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2014年10月 7日 (火)

IWC65inPortoros 三日目午前

<加盟国以外による捕鯨>
 3日目の最初の議題は加盟国以外による捕鯨。カナダ(イヌイットによるホッキョククジラの捕獲)とインドネシア(マッコウクジラ)が条約に加盟しないで捕鯨をしている。カナダからは科学委員会に捕獲に関する報告があったが、インドネシアからはなかったという報告。今後とも両国にデータ提供を求めていく。

<他の機関との連携>
 次に国連の他の機関との連携が議題に上がる。IWCにとっては鯨類に関する科学的な役割と同時に政策にも関連している。これまでもIWCはCITES、CMS、 IMOなどとの協力関係を保っている。
ウルグアイ:昨年締結された水俣条約にちなみ、その覚書に従い、鯨類の水銀汚染の調査、科学的な解明、一般への啓発などが重要。水俣条約との協力をすべき。
https://archive.iwc.int/pages/view.php?ref=3593
これは、前々回のIWCの環境と健康の決議(鯨類に蓄積する水銀による鯨類と人への影響を懸念し、影響軽減を図る)に呼応したかたち。
 
 (ウルグアイと言えば、WTOの生みの親の「ウルグアイラウンド」で知られるが、2012年ブラジル  で開催されたリオ+20における「世界一貧乏な大統領」スピーチで、逆の意味で脚光をあびること
  に。
  https://www.youtube.com/watch?v=ehk_4tYddI8
  ムヒカという78歳の大統領、質素な農園に暮らしおんぼろワーゲンを運転し、所得の何と90%を
  貧困撲滅や零細企業の支援などの運動にカンパし続けているという。
  他にも、ボリビアが2010年に制定した「母なる大地の権利法」など、活発な動きがある中南米諸
  国。http://cade.cocolog-nifty.com/ao/2010/12/post-ad79.html
  先住民の権利と自然の権利が結びついたラテンの国々の最近の動きを軽視してはいけません)

イタリア:海洋における脅威に対応するため国際機関との協力は必須。ACCOBAM,ASCOBAN,RIMOなど。
コスタリカ:生物多様性条約との連携を求める。特に生態学的、生物学的重要海域(EBSA)に関して。

<RMP関連>
 イタリアが商業捕鯨のモラトリアムを支持するとし、条約の規定を留保したアイスランドの捕鯨に懸念を示す。同国内のホェールウォッチング産業の発展も阻害しているという報告もある。アルゼンチンがこれに加えて、鯨肉の国際取引について言及。枠の設定を再考すべきではないかと発言。イギリスが捕獲頭数が毎年増えていると発言、管理保全を損なう行為であり、1986年合意に基づき、アイスランドとノルウェーは留保を取り下げるべき。

 アイスランドがこの件は別に目新しい事ではないとし、持続的利用の原則に従い、資源豊富なナガスとミンクに限り、国際的行動規範に従っていると反論。アイスランドはモラトリアムが科学的根拠内として脱退し、2002年に留保をつけて再加盟した。同国水産物の40%は輸出して経済的な基盤を作っており、持続的利用の可能な種にクジラも含まれる。ホエールウォッチングとの共存は可能であり、なぜ批判されなければならないか理解できない。憎しみに基づくものではないのか。
 日本もこれに唱和し、10e(モラトリアム)に商業捕鯨を禁止する文言はない、と再び10eを持ち出す。RMPは商業捕鯨の捕獲枠のために設定されており、コンセンサスで採択された。商業捕鯨反対というのは一貫性に欠けるもの。
 議論はまたしても平行線である。

<特別許可>
 日本が国際司法裁判所の判決に関連して短いパワポプレゼンテーションを用意したと発言。

 日本:この判決は当事者に対しての拘束力は持つが、IWCに対しては権限があるわけではない。判決を利用すべきでない。判決では、JARPAIIに関して捕獲を禁止したのであって、新たな計画を想定したものだ。
 国際捕鯨取締条約の序文には、鯨類資源の適切な利用と秩序ある捕鯨産業の発展がうたわれている。そして、同じく8条では致死的調査を認めている。オーストラリアとニュージーランドは致死的調査に関して過大な解釈を行っているがこれについては判決でも却下されている。(ガイドラインの)コンセンサス決議は、道徳的な義務であって、致死的調査の手法を禁ずるものでははない。
 又、鯨肉の販売が商業性を表すとは認めていない。得られた利益を調査利用する事は8条の範囲内。
 調査の設計、実施、目的達成については不十分とされたが、一方で致死的手法を含めた調査は全般的に科学であると認められている。

 オーストラリアが早速反論。判決の当事国はオーストラリアとニュージーランドだが、国際法に照らして判決を読むべき。判決ではJARPAIIが8条に照らして科学調査ではないとした。母船式の捕獲をサンクチュアリ内で実施する事は違反行為であり、特別許可調査はすべての条件を満たすべき。又、IWCがこの判決に従って判断基準を作る事は可能である。判決文を全文読んでほしい。
 ニュージーランドも呼応。確かに新たな科学のための計画は可能であるが、従来通りの計画について、あってはならないと警告を発している。過去8年間の調査捕鯨が8条の範囲を超えているという判断は、これまでの科学者や本会議の疑問に合致する。判決ではまた、2点しか査読論文がでていない。3600頭もの捕殺が必要だったのか。判決では、委員会の勧告を十分考慮すべきとある。
 メキシコも意見。JARPAIIが8条に準拠していないので発給を差し止める事というところで終わってはいけない。将来の特別許可捕獲が条約に準拠するようにここでその規則、手順を作る必要がある。
アメリカ:保全・管理の技術が向上しており、非致死的調査が行われるようになっている、致死的調査は8条の元では不必要だ。
 アルゼンチン:新しい機会が到来したと受け止めており、判決は喜ばしい。独占的な方法が二度と行われないよう、大きな変更が必要。
 モナコ:判決の61パラに注目。特別許可の捕獲、捕殺、加工が一国の裁量であってはならないとある。委員会は許可発効前に議論を行い、委員会の意志を表明するべき。

 日本が反論。誤解がある。2014/2015はJARPAIIを繰り返さない。新たな調査計画は、ICJに準拠し、その結論を反映させる。判決に従っていないわけではない。

(これまでと異なり、なぜか日本の援護発言をする国がみあたらない!)

 既存の許可についてアイスランドの計画の評価が行われたこれについての意見はない。
<JARPAIIの評価について>
一方、2月に東京で開催されたJALPAIIの評価会議について、日本が多くの有意義な示唆を得た事、保全・管理にポジティブな結果を得たと報告。メキシコが、JARPAの実施に関しての議論派終了したのかと質問。
日本はJARPAIIは終了した事、議題4.3のIWCの将来についての議論で南半球の夏の調査の実施をすると返答。チリが科学委員会で科学以外の調査の検討をする必要がないという判断で多くの科学者が参加しなかったと報告。
オーストラリアは、科学委員会報告書の68ページにあるが、科学委員会で評価する事の正当性については意見が別れたので合意が得られたわけではないと意見。3月31日判決により、JARPAIIは8条に即した科学調査ではないとされた時点で科学委員会での評価には疑義がうまれている。いくつかの締約国によって科学委員会で取り上げるべきではないという意見があったが、議長の裁定で実施された。しかし、科学調査と認めていない多くの科学者が参加しなかった議論には正当性がなく、オーストラリアとしては合意できない。
アルゼンチン、ブラジル、エクアドルがこれに賛同。

 日本は、反対する国の立場は認識しているし、報告書にもそのことが書かれているとし、科学委員会が取り扱うべきかという事は本会議の議長が指示をだした事で明確になっているとした。また、判決に関しては遡及的に取り扱うべきではない。過去のデータすべてを抹消するのか?オーストラリアは過去に使った論文も撤回するのか?と追求。
イギリスは、同じく科学委員会の特別許可の議論には参加しなかった。モナコは、オーストラリアを支持するとした上で、国際司法裁判所は国連の最高位の法的機関があり、その判決を受け入れるならその評価に時間を掛けるべきではないとした。
メキシコは、JARPAIIの評価は不適切なので記録からも抹消すべきという意見。
コスタリカ、フランス、ウルグアイが賛同。
議長は、オーストラリアが主張するJARPAII についての言及を削除するという案、メキシコのすべてのJARPAIIレポートに関して削除するという案がでているが、この件については日本と交渉してほしいと提案。(オープンのままに)

<既存の許可レビュー>
日本がJARPNII(北西太平洋第二期鯨類捕獲調査)についての包括的なレビューが2016年に行われるし、資源の保存と管理に貢献するものと評価会議を楽しみにしていると発言。

<日本の行動表明>
 3月31日のICJ判決により、JARPAIIは終了したが、判決の236項に鑑みて将来的な計画を期待されていると考えている。4月18日の農水大臣のステートメントにあるように、関係各省の協力のもと、南極及び北西太平洋における調査計画を科学委員会提出期限の11月までに作成予定。国際的にオープンで透明なプロセスを用い、国内外の科学者の参加をもって計画を検討し、関連諸国との連携を行う。実施計画は農水省のウェブに公開を予定している。調査計画は、ANNEXPに基づいたもので作業部会による作成が行われ、1月か2月に専門家のパネルによる報告が行われ、5月後半の科学委員会にかけられる、そして科学委員会終了14日後(6月半ば)に一般公開される。新たな計画はICJ判決で求められているものを作成する予定でオープンマインドで改善の意見を受け入れるつもりである。

<NZ決議案続き>
議長:手続き規則上、ANNEXPに変更の可能性(科学委員会へのガイドライン提示)があるので議題を開いたままにしておく。
午前中の議事は終了。

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