代表が言う事にゃ その2
先週の金曜日、11月28日に外国人特派員協会で森下丈二コミッショナーが新計画を発表。
実に精力的な今日この頃。
FPCJ Briefing on Proposed Plan for New Scientific Whale Research Program
in the Antarctic Ocean
http://www.youtube.com/watch?v=KlkOzJyzOaQ
海外メディアはこの会見をおもしろがったのか、開いた口が塞がらなかったのか分からないが、「捕鯨反対は環境帝国主義」とか「鯨肉禁止は着物禁止と同じ」と言ったタイトルで会見を掲載している。
http://www.japantimes.co.jp/news/2014/11/27/national/opposing-japans-whaling-program-eco-imperialism-official-says/#.VHvMfW-zf8F
(英語版。これにはなかなか真っ当なコメントがついている)
http://newsphere.jp/national/20141128-4/
(日本語で海外紙の紹介)
彼は最初に(これまでも展開してきた事だが)、捕鯨についての誤解をいくつかあげ、例えば、捕鯨は全面的に禁止されているとか、クジラを殺すのは悪いことだとか言うのは間違いだとし。その例としてICJ判決と商業捕鯨モラトリアムについての項目10eを上げた。
彼の言うのには、ICJは国際捕鯨取締条約の捕鯨産業の発展と言う目的を変えていない、また、致死的調査の必要性を認め、オーストラリアとニュージーランドの言うところの時代にとともに捕鯨条約の内容も保全に変わっているので、非致死的調査にすべきというのは言い過ぎだとしたというのを強調。
(これについては、ICJが決める事ではない。本来であれば、国際捕鯨取締条約の改正を行なうところだが、残念ながらそこまで議論が至っていないのが現状)
また、IWCでも展開した10e。つまり商業捕鯨モラトリアムの文章では、捕獲枠がゼロだというだけで、最善の科学的な結果をもってゼロから然るべき捕獲枠の設定が出来るのだということ、1990年に見直しを検討するはずだった(というのをやっていないというニュアンス)。持続的なクジラの利用は文中どこでも禁止されていない。
(だけど、IWCでは今のところモラトリアムの解除は採択されていないのが現実。もちろん1990年にはまだ最善の科学的な勧告が出せる状態にいたっていない。ミンククジラの推定個体数だって、3年ほど前にやっと合意されたのだ)
という事から、南極海での新たな調査は必要なんですよ、という背景説明を終わり、NEWREP-Aの説明に。今回調査の目的ではミンククジラの捕獲枠の算出(RMPに従って)と南極海の生態系の動態のための調査をICJの判決に沿って計画した、という。そして、致死的調査については、捕獲枠の算出に不可欠な年齢査定のために耳こう栓を採取する事が不可欠と。DNAによる調査でも可能になってきているというが、若いのか年寄りかは判定できても、若いといっても32歳なのか33歳なのかは分からないのです、と。致死的調査と非致死的調査の結果の比較もするということだ。
船舶は今のところこれまでのものを使うつもりだが、予算次第である(しかし、会場質問に対して、まだ計画案だから、予算は分からない、と逃げた。これまでの調査でいくらかかったの概算できているはずだし、今回これはすべて税金の可能性が大。議員の大盤振る舞いで造船もあり?)
彼の発言で問題なのは、反捕鯨=感情的で科学的な議論をしていないような見せかけをする事で(科学議論の部分はいつでも省略)、日本の主張(クジラを特別視しないで水産資源の持続的な利用の一環に捉える科学的な考え方)が正論だと思わせるような言い方だ。
こうしたやり方をした末に出されたのがICJ判決だという事をすっかり忘れているようだ。
また、Q&Aで出た鯨肉あまりについて、嬉しそうに’もう在庫はなくなった、これからは品薄になって値段も上がるかも’、と言っていたようですが、実際になくなったのは「在庫調整」がうまくいった結果であって、消費量は増えていない。保冷倉庫にはアイスランド産鯨肉がたっぷり残っているはずだし、ロフトソンさんは今年もがんばってかなりのナガスクジラの捕獲をしたようなので、それもそのうちやってくるはず。
突っ込みどころ満載であったのに、質問に対して長々とあまり的を得ていない答えがあって、的確な質問がでなかったのは残念だった。
IWCで森下氏が予言したように、’政治的なニーズ’が森下氏をあちこち馬車馬のように走らせ、恥の上塗りを更新しているみたいに思える。どうせ国民の声など聞く気のない政府の元で、あらがうだけ無駄なのか。
そういえば、どうなる選挙結果?
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