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2014年9月30日 (火)

脅迫は犯罪行為ではないのですか?

http://net.keizaikai.co.jp/archives/12444
[霞が関番記者レポート]
経済界:捕鯨文化維持に向け自民党の捕鯨議連が鯨肉料理提供を推奨--農林水産省

 「鯨を食べる文化がすたれている。自民党(本部)にも食堂があるの
 だから、ここで鯨肉の料理を出せるようにして、鯨のPRをしろ」と求めたのだ。

 驚いたのは会の終了直後、すぐさま党本部の食堂のコックを呼び出し、「すぐ
 にでも鯨料理を出してほしい。出せないようなら業者を替える」とまで迫った。
 (中略)
 さらに、出席していた外務省の斎木尚子経済局長を呼び止め、「まずは外務省
 の食堂で鯨肉を提供してくれ」と注文をつけた。急な注文に斎木経済局長も
 「業者に相談してみます……」と苦笑いするのが精いっぱいだった。」

これって、「推奨」レベルではありませんよね?
権力者がこのような発言をするというのは明らかに脅迫行為です。

誰も止めないのだろうか?

2014年9月29日 (月)

記者会見をしました

 IWC会議の最終日、会議終了の後、ロビーでグリーンピース・ジャパンと国際動物福祉基金(IFAW)日本事務所とともに、日本の記者さん向けに日本の活動家として記者会見をした。全体の流れの紹介(GP)、日本算出RMPの問題点や小型鯨類保全の進行(IFAW)の説明の後に、小型沿岸捕鯨提案を日本が本気で出したわけではないという説明と、沿岸捕鯨再開の真の障壁は調査捕鯨であるという説明をした。
 大本営発表だけではなく、記者さんたちが私たちの意見にも耳を傾けくれたという点では下関(あのときは記者さんの数が違った!)以来のことではないだろうか。まあ本流はそう簡単に変わらないにしても、結構問題点が指摘された事に、少し安堵を覚えている。

 参加した朝日、読売、共同(国内+海外特派員)、時事の記者さんの他に、一人、ケーブルテレビのパシリかな?と思われる若者がうろうろしていた。
 その有様はまるで
「なんか、集まってる。面白そうだな、行ってみよう」
「なんだかよくわからないな。あ、それにおしっこしたくなっちゃった!」
「でも聞いてみたいな」
「あああ、でもだめだ。おしっこもれちゃう!」
という感じの小学生を連想させられた。

 そのときは(近頃の若者は仕方ないわね)、と思ったのだったが、なんと!この若者がさる国営放送のレポーターだったのだ!
おしっこしにいく代わりに、少しでも集中して話を聞くことができれば、あんなわけ分からないレポートにはならなかったのではないか。
それとも、本筋にはずれないよう、あらかじめ無駄な議論に耳を塞ぐ「賢い」若者だったのだろうか?

PortorosIWC 第1日目

 9月15日、第65回IWC総会は、スロベニアの外務大臣、環境副大臣の挨拶で開始された。国土の60%を森林が占めるという緑豊かな国の、わずかにアドリア海に開いた保養地、ポルトロスの海に面したホテルでの会議で、正面のIWCの垂れ幕を上げると、そのまま海が眺められる。

第65回本会議の暫定概要は以下:
http://iwc.int/private/downloads/192hiqnljnoksok0oswsks4oc/IWC65%20Summary%20of%20Outcomes.pdf

<科学委員会のレポート概要>
 事務局による投票権の説明、議題の採択のあと、早速、北門利秀議長による科学委員会報告書の概要説明が開始された。2013年に北西太平洋のミンククジラの資源評価が修了したという報告があった。
(科学委員会報告書参照 https://archive.iwc.int/pages/view.php?ref=3436)

<先住民生存捕鯨>
 前回パナマにおいて、グリーンランド先住民の新捕獲枠が、ザトウクジラの捕獲枠増に反発して採択されなかった。閉会中、デンマーク政府やグリーンランド自治政府からの働きかけなどがあり、EUを中心に協議が行われて来た。又、スイス代表が議長を務める小作業部会を経て、デンマーク政府提出の附表修正案とEU諸国の共同提案による決議案(先住民生存捕鯨の尊重とその管理の考え方の明確化)がパッケージとして出され、コンセンサスで承認してほしいという要求がEUを代表してイタリアから提出された。
 これに対して、附表修正(4分の3)と決議(過半数)では票決のあり方が異なるという異議が出され、議論の末それぞれが採決に付されたが、いずれも採択された。

 *グリーンランドのザトウクジラの中には、カリブ諸国から移動するものがある事、ホエールウォッチング資源として重要だとするラテンアメリカ諸国の意見があった。

 *先住民生存捕鯨自体に反対する国はないというのに、日本の森下代表はこれを評して「スーツやTシャツがあれば着物を着なくていいというような議論だ」と、久々の的外れコメント(お帰りなさい、森下さん!)。

 *NGOとしてWDCは商業的な性格を持つグリーンランドの先住民生存捕鯨のあり方に疑問を示した。一方で、アラスカ捕鯨協会からはIWCの規制により自由に捕獲できない生存捕鯨の問題を陳述。

 イギリスの環境大臣が会議に出席しており、サンクチュアリの重要性について、海域の保護、研究/調査の重要性とウォッチングのメリットから支持を表明。また、最近とみに問題となっている海洋投棄物や船との衝突、ら網など、人為的なクジラへの脅威に関しての保全委員会の重要性を訴えた。

(ちなみに、日本政府ー水産庁はconservationを「保存」と訳している。そして、「保存ばかりで利用が示されないのはバランスを欠く」、などという主張をする。しかし、conservationには、自然環境分野でいうと持続的な利用が含まれる。この辺りの考え方の違い−あるいは意図的な方向付け−が混乱を招いているように思える。同時通訳で「保存」と訳されている部分をあえて「保全」に置きかえてみよう)

<南大西洋サンクチュアリ提案>
ICRW3章の附表修正としてブラジル、アルゼンチン、ウルグアイがコンセンサスを求めて提案。2012年国連での海洋生態系の保全と公海の保全・管理など海洋保全に向けた昨今の議論の深化や海洋保護区設置の推進などを背景に準備を進め、アフリカ沿岸諸国の同意と環境を整えて13年間の念願を果たそうとした。
南大西洋サンクチュアリに関するアフリカ諸国との合意は、以下の宣言に現れている。
 *モンテビデオ宣言
https://archive.iwc.int/pages/view.php?ref=3572

 しかし、コートジボワールは早速そんなこと自分は知らないと突っぱねる。’科学的な’日本政府は、内容説明なしで、科学的根拠のないサンクチュアリに反対(科学的保全と管理とは何か、という議論が必要かもしれない。ちなみに科学委員会が承認していないのは、意見の相違が存在するからだと思う)
 また、いくつかの国は捕鯨モラトリアムを持ち出し、保護が重複すると反対。提案者は合意形成に務めるとし、議題は開かれている。

<日本の小型沿岸捕鯨>
 今回提案は、北西太平洋のミンククジラについてのRMP評価が修了したことから、RMPの実施検証に沿ったとされる17頭という数字を提示し(これまで持続的な数字として出していた100頭や200頭はどこへ?)、モラトリアムの解除を要求しない(修正1.28 商業捕鯨をモラトリアム解除なしに行なう)、鯨肉は地域消費(=日本国内のみ)、従事者は地域住民だけでDNAの解析と国内監視員配置、国際的なオボザーバーの参加のもとに行うというなどという説明のついた提案だ。
 懸念されているJ系群への影響も考慮した数である、というが、もちろん、100~150頭にも上る混獲クジラの回避措置には触れず、また沿岸の調査捕鯨はRMPの範囲外である。

 森下代表の発言は、条約の10e (モラトリアム)を検証すれば、そこで語られているのは商業捕鯨の禁止ではなく、捕獲枠がゼロだということ、商業捕鯨が悪だというような誤解は失くしてもらいたい、という主張を行った。

 いつも通りの攻防が始まる。日本は過去5000年から9000年前(!)から伝統的に捕鯨に従事して来た(ロシア)、植民地主義、帝国主義はやめよ(アンティグア・バーブーダ)、地域の捕鯨従事者はすでに沿岸調査捕鯨の恩恵を受けているのでは(チリ)、南大洋捕鯨のフェーズアウトなど包括的提案であれば受け入れる(要するに南極海での調査捕鯨を再考せよ、ということーNZ)などなど。

 そこで、オーストラリア代表が「RMPの枠の算出は終わっていない」と発言。算出には8つのステップを踏む必要があり、まだその3段階目でしかない。実際の適用は今後の作業計画に従い、来年科学委員会で検討される予定だという。
(詳しくは科学委員会の報告12ページ参照)
 それに対して日本代表森下丈二氏は、再びICRWの10eを持ち出し、条約は商業捕鯨を否定していないと主張。そして、オーストラリアの発言に対しては、もし8つのステップを踏んだなら(踏んでなかったのね!)、オーストラリアは商業捕鯨を認めるのか?と喰ってかかった。
 つまり日本は、この枠の提出を本気で行ったわけではなく、決議案が否定される事を前提に、見せかけの謙虚さをもって‘反捕鯨国に翻弄されるかわいそうな沿岸捕鯨‘を演出したのだという事を自ら暴露したわけだ。
 第1日目はこうして過剰演出の果てに終了。

*今回の通訳について。
 IWC総会の言語は公式には英語、フランス語、スペイン語であり、同時通訳が入る。日本政府は独自に日本語の同通を付けており、その恩恵を受けている。それが、ここ数年「水産庁の予算削減」(関係者の話)により、質がかなり落ちてきた。以前の通訳の方たちは神業か?と思うほど、発言内容をきちんとすべて訳して会議に貢献してきた。しかし、今回は最悪の部類に入るのではないかと思う。まず、何を話しているのか理解がないまま訳しているので、私のようなものにもかなり誤訳がある事が分かる。又、通訳は3人だが、そのうちの一人は、分からなくなると途中から黙り込んで、発言者の意見を最後までサボタージュする。まあ、スペイン語やフランス語の英訳を通しての日本語訳は結構きついというのは分かる。それでも時にふと、クライアントさま向けに都合の悪いところはさぼっても良いと思っているのではないか、と下衆の勘ぐりをしてしまうのだった。

 

2014年9月27日 (土)

ちょっと興味深い今回の反応

 もちろん、すべての報道内容が変わったというわけではないが、ちょっと
面白いメディアの動きを一部抜粋して紹介しよう。特に最後のコメントにご注目。
私たちは、いかようにも操作可能だと考えられているようだ。

******************************************

○朝日『調査捕鯨強行の損失は大きい」

鯨肉の消費は低迷しており、「調査捕鯨で得た鯨肉の販売収入で調査する」と
いう仕組みは崩れている。年間数十億円の税金を投入してまで、わが国が国際的
に孤立しかねない捕鯨再開を強行することが、果たして得策だろうか。
(中略)
政策転換は、早く、大胆な方がよい。

○日経『調査捕鯨の強行を懸念する」

 南極海での日本の調査捕鯨が国際捕鯨取り締まり条約に違反するとして、国際
司法裁判所は3月末に中止を命じた。実際の捕獲枠が設定した捕獲枠を大幅に下
回ることなどを指摘し、科学調査目的とはいえないと断じた。

 今日まで、政府は各国に調査の妥当性を十分に説明してきただろうか。補助金
で赤字を補填し、調査捕鯨の事業を継続するのであれば国民への説明も要る。

 捕鯨に対する国際世論は年々厳しさを増している。日本が決議を無視して調査
捕鯨を強行すれば、国際世論は合意に反するとして反発を強め、捕鯨に対する理
解はますます得にくくなる。

○中国新聞『調査捕鯨『南極海」は必須なのか」

また、調査捕鯨の年間経費70億円の半分を税金でまかなう現実もあり、鯨肉
を売って経費に当てる仕組みが崩れている。国内に鯨肉需要がなければ、
南極海での操業再開もあり得ない。

○京都新聞「調査捕鯨 疑念を払い、柔軟な政策に」

菅義偉官房長官は、調査捕鯨は「国際法と科学的根拠に基づき、鯨類資源管理
に不可欠な情報を収集するため」とするが、日本の方針が国際社会の理解を得る
見通しはない。現実を見つめ、捕鯨政策を転換するときではないか。

 調査捕鯨を再開するには、新たな調査計画がIWC科学委員会で承認される必
要がある。政府は、10月にも国内外の科学者を集めて特別会議を東京で開き、
反捕鯨国にも受け入れ可能な新たな計画を立案したい考えだ。

 絶滅の危機にない鯨種は資源として有効に利用すべきだという日本の主張は一
見、合理的だ。しかし、クジラの捕獲自体を是としない国がIWC加盟国の多数
を占める中、経済大国の日本がなぜクジラを捕る必要があるのか、説得力のある
根拠を示せていない。

○水経新聞:IWC総会の評価と展望 鈴木俊一・自民党捕鯨議連会長に聞く

 今回の総会の報道で、ニュージー案が可決したことでのメディアの報道ぶり
をみると、日本の調査政策を見直さなければならないのではないかという論調
が立った。

 今まではこのような論調はなかったことなので今後とも、間違った方向に
国が向かわないように、国民向けの説明に十分注意しなければならない。[....]

2014年9月25日 (木)

IWC65inPortoros その1(概要)

生物多様性の認知度−聞いた事もない52.4%(内閣府調査より)

 9月15日から18日までスロベニアのポルトロス(ポルトロシュ/ポルトロジェ?)で開催されたIWC国際捕鯨委員会に参加した。
 初めての隔年会議の開催で、国際司法裁判所(ICJ)の3月31日の判決による日本の調査捕鯨の停止を受けてか、近頃に珍しく、国内メディアの参加も多かった会議だった。

<今回のトピック>
・議長がセントルシア代表、ジェニーン・コンプトンーアントワンさんに。会議の効率化をめざす。

・2007年からいわゆるIWCの将来のため、立場は変わらないのに、表面的には仲良しのふりをするというまどろっこしいやり方を続けてきた事がつらくなったか、溝の埋まらない意見についてはさっさと採決をするという効率的なやり方がとられた。
(締約国の提出した付表修正案及び決議案http://iwc.int/iwc65docs)

付表修正(4分の3)採択1(グリーンランドの先住民生存捕鯨)不採択2(南大西洋サンクチュアリ/日本の沿岸小型捕鯨)
決議(過半数)採択3 継続2
(ちなみに水産庁報告ではこの中のモナコ提案「小型鯨類の管理−37vs15で採択」とチリ提案「市民参加と透明性−コンセンサスで採択」 及び「科学委員会の役割−継続討議」についての決議案をスルー)

・科学委員会の報告が、ダイジェスト化。
*確かにこれまでいちいち報告書に書かれた内容を読み上げるため、長い時間が必要だった。が、しかし、締約国が報告書のすべてを読みこなしていなければ(または科学委員会での議論に参加していなければ)、疑問点や内容確認はしにくい。案の定、これまでのようには逐一の質問はでないまま終了。
(北西太平洋のコモンミンクのRMP評価が2013年に終了したという報告。しかしそれに沿ったとして日本が提案した沿岸捕獲枠17頭が'なんちゃってRMP' だったというのは、オーストラリア代表による丁寧なプロセス説明がなければ理解できなかったろう。詳細は後述)

・国内報道で‘引き延ばし’のためとされたニュージーランド提案は、ICJの厳しい判決をきちんと条約に反映させようというものである。
 これまで、1国裁量で実施してきた調査捕鯨に(ICJ判決で)待ったがかかった以上、直接関係する条約の中で検討するのは当然のプロセスだ。このあたりをなぜ国内メディアが理解しようとしないのかが気にかかる。
 友人が教えてくれたところでは、さる国営放送はこのニュージーランド提案を同国政府による‘陰謀‘とか騒ぎ立てたそうだが、言いっぱなしの掲示板さらながらのトンでも発言がでてくる下品な公共放送は恥以外の何者でもない。
 あえて言うが、NZこそ2010年の妥協案の立役者であり、この提案そのものも繰り返しになるが引き延ばすのが目的というより、この機会に管理プロセスをきちんとしようと言うものだ。当然ながら、反捕鯨の側からはサンクチュアリ内での調査捕鯨を制度化するつもりか、という懸念が強く、何度も調整を重ねた上で採決をとった。

・捕鯨協会の時代遅れプロパガンダと呼応して出されたギニア政府らの「クジラを食べて飢餓を克服しよう」提案もまた謎だ。飢餓に苦しむ人たちがわざわざ捕鯨船を造船してクジラを捕る?それとも日本で余った鯨肉を飢餓対策に使う?(とても足りませんよ!それが主要課題のFAOでの解決が難しいからといって、クジラ利用で簡単に解決するのか?)
 それよりも小規模沿岸漁業を再生させる、あるいは小規模のウォッチングを支援する方が手っ取り早いし、効果的だと思う。ちなみに、ミンククジラはアフリカ沿岸を繁殖域にしているが、鯨研の方は「繁殖期には餌をほとんど食べません」、ときっぱりとおっしゃっていたので、クジラがアフリカ沿岸の漁業資源を食い荒らすとも思えず。
(そういえば、エクアドルの零細沿岸漁業者がホエールウォッチングによって貧困から脱却できたというプレゼンテーションだけ、どうして日本語の同通がなかったんだろう?)

・アフリカ諸国の友人たちが、日本支持のアフリカ4カ国に対して、日本支持をしないようにと3千5百筆の署名活動。

・中国不在。賢い選択?

・次期副議長に森下丈二氏

続いて日を追った報告をする。Imgp1985


2014年9月 5日 (金)

鯨類捕獲調査改革推進集中プロジェクト(KKP)

 鯨類捕獲調査改革推進プロジェクトは、もともと漁協などの団体が、省エネ、省コストなどの改革を自主的に行い、利益を上げるための経営改革を支援する政府の資金援助(いわゆる「もうかる漁業」)として作られたものにとってつけたものだ。
 2012年、国会で東日本大震災への復興予算の不適切な支出を追求され、「本予算内でやります」という回答をしてしまった手前、借金付けの調査捕鯨を継続するため水産庁がひねり出した特効薬だ。これを受ければ、通常3年間は赤字の9割が補助される仕組みだ。
 鯨研と共同船舶が5年間の計画を提出、昨年(と多分1昨年)、赤字分のの9割にあたる45億円が支払われたそうだ。(この資金を実際に必要とする漁業の経営体はどうみているのだろうか?)
 このプロジェクト、2012年から始まったので、普通なら3年後の今年で終了するはずだった。ところが、ある水産紙によると、2017年まで延長されることになったという。
(訂正:今入った他の筋によると、延長は来年度の1年間、すなわち2015/2016。紛らわしい)

 なんで?
 水産庁によると、この事業は「通常は1事業年を1年」としたものだが、様々な事情によって、水産庁長官との相談で変更できるらしい。この場合、1事業年を1年半とし、そのため事業の延長が行われることになったのだ。
 
 KKPの経営の改善=いわゆる鯨肉の売り上げ増というのはこのところの状況を見てもありそうにない。事実、調査捕鯨による年間の肉の消費量は一人当たり13gにも満たない。
従って、これは利益を生み出す努力のためのプロジェクトではなく、赤字の補填のためのプロジェクトだ。

 ICJ判決により、今期は南極海での捕獲はなしになったが、来年度には再び調査捕鯨をする事が国会決議で決まっている。しかし、これまでの頭数は(判決によるものではなく)もともと必要がないと見ていい。鯨肉の売り上げによって経費をまかなうという重荷から解放されたので、非致死的調査も入れて科学委員会に所属する科学者らの意見も聞きながら、計画を立てるということだ。

 が、致死的調査はなくなるわけではない。というか、致死的調査がやりたいのだ。致死的調査を続けるというのが、商業捕鯨を再開させるための方法だと日本は主張しているのだが、その嘘くささを本当はみんなが知っている。

2014年9月 4日 (木)

日本提案(小型沿岸捕鯨)

今回の本会議に提案する日本の沿岸捕鯨。

2013年に終了したミンククジラのRMP(改定管理方式)に従って、捕獲頭数はミンククジラ17頭。従事者はこれまで小型捕鯨の実施してきた沿岸の捕鯨基地4カ所(網走、鮎川、和田浦、太地)で、肉の消費は地域のみ(日本国内全域、輸出はなし)。国内の監視員と国際的なオブザーバー参加。捕獲個体は遺伝子解析を実施。

ただ、実際に太地や和田浦でのミンククジラの捕獲実績はなく、するとすれば、鮎川沖と釧路と思われる(網走は、日本海個体群の捕獲の可能性あり)。
ここでは、春と秋に同じ業者の実施する沿岸調査捕鯨が行われている(昨日の水産庁報告ではこれから始まる沿岸調査捕鯨での捕獲枠はミンククジラ51頭)。今回の沿岸捕鯨再開提案では、調査捕鯨はやらないとも言っておらず、どう区別するのだろう?

また、問題なのは、毎年日本沿岸で定置網混獲されている100~150頭のクジラ(大半はミンク)。
これをどのように、管理に組み込むのか、提案の中には具体的な指摘がない。

2014年9月 3日 (水)

新しい提案

 9月2日、外務省と水産庁が南極での調査捕鯨の新計画を発表したようだ。国際司法裁判所の判決により、今期(2014/2015)は目視調査のみだが、来期(2015/2016)の調査は、ミンククジラのみの捕獲で、頭数も数年かけて厳密に再計算するという事で、枠の再計算に必要な捕獲頭数(?)を11月に発表する予定だと言う。まあ、これまでの調査は肉の販売で継続するという前提だったが、完全に崩れてしまった。それではやめればいいものを、議員さんの熱い思いで継続。つまり、国費を使っての調査捕鯨となるので、数を増やす必要もないわけだ。
 ただ、以前から私たちが言ってきたように、南極海で商業捕鯨をする企業など既にないのに、何のため、誰のための調査か?南極に固執すれば商業捕鯨が再開するのか?というかなり初歩的な疑問には答えがない。

 そんなおり、捕鯨協会が新たな調査捕鯨礼賛キャンペーン映像を作成し、捕鯨議連に鑑賞させたという。これまでのキャンペーンの総集編という感じで、まず食糧安保(クジラ資源があれば将来的な飢餓を解決できるらしい→未だに商業捕鯨時代の乱獲の影響から完全に回復していないのに、以前日本が主張したように、ゴキブリのように増えると考えてか???)、クジラ食害説(2009年、日本代表代理が「日本は一度もそんなことを言っていない。影響が’あるかもしれない’から調査をするのだ」と否定した’クジラが貴重なお魚を食べちゃう!’説を復活させている。以前と違うのは、クジラが大型魚と競合して小魚を食べるので大型魚に影響するようなイメージを作り、もっともらしく再構成していたところ。だいたい、どこのクジラを間引いたら、漁獲高が増えるのだろうか?まさか、南極でクジラを間引けば、日本の沿岸のお魚が増えるとか思っていませんよね?

 毎日の記事にあったように、まるで南極で日本がクジラを捕らなければ、科学が解明できない、見たいなへんてこな意識にこうした食糧安保やクジラ食害が加われば、またしても科学音痴と笑われる事間違いなしだと思うのですが。

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