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2011年7月25日 (月)

南大西洋サンクチュアリについてのNGOのプレゼンテーション

 環境に関連する国際会議は、市民社会からの声を重要だと受け止めている。
経済的な利益、特に短期的な利益獲得の争いに対して、地球全体の利益、すべての国々の利益と同時に、将来の世代のため、また、私たちのいのちの土台となっている地球生態系とそれを構成するすべての生きものの側に立って、その代弁をする非常に重要な立場を理解されているからだ。

 たとえば、国際取引を規制するワシントン条約においては、野生生物種の取引がどのように野生動植物に大きな脅威をあたえているかという評価を、IUCNとWWFが行ってその実績を示しており、同条約では、当初から会議における発言権を有している。

 生物多様性条約会議でも、各議論の最後に議長裁量でNGOが発言を行ってきた。

 IWCにおいても当初は発言権があったと聞いてるが、(聞いた話では)モラトリアム前後の会議で、故ジョン・デンバーが歌を歌って、その後取り消されたということだ。
 その後、たびたびNGOが発言する機会を求めてきたが、チリの会議でやっと、別枠を設けて発言する時間を設けられることになった。
 しかし、会議の議論とは無関係にいわばガス抜きのような参加の仕方への疑問もあり、今回のイギリス提案の中では当初もっと積極的な議事への参加が書かれた。最終案からは削除されてしまったが、今後、もっと活発な参加を要望してしかるべきだと思っている。

 今回は、報告にあるように、議事進行がかなり遅滞し、多くの議事が議論なしに終わったこともあって、当初予定されていたサンクチュアリ、環境と健康、ホェールウォッチングの3つの議題に関してそれぞれはつげを予定されていたが、実際に行われたのはサンクチュアリのみであったのは、報告のとおりである。

 今回、その意訳(仮訳)をお伝えすることにする(原文はスペイン語)。間違いがあればそれはIKANの責任である。
発言者は、アルゼンチンのクジラ保全研究所(Instituto de Conservacion de Ballenas)のロクサーナ・シュタインバーグ(Roxana Aida Schteinbarg)さんである。

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Declaración sobre Santuarios
「サンクチュアリの宣言」

私どもは、ラテンアメリカにおける市民社会組織を代表し、南大西洋サンクチュアリの提案に関し、この議題項目の意思決定に積極的に貢献することを望んで、意見を述べさせていただきます。

南大西洋海域におけるクジラの種や個体群は、20世紀初頭の"捕鯨オリンピック"はもとより、18,19世紀においても、大規模で最も組織的な商業捕鯨の圧力により乱獲されてきました。


80年代以降は、商業捕鯨モラトリアムの採択により、もっとも大きな捕鯨圧の影響を受けたクジラの回復プロセスを開始することができました。現在の捕獲圧および他の脅威を考慮すると、捕鯨対象となったクジラが捕鯨以前のおおよその初期個体群レベルまで回復するためには数十年の年月を要すると思われます。

サンクチュアリとして提案された海域に生息するクジラ類は、少なくとも54種で、世界に分布するクジラ種の60%以上であり、また高度回遊性のクジラ7種が南極および亜南極で索餌し、熱帯、亜熱帯および温帯地域に再現しています。これらクジラ種の保全のためには、南極海のサンクチュアリを北に延長し、繁殖海域としての南大西洋海域につなげていくことが重要です。

 南大西洋サンクチュアリは、国際協力の枠組みのもとに、非致死的な科学研究やホエールウォッチングによる観光産業の責任ある発展を提供することで、捕鯨よりも多大な利益を地域にもたらすでしょう。

 いくつかの種が回復していくことは、南大西洋の周辺国の沿岸地域の経済と社会発展のための重要なツールにもなりうるのです。

 ラテンアメリカと南西アフリカは、非致死的クジラ調査を非常に活発に行っている地域であることをご存知と思います。しかし、まだクジラの移動ルートや生息密度など、重要な情報の欠落があります。

 今回提案のサンクチュアリにより、地域の協力を通じてこれらの問題についての進展を促がし、統合的な計画のもと、沿岸国の自主的な行動を強化して、国際社会全体に資することになるでしょう。

 さらに注目していただきたいことは、サンクチュアリ設立によってホエールウォッチング産業の秩序ある発展が実現する重要性です。


 クジラ類資源の回復は、これまでの詳細かつ信頼できる報告によると、持続的な観光開発を活発にし、沿岸地域社会を成長させ、利益を生み出し、その継続により、国家経済に貢献するだけでなく、沿岸地域住民の収入増加につながります。

 沿岸だけでなく、公海を含むクジラ保護区の設定は、脆弱な生態系と固有種の保護の予防的な措置という点から、国連海洋法条約の第194条と完全に合致し、生息地における脅威や数の減少をおさえ、海洋生物の構成に貢献します。

 生命が地球に依存していることから、海洋生態系の機能に必要不可欠な健全なクジラの個体数の維持は、社会性、経済性のうえでも、すべてにおいて重要です。

 サンクチュアリにより、クジラが存在することによって生み出される利益は、特に地域と人々の権利を尊重することにつながります。

南大西洋サンクチュアリともう一つのサンクチュアリをつなげることは重要です。そのことにより海域全体として注意が払われ、サンクチュアリなしで捕鯨を続けることより保護と管理の機能が従前に果たせます。

 最後に、今回私たち市民社会の参加の機会を拡大を実現で実現できなかったのは残念です。他の国際条約でも認められている参加のメカニズムをぜひとも取り入れることを願います。

 

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