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2013年4月 7日 (日)

海洋基本計画(原案)への意見提出

以下のような意見を提出。


新たな海洋基本計画(原案)への意見

以下の2点につき、意見を申し上げます。

<意見1>
海洋生物多様性等の海洋環境保全を全体に反映
<理由>
国連の諸機関のみならず、世界銀行なども海洋環境保全を喫緊の課題と考えて繰り返しメッセージを発しています。国内のみならず、国際的にもリーダーシップを発揮するには、今回の基本計画においてはこうした危機感の共有がいささか欠けているように思います。「海洋立国」を打ち出すうえで、ぜひご検討をお願いしたい課題です。
参考:
http://www.globalpartnershipforoceans.org/
(意見内容)
 冒頭の「海洋立国日本の目指すべき姿」(1)に掲げられた基本法の文言「海洋の生物の多様性が確保されること等の海洋環境の保全は、人類の存続の基盤である」ことは、「海洋の開発・利用は我が国の経済社会の基盤である」ことと同列に書くべきではありません。開発・利用が短期的な利益だけを目指すのではなく、将来世代を見据えた持続的なものであることを共通認識とすべく、まず「人類の存続の基盤」を全体の核に据えるべきだと思います。
○反映すべき箇所の例
特に、(海洋の開発・利用による富と繁栄)において、「富」と「繁栄」を短絡的な利益追求に終わらせないために、「海洋環境との調和」の前に「将来的にも海の恵みを受け続けるため、海洋生物多様性保全戦略に書かれている重要海域を重視しつつ」「環境影響評価を行うなど」を挿入し、海洋環境との調和が単なる枕詞に終始しないよう注意すべきだと思います。
同様に、第1部 「海洋に関する施策についての基本的な方針」すべてに、この考え方を反映させることが重要だと思います。
例えば:2「本計画において重点的に推進すべき取組」には、この考え方が希薄です。
海洋産業の振興と創出 3行目「今後」のあとに、「海洋環境保全を図りつつ海洋の開発・利用を進め」とするなど、保全を位置づけることが重要と思われます。
確かに、3「施策の方向性」(1)海洋の開発及び利用と海洋環境の保全との調和の中に「開発に際しての環境影響評価手法も併せて検討を継続・推進」という文言はありますが、すでに開発が先行している現状を考えれば、「手法の検討・推進ではなく、「環境影響評価の実施」でなければ「調和」とはいえないのではないでしょうか。
第2部の「海洋に関する施策に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策」においては、1.海洋資源の開発及び利用の促進 と 2.海洋環境の保全等 が具体的に連携していないので、別々の2つの海域があるようです。相互的につながっていることを明らかにするためにも、(1)「海洋エネルギー・鉱物資源の開発の推進」の冒頭に海洋環境の保全のための環境影響評価の推進などの文言を入れる必要があると思います。

<意見2>
海洋立国には計画策定への多様な主体の参加が必須
(意見内容)
一般の意見聴取期間が7日間というのはいささか短すぎると思います。計画立案過程における多様な主体の参加が保証されていない状態も含め、幅広い市民の参加を促すうえでは問題があるのではないでしょうか。
海洋の利用形態はますます多様化しています。一方で海洋環境保全が国際経済や社会にとって必須であることが明らかであり、その実現のためには市民社会の参加が欠かせません。
海洋に関する法律制定の遅れた日本では、まず領土と開発利用が先行している嫌いがありますが、総論にもあるように「海に守られた国」から「海を守る国」へと早急に成長しなければなりません。
 今後国際的にも評価できる政策を展開していくためには、これまでのように海洋政策研究会、参与会議など閉鎖的に行われてきた政策決定の透明性を高め、上からの情報提供という一方通行ではなく、双方向的な情報交換と意思決定が継続的に保証される制度を確保する必要があるのではないかと思います。特にこれまで参加の不足してきた環境や生物系の科学者、研究者、地域での保全活動に従事しているNGOなど、現場での知識を生かした計画策定を心がけることで、より多くの人たちがこの計画への関心を「自分ごと」として寄せることができ、総合的で実践的な計画へと前進することができると思います。
ご検討をお願いします。

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