IWC65inPortoros その1(概要)
生物多様性の認知度−聞いた事もない52.4%(内閣府調査より)
9月15日から18日までスロベニアのポルトロス(ポルトロシュ/ポルトロジェ?)で開催されたIWC国際捕鯨委員会に参加した。
初めての隔年会議の開催で、国際司法裁判所(ICJ)の3月31日の判決による日本の調査捕鯨の停止を受けてか、近頃に珍しく、国内メディアの参加も多かった会議だった。
<今回のトピック>
・議長がセントルシア代表、ジェニーン・コンプトンーアントワンさんに。会議の効率化をめざす。
・2007年からいわゆるIWCの将来のため、立場は変わらないのに、表面的には仲良しのふりをするというまどろっこしいやり方を続けてきた事がつらくなったか、溝の埋まらない意見についてはさっさと採決をするという効率的なやり方がとられた。
(締約国の提出した付表修正案及び決議案http://iwc.int/iwc65docs)
付表修正(4分の3)採択1(グリーンランドの先住民生存捕鯨)不採択2(南大西洋サンクチュアリ/日本の沿岸小型捕鯨)
決議(過半数)採択3 継続2
(ちなみに水産庁報告ではこの中のモナコ提案「小型鯨類の管理−37vs15で採択」とチリ提案「市民参加と透明性−コンセンサスで採択」 及び「科学委員会の役割−継続討議」についての決議案をスルー)
・科学委員会の報告が、ダイジェスト化。
*確かにこれまでいちいち報告書に書かれた内容を読み上げるため、長い時間が必要だった。が、しかし、締約国が報告書のすべてを読みこなしていなければ(または科学委員会での議論に参加していなければ)、疑問点や内容確認はしにくい。案の定、これまでのようには逐一の質問はでないまま終了。
(北西太平洋のコモンミンクのRMP評価が2013年に終了したという報告。しかしそれに沿ったとして日本が提案した沿岸捕獲枠17頭が'なんちゃってRMP' だったというのは、オーストラリア代表による丁寧なプロセス説明がなければ理解できなかったろう。詳細は後述)
・国内報道で‘引き延ばし’のためとされたニュージーランド提案は、ICJの厳しい判決をきちんと条約に反映させようというものである。
これまで、1国裁量で実施してきた調査捕鯨に(ICJ判決で)待ったがかかった以上、直接関係する条約の中で検討するのは当然のプロセスだ。このあたりをなぜ国内メディアが理解しようとしないのかが気にかかる。
友人が教えてくれたところでは、さる国営放送はこのニュージーランド提案を同国政府による‘陰謀‘とか騒ぎ立てたそうだが、言いっぱなしの掲示板さらながらのトンでも発言がでてくる下品な公共放送は恥以外の何者でもない。
あえて言うが、NZこそ2010年の妥協案の立役者であり、この提案そのものも繰り返しになるが引き延ばすのが目的というより、この機会に管理プロセスをきちんとしようと言うものだ。当然ながら、反捕鯨の側からはサンクチュアリ内での調査捕鯨を制度化するつもりか、という懸念が強く、何度も調整を重ねた上で採決をとった。
・捕鯨協会の時代遅れプロパガンダと呼応して出されたギニア政府らの「クジラを食べて飢餓を克服しよう」提案もまた謎だ。飢餓に苦しむ人たちがわざわざ捕鯨船を造船してクジラを捕る?それとも日本で余った鯨肉を飢餓対策に使う?(とても足りませんよ!それが主要課題のFAOでの解決が難しいからといって、クジラ利用で簡単に解決するのか?)
それよりも小規模沿岸漁業を再生させる、あるいは小規模のウォッチングを支援する方が手っ取り早いし、効果的だと思う。ちなみに、ミンククジラはアフリカ沿岸を繁殖域にしているが、鯨研の方は「繁殖期には餌をほとんど食べません」、ときっぱりとおっしゃっていたので、クジラがアフリカ沿岸の漁業資源を食い荒らすとも思えず。
(そういえば、エクアドルの零細沿岸漁業者がホエールウォッチングによって貧困から脱却できたというプレゼンテーションだけ、どうして日本語の同通がなかったんだろう?)
・アフリカ諸国の友人たちが、日本支持のアフリカ4カ国に対して、日本支持をしないようにと3千5百筆の署名活動。
・中国不在。賢い選択?
・次期副議長に森下丈二氏
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