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2012年10月24日 (水)

復興予算の使われ方ー衆院決算行政監視小委員会

 昨日行われた衆院の決算行政監視小委員会の動画(調査捕鯨関連)を見てみた。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm19186004

 佐々木農水副大臣から、鯨類捕獲調査安定化推進対策事業への予算措置について、説明が行われた。

<鯨肉の供給>
 すなわち、昨年の災害で壊滅的な打撃を受けている石巻周辺地域では、鯨肉の加工や関連作業がその原料の過半を南極海調査捕鯨による鯨肉供給に頼っている。

 議員から、石巻の加工会社の社長によると、使ってるのは周辺海域の鯨肉で、南極のシェアは数%では、という突っ込みがあり、それに対して鯨肉のシェアは南が43%、北が36%、沿岸小型が9%で、12%が輸入だという農水大臣の説明に加え、再び本川水産庁長官が2年前のデータでは南極(ミンク)が2000トン、北太平洋(北大西洋に聞こえた)が1700トン(イワシとニタリ)で小型沿岸で417トン捕っているがこれはツチクジラ。鮎川で水揚げされているのはツチクジラなので、その加工会社の人はこのツチクジラを扱っていると説明。ミンククジラは南極からの供給が不可欠だという点を強調。

 小型沿岸捕鯨の人たちが地域協議会を立ち上げて政府の補助受け、沿岸でミンククジラ対象の調査捕鯨を実施しているが、この答弁はわざとかどうかは知らないが、この業者たちが実施する沿岸調査と、彼らがこれまでも実施してきた産業としての小型捕鯨(まあ、どっちみち変わりはないか)をごっちゃにしている。
 南極での捕獲を「正当か」する新たな戦略のようにも見えるのだが、これはどこからきたのだろう?本人の発案か?それとも周囲の官僚?

<18億円の根拠>
 一方で、22年度には南極での調査捕鯨が反捕鯨団体による妨害のため、途中で切り上げざるを得なくなり、捕獲した副産物の販売量が落ち込み、その売り上げで継続してきた事業の継続が困難になった。
(鯨肉が余っているという話もあるが、という議員の疑問に、種類による、余っているのはツチクジラやイワシクジラ、ニタリクジラ)
副産物によって石巻の復興に寄与するためには、調査捕鯨を安定的に継続する(科学調査の必要性ではなく、ミンククジラを供給する)必要がある、よって、昨年度の第三次補正予算で調査費用の一部18億円を負担した。実施された事業による副産物は、石巻の復興に役立っていると考える。

 捕鯨議連の小野寺五典議員が、こうしたやり方で迷惑しているのは捕鯨に関わる人たちだと発言。漁港が壊れ、解体しても冷凍保管する倉庫もない状態で、クジラに多くの予算がつけられたと聞いて、地元の人たちは当惑している、と。

 漁港の復興(沈下)については、国費で100%かさ上げするそうです。復興予算を早急に返してもらって、ぜひともやるべし!

<今後の措置>
 この間の批判をふまえて関連産業への効果の発現に務め、また、今後は通常予算で支援を行う、という副大臣の発言に、再び議員から、それは復興予算をどさくさまぎれに入れたと暗に認めているようなものだという指摘。さらに、一般会計で要求しないとあるが、23年度捕獲数も21年度の半分なのに、一般会計では要求しないというのはなぜか、ということについては売り上げ(不足)に対する補填はしない。しかし、監視船の借り上げは必要な措置なのでその分は要求する。その分を入れて予算は11億円獲得しているということだ。

 議長が、売り上げがその年単純に落ちたのではなく、もともとの運営予算が足りないのではないか、と指摘し、システムをきちんと説明しなさい、と要求する場面もあった。議員からも、21年度も22年度も収支はマイナスで、その上で23年度の8億7千万円の債務超過が出ている。経常収支の赤字の補填ではないのか、という指摘もあった。

 それについては、企業の経営体質の改善を要求し、職員のコストカットや省エネや鯨肉の付加価値付けなどで健全化を図るという。
 これが要するに水産庁の苦肉の策の「もうかる漁業」へのご招待というわけ。万が一赤字が出ても、その9割までは政府が補填。

 また、本川長官は9月決算についてはまだ提出されていないが、マイナスにはならない(補填したのだからそうでしょう)予定だと言うことだ。
 これについても、早く出してほしいものだが、議員の皆さん、なんでこんなおかしなことになっているのか、と言う疑問はこんな答弁で氷塊したのだろうか?

 そもそもこうした事態を招いた元(というかこうした結果が必然である)である調査捕鯨について、全く疑問が出てこないのもなにやら情けない気持ちがする。

 

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