’市民説明会’という名の茶番劇
5月29日と30日に、ジョンソン基地跡地利用に関する防衛省の計画と市の考えについての説明会が行われた。
埼玉新聞 米軍基地跡防衛省利用 入間市民「実質的な基地拡張」
http://www.saitama-np.co.jp/news/2015/05/31/09.html
資料は、「留保地に関するこれまでの経緯」http://www.city.iruma.saitama.jp/kakusyukeikaku/15673/014999.html、
「防衛省の計画について」
http://www.city.iruma.saitama.jp/kakusyukeikaku/15673/015674.html
そして「防衛省の利用に対する市の考え」
https://www.city.iruma.saitama.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/014/983/11sinokanngae.pdf
入間市は「基地の町」なのだ。
米軍から返還された後に自衛隊が駐屯し、すでに「防衛力の役割にシームレスかつ機動的に対応し得るよう、各種態勢の整備に取り組んでいる(防衛省「入間市基地跡地留保地の利用について」1はじめに)。
航空祭直前になるとそれが身にしみる。自衛機がまるで空から落ちてくるのではないか、というくらい轟音を響かせて低空飛行を行なう(基地返還後の墜落事故は1963年、1972年、1978年、1999年で、そのうち78年と99年には、自衛官がそれぞれ二人ずつ死亡している)。あまり近くて孫が泣き出した事があったが、風の谷に墜落したトルメキアの戦闘機が近づいてくる所を連想してしまった。
一方で、基地及び跡地は予期しない自然の恵みを入間市民に与え続けてきた。確かに二次的自然ではあるが、留保地とされるところ(およそ40ha)と、基地との緩衝帯となっている林地、家政大学の林地、公園になって自然としての質は落ちたものの、彩の森公園(入間市)、稲荷山公園(狭山市)と緑の回廊となって、(肝心の市民の知る、知らずは別として)入間市民の心身に寄与してきた。
今回の計画は、かつて小河内ダム建設に追われた人々が移り住んだ東町の28haの林地に、来るべき’災害に備えて’「災害対処拠点(注:自衛隊訓練場所)」と「新病院(入間病院(仮称)(注:自衛官の救急搬送用後送病院)」を作るという。留保地自体は国の土地ではあるが、「自衛隊が的確に対処するためには、地方公共団体等との連携を一層強化する事は極めて重要であり(すなわち、地域住民の意見を聞かなければならないので)入間市が平成20年(2008年)に出した利用計画に十分配慮する」
当該区域の開発は、埼玉県の環境影響評価条例(20ha以上の開発には環境影響評価を実施)に違反するものである。(説明会では防衛省がやらなくてもいいと言った、とか、防衛省が埼玉県に打診したが、いいと言った、という説明をしていたが、市の担当者は、何でアセスを実施しなければならないか、という肝心のところを理解していないようである。むざむざと貴重な市民の財産を放り出すようなもので、これのどこが十分な配慮と言えるのか)
それに対する市の答えはこうだ。
1.総論
市では、東町留保地については公的利用すべきものとして、緩衝緑地ゾーン及び健康・スポーツ・医療ゾーンからなる施設整備構想を内容とする利用計画を平成20年6月に財務省に提出している。
しかしながら、財政的な事情により利用計画を具体化するには至っておらず、今後も難しい状況と考えている。(開発したいけど、お金がない)
2。災害対策拠点
地元市民が運動場を利用できる事は(注:実際は自衛隊が使っていない夜間や休日のうちで利用できるとき)健康・スポーツ・医療ゾーンとしての総合運動公園、多目的広場等の整備を構想した市の利用計画の趣旨に合致する。(注:客観的にも合致していないのは明らかだが、イケイケの市にとっては何でも合致のようだ)
3.自衛隊病院
健康・スポーツ・医療ゾーンとしての病院医療施設の整備を構想した市の利用計画の趣旨に合致する。(注:二次救急患者を受け入れるという’かっこうつけ’によって保険医療機関に昇格)
4.緑地帯
緩衝ゾーンの設置を構想した市の利用計画の趣旨に合致する。(注:訓練等の目隠し用垣根の設置程度)
私が参加したのは、埼玉新聞の記事の翌日(30日)だったが、やはり質疑応答ではすべての意見が市の見解に反対し、計画の見直しを求めるものだった。
その理由は、
1.2008年計画とまったく異なるものであるのに関わらず、事前に市民の意見を聞いていない。5月になってやっと広報に掲載されたが、情報を幅広く伝えようと言う意志がない。→意見を聞くべき
2.災害対策とされているが、実際は自衛隊基地の拡張であり、受け入れがたい。→計画に反対
3.環境影響評価の実施なしに開発するのはおかしい。特に2008年計画で目的とされた自然環境の保持が考慮されていない(15メートル幅の緑地帯は、緩衝地帯として機能するものとは言えない)→計画に反対
質疑時間とされた1時間の制限を超えても挙手する人が減らなかったというのに、少しばかり延長した上で説明会は打ち切られてしまった。今後はこれまでのスケジュールから言うと、6月2日(明日)からの市議会で(多分)質疑が行なわれ、6月5日までパブコメ、12日に審議会が行なわれ、そこで結果が報告され、市の対応について報告されるはずである。現状から言うとそれでは短すぎだろうと思われる。しかし、質疑の中で、田中市長が11月段階ですでに受け入れを表明した事も暴露され、形ばかりの民主的な手続きは地に落ちた形である。
*パブコメというのは間違いだった、単に責任のない「意見を聞く」という形らしい。
リンクの一番下に意見書の書式が添付されているのに注意。
https://www.city.iruma.saitama.jp/kakusyukeikaku/15673/015674.html
パブリックコメントについての入間市の手続き説明。
https://www.city.iruma.saitama.jp/dbps_data/_material_/localhost/100kikaku/200kouhou/iruma_public_comment.pdf
(ここの部分は6月3日追加)
「災害対策」という言葉は、3.11以降、なかなか反論しにくい響きを持っている。しかし、本気で災害対策をやるのであれば、現在の入間基地をそのように改変すればすむ事である。
「自然の保全が一番の災害対策]とある人が言っていたが、まさにそのとおりと思いませんか。
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