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2012年2月 7日 (火)

シャチの捕獲から15年たちました

 和歌山県太地町で10頭のシャチの群れが湾に追い込まれ、そのうちの5頭が「学術目的」で捕獲されてからもう15年経ってしまった。
 今のところ、捕獲申請は出ていないことにほっとしているものの、捕獲地の議会では昨年も捕獲に対する意欲を見せる議員もいたそうだし、水産庁の職員の中にも、新たな「データ(!)」のためにそろそろ捕獲したいんだというような人もいて、安心できるような状態ではない。

 そんなとき、アメリカでちょっと面白いことが起きているのを知った。動物の権利擁護団体のPETAが、シャチを不本意に人工的な飼育施設に閉じ込め、ショーをやらせているのは奴隷を許容することで、憲法に違反すると、シャチを原告としてシーワールドに対する訴訟を起こそうとしているのだ。

http://www.washingtonpost.com/national/san-diego-judge-hears-both-sides-in-petas-killer-whale-slavery-case-sea-world-asks-dismissal/2012/02/06/gIQAxxXauQ_story.html?wpisrc=emailtoafriend

 この訴えを、もちろんシーワールドは却下してほしいと訴えており、昨日も訴訟に発展させるかどうかのヒアリングが裁判長によって行われ、双方、言い分を主張したということだ。
ま、訴訟として取り上げられるかどうかは難しいところだろうが、PETAの弁護士は、かつては女性やアフリカ系アメリカ人に対しても同じような権利問題があったじゃないか、といっており、今後の行方が注目される。

2012年2月 3日 (金)

そろそろ15年目

 1997年に和歌山県太地町でシャチが5頭捕獲されてから、ちょうど15年。5頭とも、寿命を全うすることなく、短命で死亡してしまったわけだが、それからシャチに関する限りは小康状態が続いている。
ほっとしたことに、捕獲申請はいまのところないようなので、捕獲は前回限りでおしまいということにして
欲しいと願っている。

 1960年代から、アメリカ西海岸、アイスランド、そして日本沿岸、ロシアで、シャチの水族館用捕獲が続いた。今のところ、商業的な捕獲の可能性が懸念されているのはロシアだけだが(そう願っているが)、一方で、シャチの飼育への疑問は多様な方面から出るようになった。
 先頃も、2010年にアメリカのシーワールド(サンディエゴ)で起きたシャチによるトレーナーの事故死とそれに関する(雇用における従業員の安全性について)裁判をきっかけに、もとトレーナーの人たちがシャチの保護のためのブログを開設したというニュースが入ってきた。
 http://www.digitaljournal.com/article/318549

https://sites.google.com/site/voiceoftheorcas/home

 ここには、ベテランのトレーナーが死に至ったいきさつも詳細に書かれているが、一方でこうしたシャチの人への攻撃性は、飼育することによって生じたものだとはっきりと書いている。また、過去における死傷事件を列挙し、平均的な飼育下でのシャチの寿命も紹介している。シャチを人工的な飼育環境におくことが間違いであることを彼らはその経験から明らかにしているのだ。

 国内では鯨類飼育に関して問題を感じるという人が少ないなかで、水族館関係者には、集客の目玉として鯨類飼育が当たり前のように考えられているのが現状だ。3月にも京都で「内陸型」水族館なるものが誕生。イルカ飼育もその目玉になる模様だ。

 よく、「お金のない人たち(または、障害のある人たちと言う場合もある)でもわざわざ遠くに出かけなくても見られる」、という「利点」を彼らはいうのだが、国外でなくともウォッチングできる場所は結構あるし、水槽の中に入れられているのは生きた野生生物とは「別もの」という感覚をキチンと学習していれば、そうした詭弁は通用しないと思うのだ。


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