補正予算20億円−調査捕鯨に
読売新聞が9月30日に報道したところによると、政府は第3次補正予算に、調査捕鯨の継続のための予算、20億円を計上していると言う。シーシェパードの捕鯨活動の妨害に対して乗員の安全を確保し、実施主体の日本鯨類研究所の支援も併せて行うということだ。(妨害により財政的に困難になったということになっているようだが、実際の赤字経営は鯨肉が売れないからで、今更始まったことではない)
補正予算総額の12兆円から見れば、20億円なんかたかが知れていると思う人もいるかもしれない。しかし、この2月に調査捕鯨中止を余儀なくされた後に、政府の音頭取りで(しかも捕鯨勢力の圧力で継続を前提として)開催した鯨類捕獲調査検討会議でさえ、検討委員の合意ができず、縮小または中止も選択肢に入れざるを得なかった。つまり国として合意できているとはいえない事業なのである。
このどさくさにまぎれて、これまでの4倍を一挙にしかも補正予算に入れられるのは納得できないことだ。
30日の記者会見で鹿野大臣はこれからつめると発言したようだが、読売のこのリーク、お定まりのように既成事実を作るための下工作ではないか、と疑われる。
これまで、調査捕鯨の補助金は5億円(最近7億円に増額)だった。他の経費は、鯨肉を販売してまかなうはずで、自前で実施が出来ない事業であれば補助金も出ないはずのものだ。そこを一気に20億円。そんな余分なお金があるなら、原発被災者や沿岸地域につかってほしいと多くの日本人が思うことだろう。
もう一つ。この税金投入により、調査捕鯨は次の段階に入るということも見ておく必要があるだろう。つまり、これまでは鯨類研究所と共同船舶という外部の事業体による「調査に名を借りた商業捕鯨」が、これで国営産業になるということである。別の言い方をすれば、国営の事業でない限り、南極海での商業捕鯨は採算の取れない、つまり民間の行えないものだということを政府自らが宣言したということだ。
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