ロス海海洋保護区設立に向けての集まり
10月4日金曜日、表参道の地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)で、FoEがサポートするAOA(Antarctic Ocean Alliance)の南極海の自然に関する写真展に合わせ、事務局のロバート・ニコル氏の南極海に海洋保護区を、という緊急セミナーが開催された。AOAは地球上に最後に残された手つかずの自然というべき南極の保全を進めようと言う国際NGOの連合組織だ。
http://antarcticocean.org/ja/
南極海における自然資源の開発を最小限に食い止めるため、周辺海域に19カ所の海洋保護区をCCAMLR(カムラー=南極海生物資源の保存に関する委員会)に提言し、現在はアメリカとニュージーランドの共同提案するロス海の海洋保護区設置を支援してきた。前回会合では、これまで難色を示してきた日本や韓国、中国などがその提案を受け入れ、前進が期待されたところを、ロシアとウクライナのあまり合理的ではない反対によって成立しなかった経緯がある。
そして、今月末、タスマニアのホバートで開催されるCCAMLRに向け、今度こそロス海を海洋保護区(とフランスなどの提案する南極東岸)に設定しようとニコル氏はあちこちの政府などを説得して回っているようだ。
CCAMLRは、南極海で活動する世界25カ国が参加している国連海洋法条約のもとにある委員会だ。南極におけるオキアミやメロなど魚類について、捕獲枠を海域ごとに策定し、過剰な捕獲を規制している。
ニコル氏の説明は、ロス海の生態系のすばらしさ、特異性を紹介し、保護区を設立することにより、生物多様性の保全と生態系のプロセスをモニタリングすることの重要性や、深海魚メロの産卵、採餌域の保護、気候変動、酸性化への避難場所としての海域を保護することの重要性だ。
しかし、今回は、緊急ということもあり、参加者の中には国内では知名度の低いCCAMLRの役割についての基礎的な知識いためか、余り積極的な意見もでず、ニコル氏のプレゼントは噛み合ない議論が続いたのは残念だった。
日本では、それほど過剰ではないにしろオキアミやメロなど、南極海での操業が行われ漁獲物が消費されている。
また、日本の調査捕鯨は、南極を6つの海区に区切ってクジラ捕獲調査を行っている。その二期調査の目的の一つに南極の複数種調査による生態系の解明があげられているが、総会ではたびたびCCAMLRがやっているんじゃないの?とか、CCAMLLRと協力しているの?という質問が出ている。南極海の保全は日本と無関係ではない。幸いなことに、今回も日本政府としては、見直し時期などを入れ込むことを条件に賛成しているようなので、世界最大級と言えるロス海の海洋保護区の設置が実現するかもしれない。
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