国際的な場では前提としてあり、IWCなどの議論の場でそのことが捨象されるわけではない。いわゆる反捕鯨団体で「食べるな」ということをまず掲げているところは知らないが、食べない人たちが「食べたくなーい」というのは勝手であり、それは食べたい人たちが「食べたーい」というのと変わらない。絶滅の恐れがない種を日本が捕獲している、としているが、実際はどうだろう?ミンクがゴキブリのように増えすぎてシロナガスクジラが増えないとつい最近までいっておきながら、その反省もなく今度はザトウやナガスが増えて・・と言い始め、さらには日本の調査によって、南極の生態系の変化がわかったとか自画自賛している。
  そんな信用できない根拠しか持たないというのに、IUCNが絶滅危惧種としているイワシクジラを捕獲し(2010年には競りによって75%を売り損ねているし)たり、ナガスクジラを輸入して持続的な利用をしていると言い募るのはどうだろうか?

<IKANは説得力がないらしい>

「説得力がない」ということに関連していうと、FCCJで2006年6月13日に行った記者会見のことを思い出していただきたい。私たちは「Investigating the sale of whale meat-'byproduct of research whaling 
Supply, Price and Inventory」という冊子を出し、国内における鯨肉あまりについて、作者である佐久間淳子によるプレゼンテーションを行った。最初、得体の知れない団体と思われたのか記者会見開催が危ぶまれたが、理事の一人の方がサポートしてくれたおかげで無事に決行。公的な資料を使って紹介した詳細な報告に、AP、AFP、ロイター、ブルームバーグなどが早速配信した結果、世界250以上の記事が流れた。それまであたかも日本人にとって不可欠の食料だというふうに海外に伝わっていた鯨肉需要が、その時以来、そうでもないらしいと気がついたようだ(森下氏も含めて関係者の中には、鯨肉を確保するのは途上国など飢えている国を助けるためなどという発言も出るようになった)。
 鯨肉余りの事実は、南極での商業捕鯨が再開されても、政府が補助金をつぎ込まない限り、日本が商業的に捕鯨しに行くだけのメリットがないことを明らかにしたし、マルハやニッスイ、ニチロといった「元大手捕鯨会社」が南極における捕鯨から手を引くことで一層そのことがはっきりした。
 わざわざ南極で商業捕鯨を再開するために、クジラを捕獲調査しなくても、他の方法があるのではないか?
それに大体、これだけ非致死的調査の研究が進み、成果も明らかになっているというのに、森下氏のいうような生態的な情報を得るのに、クジラを殺す必要があるとも思えず、さらには、ミンククジラだけを殺すというのをそのまま科学だと間に受ける???

もう一つ言っておきたいことがある。
森下氏は、「クジラのように、大型の哺乳類は、生存のために非常に大量の食物を必要とする消費者である。いくら貴重だからといって、消費者を消費者のままにしておく訳には行かないかもしれない。」
微妙な言い方になっているが、これはクジラと漁業が競合するという指摘だと思う。

 ここでしっかりと皆さんに知っておいてもらいたいのだが、実は森下氏は、2009年、マデイラで開催されたIWC61の本会議で、「日本政府は漁獲の減少がクジラのせいだとは一度も言っていない」、と発言し、「クジラが我々の食料を横取りする」からIWCに参加したという途上国のハシゴを外し、参加者を白けさせたのだ。


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