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2012年3月31日 (土)

帰ってきた日新丸

 「あすあたり、帰ってきそうな気がする」というその道の達人の連絡があり、それでは、見に行こうかと強風のさなか、大井埠頭まで行ってきた。
 はじめに行った大井埠頭では、手前に大きな船がいて確認できず、結局は対岸の青波埠頭公園のはじっこで、しぶきに洗われ、風に吹き飛ばされそうになりながら見ることが出来た。

 このところ、ひっそりと出かけひっそりと帰ってくるので、一応確認した方がいいと思ったのだが、今回は、鯨研も水産庁も記者発表をして、いくつかのメディアで報道されたので、無駄と言えば無駄だったのかも知れないが。

水産庁発表:

  http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/enyou/120331.html
  平成24年3月31日
  水産庁
  2011年度南極海鯨類捕獲調査の調査航海の終了について

 今回の捕獲頭数は267頭(うちナガスクジラ1頭)だが、水産庁が「捕獲調査そのものが、直接の妨害を受けることはなく、計画どおりの日程で調査は実施されました。」と書いている所はなかなか興味深い。

 報告のいずれにも、今回の調査が東日本大震災の復興予算で実施されたことや今後どのように「復興」に貢献するつもりなのかは書かれていない。

 補正予算を計上した以上は、今回の経費詳細を公開してほしいものである。

 

Photo


2012年3月30日 (金)

海洋のアセスと海洋基本法、海洋基本計画

 3月28日に開催された第90回海洋フォーラム「海洋基本法制定から5年ー海洋政策の強力な推進に向けてー」を聞きにいった。講演者は、海洋政策財団常務理事で、この法律の「生みの親」というべき、寺島紘士氏、基本法を推進する母体となる総合海洋政策本部の5年後見直しと基本計画の改正に向けての現状の点検、検証がメインテーマである。
 法律の2つの柱である国際協調と海洋の「平和的かつ積極的な開発および利用と環境環境の保全」に照らしてこれまでの歩みを説明。そのなかで基本計画の見直しに求められる視点として、国際的な法秩序および政策への対応(国連のもとでのいくつかの条約)と国内のニーズへの対応をあげた。
 そして、国際的な方秩序の対応として国連海洋法条約以降の領海と排他的経済水域、大陸棚の考え方に即し、日本の権益と管理、保全の取組を確立すること、また、沿岸域における総合的(統合的=integrateではない)管理を法整備を含めて内外に示すことが重要であることを強調された。しかし一方で、開発、利用における提案にような具体性が保全については十分示されていないという不満が残った。

 氏が指摘された自然災害による海洋環境の悪化(放射能など)や気候変動はもちろん保全上重要ながら、開発・利用と保全を両輪に本気で考えるならば、当該海域の環境影響評価を抜きに語ることはできない。保全の具体の切り口は、この環境影響評価の義務づけにこそあると私には思える。
環境省の策定した海洋生物多様性保全戦略に基づいた日本沿岸の重要海域の選定はまだ途上である一方で、メタンハイドレードなどの開発が先行している。

 海洋基本計画の改正は来年の3月をめどとして、既に超党派議員等による海洋基本法戦略研究会が評価を開始し、7月までのそのもととなる案をまとめるそうである。今後の開発と利用の前提として環境影響評価の導入を書き込み、保全がお飾りにならないようにしてもらいたいものである。

 参考までに今日、チリのNGO、CCC(Centro de Conservación Cetacea)が発表したチリにおけるメガウインドファームに対してのチリ最高裁の判決ー環境影響評価を行わなかったプロジェクトの中止採決についてあげておきたい。
 昨年の福島原発事故以来、自然エネルギ−への転換が市民にとっての希望となってきている。原発依存への回帰は既にあり得ない状況であるからこそ、環境に多大な負荷を与えないという課題をクリアしつつ、新たな方向性を見いだす必要があるだろう。
 
http://www.ccc-chile.org/articulo-15-1030-032612_historical_ruling_of_supreme_court_suspends_construction_of_mega_wind_farm_project_in_southern_chile.html
Good news from southern Chile!

03/26/12 Historical Ruling of Supreme Court Suspends Construction of Mega Wind Farm Project in Southern Chile

The project that was illegally approved by the Regional Environmental Commission of Los Lagos region in August 2011, was suspended by the Chilean Supreme Court of Justice and will have to be submitted to an Environmental Impact Assessment.


Santiago de Chile, March 26, 2012 (CCC News) – The Supreme Court of Chile ordered last Friday the suspension of the mega wind project “Parque Eolico Chiloe” of the Chilean-Swedish company Ecopower, after welcoming an appeal presented by indigenous communities of Chiloe Island, southern Chile.

The mega wind farm project that seek to construct 56 towers of more than 100 meters height in the costal area of Mar Brava (northwester Chiloe island) was illegally approved on July 02, 2011 by the Regional Environmental Commission of Los Lagos region - lead by the mayor of the region, Juan Sebastian Montes.

In that opportunity, several social organizations expressed their opposition towards the irregular performance of the Regional Environmental Commission that unanimously approved the development of the project with out the conduction of an Environmental Impact Assessment that is mandatory under Chilean law for these types of projects.

In this context, the Supreme Court of Chile welcomed last Friday an appeal presented by indigenous communities, as required under the 169 Convention of the International Labour Organization (ILO).

In a unanimous decision the Ministers of the Third Chamber of the Supreme Court, the appeal was attended to reverse the decision of the Regional Environmental Commission of Los Lagos region. The decision highlights that this decision was an "arbitrary act of the Environmental Commission” since it did not conduct a proper consultation process to the indigenous community. It also states that "voluntary meetings with the community are far from satisfying the features of a proper consultation process to those affected by the project."

The legal resolution adds that "such action (…) violates the obligation to substantiate administrative action because it is the result of a unclear process of consultation (...) making the decision illegal."

In this regard, congressmenn Fidel Espinoza, who supported the various demands of social groups against the process and location of wind farm in Chiloe, described the Supre Court ruling as historic and requested the resignation of the Mayor of Los Lagos region, Juan Sebastián Montes, for leading the arbitrary adoption of the project last August without an Environmental Impact Assessment (EIA).

Meanwhile Barbara Galletti, president of the Cetacean Conservation Center (CCC), an organization that has actively worked with local groups demanding the relocation project and conducting the EIA, said that "we value the Supreme Court ruling and hope that this historic determination is replicated to other national energy projects that have been approved by dubious means and that also threaten the effective conservation of our natural and cultural heritage. "

Last January Galletti, a member of the Scientific Committee of the International Whaling Commission, delivered a letter signed by more than 50 world experts in acoustics and whale research to the President of Chile, Sebastián Piñera, requesting the relocation of the wind farm project because of the impacts it would have on the population of blue whales that feed in summer in northwestern Chiloé, as well as to comply with national legislation and conduct an Environmental Impact Assessment.

Source: Centro de Conservación Cetacea, El Repuerto, Radio Cooperativa

2012年3月23日 (金)

ワースト・アセス・コンテスト

 環境NGOなどが発案した国内における最悪の環境影響評価書を競うコンテストが昨日、衆議院第1会館で開催され、9件の発表が行われ、その中から最悪事例が参加者の投票で選ばれた(詳細については、ホームページ参照)。

http://bead.mimoza.jp/

 普天間飛行場建設事業(辺野古)、愛知県のトヨタテストコース、上関原発建設、設楽ダム、新石垣空港などなど様々な機会に見聞きしてきた問題事例ではあるが、こうしてまとめて聞いてみると、そのひどさ圧倒される思いだった。本来は環境を守るための武器となるべきアセスが、事業のいい逃れにしか使われていないことは明らかである。

 プレゼン賞を選んだマエキタミヤコ氏が評価書にある言い逃れやごまかし、隠蔽などについて「日本語の使い方がへん!」という感想を述べておいでだったが、私の日頃の感覚から言えば、日本語というのはそうした使い回しのきく非常に便利な道具であって、彼らがその使い方に知悉していることが問題だと思われる。

 日本のアセス法の改正は今年の5月の予定されていて、計画段階での検証など、少しはましなものになるはずなのだが、その前に始末をつけてしまおうという魂胆の見え見えのものもあり、せっかくの環境影響評価というのもそもそも環境大臣が環境の立場からものも言えない状態というのも異常である(言えたから解決ということではないにしても)。

 せっかく大賞を決めても、当事者(事業主体)不在という残念なこともあったが、こうした工夫を凝らした告発を今後も発展させていくことが重要だろう。

そろそろ調査捕鯨船が・・・・・?

 3月9日に(ブログにも書いたが)日新丸が今期の「調査」を終了したとの政府発表があった。捕獲数はミンククジラ266頭、ナガスクジラ1頭だそうであるが、こうした情報は鯨研のウェブにはない。ウェブの記者発表はシーシェパードとの攻防だけで、どんな調査をどこでやったのかということはまだ発表されていない。「官製」調査捕鯨と相成った今年度は、SSとのアップデイトの攻防が掲載される程度には市民に公開されてもいいように思うが、そう思うのは私だけなのだろうか?

 この発表が行われた3日後の12日後、下関の中尾友昭市長が記者会見で、今期は日新丸が下関に寄港しないことになったと発表している。
共同船舶によると、下関港で鯨肉を陸揚げした場合、
・従来のルートと異なり配送費用がかさむ
・鯨肉を加工する大口の卸売業者がいない
・鯨肉の大量の消費が見込めない
などが理由だと中国新聞が報じている。

 中尾市長は1月に、下関市に日新丸が寄港した場合の経済効果が20億円になることを示し、共同船舶に対して日新丸寄港をお願いしている。そのうちの半分は鯨肉の売り上げで、500t、およそ10億円を予想している(今回の水揚げはおよそ1000tくらいと予想される)。
 
 おかしいと感じるのは、今回の「調査」捕鯨の実施に、震災の被災地の復興予算23億円を投入していることをみんな忘れているように見えることだ。東日本震災の直接的な被害受けていない下関市は、ただただ、持ち帰った鯨肉を売ってもうけようと考えているし、共同船舶はそれでは売り上げが減ると拒否しているわけで、ここには復興のためのいかなる支援のかけらもない。もちろん、公金が使われていることへの配慮もない。

 出航前の共同通信の取材に対して、水産庁はこの予算には被災地における加工工場などの再建は含まれないといっており、現在もそうした計画は確認できていないので、下関の代わりに困難をおして被災地に寄港する予定でもなさそうである。

 2002年、下関がIWC開催地となった時、多くの海外NGOは、京都での右翼の嫌がらせなど嫌な思い出があったために、参加するときにいろいろと心配したようだ。しかし、ふたを開けてみれば、下関の市民のホスピタリティにすっかり感激していた。私自身、駅でわざわざ走りよってきた女性から、応援していますと声をかけられたりして驚いた覚えがある。下関のみんなが、今回の市長発言で喜んでいるわけでもないだろう。残念である。

 

 

2012年3月 9日 (金)

JARPA II今年の成果は・・・

 先ほど、NHKがリリースしたところによると、鹿野農林水産大臣が記者会見において、今期の南極の調査捕鯨を終了するということだ。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120309/t10013597831000.html
 
 今年の「成果」は設定した捕獲枠900頭に対し、267頭(ミンクとナガスあわせて?)で、この結果は、かのシーシェパードによる度重なる妨害のせいだという。
確かに、シーシェパードも、妨害で捕獲を30%におさえてやったということをいっている。

 確かに鯨研もシーシェパードも、南の海での攻防についてはやけに詳しく報告している。

 しかし、シーシェパードがクジラ捕獲を阻止したというのは果たして本当だろうか?

 この間の佐久間淳子氏による鯨肉の在庫推移を見ればわかるが、昨年の実績(172頭)にも関わらず、在庫はふくれあがるばかり。その上、アイスランドから格安のナガスクジラ肉が900t以上も輸入されている。そこから見れば、この捕獲数はかなり「望ましい」結果だったのではないのか、と推測してしまう。

 だとすれば、捕獲数減の一番の功労者は、むしろアイスランドのロフトソン氏ではないのだろうか?

「12.pdf」をダウンロード

 会見で鹿野大臣はこういっている。
「今後、調査捕鯨をどうするかについては、具体的な形で検討しなければならない」

 「具体的な形」というものがどういうものかわからないが、今後も赤字にまみれるしかない鯨肉販売依存型の「調査」はやめ、必要な経費を国が支払うということかもしれない。
鯨肉を売らないで実施する調査に、クジラを捕獲する必然性はあるのか?そこをはっきりさせたい。

2012年3月 5日 (月)

海の酸性化が前代未聞の早さで

 先頃の「New Scientist」によると、海洋の二酸化炭素の吸収量が増加し、海洋の酸性化が前代未聞の速度で進行中だと言う。

http://www.telegraph.co.uk/earth/environment/climatechange/9115699/Oceans-acidifying-at-unparalleled-rate.html

 海洋の酸性化の進行は、海生生物の成長や繁殖を妨げ、また貝の殻を溶かすなど、海の生物への影響は計り知れないという。
 科学者たちは、今回の調査結果は、これまでの地球の歴史の中で4たび起きた気候変動による生物への影響よりもさらに大きいのではないかと懸念している。

2012年3月 1日 (木)

種の保存、保護、ふれあいについての考え方

 2001年、カナダのNGOを招き、カナダ連邦政府による種の保存法を更新したSARA(Species at risk)について話を聞いた。SARAは、7年間に及ぶ多様な主体との対話と合意形成から生まれたもので、種と生息地の両方をまもるものであること、また、水生生物に関しては漁業海洋省、国立公園内の生物については自然文化遺産省、それ以外の種および、SARA全体の運用については環境省と、関係する省庁の連携で行われること、また、緊急的な保護のの必要な種に関してはその種のリストアップする権限を有すること、そして、保護の実効性を高めるステュワードシップ(民間の積極的な協力体制)それを支える連邦政府からの資金(2000度予算では3年間で9000万カナダドルが計上された)と、当時はかなりびっくりして話を聞いた覚えがある(もっとも、紹介した当人はまだまだ不十分という説明をしていた)。
その後、たまたま、種の回復計画について調べていたとき、北米西海岸のシャチの回復計画が検討途上にあったのを知った。200ページくらいある計画書だったが、その後に保護地域で車両を積んだ大型貨物船の事故が起きたりもしたが。

その回復計画の修正はまだ続いているようで、先だってパブリックコンサルテーションというものが行われるという告示が出たことが海外の情報で伝わってきた。

それに関する詳細については
http://www.sararegistry.gc.ca/species/speciesDetails_e.cfm?sid=699
で、シャチの生態から現状、そしてこれまでの計画書に関する資料等、細かく紹介されている。

一方で、環境省は来年度予算でやっと海生生物についてのリスト作りを始めるそうだが、これまで管理してきた水産庁がまもるための責任を負わなければ、リストは役に立たないと思う。

翻って日本のお寒い事情。
その1.いまや国際的に有名になった太地が、「クジラふれあい牧場」なるものをつくるそうだ。


和歌山・太地にふれあい「クジラ牧場」…5年後めどオープン
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120227-OYO1T00703.htm

「同町北西部にある森浦湾の約4万平方メートルをネットなどで仕切り、ミンククジ
ラ、ゴンドウクジラ、イルカなどを“放牧”。調教したイルカと一緒に泳いだり、
シーカヤックで回遊したりして、観光客が自然の中でクジラやイルカとふれあえる場にする」

ということで、しかも「観光客誘致だけでなく、鯨類の研究にも力を入れる」そうだ。
「森浦湾近くの大型保養施設「グリーンピア南紀」(閉鎖)の一部や町立くじらの
博物館がある「く じら浜公園」を整備し、宿泊や研究施設を設
ける予定。同公園周辺を「学術研究エリア」として、国内外の研究者に開放、
湾内では鯨類の繁殖に取り組む構想 だ」

というのにはびっくり。
クジラ牧場構想は、北海道でやろうとしたり、長崎でやろうとしたりと
打ち上げ花火はたびたび上げられるものの、実現はしていない。
狭いところを仕切って、ミンククジラやらゴンドウやらがその生態も
何もかまわず飼育され、首尾よく(?)繁殖するのだろうか?


参考までに、BBCのニュースもどうぞ。

http://www.bbc.co.uk/news/world-17116882

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