鯨類捕獲調査改革推進集中プロジェクト(KKP)
鯨類捕獲調査改革推進プロジェクトは、もともと漁協などの団体が、省エネ、省コストなどの改革を自主的に行い、利益を上げるための経営改革を支援する政府の資金援助(いわゆる「もうかる漁業」)として作られたものにとってつけたものだ。
2012年、国会で東日本大震災への復興予算の不適切な支出を追求され、「本予算内でやります」という回答をしてしまった手前、借金付けの調査捕鯨を継続するため水産庁がひねり出した特効薬だ。これを受ければ、通常3年間は赤字の9割が補助される仕組みだ。
鯨研と共同船舶が5年間の計画を提出、昨年(と多分1昨年)、赤字分のの9割にあたる45億円が支払われたそうだ。(この資金を実際に必要とする漁業の経営体はどうみているのだろうか?)
このプロジェクト、2012年から始まったので、普通なら3年後の今年で終了するはずだった。ところが、ある水産紙によると、2017年まで延長されることになったという。
(訂正:今入った他の筋によると、延長は来年度の1年間、すなわち2015/2016。紛らわしい)
なんで?
水産庁によると、この事業は「通常は1事業年を1年」としたものだが、様々な事情によって、水産庁長官との相談で変更できるらしい。この場合、1事業年を1年半とし、そのため事業の延長が行われることになったのだ。
KKPの経営の改善=いわゆる鯨肉の売り上げ増というのはこのところの状況を見てもありそうにない。事実、調査捕鯨による年間の肉の消費量は一人当たり13gにも満たない。
従って、これは利益を生み出す努力のためのプロジェクトではなく、赤字の補填のためのプロジェクトだ。
ICJ判決により、今期は南極海での捕獲はなしになったが、来年度には再び調査捕鯨をする事が国会決議で決まっている。しかし、これまでの頭数は(判決によるものではなく)もともと必要がないと見ていい。鯨肉の売り上げによって経費をまかなうという重荷から解放されたので、非致死的調査も入れて科学委員会に所属する科学者らの意見も聞きながら、計画を立てるということだ。
が、致死的調査はなくなるわけではない。というか、致死的調査がやりたいのだ。致死的調査を続けるというのが、商業捕鯨を再開させるための方法だと日本は主張しているのだが、その嘘くささを本当はみんなが知っている。
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