先週の土曜日(5月19日)、東京、渋谷で「海の生物多様性フォーラム」日本の海を考える〜新たな生物多様性国家戦略に向けて〜が開催された。
主催は、日本自然保護協会、日本野鳥の会、WWFジャパン。
詳細については、日本自然保護協会に掲載されているチラシで。
http://www.nacsj.or.jp/katsudo/biodic/2012/05/post-8.html
これまで、国家戦略の中では影の薄かった海洋について、いわゆる日本の自然保護御三家が取り組むという記念すべき日であり、これまで、環境省が牽引して、他の省庁は嫌々おつきあいしてきたことを変えていくための第1歩となる日だった。
参加者は、定員200名のところ、予備の机や椅子を用意する盛況で、海の生物多様性がようやくスポットライトを当てられた実感もある。
私たちに関連するところでは、第2部の回遊する種の減少、水産資源の管理を考えるというところで、最初の話者である共同通信の井田徹治氏の「ウナギの生態と事情」で、ウナギはまず野生生物であることを認識するべきという発言がうれしかった。
大体、日本のメディアの反応というのは、ウナギの値段が高騰する、とか食べられなくなるとかいうものばかり。なんで?というその元々の話をきちんと展開することは少ない。
水産庁からの発言もあり(水産庁が参加したこと自体が大きな成果!)、沿岸漁業資源で問題なのは4割、他は安定。という発表は、参加者に違和感を抱かせたことと思う。
(後で、安定しているからいいというわけではない、と付け加えておいでではあったが)
最近は雑誌などでも漁業問題はいろいろと取りざたされているし、5月15日号のwedgeでも、マルハニチロの水産部の人が問題の指摘をしている。
「獲れない、売れない、安い」深刻な事態に直面する日本の漁業」
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1880?page=1
愛知目標6の持続可能な漁業について、今後真剣に取り組む必要があると思うし、水産庁にまかせていてよいのだろうか?という懸念がある。
一方、2010年のオーシャンズデイアットナゴヤで環境省がぶち上げた海生生物のレッドリストの進み具合だが、ようやっと予算も付き、ゴーサインも出たようだ。
しかし、当日のパワポ発表を聞いてやはり、とがっかりしたのは、レッドリスト「適用除外種」が存在することで、「純海産動物 (生涯のすべてを海域で過ごす種)は対象外。ただし、主に浅海域に依存するジュゴン、汽水域に生息する魚類、貝類は対象」ということだそうだ。海のレッドリスト作りに生涯を海で過ごす種を対象外にしてしまったら、リスト作りにどんな意味があるのだろう???
これまで、環境省が触れなかった海生生物を対象とするためのりスト作りがたんなるアリバイになってしまう。
新戦略からこれまで10年間、ひたすら、海洋の生物多様性保全を訴え続けてきた結果がこれだと思うと何とも情けないのだ。
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