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2013年12月 7日 (土)

情報が隠され、操作されるということ

 昨夜、与党により強行採決された秘密保護法に強く反対する。
 
 1987年に雑誌「オイコス」を出版し始めた目的の一つは、当時はまだ大手メディアが取り上げなかった市民の声を届ける場を提供することだった。地域の自然保護や環境保護団体だけでなく、女性問題、人権問題に関しても取材を行い、取り上げてきた。
 そのなかで、市民活動の努力の結果として、メディアが情報を取り上げ始めたことや、情報へのアクセス方法やネットワークの方法の変化などから、その役割が終了したと感じ、1996年に出版活動を停止したが、その中で情報が最も操作され、伝わりにくかった捕鯨問題に関してだけは、これまで発信し続けてきた。

 捕鯨の問題は、推進側の情報戦略が最も成功した例と言われる。当初取った戦略としての雇用問題が不発に終わったのち、伝統食文化を掲げて愛国心に訴えると同時に、大手新聞社編集部にシンパをつくり、旗ふりにいわゆる文化人を活用して、西欧の日本たたきというイメージを植え付けた。(国際ピーアールという広告代理店の内部文書にその顛末を見ることができる)

 クジラを食べる人もクジラそのものについても関心ある人が非常に限られていることもあって、こうした宣伝の効果は今でも生きており、いわゆる知識人やリベラルな文化人の中にもうわべだけで唱和する人たちも少なくない。また、メディアに関しては、それほど世論を喚起できる話題ではないために、大本営発表を鵜呑みにしてまとめればすむ問題でもあった。
 一方で、多少は苦労すれば、情報を拾い出しつなげて、ゆがみをいくらかでも正すという作業が出来ないわけではなかったので、できる限りそうした情報提供を心がけてきたのだ。

 いま、特定秘密保護法という希代の悪法によって、これまで拾ってきた少しばかりの情報も見つけ出すことが難しくなること、また、鯨類学入門講座における森下発言のように、都合の悪いところはすべて法を言い訳に’出さない’という選択が可能になるだろうことに愕然としている。さらに、捕鯨問題という日の当たらなかった片隅の問題だけでなく、いかなる情報も同じように操作され、ゆがめられても、そのもとの正しい情報を得る手段がなくなるということに強い懸念を覚えている。

 

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