JARPN II出港
水産庁の記者発表によると、北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPN II)が5月12日より実施されたようだ。
2月に行われたIWC科学委員会の専門家パネルの評価を受け、今年11月には新しい計画が発表されるそうだから、これはJARPNとしては最後の航海となる。
すでにいくつか記事が出ているが、気になるのは、「ICJの判決を受けて」イワシクジラ90頭、ニタリクジラ25頭に捕獲頭数を減らしたというところだ。確かに数は減らしてあるが、ミンククジラは「時期が」とかなんとかで徐々に捕獲しなくなったのはそれよりも前のこと。実際、2013年には100頭の枠のうち、捕獲頭数はたったの3頭だ。この頭数減らしが判決によるものではないということは、IKA-NET NEWSを読まれておいでの方にとっては目新しいものでもなんでもないのではないか。
IUCNのレッドリスト付嘱書Iに掲載されるイワシクジラが捕獲対象に加えられた2002年には、世界の著名な科学者21名が、ニューヨークタイムズに、「商業的な本質を持つ捕獲プログラムは、科学の独立性とは相容れない」とJARPNに反対する意見広告を出した。
イワシクジラについては、ワシントン条約の取引禁止種となっているが、日本政府は他のクジラ類のような留保をしていない。日本の船が捕獲したものに、科学当局の水産庁が許可を出しているという考え方だが、いわゆる「海からの持ち込み」規定に反するという意見もある。
国内でどうしてもイワシクジラを食べたいというわけでもなく、現に2011年に初めて競りを実施した時は、競りにかけられたイワシクジラを含めた肉の75%が売れなかったという「実績」もある。絶滅危惧とランクされているクジラを捕獲し続ける理由が見当たらない。
こうした問題を抱えて11月に出される新計画がどのようなものになるのかはわからないが、何れにしても腐った土台の上に家を建てても傾くだけではないだろうか。
(腐った土台の上のもう一つの「家」についての詳細は、IKA=NET NEWS63で。
http://ika-net.jp/ja/newsletter)
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