種の保存法、国会審議
昨日、参議院環境委員会で「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」についての審議が行われた。私たちNGOが、種の選定の科学性、透明性を求めて、新たな科学委員会の創設など抜本的な改正を求めてきたことはプレスリリースの通りである。
こうした法律改正に関しては、普通、対立するような事項ではないが、今回は環境省の消極的な改正(希少野生生物の国内流通に関する罰則強化が柱)に対して与党の方からまず修正が入ったことは大変喜ばしいことだ。そのため、これまで「無理だ」と環境省がいっていた「生物多様性」が目的に入り、科学的知見の充実も書き込まれた。これはとりもなおさず、これまでの種指定の過程が不透明で分かりにくいことについての改善ととりたい。
昨日の議論では、多くの議席を持つ民主党が、みどりの風の修正案に反対したため、抜本的な改正は通らず、3年後の見直しに委ねられることとなった。
しかし、思いがけないことに(というかこれ普通なのだろうが)海生哺乳類に関連する獲得があった。
一つは、例の環境省/水産庁の覚え書きに関して、自然環境局長が「無効だと考えている」という発言をし、重ねて質問者の水野議員(みんな)がたたみかけるように「政治の立場からはどうか?」と問いただし、斉藤政務官が「局長と同様」と答えたことだ。
(最も、現実は「漁業資源などの役割分担がある」と言っているので、そのあたりはさらに追求する必要があるだろうが)
もう一つは、付帯決議に「海洋生態系の要となる海棲哺乳類を含めた海生生物については、科学的知見に立ってその希少性評価を適切に行うこと。また、候補選定の際、現在は指定の実績のない海洋生物についても、積極的に指定の対象とすること」という1項が入ったことだ。
これについても、現実は海洋生物の希少性評価検討委員会の結論(事務局結論)によると、大型鯨類は多国間協定、小型鯨類は水産庁の資源評価、というところが踏襲されるのだろうし、水産庁予算に、新たな小型鯨類調査予算は見当たらないので、これまでのデータを解析するということなのだろうが。
これまでのように、ごく一部しか見ていない状態ではなくなったことをまずは喜びたい。
(評価の段階で、シャチのようなとんでもない数値が出てきたり、「情報不足」の種ばかりが増えないことを期待します)
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