チリIWC報告第1日目
今回ははじめに書いたように、「IWCの将来」という議長のかなり強いリーダーシップ
で、意見の対立するものは事前に話し合いを行い、合意形成に努め、決議は原則ださない
という「合意」のもと、これまでのようなプレゼンテーション合戦は比較的少なかったため、
議事の紹介という点ではあまり面白いものではない。
また、詳細については水産庁外郭団体が毎年中継しているので、それを見ている人たちも
結構いると思うので、周辺情報や裏読みのようなものになるだろうと思う。
それにしても、国際会議数あるところ、実際に中継されている会議がほかにあるかどうか
私は知らない。言ってみれば捕鯨というのはそれほど大きな国際マターではないのだから、
それを同時中継し続け、さらにその会議の内容の懇切丁寧な説明が(もちろん、「正しい日本
国民の会議の読み取り方」ということですが)毎日付け加えられていて、その解説まるごと
本会議と錯覚しそうな変なものではあるが。
2000年のアデレード会議から参加しているが、会場となる施設(ホテルが多い)の正面に
IWC会議の垂れ幕がなく、町にもそのことを示すバナーのない珍しい会議だった。そのくせ、
警備だけはすごく厳重(でも形のみ)で、カーキ色の軍服まがいの制服を着た警官がそこら
じゅうに立っていて、検問が行われていた。その割りに、ポール・ワトソン氏は堂々とホテル
で記者会見を行っていて、何がなし、神戸のばかばかしい海上警備を連想させられたものだ。
会場には、さすがに今回の会議を示すなかなか凝ったデザインの垂れ幕があった。そして、
最初の挨拶には外務大臣と環境大臣が挨拶し、オープニング当日に地理のEEZすべてにおいて
鯨類の捕獲が禁じられるサンクチュアリに設定されたという報告があった。やるじゃないの、チリ。
ご存知のように、チリな南北に細長いので、南米大陸太平洋側の半分以上がサンクチュアリ
指定されるのと同じ効果がある。最近もシロナガスクジラの群れが発見されたり、また繁殖域
ではないかと考えられているところだ。チリの沿岸域には43種の鯨類が生息するということで、
外務大臣の挨拶でも非致死的なクジラの利用ーホエールウォッチングの重要さも指摘された。
今回新たに参加した国はウルグアイ、コンゴ(そして翌日にタンザニア)。数年前まで40数カ国
の小会議だったのが、参加国がほぼ倍増したようで、参加者数も国代表、オブザーバー、メディア
などで500人を越えたらしい。日本の記者さんたちは、相変わらず政府代表団と捕鯨推進の人
たちのあとを金魚のうんこのようにくっついている。
議長のホガースさんはヒースローでの中間会合以降、「誠意ある」話し合いが続いていると
感想を延べ、決議案は本議会前に提出して議論し、コンセンサスを形成することを要請した。
昨年に続き「よいこ」の日本が「日本としてはクジラの人道的捕殺=福祉、ホエール・ウォッチング
小型鯨類等、本会議の議題とは考えていないが、議長のリーダーシップを支持する意味合いから
反対の動議は行わないとつげる。また、JARPAIIのプレゼンテーションはランチタイムのイベント
ととして行うので、皆さん参加してほしいと要請し、対話に向けてすべての国が協力することを
願うとした。
アルゼンチンが、議長のリーダーシップに感謝し、日本のこれまで行ってきた動議を今回
出さないことを賞賛しつつ、決議案をだしてはいけないのか、とするどい質問。
それにたいし、議長は決議案は出ないものと確信しているが、権利はある、といいながら
ノーサプライズでコンセンサスをあくまでも尊重してほしいと釘をさした。
デンマークが、EUの捕鯨を行わないという合意に触れ、IWCにおける共通ポジションに合意
しているが、海外領土であるグリーンランド、フェロー諸島に関してはEUの立場と異なる見解
を持ち、領土の利権を宗主国として代弁するという区別化を説明。
(グリーンランドは今回ザトウクジラ10頭の捕獲枠を要求して保護側を不安に陥らせている)
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