クジラ類の保護の遅々たる歩みについて
昨日は、京都でCIVIL G8の会合があり、環境ユニットの生物多様性イシューグループとして、ワークショップが行われた。IUCNのジェフ・マクニーリー氏が最初に生態系サービスの経済的価値について例を挙げながらわかりやすく説明し、3千人の専門家によって2005年に報告された国連のミレニアム生態系評価の継続により、国際社会に与える生物多様性の経済的評価や多様性の損失によるダメージをさらに深く調査する必要性を訴えた。
コンサーベーションインターナショナルの日比保史さんが次に環境関連の法律と生物多様性、そして、温暖化と生物多様性の関係についてプレゼンテーションを行った。
IKANにも海洋の生物多様性保全について語る機会が与えられ、昨年の環境大臣会合で海洋保護区のグローバルなネットワークの必要性が記述されたことに始まり、昨年の海洋基本法の制定、第3次生物多様性国家戦略における沿岸・海洋の生物多様性保全の動きなど国内の動きと、あいかわらずなかなか進まない海の生物多様性保全について、また、別の意味で特殊視されている鯨類の位置などについて話すことが出来た。最後はユースの林雄太くんのCOP9に向けてのユースの活動の紹介。
残念ながら、やはり海に関しての興味は薄いようだった。
しかし、今回は、ポジションペーパーに沿岸のイルカ類の保護、調査捕鯨の国際的な協力のもとでの非致死的な方法への転換などを書き入れることも出来、これまで継子扱いされがちだった鯨類に多少のスポットをあてることが出来たことはうれしい。
世間的には今もって調査捕鯨のいかがわしさに関して疑問を抱く人は少なく、日本が国際的に負うべき責任についてはまだまだ理解が不十分であると思う。
沿岸のイルカ類の捕獲に関しても相変わらずで、群れを消滅させることへの危機感も薄いようだ。
たまたま、太地でのコビレゴンドウ捕獲のニュースを知り、「えっ!4月になんで?」と思って水産庁に聞くと、県が決めることだといわれ、和歌山県に聞いたら、ゴンドウ類についてはおととし(2006年)に猟期が10月~3月末から9月~4月末までに変わっていたことがわかった。早まったということは水産庁に聞いたが、そのときに猟期の終わりも聞かなかったのがうかつだった・・・・・・・
コビレゴンドウはシャチのような知名度こそないが、シャチの推定個体数が「生活史」が似ているとされるこのコビレゴンドウから類推されていたことでもわかるように、母系社会を形成していると思われ、妊娠期間も15ヶ月で1産1子と繁殖率も低い。メスは40歳前に出産をやめ、群れの福祉に貢献しているらしいところもシャチに似ているようだ。
こうした生物を、えんえんと50年近くも群れごと消滅させ続けてきて、減っていなかったら奇跡というものだ。
何回も書いていることだが、海の住むものは海洋法条約が出来たときに「取ったもの勝ち」ではなく、人類共有の財産となったはずだ。条約を批准する日本が一方で鯨類を「上陸しない(つまり日本固有のものではない)」から保護の対象からはずし、一方ではごく少数のものに勝手に取らせているっていうのは条約違反ではないのか?
世論が喚起されることを切に望む今日この頃である。(食べたい論議だけするのはやめてね)
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