バトル番組の「賢い」戦い方
番組がユーチューブで流れ、ツイートでその文字起こししてくれた方がいたので(本当にありがとうございます!)、二度と見たくないテレビ画面を見ないでチェックすることができた。
今後、このようなところに出るかもしれない人に少し今回反省した事などを述べておきたい。
<先手必勝!>
制作する側に出来るだけ情報を提供して有利にことをすすめる。今回については、和歌山新聞の鶴保議員の意見を下敷きに、イルカ追い込み漁の映像や太地町長、町民のコメント、果ては中国の巨大水族館、キツネ狩りの映像やフォアグラ、コーブの映像、フェロー諸島のゴンドウ猟などが使われている。キーワードとしての「伝統」、「何で日本だけが(いじめられる)?」でつなげた映像が流された。しかもそれが異常に多かった。(そういえばイギリスもフランスも国の代表が「伝統だもん」と言っていたような・・・どこもご都合的に「産業を守りたい」とき伝統を使っている。どこでも市民の側がそれに反対しているところは出てこない)
映像に対する反論というのはなかなか難しく、特に最後の段階では流されるママという感じだったのが悔しい。
もし出演するならシナリオの段階で客観的に出来上がるような情報提供を早めにできると番組の質も上がるだろう(もちろん、制作者はバトルを盛り上げられる事が一番の目的なので、そこに留意)
<言葉は短く、そしてウソでもいいから断定的に!?>
最初に言っておくが、驚いた事に(特に前半では)かなり私の発言が採用されていた。自分でも言葉足らずで分かりにくかったと反省する部分が多い。こちらの意見の根拠となる資料をいくつか用意し、そのうちいくつかはコンピュータ画面で見られるようにしたが、このような番組はむしろ私の苦手なツイートのように、はっきりとした一言が決め手だと分かった時は後の祭り。面倒くさい説明など誰も求めていなくて、自分がこう思っているから正しい、といえばいい。
(SSが「困ります」という所だけテロップで流されたようだが、なんでという所までもっていかないと今回のように相手側に有利に使われてしまう)
(しかし、私がダメな分、司会の堀潤さんが私の意見を聞いてくださったので、言った事の信頼性がいくらかは付与されたのではないだろうか。これは私の功績ではなく、ひとえに堀さんのおかげと感謝)。
<反論できにくい意見には、「その話題はもう終わってる」とか「論点がずれている」などといって話を変える>
議論中もたびたび(議論のすり替えのときなど)、イルカ猟と飼育問題(と殺と生け捕り)がごっちゃになっているというクレームが出た。しかし、誰も実際にWAZAが何を言ったか知らないようだ。しかも、そのことは議論の中で問題にもされないというはじめのびっくり。
事の発端は太地のイルカ追い込み猟にあり、それが残酷だから追込みによるイルカは飼育しないというのがWAZAの方針だ。2010年に妥協案として出された「9月中は肉用の捕獲はしないで生け捕りのみ」というのは、それまで子どもを水族館用に捕獲して、親を殺すというような事が普通だったからで、WAZAとしてはそれだけはどうしても避けたかったという事は容易に理解できる。しかし、こうした説明はなかなかその場ではしにくいのだ。
<嘘を言うときは「立て板に水」と言った話し方をして途中で異議をさしはさませない>
コーブに全面的に賛成しているわけではないが、「全部ウソ」と言い切ってしまう鶴保議員には仰天した。「70年代の伊豆の映像」??だって、地形が違うし、当時はどこも見物人の前で堂々と殺していた。富戸では、生きたままイルカを何頭かまとめてクレーンでつり上げ、軽トラックに積み込んで崖の上のと殺場に運び、そこで包丁を使って頭の辺りをぶった切る。時に、町内の幼稚園製や小学生が地元産業の見学に来ていたりするのだ!隠すようになったのは、1999年にIWCでイルカ猟についての批判があった後。
(水銀中毒の話は長くなるので別にするが、発端は実はフェロー諸島での調査なのだ)
ここは余分なところだが、三軒町長は1昨年にお目にかかったとき「やりたい人たちがいるのだから町は支援するしかない」というような事をおっしゃっていた。伝統とか何とかではなく、やりたい人がいる。水産庁が枠を与え、県が許可する限り、猟は続くし、また海外への輸出もなくならないためそれほど打撃とはならない。しかもその産業はすでにかなり崖っぷちで、生け捕りを販売するという新事業で何とか継続している。これを「伝統だから」というのは苦しいと思うのだが、実情をあまり知らないで同情するのが沿岸漁業全般に対しての日本人の義侠心(!?)だ。
太地町の生きのびる手だての一つは、「伝統文化」を掲げる事による補助金等の獲得(国費の獲得)だ。地方の長の腕はそれをどれだけ引っ張ってこられるか、というあたりではないだろうか。それをすべてダメというつもりもないが、結果的に自立を妨げ、問題解決を引き延ばしている原発立地地域と似た構図になりがちだという事は一応注意しておきたい。
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