イルカの貸し出し
梅雨明けしたようで、心なしか日差しも一段と強さを増したようだ。
この前の日曜日に、久しぶりに私書箱チェックをして、見知らぬ人からの手紙を見つけた。和歌山県の田辺市に出来た扇ヶ浜という海水浴場で、夏休み期間中の7月18日から8月16日までイルカを「飼育」し、「観光客を楽しませる‘イルカふれあい事業’を市と商工会議所が企画している」、という地元の新聞記事がはいっていた。
計画は、2頭のイルカ(バンドウイルカ?)を太地くじらの博物館から借受け、海水浴場の一部を仕切って展示、餌やりやタッチングをするという。
先日のマッコウクジラの迷い込みとそのときのにぎわいに味を占めたのだろうか? そうだとしたら、あさましいものだ。
早速、田辺市に電話して詳細を聞いてみた。イルカを展示する場所は、推進が3.5メートルの海辺のオープンスペースで、日差しをさえぎるものも、隠れ場所もない状態で四六時中、イルカが展示される。1日、5,6回、観光客に餌やりやタッチングをするという。
展示動物の飼育規準では、飼育する動物が日差しから逃れ、また避難できるようなスペースが必要と書いてあるが、というと、担当者はそうしたスペースがないことを認めたうえで「和歌山県の許可を得ている」という。
水族館や販売業者さえ、イルカを移動するときには日焼けを懸念してぬれた布を身体にかける。もともと、水中にいる時間が長い動物だから、空気に長い間さらされているのに弱いわけで、それが真夏の直射日光にさらされたらどうなるだろうか?
市の職員は、獣医は常設されるのか?という問いに、週1回、太地クジラの博物館の獣医が巡回すると答えた。また、経験のあるもとトレーナーが常駐するようである。
しかし、海水浴場という(しかもイルカなどいなくてもけっこう繁盛しているところらしい)不特定多数の行き来する場所で、直射にさらされた状態で芸をさせられるというのは一種の「虐待」といえないだろうか?
すでに実行段階に入っており、こうした飼育展示は賛成できないということと、せめて隠れ場所の設置を強く要望する以上は出来なかった。
環境省は、動物取扱行は都道府県の管轄なので、県が許可したというなら「適正」であろうというしかし、かつて、淡水河川に一時的にイルカが入れられるという通報も受けたことがあり、どのように適正なのかは実際に現場を見ないと(しかも生態を良く知っていなければ)わからないだろう。環境省にその気がないのは明らかだし。
環境省は、こうしたケースは想定外であることを認めた。今後の規準上、こうした事例も考慮してほしいといったが、後味は悪い。
« マデイラ行き 3 | トップページ | マデイラ行き 4 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント