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2014年4月 4日 (金)

ICJ判決に、誰が責任があるか

 今回裁判の結果について、政府側の代理人、鶴岡公二審議官が安倍首相から激しい叱責を受けたという。まあ、政府の代弁をしようというのだから、それなりに覚悟はあったのだろうけど、これまでの経緯を知ってきたものとしては、とばっちりみたいなものだなあ、という感が拭えない。
 それまで元々勝てるはずのない駒をそれを作った人たちから渡されて、負けたからと叱られたようなもので、叱責する方の責任はどうよ?と思うのだ。

 日本の調査捕鯨はJARPAIIをまたずとも、当初から、目的が違うのでは?という疑いの目で見られてきた。2006年に行われたIWC科学委員会のJARPAについての評価委員会でも、当初目的であるミンククジラの推定個体数(目視調査–2012年に合意)や、自然死亡率(0から無限大までの間)に関して、結果を出していない事が指摘されている。殺して行う調査ではできないとされたのだ。

 JARPAIIは、科学委員会の評価を受ける前に計画され、2004年韓国のウルサンで発表され、2005年に開始されてしまった。ミンククジラの捕獲数は倍となり、ザトウクジラとナガスクジラが各50頭、枠に追加された。

 これに先立つ2002年、IWC下関会議の開始前、私はある新聞社の編集委員から、鯨肉が売れないのは価格が高すぎるためで、それを解消するのにはクジラの数を増やさなければならない、と主張する水産庁幹部がいるという話を聞いた。一定の成果なしには政府の補助金が受けられなくなるから、受けるためにも鯨肉をちゃんと売って、もととなる資金を作る必要があるというのだ。流通量を増やし、価格を下げれば鯨肉が売れる、という過信が流れを作ったと私は思っている。
 その人はまた、直接アイスランドまで出向いて、輸入交渉もしたとされる。

 しかし、ご存知のように、鯨肉の取扱量が増えた結果は、沿岸小型捕鯨業者を圧迫し、さらに在庫の積み上げに貢献する事にしかならなかった。

 いま、その幹部は水産庁には在籍していないが、コメンテーターとしてあちこちに登場する。そして、今回の敗因として、数が多すぎた事、枠通りに捕獲できなかった事をあげ、政府のやり方を批判している。

 こうしたコメントを読み、私はこれまで聞いた事が全部夢だったのか、と疑っている。

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