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2013年12月17日 (火)

ブラックフィッシュ

 ブラックフィッシュというドミュメンタリーが海外で話題となっている。
この10月25日にCNNでも放映され、議論を巻き起こしてきた。

 ブラックフィッシュというのは猟師や先住民の人たちが使ったシャチの古い名前で、映画の中心は2010年2月にアメリカのシーワールドで起きたオスシャチのティリカムによるトレーナーの死亡事故をめぐるものだ。シーワールドはこの件でアメリカの労働安全局(OSHA)に訴えられ、飼育者のシャチへの接近の禁止や罰金として7万5千ドルの支払いを命じられた(その後更なる裁判で減額)。

 映画では、ティリカムの出自(アイスランドで1986年捕獲された)と他の2件の死亡事故に関わること(しかし、オスとしての「優秀さ」=繁殖能力ゆえ、水族館が手放したがらなかった)の他に、シーワールドや最初に入れられたカナダのシーランド・オブ・ザ・パシフィックの元トレーナーたちの証言をもとに構成されている。それぞれが、シャチを愛する故に、自分の過去を反省し、シャチの解放を願っているところがなかなか感動的だ。
 また、スピードボートや小型飛行機、アザラシ爆弾を使った1970年代のアメリカにおけるシャチ捕獲の貴重なフィルムもあり、シャチという野生動物を人工的な施設で飼育することの問題点が次々に語られ、派手さはないものの、説得力のあるものとなっている。独立フィルムを集めたサンダンス映画祭でドキュメンタリー賞を獲得、現在アカデミー賞にもノミネートされている。

 最近、この映画をもとに、面白い事件が起きている。シーワールドで来年開催されるコンサートに出場するはずだった音楽家たちが次々とキャンセルし出したのだ。その中には、カントリーの大御所、ウイリー・ネルソンとか、ハート、チープトリックなども含まれる。

http://www.dailykos.com/story/2013/12/16/1263161/-breaking-SeaWorld-just-lost-38-Special

シーワールドのシャチを使ったパフォーマンスのど派手さ、騒々しさは想像を絶するものがあるが、一方でこうした野生動物を飼育・展示することへの批判も日に日に強くなっていることは確かだ。
日本の漁業関係者が、将来のためにも、安易に供給者とならないでほしいと願っている。

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