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2011年5月18日 (水)

また、コビレゴンドウのこと

 太地でまた、コビレゴンドウの追込みが行われたようである。

日本周辺のコビレゴンドウの生態については、捕獲された個体からの情報に偏り、まだ未解明なところが多いようだが、1995年に発行された「日本の希少な野生水性生物 (II) V水生哺乳類」によると、その生息に関する評価では、遺伝子が異なるタッパナガが「希少」とされている一方で「とりあえず」普通とされている。

 「とりあえず」の意味するところは、この種に複数の系統群がある可能性を捨てきれないことと(捕獲された個体のサンプルではどうだったか?)、「絶滅が危惧される状態にあるとか、そのような状態に近いうちに到達するとも『断定できない』」という理由による(ない、ともいっていない)。そして、評価そのものは、今後数年間の漁獲動向を見て再検討されることが望ましいと結ばれている。

 それから16年ほどたっているわけだが、昨年は追込みの時期には1頭も捕獲できなかった。過去10年、1290頭の捕獲があり、年によって多かったり少なかったりしてはいるものの、ゼロという年はなかった。
 そのため、漁期を延長しようとし、昨日までに3回の追込みが行われた。
 許可権限をもつ和歌山県は、小型沿岸捕鯨業者との調整ができているからということで簡単に許可したようである。
 今日、電話して聞いたところでは、水産庁も捕獲枠の範囲内であることと、小型沿岸捕鯨業者との調整ができていることから、「問題なし」としたようであるが、ここにはコビレゴンドウという生き物の生物的な評価や漁期を延長することによるリスク評価というものはないようだった。

・漁期延長で3回捕獲されたコビレゴンドウは、それぞれ、これまで捕獲され続けてきた個体群と遺伝子を同じくするのか?
 それとも、別の系統が回遊してきたのか?
 また、通常の漁期に捕獲できなかったということが深刻な乱獲の結果ではないといえるのか。

 漁業活動がなりわいとして重要なことを理解したとしても、もう一つ忘れてほしくないことは、野生動物は捕獲したものの専有物ではない、ということだ。だいたい、消滅してしまったら生業そのものも成り立たなくなるのではないか。

 どうしても捕りたいのであれば、せめてその捕獲が群れの消滅→種の絶滅にはつながらない、という科学的な証明くらいはすべきだと思うし、そうした道筋を示すのが行政の役割ではないのかと思う。

 それに、イルカ類についていえば、各国管理という考え方そのものにも限界があると思う。
 高度移動の種については、国際管理が前提とならないと、いくら「ちゃんとやってます」といってもそうではなかったという過去が既に山ほどある。にわかに信じられないのは海外の人たちだけではない。

 漁業管理について、科学的な根拠を、透明性を持って議論できる公開の場をそろそろ検討したらどうでしょう?

 

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