コビレゴンドウの群れ捕まる
太地でコビレゴンドウの群れが追い込まれたというニュースが、英メディアによって伝わってきた。
http://www.dailymail.co.uk/news/article-3327331/Huddling-fear-pod-pilot-whales-circle-one-dolphin-hunters-Japan-s-infamous-Taiji-cove-round-slaughter.html
小さな群れごとに捕獲されて、群れは小さな集団となり、漁業者たちの脅威から身を守ろうとしているようだ。コビレゴンドウの生態はシャチに似ていると言われており、以前水産庁はシャチの個体数推定の根拠としたくらいだ。血縁関係のある群れの結束は硬く、とらわれた群れの映像は心の傷むものだ。
一方で、太地にとっては、ゴンドウ猟はバンドウなどよりずっと古くからあり、肉の需要としてはハクジラの中でも大きく、特に西日本での需要が強いので、太地の産業としては無視できないものだろう。一方では、2010年度に捕獲が全く出来ない事態が起こったように、その個体数の減少が懸念されている種でもある。
こうしたジレンマの中で、やはり粕谷俊雄博士の『イルカ』の中のコビレゴンドウに関する記述に共感する。IKnet日記5月11日のブログにコビレゴンドウについて書いたのだが、その中での粕谷博士の記述の私なりのまとめを改めて書き出しておこう。
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・「個体の知識として蓄積された情報やそれに基づく行動は、学習によって群れの中の他の個体に引 き継がれ、世代をまたいで保持されるに違いない、これが動物行動学で言う文化である」こうした 文化は「鯨類集団にとっては自らの適応力を高めるもの」であるし、「種にとってはその多様性を 種内に保持することは種の生存の可能性を高めるもの」である。従って、種の遺伝的多様性だけで なく、文化の多様性を保存する必要性があると思われる。
・ 小型捕鯨による老齢メスの間引きにより、群れ組織を破壊し、生活能力が低下するおそれがあ る。
・ 追込みによる群れごとの捕獲は、文化の多様性を一つずつ潰していくような作業である。
そして、最後に粕谷氏は、「コビレゴンドウや類人猿のような社会性の強い動物に、果たして水産資源学的な管理方法が適用できるのか」と疑問を呈している。
真剣に考えたいところである。
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