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2008年10月18日 (土)

日本沿岸のシャチ

 「データは同じではありません。1600頭というのは、80年代の古いデータで、一部はコビレゴンドウからの類推も含んでおり、過小評価の可能性がありました」と最近、水産庁を訪問したときに、担当者から言われた。
‘新しい’データ7512頭というのが1992-1996年8月ー9月の目視調査による結果による西部北太平洋のシャチの推定数だというのだ。
 しかし、担当者は続ける。「調査海域が広がっているので、必ずしもこれが増加を示すわけではありません」

 水産資源センターの資源評価では昨年、海洋大学で開催されたシンポジウム「シャチの現状と繁殖研究に向けて」で、沿岸シャチの現状が遠洋水産研究所の研究者たちによって紹介された。そこではこんな数字は出ていなかったのだが。
 そのときに、資源評価の部屋のシャチの1997年の捕獲数(生け捕り6頭)が間違いではないか、(生け捕り5頭と捕殺1頭)と後の懇親会で話したとき、担当する研究者は「新しい情報にどのみちしなければならないのでそのときに訂正します」といったので、その情報は今日の発表なのか、と聞いたとき、確か「そうです」といっていたと思うのだが。

 シャチだけの調査というのは(繰り返して言うまでもないが)まだないし、調査捕鯨で行われる目視調査の中だと思われる。おかしいな、と思うのは、該当海域のシャチがほかの同じような環境条件の海域と比べて格段に多いことだ。
 ご存知のように、北米西海岸では大目に見ても1500頭くらい、ノルウェー海域も1500頭ほどと考えられているようだ。それに比べると6倍近い生息数で、かつての小型沿岸捕鯨での捕獲数を考えれば途方もない数字に思われる。

 科学的調査をやっていると胸を張っている日本が客観的な評価なしで数字を一人歩きさせることは(百歩譲って調査技術が非常に優れているとしても)信頼性を失わせる元だ。もし、特別に生息数が多い理由があるなら知りたいものだ。

 この間のシャチに関するざわつきは、シャチ捕獲の環境整備が裏にあると私たちは考えている(根拠もある)。要するに生け捕りしたい、生け捕りしたのをいじくり回したい人たちがいるということだ。

 その結果が繁殖研究と技術の競争なのだから割り切れない。

 この13日、鴨川シーワールドで飼育2世代目のシャチが誕生した。日本では初めて、世界で確か10番目。水族館で生まれたシャチは現在世界で29頭になる。

 ヒトがヒトであるのは、その形態が人であるというわけではなく、家族があり、日常生活があり、社会があり、歴史、文化があり、その総体がヒトというものだと思う。

 社会的な動物であるシャチにしても、生息する環境に従い独自の生活形態を持ち、社会的なかかわりを自分の家族ともほかの群れとも培ってこそシャチではないだろうか。

 水族館で生まれるということは、確かに父母はいるが、帰属すべき社会や海域もないシャチの形をした模型(一般にとってはかわいいぬいぐるみかもしれないが)のようなものだ。悲しいかな、それらは「いのち」を持っている。そうした生き物をヒトの身勝手な欲望で作り出すことに違和感を覚える。

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